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伊高浩昭が選んだ2020年ラ米重要ニュース

▼コローナ疫病COVID 19猛威振るう  ラ米最大のニュースは世界の他地域同様、世界史の流れを止めた、この疫病だ。12月時点で域内の死者は50万人を超えた。感染者数で上位最悪諸国20以内にブラジル、アルゼンチン、コロンビア、メキシコ、ペルーと5カ国が入った。3位のブラジルは、反知性・極右のジャイール・ボウソナロ大統領の意識的失政によって、巨大な人口と国土を持て余す「超大型バナナ共和国」に成り下がった。国連ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)は、20年の域内GDPは平均7・7%縮小と発表した。特に打撃を受けたのは貧困大衆、先住民族らだ。  3月以降、マスクを意味するマスカリージャ、タパボカ、クブレボカ、ナソブコ、バルビホなどの言葉が連日、新聞やテレビニュースに欠かせない時事的用語になっている ▼米大統領選挙でジョー・バイデン勝利  11月3日実施の選挙で民主党のバイデンが現職のドナルド・トランプの再選を阻んだ。選挙人獲得数は306対232。総得票数は8000万対7400。ラ米は歴史的に米国の影響下ないし支配下にあり、米大統領選挙は重要極まりない。この点は、対米軍事同盟で雁字搦めの日本の立場に似ている。  米国はバイデン大統領ないし、カマラ・ハリス副大統領の下で、2023年12月のモンロー―教義宣言200周年を迎える。米国をこれまた「巨大なバナナ共和国」に陥れたトランプが去ることを、ラ米の 左翼・進歩主義諸国は歓迎している。 ▼ベネズエラ国会議員選挙で政権党圧勝  12月6日実施の選挙で、ニコラース・マドゥーロ大統領が党首を務めるPSUV(VEN統一社会党)を柱とする政権党連合GPP(大愛国軸)が、一院制国会の定数277のうち256議席を占めて圧勝した。残る21議席は6党が分け合った。新国会は1月6日発足する。  これにより、19年1月から国会議長を務め、トランプ米政権から「暫定大統領」に擁立された極右の傀儡フアン・グアイドーは自動的に権限を失う。今選挙の投票率は30%と低かったが、マドゥーロ政権は棄権率の高さを批判票の多さと捉え、それを施政に反映させることが必要だろう。  因みに、グアイド―派国会は1月以降も現国会を延長させる決議をしたが、最高裁は12月30日、これを無効と判断した。 ▼ボリビア大統領選挙でMASが政権奪回  10月18日の選挙で、19年10月の選挙

アルゼンチンで妊娠中絶法成立

  亜国上院本会議は12月30日、「自発的妊娠中断法」案を賛成38、反対29、棄権1で可決した。下院では11日に可決されており、大統領の署名をもって発効することになった。妊娠14週間以内の堕胎が公認される。  アルべルト・フェルナンデス大統領は、「私の選挙公約だった安全・合法・無料の中絶が実現する」と議会通過を歓迎した。国会議事堂前に集結していた多くの女性たちは歓喜し涙した。  これまでにLAC(ラ米・カリブ地域)で中絶はウルグアイ、キューバ、ガイアナで合法化されており、メキシコでは首都メキシコ市とオアハカ州で合法。  従来アルゼンチンでは1921年の立法により、強姦妊娠および母体生命の安全確保に限って中絶が認められてきた。  政府は、年間37万回から57万回の非合法堕胎が行われていると推計。1983年の民政移管後、計約3000人が中絶手術で死亡している。  国家科学技術調査会(CONICET)による2019年の調査では、亜国民の63%はカトリック教徒、19%は無宗教、15%は新教系。カトリックの女性の間でも堕胎賛成派が拡がっていた。   亜国は、ローマ教皇フランシスコの故国である。 ▼堕胎合法化成る  アルべルト・フェルナンデス亜大統領は2021年1月14日、新法に署名。堕胎は合法化された。        

VEN当局が新国会発足阻止狙う陰謀を摘発

     ベネズエラのカルメン・メレンデス内務法務平和相は12月29日、来年1月5日に開設される新国会の執行部発足を阻止し、かつ政府高官暗殺などのため活動していた一味の陰謀を暴いた、と発表した。コロンビア政府当局が陰謀を支援、陰謀は「国会ボイコット作戦」と名付けられていた。   同作戦は、12月27日から1月3日にかけて決行される予定だった。3日には国会新執行部が決まるが、執行部を潰すのが主な狙いだった。タレク・サアブ検事総長ら高官の殺害も計画に含まれていた。   事の起こりは12月21日、ミラフローレス宮殿(大統領政庁)付近で爆発物を所持していた政庁雑役係が逮捕されたこと。この雑役係は2001年から19年勤続で、信頼されていた。   その自供から24日、破壊活動に従事してきたロナルド・フローレスが逮捕された。フローレスは12月10~18日、コロンビアに滞在したVEN極右指導者レオポルド・ロペスが、イバン・ドゥケCOL大統領、アルバロ・ウリーベ同元大統領と会談する様子を映したビデオ映像を所持していた。   ロペスは、による政変を是とするVEN極右政党「人民意志」(VP)の最高指導者で、破壊活動により投獄され、その後自宅軟禁になっていたが、今年10月、コロンビア政府の支援を受け国外に逃亡、家族のいるスペインのマドリ―に去った。   フローレスは18年8月起きたドローン爆弾によるニコラース・マドゥーロ大統領暗殺未遂事件にも関与。今回は、コロンビア機関員数人のVEN密入国と武器・爆発物の搬入を支援した。   また、ライデ・サラサールという陸軍大尉の国外逃亡も支援。ライデの姉ソラ二・サラサール海軍大佐と、その夫の海軍大佐も今回、陰謀加担容疑で逮捕されている。内相は、容疑者19人の行方を追っていると明らかにしている。   国家諜報局(SEBIN)のグスタボ・ゴンサレス長官は29日、今事件関係の容疑者6人を逮捕済みと明らかにしている。軍事防諜局(DGCIM)が6人を取り調べている。陰謀作戦には、グリ水量発電所の破壊など破壊活動が含まれていた。   一方、マドゥ―ロ大統領は28日、国軍に「点と地域作戦」実施を命じた。全国の軍事施設やエネルギー施設など重要拠点の防衛のためだ。29日には容疑者逮捕に繋がる情報の提供者に賞金50万ドルを与えると表明した。 ▼今年のVENでの暴力死は1日

『アド―ロ』のア・マンサネーロがCOVID19で死去

    『アド―ロ』で世界的に知られたメキシコの著名なカンタウト―ル(シンガー・ソングライター)アルマンド・マンサネーロが12月28日、コローナ疫病COVID19 により死去した。17日から入院していた。   ユカタン州都メリダ出身で、マヤ系の風貌だった。85歳だった。   12月初めには、メリダ市内の生誕地に開設した「マンサネーロ自邸博物館」の開館式に出席していた。今年はまた、ラテングラミー賞授賞式の場で功績を讃えられた。   娘のマルタ・マンサネーロは、「父は(音楽や人生の)戦士だった」と語っている。大変なロマンティストで、恋多き人生だった。   マンサネーロは1950年代に頭角を現し、ピアニストでもあり、約400曲を作った。うち約50曲はヒットした。特に有名なのは『アド―ロ』(君を熱愛する)、『ソモス・ノビオス』(私たちは恋人同士)、『エスタ・タルデ・ビ・ジョベール(きょうの午後、雨が降るのを見た)』、『ノ、ナダ・ペルソナル(いや、個人的なことではない)』、『コンティーゴ・アプレンディー』(君から学んだよ)など。   私(伊高)は1960年代末、メキシコ市インスルヘンテス南大通りの闘牛場近くにあったナイトクラブで、ピアノで自作を弾き語りするマンサネーロに会っていた。2006年4月には、東京でマンサネーロにインタビューし、月刊LATINA誌に記事を書いた。   まさかコローナで最期を迎えるとは。入院後のニュースで罹患したことは知っていたが、死の報を受けて、あらためて驚き、冥福を祈った。 ▼キューバの歌姫も死去   玖歌唱界の歌姫の一人で、「キューバのカモシカ」の異名をとっていたファラー=マリーア(76)が12月30日死去した。本名はファラー・ガルシア。 ▼マンサネーロ広場開場   メキシコ市トラルパン区に2021年6月25日、「アルマンド・マンサネ-ロ・ボレーロ広場」の開場式が挙行された。     

赤道国次期大統領はコレア派のアラウスが有力

     エクアドール(赤道国)の次期大統領選挙は2021年2月7日実施される。小政党が乱立し「パルティートクラシ―ア」(政党民主制)と揶揄されるとおり、今回も14候補が出馬している。無論、泡沫的候補が少なからず含まれている。   ラ米地政学センター(CELAG)が12月27日公表した最新の支持率調査では、ラファエル・コレア前大統領派の政党連合「UNES=ウネス」(希望連合)のアンドレス・アラウス候補が36・5%で1位。   UNESは12月25日に中央選管から正式に出馬が認められたばかり。だが副大統領候補としてのコレアの出馬は数カ月前の公示時に認められなかった。   支持率2位は、中道右翼の「社会正義運動」(MJS) の実業家アルバロ・ノボーア候補で、22・9%。6度目の出馬で、「政権に執着しすぎ」と批判されている。   3位は、先住民政治組織パチャクティク(新生国家ー多民族統合運動)のヤク・ペレス候補で、21・2%。4位は13・6%の右翼「CREO同盟」のギジェルモ・ラソ候補。前回選挙で接戦の末敗れた、グアヤキル財界の大物。最後まで敗北を認めなかった。   これら4候補の合計支持率は94ポイント強。事実上、同4人の争いとなる。過半数得票者が出ず、上位2候補による決選となる公算が大きい。右翼「愛国社会党」(PSP)のルシオ・グティエレス元大統領も出馬しているが、支持率は低迷している。   レニーン・モレーノ現大統領の政権党「パイ―ス同盟」のヒメナ・ペーニャ候補も低迷している。この政権党は、コレア前大統領が結党した政党だった。だがモレーノは政権を取るやコレアと袂を分かち、政敵同士となった。コレアの副大統領候補出馬が否定されたのも、両者の確執があったからだ。    現在の支持率が維持されれば、決選はアラウスがパチャクティクの支持を得て、ノボア・ラソ組を破る可能性が予測可能だ。

ペルーで3700年前の「貴婦人」の顔を復元

    ペルー古代の「貴婦人ダマ・デ・エル・パライソ」の顔が復元された。リマ北方の太平東岸にある巨大遺跡エル・パライソ(楽園)で発掘された、3700年前に生きていたとされる同「貴婦人」の頭蓋骨や骨を調査してきた考古学者ダヤンナ・カルボネルは12月25日、復元について明らかにした。     それによれば、2年に亘る調査・研究の末、頭蓋骨の一部の復元に成功。それに基づき、顔面を再現した。考古学と造形技術の共同作業がものをいった。     「貴婦人」は伸張150センチ。死亡時の年齢は20~25歳。長顔で頬骨が張っている。目は小さく、鼻は高い。口は大きくない。      カルボネルら考古学者らは、「貴婦人」に「エバ=ルシーア」と命名した。遺跡名「楽園」に因んでいる(エバ=イヴ)。           

モラレス元ボリビア大統領がクーデターの危険を警告

   ボリビアのエボ・モラレス元大統領は12月26日、コチャバンバ州トロピコ(熱帯)地方のコカ葉栽培農民連合団体の会合で演説。政権党MAS(社会主義運動)党員・支持者に向けて、ルイス・アルセ大統領率いるMAS現政権に対し、右翼および同盟者がクーデターを含む攻撃をかけてくる恐れがあると警告し、防衛措置を講じるよう呼び掛けた。   モラレスは昨年11月、極右勢力、軍部・警察、OEA(米州諸国機構)、米リチウム利権などが連携してのクーデタ―で政権を追われ亡命。11月8日にアルセ政権が発足した翌日、帰国した。   クーデターの危険性があることについて、「それはイデオロギー的、計画的、文化的、共同体社会的、選挙的な闘争だ」と指摘した。   元大統領はさらに、クーデターで政権を握ったジャニーネ・アニェス前非合憲政権を糾弾し、「アニェスはコロナ禍COVID19が蔓延するさなかに人道犯罪を犯し、虐殺事件も起こした。人民弾圧のため、(催涙ガス用)化学剤を500万ドルも輸入した」と非難した。   アルセ大統領は就任後、クーデターに関与した国家警察と国軍の上層部を一掃した。だが粛清された元高官らに不満がくすぶっており、サンタクルース州都サンタクルースデラシエラを中心拠点とする極右勢力と同元高官らは繋がっている。   政権は、アニェスの国外逃亡を食い止め、監視下に置いているが、依然、裁判に持ち込んではいない。逮捕された多くのクーデタ―関与者は釈放されたが、高官らの逮捕・捜査・裁判が残っている。  

ペルー次期大統領選1番人気は元サッカー代表選手

    ペルーの次期大統領選挙は2021年4月11日実施される。16年の前回選挙ではKKクチンスキが決選でケイコ・フジモリを僅差で破って当選、同年7月28日に就任したが、汚職嫌疑で退陣。後継のマルティン・ビスカラ大統領も汚職嫌疑で今年解任された。  これを受けて就任した暫定大統領は有権者から抗議されて1週間も持たずに辞任。新たに就任した現暫定大統領の選挙管理政権の下で来年4月を迎える。  12月22日に立候補届が締め切られ、23 人の出馬が決まっている。ビスカラは選挙審査会から登録を却下され、出馬できなくなった。収賄で収監されたオジャンタ・ウマーラ元大統領とケイコ・フジモリは立候補を認められた。  現時点での支持率調査では、国民勝利党(VN)のジョージ・フォーサイス(38)=元サッカー代表チーム・ゴールキーパー=が一番人気。次いでモラード(暗紫色)党のフリオ・グスマン(50)=経済専門家=、人民勢力党のケイコ・フジモリ(45)=元大統領の娘=、共にぺるーのために党のベロニカ・メンドサ(40)=心理学者=の順。  泡沫的候補も多く、選挙戦の過程で淘汰される。最終的に有力候補5~6人の争いになり、過半数得票者が出ずに上位2人による決選となる公算が大きい。    

ボリビア南部で大ガス田見つかる

   ボリビアのルイス・アルセ大統領は12月24日記者会見し、南部のチュキサカ州カイピぺンディの原野で巨大な埋蔵量をもつ天然ガス田が見つかった、と発表した。   同地での試掘は、クーデター直前の2019年10月に開始された。スペインのレプソール社が請け負い、シェル、PAE両社も採掘に参加している。   大統領は、「パチャママ(母なる大地)が大ガス田を恵んでくれた」と述べた。   ガスは19年、ボリビア総輸出額の31%を占めた。ブラジルとアルゼンチンの両隣国が最大の輸出先。 

グアテマラ国際空港正面が壁画で飾られる

   グアテマラの表玄関グアテマラ市のラ・アウロラ国際空港の建物正面一帯の壁面が壁画で飾られ12月22日、公開された。観光庁と民間航空局が協働、「芸術と観光 色彩豊かな国」政策の一環として、国内の主要な観光名所や風物を13人のグアテマラ人画家が描いた。   描かれた場面は、古都アンティグアの大聖堂や回廊、エスキプラス市の大教会、アティトゥラン湖、マヤ・ティカル遺跡、国鳥ケッツァール、サンフェリーぺ砦など。   グアテマラでも観光は基幹産業だが、コロナ疫病COVID19で大打撃を被っている。空港の壁画群は、2021年の観光再興隆計画に寄与するものと期待されている。                     

コロンビアが露外交官2人をスパイとして追放

     コロンビアのイバン・ドゥケ大統領は2月22日、ボゴタ駐在のロシア大使館員2人をスパイ容疑で8日追放した、と明かにした。2人はアムステルダム経由でモスクワに帰ったという。    追放されたのは、2017年11月から駐在していたアレクサンドル・ベルソフ(39)で、露軍参謀本部諜報総局(GRU)所属。もう一人は、19年1月から駐在していたアレクサンドル・パリストフ(31)で、露対外諜報庁(SVR)要員。    両人は、コロンビア各地の石油施設や軍事施設の情報を探っていたという。18年にヘリコプターのロシア人専門技師団がコロンビアを訪れたことがあったが、不審に思った同国諜報機関は「エニグマ(謎)作戦」という防諜活動を展開。おとりを使うなどして2人のスパイ活動を突き止めたという。   コロンビアには米軍と共用の軍事基地7か所を含む軍事施設があり、米軍の南米前進基地の役割を果たしている。とくにベネズエラを軍事的に威嚇する拠点でもある。   政府は12月7日にセルゲイ・コシュキン露大使に両人の国外退去を求めたが、同大使が拒否したため、翌日強制退去させたという。       一方、露側も報復として、モスクワのコロンビア大使館勤務の外交官2人を強制出国させた。 ▼ウリーベと麻薬マフィアの関係明るみに   12月27日解禁された米国務省機密文書で、コロンビア極右指導者アルバロ・ウリーベ元大統領とメデジン麻薬マフィアの首領格だった故パブロ・エスコバルの緊密な関係が明かるみに出た。   公開文書によれば、エスコバルは1993年、当時上院議員選挙での当選をめざしていたウリーベに巨額の選挙資金を提供する見返りに、当時のセサル・ガビリア大統領に紹介してほしいと持ち掛け、承諾した。ウリーベはその資金を使って当選。21世紀に入ってから大統領に上り詰めた。   ウリーベと麻薬マフィアや、極右準軍部隊との黒い関係は過去に何度も明らかにされているが、エスコバルとの具体的取引が表に出されたのは初めて。               

ニカラグア体制が反政府派を選挙から締め出しへ

   ニカラグア国会は12月21日、「独立、主権および平和のための自決に関する人民権利防衛法」を、賛成70、反対15、棄権4で可決した。賛成票を投じたのは、絶対多数派の政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)。    新法の骨子は、「クーデター、権勢秩序変更、テロリズムを主導したり資金支援したりする者」や、「外国による制裁や干渉を促進する者」は選挙に出馬できないということ。   特に2018年4月以来、政府と対決してきた反政府勢力は、米国などの支援を仰いでおり、同勢力が今後同じ行動をとれば、21年11月7日の大統領・国会議員選挙などから排除されることになる。    ダニエル・オルテガ大統領(74)は来年の選挙で連続4選を狙う。79年のサンディ二スタ革命後90年まで革命政権が続いたが、オルテガは80年代半ば以降、大統領を務めた。来年4選されれば、計5選となる。    反対票を投じた保守・右翼の憲政自由党(PLC)は、「新法は、憲法が保障する市民の権利を侵す」と訴えた。    米国は反政府勢力を強力に支援する形で干渉しており、オルテガ大統領一族や政府高官らに制裁を科してきた。    米財務省は21日、新たにニカラグア高官数人に制裁を科した。 ▼チャモロ元大統領の娘が出馬へ    ニカラグアのビオレタ・チャモロ元大統領の娘クリスティーナ・チャモロは2021年1月16日、11月の大統領選挙に野党統一候補として出馬する意向を表明した。    母ビオレタは1990年の大統領選挙で、サンディニスタ政権のダニエル・オルテガ大統領を破り政権に就いた。この選挙では日米政府がチャモロ側を支援した。    それから31年後、クリスティーナは、母が破ったオルテガ大統領と選挙で対決することになる。

ディエゴ・マラドーナはキュ―バで自殺を図っていた

   キューバ人医師で1980年代末から故ディエゴ・マラドーナのキューバでの主治医だったアルフレド・コエ氏は、ディエゴはキューバで運転していた乗用車を乗り合いバスに衝突させ自殺しようとした、と証言した。   同医師は、ペルーのアメリカTVによるインタビューで語った。その時、ディエゴは「全くの偶然で助かった」という。ディエゴがキューバで2度目の入院治療を受けていた時だったというが、それがいつだったか、医師は明らかにしなかった。   コエ医師はまた、ディエゴは脳の損傷と、投与されていた精神薬理学上の薬品が適切でなかったことにより言語能力に不自由をきたしていた、とも述べた。脳の損傷は、認知症を招くほどには至っていなかったという。   キューバ滞在中、ディエゴは海浜の施設に滞在、海を見つめていたが無口で、言葉を引き出すのは難しかった。そう医師は回想する。   ディエゴは今年11月4日、ブエノスアイレスの医療施設で血腫の手術を受け、21日後の同月25日に60歳で死去した。コエ医師は亜国に飛び、ディエゴを見舞ったが、深い眠りについており、翌日死去した。   「あれは事実上の自殺だったと言える。ディエゴは人生に疲れ、これ以上生きたくないと思っていたはずだ」と、コエは述懐した。   コエはディエゴをハバナで入院させるよう、ディエゴの周囲を説得したが、受け入れられなかったという。        

バイデン次期米政権はベネズエラと「民主化交渉」か

  バイデン次期米政権は、マドゥーロVEN政権と「VEN民主化交渉」を開始する政策を検討中。米メディア「ブルームバーグ」が12月20日、バイデン政権移行チーム筋情報として伝えた。同チームは、トランプ政権が一方的に発動してきた「制裁」という名の厳しい対VEN経済封鎖の緩和などを考慮している。   特にトランプ政権は昨年初め、フアン・グアイドーVEN国会議長を傀儡体制首班に擁立して承認、マドゥーロ体制に揺さぶりをかけてきた。だが傀儡体制に施政の実態はなく、国連、および国際社会の大多数の国々はマドゥーロ政権を正統政権と認めてきた。   ブルームバーグは、「グアイドーは11月末からバイデンチームに接触を働きかけているが、実現していない」と指摘。来年1月5日に国会議長任期が切れ、下野を余儀なくされるグアイドーが冷遇されている様子を伝えている。   マドゥーロ政権は、ロシア、中国、イラン、トルコなどと密接な関係にあるが、バイデンチームは露中両国などが米VEN対話交渉に関与するのを期待しているという。   同チームは交渉開始の条件として「VENでの民主選挙実施」を挙げている。だがマドゥーロは2018年の大統領選挙で当選。また、さる12月6日の国会議員選挙で圧勝しており、VEN側には国政選挙を新たに実施するつもりはない。   トランプが11月3日の米大統領選挙で敗北しながら、それを認めない「反民主姿勢」は、米国の対外「民主選挙」要求の威力を殺いでいる。             

ボリビアの副スポーツ相は19歳の女性

   ボリビアのルイス・アルセ大統領は、副スポーツ相に19歳の女性を任命したが、その適格性に疑問を挟む声が起きている。   就任したシエロ=ハスミン・ベイサガ=アルテアガは、ボリビア女子サッカー20歳以下代表チームの主将を務めた美貌の人気者だ。   自ら「極貧家庭に生まれ、少女時代には裸足でサッカーをしていた」と語るベイサガだが、副相にふさわしい教育と見識があるのか、などと批判がSNSを中心に巻き起こっている。   サッカーはボリビアで最も人気のあるスポーツで、エボ・モラレス元大統領は自らプレーする熱狂的ファン。ベイサガはモラレスのお気に入りだった。 ▼モラレスが南米諸国人民連合結成に動く   エボ・モラレス元大統領は12月20日、「南米諸国人民連合」(runasur=ルナスール)を創設する国際会合を来年4月24~26日、コチャバンバ州サンベニート市で開くと明らかにした。   南米12カ国のうち、ボリビア、亜国、ベネズエラ、エクアドール4か国が委員会を結成し、準備を進めているという。   モラレスは、「連帯と、なけなしのものを分かち合うという先住民の文化が拡がり実践されれば、世界はより良いものになるだろう」と述べた。   南米には12カ国政府級の南米諸国連合(ウナスール)があるが、域内の右傾化が顕著になった2015年末以降、脱退する国々が相次ぎ、活動停止状態にある。モラレスには、ルナスールを足掛かりにしてウナスールを活性化させるという戦略がある。  ルナスールには、先住民、労働者、知識人らが参加する。

TT首相がグアイドー派容認のOEA拒絶を表明

   トリニダード&トバゴ(TT)のケイス・ロウリー首相は12月18日、OEA(米州諸国機構)におけるベネズエラ代表権がマドゥーロ政権に戻るまでは、いかなるOEA決議にも参加せず、いかなるOEA決議をも認めない、と表明した。   OEAは、トランプ米政権に昨年初め擁立されたが行政実態のないフアン・グアイドー傀儡体制の代表権を認めており、グアイド―派「大使」が代表権を行使するという虚構が続いてきた。国連はVEN代表権をマドゥーロ政権に認めている。だが米州地域機関のOEAは、それに歯向かっている。   誰もが本心では虚構と捉えてきたグアイドー派の代表権を認めないと堂々と主張したのは、マドゥーロ政権以外はTTが初めて。それだけに米州外交界に波紋を投げかけている。   ロウリー首相が今回の態度表明に踏み切ったのは、12月6日に出航し、VEN東部沖にあるTTのトリニダード島にVEN難民を乗せて向かっていた小舟が難破、33人の死亡が確認された出来事をめぐり、グアイドー派代表がOEAで、「難民は本国に送還しないという国際協定に反する」とTTを非難したのに激怒したため。   トランプの「走狗」と見なされてきたルイス・アルマグロOEA事務総長(元ウルグアイ外相)も同様に発言。両人の発言は、TTが難民船を拒否したため遭難したという見方に立っている。   ロウリー首相は、TTが既にVEN難民16万人を保護していることを強調。小さな島国TTが何十万、何百万というVEN難民を受け入れたとしたらどうなるか考えてもらいたい、とも語っている。 ▼現国会がグアイド議長任期を1年延長   反政府野党が多数派のVEN国会は12月26日、フアン・グアイドー議長の任期を1年延長する改正法を可決した。来年1月5日には今月6日の選挙で選ばれた議員たちによる新国会が開設され、現国会は終わる。   議長任期も自然に終わりを迎えるが、新国会開会後も現議長を議長職に留まらせようという戦術だ。だが1月5日以降、現国会議員らが国会議事堂を使うのは不可能となり、「延長された議長」は実効性を失う。改正法を新国会が葬れば、法的にも無意味になる。      

VENの大物ホセ=ビセンテ・ランへ―ル死去

   ベネズエラの政治家でジャーナリストだったホセ=ビセンテ・ランへ―ル(91)が12月18日、心臓麻痺によりカラカスで死去した。国会議事堂内の礼拝堂で19日にかけて通夜が挙行され、二コラース・マドゥーロ大統領、デルシー・ロドリゲス副大統領、エルネスト・ビジェーガス文化相らが参列した。  ランへ―ルは穏健左翼のジャーナリストだったが、40~50年代のマルコス・ペレス=ヒメネス軍政期に国外亡命し、同軍政崩壊後の58年に帰国。民主化のための選挙で下院議員に当選、ジャーナリズムと二足の草鞋を履いた。  70~80年代に計3度、左翼小党から大統領選挙に出馬し落選。その後は、エル・ウニベルサル紙コラムニストなどジャーナリストとして活動。1998年の大統領選挙にウーゴ・チャベス元陸軍中佐が出馬すると、これを支持。当選したチャベスが99年2月政権に就くと、外相に迎えられた。  2001年国防相に転じたが、02年4月、軍事クーデターに遭った。だが貧困大衆に支援されたチャベスは3日後に政権に復帰。ランへ―ルは副大統領になり、07年1月まで務めた。  その後は、ジャーナリズムに復帰、政治週刊誌編集長などを務めた。チャベス、後継のニコラース・マドゥーロ現大統領ら要人らにしばしばインタビュー。それは独擅場だった。晩年は、テレベンTVに週1回の「ホセ=ビセンテ・オイ」(今日のホセ=ビセンテ)という時事番組のキャスターで名声を馳せた。  だが80代末の昨年ごろから体調不全で同TV定例番組を休んでいた。一時復帰したが、またも休止。そのまま帰らぬ人になった。  20世紀中葉から現代までのVEN政治とジャーナリズムの当事者にして、観察者だった。私(伊高)は2012年にカラカスの個人事務所にランへ―ルを訪ねインタビューしたが、日本から会見約束を取るよう求められた。  所定の日時に事務所ビルに行くと、腰に大型拳銃を忍ばせた屈強そうな用心棒の男に迎えられ、上階の事務所に案内された。チャベス派重鎮として依然影響力の強かったランへ―ルには、暗殺される危険があったのだ。  当時、腰部癌に罹っていたチャベスは、「フィデルも癌なんだ」と言い、自らを励ましていた。その事実を私が知ったのは、この時のインタビューによってだった。チャベスは翌13年3月、死去した。ランへ―ルは国葬の最前列でチャベスの棺を守っていた。  盟友

キューバが通貨一本化後最初の予算公表

  キューバ政府は12月17日、2021年度国家予算を公表した。21年元日に実施される国内通貨一本化後、最初の予算となる。24ペソ=1米ドルで計算される。  歳出は3748億4610万ペソ(約156億1858万ドル)、歳入2912億5910万ペソ(同121億3579万ドル) で、835億8700万ペソ(同34億8279万ドル)の赤字。  社会計画・社会サービス予算は262億6300万ペソ。公務員給与が 735億100万ぺソ。  この予算は、16~17両日開かれた立法機関ANPP(人民権力全国会議)本会議で決定した。エステバン・ラソANPP議長(兼国家評議会議長)は閉会演説で、「今日、国民の団結と愛国主義が極めて重要だ。我々は玖社会に亀裂を生じさせようとする者を放置しない」と述べた。  20年度経済は11%縮小し、食品をはじめ生活必需物資の欠乏への国民不満が高まっている。そんな状況の下、「サンイシドロ運動」(MSI)という若手芸術家らの反体制運動がいつになく影響力を増している。  同議長はMSIなどを念頭に置いて発言したもので、「<ウジ虫のような者たち>や反革命派を容認すべき理由はない。彼らには革命法制を適用せねばならない」と強調した。 ▼来援前半までCUC使用可能  政府は12月28日グランマ紙上で、2021年前半に限って兌換ペソ(CUC)を使用できる店舗群を発表した。CIMEXと、ティエンダス・カリーベの店舗で、かなり多い。     

ラ米・カリブ経済は7・7%縮小とCEPAL発表  

     国連ラ米カリブ経済委員会(CEPAL、本部智サンティアゴ)は12月16日、域内の経済状況について報告。コロナ疫病COVID19により、全域の経済(総GDP)は今年7・7%縮小するが、これは統計を取り始めた1900年から120年間で最大の数字だ、と指摘した。失業率は539万人増えて、10・7%に達した。   ラ米・カリブ(LAC)の総人口は6億2600万人で世界人口の8%だが、コロナ感染者数1420万人は世界の20%、死者47万5000人は30%に達している。感染者数最悪上位15カ国には、伯亜COL墨秘の5カ国が名を連ねている。    CEPAL加盟33カ国中、最悪の経済後退を示しているのはベネズエラで、実に30%に及ぶ。次いで、セントルシーア26・6%、アンティグア&バーブーダ18・3%、バルバドス16%、ベリーズ15・5%、ドミニカ15・4%、セントキッツ&ネヴィス15・1%、バハマ14・5%と、大カリブ地域の英連邦加盟7カ国が続く。   カリブ諸国は美しい海が売り物の観光産業が経済の柱だが、コロナ禍で打撃を受けた。   バハマの後は、ペルー12・9%、グレナダ12・6%、パナマ11%、亜国10・5%、メキシコおよびエクアドール)9%、エル・サルバドール8・6%、キューバ8・5%、ボリビアおよびホンジュラス8%、コロンビア7%、チリ6%、ドミニカ共和国5・5%、ブラジル5・3%、ウルグアイ4・5%、ニカラグア4%、ハイチ3%、グアテマラ2・5%、パラグアイ1・6%。   一方、IMF(国際通貨基金)は、LACの経済規模縮小は8%と予測している。   CEPALは、2021年の域内GDPは3・7%程度上向くと予想している。コロナ禍がなければLAC経済は今年1・3%成長する、と見込まれていた。IMFは来年のLAC経済成長を3・6%と予測している。   なおLAC全域の失業者増大数は、労働市場から離れた者を加えれば3120万人に達する。  ▼キューバ政府は「11%縮小」と発表  玖政府は12月16日、2020年のGDPはコロナ禍、米国による経済封鎖強化などで11%縮小したと発表。21年は6~7%の成長が予想されるという。             

デモクラシータイムス「ラ米シリーズ」の「亡命は文化」公開

   PCで自由に観られるビデオジャーナリズム「デモクラシータイムス」の「伊高」の蘭に、「あなたに知ってほしいラテンアメリカ」シリーズの第2回「亡命は文化」が公開されました。御覧ください。45分間です。

ベネズエラ制憲議会(ANC)が役割終える

   ベネズエラの制憲議会(ANC)は12月15日、国会議事堂で最後の本会議を開き、ディオスダード・カベ―ジョ議長が活動を総括し閉会。ANCは役割を終えた。   今月6日の国会議員選挙に当選したカベ―ジョ議長をはじめ277人の議員は、21年1月5日発足する新国会の議員になる。政権党PSUV副党首の同議長は、国会議長の有力候補だ。   カベ―ジョは総括演説で、「ANCのお陰で国会議員選挙を実施することができ、それによってVENに平和をもたらすことができた」と強調した。選挙では定数277のうち、政権党連合GPP(大愛国軸)が一般議席253、および先住民割り当て全3議席の計256議席を獲得。野党議席は21だけとなる。   2015年12月の前回国会議員選挙では、保守・右翼・極右の反政府野党勢力が圧勝し、マドゥーロ政権との間に権力の捻じれが生じた。それが行政の重大な障害になったため、政権は17年5月1日、ANC開設を決め、7月30日にANC議員選挙を実施。当選した政権側議員545人が8月4日就任した。   憲法はANCを「あらゆる憲政機関の上位にある」旨を規定。これを論拠に、ANCは14の法を制定、政令98、合意80、その他40の決定を承認した。とりわけ重要なのは、18年の大統領選挙と今回の国会議員選挙の実施だった。   カベ―ジョは、「1月5日の国会発足時の本会議に(新国会議員以外の)ANC議員全員を招待する。VENの本質であるボリ―バルとチャベスと共に議場に入ろう」と述べた。   ANCは事実上の代理国会だったため、憲法条項の起草はしなかった。

ハイチの「秘密警察国家化」に批判高まる

   ハイチを秘密警察国家にしようとしていると、ジョヴネル・モイーズ大統領に対する批判が内外で高まっている。事の起こりは11月26日に政府機関紙ル・モニテールに掲載された政令だった。   政令は2つで、一つは「国家諜報局」(ANI)設立、もう一つは治安強化とテロリズム解釈拡大を謳うものだ。ANI要員には法的無処罰が保障されている。   ハイチ駐在外国政府代表部(通称「中核集団」=コアグループ)、首都ポルトープランス弁護士会、人権擁護団体などが一斉に厳しく批判。野党勢力は、かつてのデュヴァリエ父子2代政権のような独裁体制の復活につながりかねないと糾弾している。   デュヴァリエ時代の秘密警察「トントン・マク―ト」は、独裁の政敵や批判者を白昼堂々と殺害するなど、暴虐を恣にしていた。        「中核集団」は、米仏加伯西独6か国、およびEU(欧州連合)、OEA(米州諸国機構)、国連の各代表で構成されている。    

ALBA首脳会議でコロナワクチン支援決まる

  ベネズエラとキューバが主導するALBA(米州ボリバリアーナ同盟)の第18回首脳会議が12月14日、遠隔形式で開かれた。ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、加盟国にコロナワクチン接種のための資金を提供すると表明した。  マドゥーロはまた、キューバ政府がこのほど発表した通貨・交換率改革政策への支持を打ち出した。  さらにALBA経済理事会の活性化、域内決済統一単位(SUCRE=スクレ)復活、ALBA銀行強化、ペトロカリーベ(カリブ連帯石油機構)向け原油生産拡大を約束した。   マドゥーロ発言を受け、VEN玖両国はALBA銀行内に「コロナワクチン銀行」を開設、その口座を通じ加盟国にワクチン配布と接種の支援することになった。キューバには4種類のワクチンがあり、ALBAには中露両国から支援されているワクチンもある。

モロッコの西サハラ不法占拠を米国が承認

   トランプ米政権は12月10日、米国が旧スペイン領西サハラを不法占拠しているモロッコの同占拠地での主権を認め、モロッコがイスラエルと国交を樹立する取引が成立したことを発表した。  モロッコは、スペインが1975年11月のフランシスコ・フランコ総統死去に伴い、西サハラ領有権放棄に踏み切った直後から今日まで45年に亘り西サハラを不法占拠してきた。  国際社会では広く、西サハラ住民サハラ―ウイの居住権が認められており、国連は「サハラ―ウイ・アラブ民主共和国」(SADR)民とモロッコ人居住者との間で住民投票を実施し、西サハラ帰属権を定めるよう勧告してきた。  だがモロッコは拒否しつつ、投票に備えて移住などによるモロッコ人の人口を増やし続けてきた。  今回の米国のモロッコ主権承認は国連決議を覆すものではなく、国際法的な効力はない。だがグアテマラ、パラグアイ、コロンビア、ハイチなどラ米諸国にも、西サハラでの「モロッコ主権」を認める国が出てきており、この問題はラ米問題でもある。  米決定に至る詳細は、次のウェブサイトで確認されたい。  https://fwsjp.org/archives/5872 ▼トランプが300億ドル投資を密約  NYT紙は12月14日、ドナルド・トランプ米大統領がモロッコに、イスラエル承認と引き換えに300億ドルを同国に投資することを約束した、と暴露した。取引の対価は、西サハラ不法占領承認やドローン輸出だけではなかったようだ。      

ブラジル大統領弾劾を労働者党党首が呼び掛け

   ブラジルの野党PT(労働者党)のグレイジ・ホフマン党首は12月12日、極右のジャイール・ボウソナロ大統領を弾劾すべきだと呼び掛けた。   同大統領は、公金横領容疑で起訴されている息子フラヴィオ・ボウソナロ上院議員を法廷闘争で有利にするため、国家機関である伯諜報局(ABIN=アビン)を利用。この事実だけでも弾劾するのに十分だ、とホフマン党首は強調した。   フラヴィオは2003~19年、リオデジャネイロ州の下院議員だったが、その時期に公金横領事件が起きた。伯資金運用統御庁(COAF)の調査で2018年末、尋常でない巨額の資金移動が発覚した。   元警察幹部でフラヴィオの顧問だったファブリシオ・ケイロスの銀行口座が使われていたが、ケイロスは今年6月、逮捕された。その結果、フラヴィオは主犯容疑で起訴された。   すると父親大統領はABINに事件関連情報を探らせ、得られた情報を息子の弁護士に回していた。   PTおよび、伯社会主義者党、社会主義と自由の党、新しい(ノヴォ)党の計4党が既に検察庁に対し、ABINの事件関与を捜査するよう要求している。   PTは政権をルーラ、ヂウマ・ルセーフの2代4期握った最重要政党の一つ。ルセーフは2期目の2016年8月、PT潰しの陰謀の犠牲になり、弾劾された。その流れの延長線上でルーラが参政権を奪われ、ボウソナロ政権が誕生した。 ▼ボウソナロがルセーフ拷問の事実をあざ笑い糾弾さる   軍人出身のボウソナロは12月28日、伯軍政期(1964~85)の政治囚への対応は人道的だったと嘯(うそぶ)き、軍政秘密警察に拷問されたヂウマ・ルセーフ元大統領をあざ笑った。ルセーフは拷問であごの骨を折られたが、ボウソナロは「ならばX線写真を見せろ」と暴言を吐いた。   これに対し、ルーラ、カルドーゾ両元大統領をはじめ政界や他の各界から激しいボウソナロ非難が起きている。            

メキシコ大統領が太平洋同盟の経済路線を批判

   メキシコ、コロンビア、ペルー、チリのラ米太平洋岸4か国が「ラ米とAPECとの橋渡し役」を自認して2011年に結成した「太平洋同盟」(AP)の第15回首脳会議が12月11日、議長国チリの首都サンティアゴで開かれた。   セバスティアン・ピニェーラ智大統領とイバン・ドゥケCOL大統領はサンティアゴから、アンドレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ)墨大統領と、このほど就任したばかりのフランシスコ・サガスティ秘暫定大統領は遠隔テレ参加した。   会議は、コロナ禍COVID19の爆発的蔓延を受け、「ディヒタル市場」(日本では「デジタル市場」)を拡げ通商を活発にすることを決めた。会議終了時に議長はピニェーラからドゥケに引き継がれた。   APは新自由主義路線だが、2018年末、社会的市場経済路線の民族派大統領AMLOがメキシコに登場してからは活動が低調になり、今年はコロナ禍で停滞していた。   今首脳会議は、AP議長交代、ペルー大統領交代、トランプ米政権終焉間近、コロナ禍などを背景に開かれた。AMLOは、「新自由主義経済路線の無能力さ」について考えるべきだと訴えた。これは、AP結成以来の経済路線を批判したことになる。   AMLOは、「経済権力と政治権力は明確に分けられなくてはならない。政府が少数派のために奉仕すれば、発展はない」と強調。弱肉強食の自由放任市場経済体制が絶対的多数の貧困と一握りの超富裕層を生んでしまった経済状況を糾弾した。   日本の自民党政権は伝統的に財界と密着、政経権力は一体化してきた。1980年代の中曽根政権期に新自由主義路線が定着、今日に至る。   

キューバが元日から1米ドル=24ペソの唯一交換率実施へ

  キューバのミゲル・ディアスカネル大統領は12月10日、ラウール・カストロ共産党第1書記の立ち合いの下、複数ある為替相場を来年元日から「1米ドル=24ペソ(CUP)」の唯一の公定交換率にすると発表した。これは新しい「通貨・交換率規定」実施過程の始まり。  同過程には、外貨と通貨ペソ(CUP)の間にある「兌換ペソ(CUC)」(公定で1CUC=1米ドル)使用打ち切り、過剰な補助金と不当な無料サービスの廃止、所得配分の変更などが含まれている。  CUC使用は今年末で打ち切られ、銀行預金者らCUC所有者は、元日から180日以内に1 CUC=24ペソでペソに交換せねばならない。期限後まで通知のなかった預金者のCUC口座は自動的にペソ口座に変更されるが、遅れた期間に応じて手数料を銀行に支払わねばならない。  CUC預金を外貨に替えてほしい預金者には、銀行が「外貨換金済み証明書」を発行する。  玖政府は経済「改革」という言葉を使わず「経済現代化(最新化)」という表現で改革を進めてきたが、CUP、CUCの「国内二重通貨制度」の一本化が最重要課題の一つだった。10年近い試行錯誤の末に、ようやく実現することになった。  中国のかつての「兌換元」に倣って設けられたCUCだが、その使用は昨年末から制限され、今日ではペソとドルが中心的通貨になっており、CUCからペソへの早期交換が奨励されてきた。CUCは既にほぼ使用されなくなっている。  CUC廃止の理由の一つは、本来、外貨保有量の裏付けをもって発行量が決まるはずの「代用外貨」CUCでありながら、その裏付けなしに発行され、インフレを招いたこと。市井の購買力が商品供給量を大幅に上回ってしまったのだ。  米ドルは1993年に使用、貯蓄が合法化され、CUCは外貨に裏付けられた代用通貨だった。だが2004年にドルは非合法とされ、CUCが表面に出て1ドル=1CUC=売り24ペソ・買い25ペソの固定交換率が定められた。  この交換率はペソ貨価値の実勢を反映せず過大評価したもので、玖経済の実勢を示す統計も意味を失った。 コロナ禍で観光産業が麻痺したためドル流入が大幅に減少したため、1CUC=36~40ペソまで価値が下落していた。  これとは別途に、1959年元日のキューバ革命の後に設定された「1ペソ=1ドル」の交換率は国営部門には今日まで適用されてきた。

プエブラグループがVEN選挙を評価

   ラ米およびスペイン17カ国の左翼政治家、知識人ら49人で構成する「グルーポ・デ・プエブラ」(プエブラグループ)は12月9日声明を発表、6日実施されたVEN国会議員選挙について「平和裏かつ正常に実施された」と評価した。  声明は、「VEN危機克服の道は民主の道が最良であり、VEN問題解決には、コロナ禍大流行のさなかに米政府がVENに科した経済封鎖の解除を伴わねばならない」と強調している。  さらに声明は、「残念ながら一部南米諸国は、米極右勢力の命令に従い、VENへの軍事侵攻の脅迫にも賛同した」と厳しく指摘している。  この集団は2019年7月、メキシコ・プエブラ州都プエブラ市の会合で発足したことから、そう命名された。ブラジルのルーラ、ルセーフ、ウルグアイのムヒーカ、パラグアイのルーゴ、ドミニカ共和国のフェルナンデスら大統領経験者や、スペインのサパテロ元首相が参加している。  トランプ米政権の肝煎りでOEA(米州諸国機構)内に結成された保守・右翼・極右諸国の「グルーポ・デ・リマ」(リマグループ=グリマ)の対極にあるのがプエブラグループだ。  一方、米財務省筋は、バイデン次期政権が、トランプ政権が一方的に科した対VEN制裁(経済封鎖)を見直す方向にあると表明している。マドゥーロVEN政権もプエブラグループも、そこに期待している。 ▼グアイドー派に巨額献金  VEN反政府勢力代表格のフアン・グアイドー国会議長の資金受け取り窓口「2020年グアイドー事業」基金に、米欧など支援諸国から総額8億4100万ドルの献金がなされたことが12月9日明らかになった。  グアイドー派は12日潤沢な資金を使って、国会議員選挙を否定するための「反政府国民投票」を実施した。だが実効性がなく、国際通信社数社の報道によれば盛り上がりに欠け、投票者確認がないため同一人物が2度以上投票するなどの不正があった可能性もあった。  グアイドー派の発表では、640万人余が投票し、⓵直接投票者320万人⓶国内電子投票者241万人⓷在外電子投票者84万人、だった。 だが数字に整合性もなく、信憑性に欠けると指摘されている。 ▼現国会が「代表者委員会」で機能維持図る  グアイドー派が多数派の現国会は12月18日、現議員の中から代表者たちを選び委員会を結成し、来年1月5日の新国会開会後も「公的権力機関」として活動を続

ちくま学芸文庫『大航海時代』昨日お目見え

  なぜ欧州と、その延長にある米国が500年に亘って世界を支配してきたのか。その謎を解くカギは、ルネッサンスと「大航海」にある。それらのお陰で欧州は「新世界アメリカ」を奪取することができた。  地球が丸いことを証明し、新世界の富を我が物とし、世界の大洋の航海権を握った欧州が世界を支配するのは、後戻りできない成り行きだった。  古代グレコローマン時代からルネッサンス期までの欧亜の交流の結果として、欧州人を「新世界」に到達せしめ、それが世界覇権に繋がったのだ。  この壮大な歴史を描いたボイス・ペンローズの大著『大航海時代 旅と発見の二世紀』(荒尾克己訳、1985年、筑摩書房=絶版=)が、「ちくま学芸文庫」としてよみがえり、12月10日、発売された。780頁、厚さ2センチ5ミリ、本体価格2000円。         ★          ★         ★  巻末に、「欧米を世界支配に導いた歴史」の明暗を考える、と題した解説があります。私伊高が書きました。「なぜラ米が生まれたのか」を考える基になるのも本書です。ご一読をおすすめします。  

ベネズエラ政権党が国会議席の91%握る

  ベネズエラ選挙理事会(CNE=中央選管)は12月9日、国会議員選挙(6日実施)の結果に基づく議席配分を発表した。それによると、政権党PSUV(ペスーブ=VEN統一社会党)を中心とする政権党連合GPP(大愛国軸)が定数277議席のうち253議席(91%)を占めた。  残りの24議席から先住民割り当て3議席を除く21議席は、AD(民主行動党)11、AP(進歩主義前哨党)3、変革党3、PV(VEN第一党)2、COPEI(キリスト教社会党)1、PCV(VEN共産党)1。先住民3議席は9日選出される。  ADは、故カルロス=アンドレス・ペレス大統領ら多くの大統領を輩出した伝統政党。COPEIは1990年代までADと共に2大政党だった伝統政党で、故ラファエル・カルデラ大統領らを生んだ。変革党は、元大統領候補エンリケ・カプリレス(元ミランダ州知事)派の新興政党。APは、元大統領候補ヘンリ・ファルコン(元ララ州知事)の政党。PVも新興政党。  共産党は、ウーゴ・チャベス前大統領時代にはGPPを組んでいたが、近年、政策の隔たりからマドゥーロ体制と仲違いしている。  絶対的多数派となった政権党連合は、かつてチャベス大統領が国会審議抜きの「授権法」をもって経済政策を推進したように、授権法が使われるようになるかもしれない。  カプリレスは、グアイドーが2019年1月国会議長に就任し、トランプ米政権に「暫定大統領」として擁立されるまでは、反政府野党勢力の指導者だった。カプリレスは9日、グアイドーの議長任期は21年1月5日に終わると述べ、「暫定大統領」の根拠も失われることを示唆した。  「バイデン米次期大統領は、<VEN暫定政権>は消費し尽くされた構想であり、今後は続かないということを理解すべきだ」と、カプリレスは述べた。  そのうえで、反政府野党には「指導者はおらず、指導力もない」と指摘。野党勢力は米欧の支援を受けつつ選挙で勝負できる態勢を整えなければならない、と強調した。この発言は、暴力的政変を肯定するトランプ・グアイドー路線の失敗に立っている。  カプリレスはPJ(まず正義を)党の党首だったが、同党はグアイドー派に加わって選挙をボイコットした。それを見越していたカプリレスは、自派政党「変革党」を結成し、今選挙に参加した。ADもボイコットしたが、一部が選挙に参加した。  一

第7回カリコム・キューバ首脳会議開く

  カリブ海諸国・地域が構成する「カリブ共同体」(カリコム)とカリブ海最大の島国キューバとの第7回首脳会議が12月8日、テレ会合形式で開かれた。  議長を務めたミゲル・ディアスカネル玖大統領は開会演説で、「我々は小国群だが、巨大な課題に直面している。不公正で不平等な国際制度との共生を強いられている」と指摘。「連帯、協力、団結を一層強化しよう」と呼び掛けた。  会議は、コロナ禍に苛まれている域内の協力強化などを謳う宣言を採択。ディアスカネル議長は閉会演説で、「カリブ諸国団結の信念が一層強くなった」と述べた。  

VEN選管が政党グループ別得票を発表

  ベネズエラ中央選管(CNE)は12月7日、前日の国会議員選挙結果を開票率98・63%段階で発表。それによれば、投票率は30・5%、有効票を投じた有権者は625万人強だった。  政治勢力別得票率・票数は、①政権党連合GPP68・43%、427万8000、②保守・中道右翼(AP、COPEI、CMC、AP,エル・カンビオ)17・52%、109万5000、③右翼・極右(VP,VU,VPA)4・15%、25万9000、④VEN共産党(PCV)2・7%、16万7000、⑤その他6・48%、45万5000。  各党・政党連合の最終的議席獲得数は明らかでない。  ニコラース・マドゥーロ大統領は7日、選挙結果を受けて演説。「我々GPPは勝利も敗北を知っている。5年前(前回選挙)には敗北を認めたが、今回は圧勝し、新しい国会を持つことになった」と自賛した。  さらに、「シクロ(政治的潮流のサイクル)は変わった。政経の回復、経済封鎖超克、徳性、主権に肯定的なシクロになった。来年の州知事選に向けて準備しよう」と呼び掛けた。  同盟国キューバのラウール・カストロ共産党第1書記とミゲル・ディアスカネル大統領は7日、マドゥーロ大統領に対し祝辞を送った。それは、「ボリーバルとチャベスの祖国は貴殿の施政の下、帝国主義の強襲に対し、民主と参加の意義を高く掲げた」と強調している。    ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領とロサリオ・ムリージョ副大統領もマドゥーロ大統領に祝意を表した。  かつて反政府勢力の急進的代表だったエンリケ・カプリレス元ミランダ元大統領候補は、選挙結果を受けて「これまでの(グアイドー派の)政策がすべて失敗した今、(極右だけでなく)皆に開かれた現実的政策をとらねばならない」と述べた。  カプリレスはまた、「実効性のない大衆大量動員はあってはならない」と述べ、グアイドー派が12日に予定している「反政府投票」を批判した。   グアイドー派は「選挙の不正」を喧伝しているが、具体的証拠を示さない。これは、グアイドーを傀儡にしてきたトランプが「米大統領選挙の不正」を証拠を示さずに主張してきた、選挙結果を形振り構わずに覆そうとするやり方に沿っている。  米国および、その影響下にあるラ米・カリブ保守・右翼諸国などのリマグループ(グリマ)は勿論のこと、欧州諸国の多くも今選挙を「認めない」と表明。

べネスエラ政権党連合が国会議員選で勝利

  ベネズエラの国家選挙理事会(CNE=中央選管)は12月7日未明、6日実施の国会議員選挙は81%開票段階で、政権党連合GPP(大愛国軸)が得票率67・6%で勝利した、と発表した。投票率は31%と低かった。  PSUVを中心とするGPPは、この時点で277議席中、過半数139を上回る177議席を確保したもよう。ニコラース・マドゥーロ大統領は、この結果を受けて、「私は引き続き大統領として、人民のお陰で、人民のために、人民と共に働く」と表明した。  だが、投票率が31%だったことは、選挙を実施したマドゥーロ政権と、今選挙の結果1月5日発足する新国会の権威を低減させると言えよう。

ベネズエラで国会議員選挙実施

     ベネズエラで12月6日、国会議員選挙が実施された。5年ごとの選挙で、新国会は来年1月5日発足する。  国内監視団1600人、およびラファエル・コレア前赤道国大統領、エボ・モラレス元ボリビア大統領、フェルナンド・ルーゴ元パラグアイ大統領、マヌエル・セラヤ元ホンジュラス大統領、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元西首相をはじめ、34カ国の国際監視団計200人が投開票を見守っている。   投票は午後6時終了だが、投票所によっては有権者の行列が続いているため7時まで延長された。焦点は反政府系野党勢力がボイコットしたため、投票率がどこまで伸びるかだ。   閑散とした投票所もあったが、大統領夫人で「第1の闘士」(プリメーラ・コンバティエンテ)と呼ばれ、自身も立候補しているシリア・フローレスは、「有権者は素早く投票して素早く去った。コロナ禍対策に沿った行動だ」と称賛している。   政権党PSUV(VEN統一社会党)副党首で自身も出馬しているディオスダード・カベ―ジョ制憲議会(ANC)議長は、「満足のゆく投票率だった」と延べた。だが数字は明らかにしなかった。   2015年12月の前回選挙では、保守・右翼・極右の野党連合MUDが圧勝、マドゥーロ政権との間に捻じれが生じた。このため政権はANCを開設、これを「代理国会」として国政を運営してきた。憲法がANCを国会の上位に置いているのを根拠にしている。   ニコラース・マドゥーロ大統領は今選挙で圧勝して捻じれを解消、安定した体制で経済再建に取り組み、1月20日のバイデン米政権誕生を迎えたいところ。   この日、投票を済ませた大統領は、今年初め、選挙用の電脳機器などが破壊された事件を指摘して、全国1万4000箇所の投票所(計2万9200投票箱)を警備している国軍や警察を讃えた。   またボイコットした反政府野党勢に対し、「過激な手段を放棄し、米国の植民地主義に加担するのを止めよ」と呼び掛けた。諸外国や外国メディアには、「VENの主権を尊重せよ」と訴えた。   マイク・ポンぺオ米国務長官は6日、VEN選挙を「不正選挙」と決めつけた。これに対しホルヘ・アレアサVEN外相は、「ゾンビが語った! 彼の主人(トランプ)が確か、米大統領選挙に不正があったと言っていた」と皮肉り、「米国の対VEN政策は完敗したのだ。現実を冷静に直視せよ」と反撃

タバレー・バスケス前ウルグアイ大統領が死去

   ウルグアイのタバレー・バスケス前大統領(80)が12月6日、首都モンテビーオの自宅で肺癌のため死去した。腫瘍科の専門医だった。   バスケスは、2004年の大統領選挙に野党だった中道左翼・左翼諸党の連合体「拡大戦線」(FA)から出馬し当選。05~10年、大統領を務めた。10~15年は後継のホセ・ムヒーカが大統領を務め、16~20年はバスケスが2期目を全うした。   このFA政権15年は、現代ウルグアイで最もリベラルな時代だった。バスケスは昨年8月、右肺に癌が見つかり、今年3月1日、国民党(保守・右翼)のルイス・ラカージェ=ポウ大統領に政権を引き渡した後、療養生活を続けていた。             

ハバナ市が環境・交通対策で公共自転車制度開始へ

  ハバナ市は来年、「公共自転車」制度を試験的に始める。目的は二酸化炭素排出を規制する環境政策、および公共交通機関不足を補う交通政策に基づく。この制度は2022年に正式に開始される。  市当局は、一日平均延べ22万7000回の利用があり、一回平均の走行距離は3・5キロで、多くは通勤通学に使われる、と踏んでいる。  この制度は、墨亜西蘭4国、デンマークなどの実施実績を参考にしている。NY市でも公共自転車は盛んに利用されている。  大ハバナ市内7カ所に「シクロエスタシオネス」(自転車駅)が設けられ、ここがサービス拠点になる。使用される自転車は、ビジャクララ州内にあるミネルバ社で組み立てられる。  公共自転車制度は、国連開発計画(UNDP)に支援されている。

ベネズエラ国会議員選の国際監視団は200人

   ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は12月4日、明後日6日に迫った国会議員選挙の投開票作業を見守る国際選挙監視要員約200人の代表らを政庁に招いて懇談した。ラファエル・コレア前エクアドール大統領、リカルド・パティ―ニョ元赤外相も出席した。   VEN政府は国際監視団受け入れを「国際同伴計画」と呼んでいる。会合には、VEN側からはデルシー・ロドリゲス副大統領、ホルヘ・アレアサ外相、ホルヘ・ロドリゲス通信情報相(政権党選対本部長)、インディラ・アルフォンソCNE(中央選管)議長、マイケル・モレーノ最高裁判所長官らも出席した。      到着済みの監視団には、「ラ米選挙専門家会議」(CEELA)や、(アフリカ)トーゴ系の「独立選挙委員会」が含まれている。   選挙では選挙区133、比例区144、計277議席を、87政党・政治運動から出馬した1万4000人の候補者が争う。登録有権者は2070万人。 ★詳細は7月14日付のVEN国会議員選挙に関する当ブログ記事を参照されたい。   監視団を派遣しているロシアの外務省は3日、VEN国会議員選挙を認めないよう呼び掛けている国際勢力を糾弾した。   一方、マドゥーロ大統領は選挙戦が終了した同日の記者会見で、「この選挙で政権党が敗れたら私は辞任する」と言明、勝利に自信を示した。    

アルゼンチンの貧困層が急増

   亜国(アルヘンティーナ=アルゼンチン)で貧困が急拡大している。亜国カトリック大学(UCA)の「社会的負債観測所」は12月3日各紙を通じて、貧困層は昨年の40・8%から44・2%に増え、都市部で1800万人、農村部で200万人、計2000万人達したと明らかにした。亜国人口は4520万人。   巨額の対外債務を抱え緊縮経済を迫られる状況にコロナ疫病COVID19 が加わって、貧困状況は悪化した。UCA報告は、COVID19 対策など社会政策がなかったら貧困率は53%に達していた可能性があるとしている。   第2次世界大戦後、亜国は世界10位内の経済富裕国だった。それが、終戦から4分の3世紀経った今、凋落ぶりは目を覆いたくなるばかりだ。ブエノスアイレスをはじめ大都市外延部にはスラムが拡がっている。貧困が原因の犯罪も多発している。   亜国では戦後経済の隆盛に乗ってペロン派が形成され政権を支配したが、そのペロン派と軍部が蓄積を食いつぶした。現在のフェルナンデス・ペロン派政権は積年の経済破綻を受けて昨年12月就任し、経済再建に苦慮している。   貧困は17歳以下の若年層にも拡がっており、「貧困の若年化」が指摘されている。 ▼ボリビア大統領が累積債務帳消しを求める   ボリビアのルイス・アルセ大統領は12月4日、国連総会に向けた首脳ビデオ演説で、コロナ禍に見舞われ経済が困窮している諸国が抱える累積対外債務への「一定の帳消し」政策実施を国際社会に訴えた。  

国連がマドゥーロVEN政権の代表権を承認

   国連総会は12月2日、向こう1年間のベネズエラ代表権はニコラース・マドゥーロ大統領の現ボリバリアーナ政権であることを承認した。193カ国が承認票を投じた。昨年12月にも国連は同じ決議を採択している。   それというのも、マドゥーロ体制打倒とVEN石油利権を狙うトランプ米政権が昨年1月、極右のフアン・グアイドー国会議長を「暫定首班」とする傀儡架空政権を擁立し、50数か国が「承認」ないし「支持」を表明したため。国連は混乱を避けようと、マドゥーロ政権の代表権を敢えて確認した。   サムエル・モンカーダVEN国連大使は同日、「トランプの植民地主義の冒険は失敗し、VENの主権と独立が勝利した」と讃えた。   同大使は、「他の国々の国民意志に逆らって、政権や外交権を他国に押し付ける米国のやり方は撥ねつけられた。我々は6日の国会議員選挙で真の独立を防衛する」と続けた。   グアイドー派野党勢力は同選挙をボイコットしており、来年1月5日の新国会発足時、グアイドーを含め同派議員は皆無となる。11月の選挙に敗れたドナルド・トランプ大統領も1月20日退陣するため、グアイドーは自動的に「政治的孤児」になる。   トンランプに象徴される「ポースト・トゥルース」の典型が実体のない「グアイドー暫定政権」だったが、雲散霧消する運命にある。多くの日本人を含む世界中の人々が、この虚構に騙されていた。   強国が軍事力と経済力を嵩(かさ)に他国に傀儡政権をでっちあげ、その「要請」を受けて軍事介入したり、利権奪取を図ったりすれば、正義も平和も主権も失われる。   安倍前政権は米側圧力を受けて河野外相期に、グアイド―傀儡「体制」を、「承認」せずに「支持」することを決めた。この苦し気な選択も1月に終わるだろう。   

ロシアとウルグアイが関係強化へ

  ロシアとウルグアイ保守政権が接近した。セルゲイ・ラヴロフ露外相とフランシスコ・ブスティ―ジョURU外相は12月1日モスクワで会談。共同記者会見でラヴロフ外相は、「最大限の協力関係を構築する」と述べた。  ウルグアイでは今年2月末まで15年間、タバレー・バスケス、ホセ・ムヒ―カ、バスケス(2期目)と、中道左翼・左翼政党連合「拡大戦線」(FA)政権が2代3期続いていた。  FA政権とロシアとの関係は良好だったが、3月に右翼のルイス・ラカージェ=ポウ大統領(国民党)が就任してからは、両国関係がどう変化するか、注目されていた。  ロシアとしては、ボウソナロ極右政権があと2年続くブラジルの南隣にあるウルグアイとの関係強化は、地政学的な理に適っている。  ロシアはブラジル、インド、中国、南アとともに5カ国連合BRICSを組んでいるが、トランプ米政権べったりのボウソナロとはしっくりいっていない。  ラヴロフ外相はまた、今月6日のベネズエラ国会議員選挙に監視団を派遣すると明らかにした。    

AMLOメキシコ大統領、高支持得て3年目に入る

   メキシコのアンドレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ)大統領は12月1日、任期6年の3分の1を終え、3年目に入った。民族主義的経済政策やドナルド・トランプ米大統領に「引けを取らない佇(たたず)まい」などから評価は高く、支持率は63%にも及んでいる。    来年の任期半ばに来る国会議員改選や州知事選挙の選挙戦で優位に立っている。この選挙は米国の影響で、だいぶ前から<中間選挙>と呼ばれているが、本来、そんな呼び名はなかった。AMLO支持率が崩れなければ、政権側が勝つのは疑いないと見られている。  財界など保守・右翼勢力は「AMLO治世安泰」に危機感を募らせており、今年10月20日、反AMLO民間団体を結集し、「シ・ポル・メヒコ」(メ年キシコのために)という選挙支援組織をつくった。  同組織は11月末、企業家のクラウディオ・ゴンサレス代表がシンポジウムを開き、前政権党PRI(制度的革命党),元政権党PAN(国民行動党),AMLOの出身政党PRD(民主革命党)の伝統3大政党に、2021年選挙に向けて3党で統一候補を立てるべきだと呼び掛けた。  AMLOは公約通り、工事がかなり進んでいた新メキシコ国際空港の建設を止め、財界の利権を奪った。また別の公約だった「アヨツィナパ事件」に関与した陸軍将校らを逮捕、「国軍には手を付けない」という歴代政権のタブーに終止符を打った。これにより、軍部内のAMLOへの反感もかなり強い。  だがPRI・PAN体制の下で100年以上も虐げられていた貧困庶民大衆は、AMLOを支持している。一人一票制の民主選挙が果たされればAMLO的候補が勝つ、という時代にメキシコも入っているのだ。  しかし国富を私(わたくし)して肥え太っていた旧体制支配勢力は、そんな「我が世」が忘れられず、権力奪取に必死になっているのだ。  AMLOの政権党はMORENA(国家刷新運動)だが、政権を勝ち得た「うまみ」から堕落傾向も見られており、3年目に入った今は、緩んだ箍(たが)を締めねばならないときだ。 ▼「ポスト新自由主義」フォーラム形式で祝う   AMLOは12月1日、施政3年目に入った記念に「ポースト・ネオリベラリズモ」というフォロ(フォーラム)形式の祝賀をラ米と欧州の首脳らから受けた。  世界中を弱肉強食と貧困多数・富裕少数の格差地獄に陥