投稿

11月, 2021の投稿を表示しています

ホンジュラス初の女性大統領誕生へ

   ホンジュラス大統領選挙(11月28日実施)は11月30日、政権党PNH(国民党)のナスリー・アスフラ候補が、野党LIBRE(自由・再建党)のシオマラ・カストロ候補の当確を認めた。主要3党のうちのもう一つの野党PLH(自由党)候補は既にカストロ当確を認めており、事実上、カストロ勝利が確定した。   アスフラは直接、カストロ宅を訪れ、シオマラを祝福した。新大統領は1月27日就任する。任期は4年。     開票率は、アクタ(投票記録表)の52・42%しか集計されていない。その段階で主要3候補の得票は:   ①シオマラ・カストロ(62)、LIBRE,元自由党女性部長、53・45%(97万4000票)   ②ナスリー・アスフラ(63)、PNH、首都テグシガルパ市長、34・03%(62万票)   ③ジャ二・ロセンタル(56)、PLH、元大統領府相、9・21%(16万7000票)   米国務省のブライアン・ニコルズ米州担当次官補は30日、「腐敗撲滅と移民発生因対策でシオマラ・カストロと協働するのを待っている」と語り、米政府がカストロの当確を事実上認めていることを明らかにした。   LIBREは、大統領選挙と同時に実施された1院制国会(定数128)議員選挙で50議席を確保、第1党に躍り出た。PNHは42、PLHは22、救済党(PS)は12。残る2議席は未定。   カストロは30日、「あなた方は、あなた方の声を聴き、それを代弁する女性大統領を持つことなるでしょう」と、SNSで表明した。   カストロは、2009年に米国が支援したクーデターで追放されたマヌエル・セラーヤ元大統領(当時PLH所属)の妻。セラーヤは帰国後、LIBREを結党し、妻の大統領選挙出馬を支援。3度目で、それを実現させた。この夫がカストロの最大の政策顧問になる。   フアン=オルランド・エルナンデス現大統領(PNH)は連続2期務めたが、米政府から麻薬犯罪関与を指摘されており、下野すれば逮捕される可能性がある。後継候補アスフラにも嫌疑がかけられている。有権者の多くは、PNHを腐敗の塊と認識、カストロ支持に傾斜した。  ▼大統領もカストロ当選認める  JAエルナンデス大統領は12月2日、全国向け放送で、シオマラ・カストロ候補の大統領選挙勝利を認めた。        

ホンジュラス初の女性大統領目指すカストロ当確の勢い

   11月28日実施のホンジュラス大統領選挙は、開票率が51%を過ぎた29日の段階で、主要3候補のうちの野党PLH(自由党)ジャ二・ロセンタル候補は、得票率が53%を超えていた野党LIBRE(自由・再建党)シオマラ・カストロ候補の勝利を祝福した。カストロは勝利宣言した。投票率は68%だった。   この国の大統領選挙では投開票の不正工作が珍しくなく、当確に近い候補者による逸早い当選宣言には、世論を盛り上げて不正の余地をなくす狙いがある。   電脳集計しながら、投票終了から24時間経ってもか一票率が50%を少し上回るだけの遅さだ。ここに不正の余地が残る。   エルナンデス現大統領の政権党PLH(国民党)ナスティ・アスフラ候補の、この段階での得票率は33%。この国の大統領選挙には決選制度はなく、得票率が50%強に達しなくても、得票1位候補が当選者となる。5割を上回る得票で当選すれば「圧勝」とされる。   開票率50%強の段階でカストロはアスフラに20ポイント差をつけており、この趨勢は変わらなと見られている。   カストロは、2009年6月、米政府関与のクーデタ―で追放された中道左翼マヌエル・セラーヤ元大統領の妻。3度目の挑戦で政権の座に就く公算が膨らんでいる。そうなれば、極めて保守反動的なホンジュラスに、久々に穏健左翼政権が誕生することになる。   カストロが勝てば、この国初の女性大統領となる。

「メルバ・プリ―ア駐日メキシコ大使に聞く」公開

   ユーチューブ・ジャーナリズム「デモクラシ―タイムス」:「あなたに知ってほしいラテンアメリカ」シリーズ最新番組として本日11月29日、「メルバ・プリ―ア駐日メキシコ大使に聞く」(1時間20分)が公開されました。   司会・質問 高瀬毅、質問・解説 伊高浩昭、映像編集 高橋英理子です。高橋は、メキシコの「ジェンダー」状況について、撮影しながら質問しています。   大使は質問を受けて、メキシコ外交、歴史、先住民、文化、趣味、人生観などを縦横に語っています。どうぞ、ご覧ください。

チリ大統領選挙決選、最初の調査では左翼優位

     チリ大統領選挙は11月21日の実施から1週間。その28日に公表された決選(12月19日)進出両候補の最初の支持率調査では、左翼ガブリエル・ボリッチ39%、極右ホセ=アントニオ・カスト33%、未決定28%だった。     カデム研究所の調査。カストは選挙戦で、新自由主義の深化や、全体主義的警察国家を造る構想を打ち出している。これに危機感を抱く左翼に加え、第1回投票で沈んだ中道のキリスト教民主党(DC)、中道左翼の社会党、穏健左翼の進歩党などがボリッチ支持に回っている。      DCの候補だったヤスナ・プロボステ前上院議長は、「民主主義にとってボリッチ以外の選択肢はない」と、明確な「反ファシズム」を打ち出している。     2019年10月以降の大学生ら若者たちの「人民蜂起」によって生まれた変革の潮流は、今年半ばごろまで勢いを維持していた。このため今選挙では、左翼候補が容易に政権に就くと見られていた。     だが国民の多くは「蜂起」の熱気が冷めると、「政治よりも経済」に傾斜。「蜂起」に驚愕した富裕層と共に、極左のカストを1位で決選に送り込んだ。     21日の投票率は50%を切ったが、決選では2者択一のため、投票率は上がる傾向にある。それが高くなればなるほど、ボリッチ有利と見られている。     勝敗の鍵の一つを握るポプリズモ(人民主義)票を集めて第1回投票で3位につけたフランコ・パリシーは、支持基盤の北部諸州とビオビオ州の支持者に向けて、両候補のいずれを支持するかを明かしてはならないと言い含めている。 ▼2度目もボリッチ優勢     ガデム研究所は12月3日、2度目の支持率調査の結果を公表。ボリッチ40%、カスト35%、無決定25%だった。無決定を按分して加え、決選ではボリッチ53%、カスト47%とした。「ボリッチ当選」の可能性を示唆している。 ▼ボリッチ優勢続く     「市民の脈拍」(プルソ・シウダダーノ)は支持率調査の結果を12月4日公表。ボリッチ42・2%、カスト28・3で、ボリッチが13・9ポイント上回っている。未決定16%、棄権表明8・5%、無回答5%だった。カストの強権支配公約に対する警戒が有権者に浸透してきたことを示している。   

非同盟諸国の議会がネットワークで結ばれる

    非同盟諸国運動(MNOAL)加盟国の国会が11月28日、オンライン網で結ばれた。マドリ―で開会中の第143回列国議会同盟会議の枠内で決まった。「MNOAL諸国議会網」と呼ばれる。国会同士、自由に協議したり連絡し合ったりする作業が便利になった。

ホンジュラス大統領選挙の投票終了

    オンドゥーラス(ホンジュラス)で11月28日朝(JST夜)、大統領選挙、国会議員128人(補欠128人)、市長298人・副市長298人、中米議会議員20人を選ぶ大型選挙の投票が始まり、同日夜(JST朝)終了した。    注目される大統領選挙には、3大政党3候補が出馬している。フアン=オルランド・エルナンデス現大統領の政権党PNH(オ国民党)からナスリー・アスフラ首都テグシガルパ市長(63)、野党LIBRE(自由・再建党)からシオマラ・カストロ元自由党女性部長(62)、同PLH(オ自由党)からジャ二・ロセンタル元大統領府相 (56)。    カストロは、米国に支援されたクーデターで2009年6月に政権を追われたマヌエル・セラーヤ元大統領の妻。支持率調査では「やや優勢」となっている。    この国では従来、投開票の不正工作が罷り通ってきた。前回選挙では選挙法を替えて2選出馬したエルナンデスが、実際は敗れながら「当選した」とされた。エルナンデス政権下の2期8年は、腐敗と麻薬汚染にまみれた。    野党候補のカストロとロセンタルのいずれかが当選しても、その通り認定されるかどうかは不確実だ。人口は950万人だが、登録有権者は518万人と少ない。 ▼シオマラ・カストロが優位    国家選挙理事会(CNE)は11月28日夜、開票率50%段階で、シオマラ・カストロが得票率53%で優位に立っていると発表した。次いでナスリー・アスフラ33%、ジャ二・ロセンタル9%、と発表した。投票率は68%だった。 。

イベロアメリカ外相会議が「一方的制裁」反対申し入れ

      第28回イベロアメリカ首脳会議(CIB)は2022年、ドミニカ共和国(RD)で開催されるが、これに備えた外相会議が11月26日、RD首都サントドミンゴで開かれ、共同声明を採択し閉会した。   声明の柱は、「コロナ禍COVID19に対処する国々の国力を殺ぐ経済・通商・金融に関する一方的強制措置をとらないよう諸国に申し入れる」 と要求する経済封鎖反対決議。   キューバ、ベネズエラ、ニカラグアなどは、米欧から「制裁」を受けている。ラ米諸国は政権交代により左翼政権が登場すれば、「制裁」される可能性がある。コロナ禍は各国政権の政治思想とは無関係に害を及ぼしており、これが決議を促す要因になった。   CIBは1991年に第1回がメキシコのグアダラハーラ市で開かれた。現在はフランス系のハイチを除くラ米19カ国と、イベリア半島のスペイン、ポルトガル、アンドーラの3国、計22カ国が加盟する。   2011年にラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、33カ国加盟)が発足すると、CIBの存在は陰った。だが15年ごろからラ米に右翼政権が増え始め、米加北米両国に対峙する形のCELACを嫌ようになった。すると、CIBの存在価値はやや回復した。    現在、米州35カ国間には、米州諸国機構(OEA、加盟32カ国)=玖VENと脱退通告したニカラグアを除く=、CELAC、CIBの3大機構がある。   

ボリビア政府が反政府勢力に対抗し長距離デモ行進

   ボリビアでは、2019年11月に当時のエボ・モラレス大統領を打倒したクーデターの再演を狙うと目される極右勢力が今年11月初めから、ルイス・アルセ大統領の政権を脅かす「無期限ストライキ」を決行している。モラレス、アルセ両政権の政権党MAS(社会主義運動)は11月23日、政権を支援する大規模なデモ行進を開始した。   ストライキは、経済的要求などではなく政府に揺さぶりをかける目的のストや抗議行動を規制する法律の廃止を求めて始められた。アルセ大統領は譲歩して国会に同法廃止のための審議を要請した。   だが反政府勢力は、資金洗浄など不法手段を規制する法律の廃止も要求し始めた。とくに税制の外にある闇経済で潤う者たちがストに賛同している。極右は法律廃止闘争を通じて、支持基盤拡大を狙っている。   最大労連COB(コブ=ボリビア労働総同盟)のデモ隊は、オル―ロ州都オル―ロを出発、政治首都ラパスに向かって226㎞の自動車道を行進中。同州が生まれ故郷のモラレス元大統領(MAS党首)が先頭に立った。この行進は「祖国のための行進」と名付けられている。   沿道で鉱山労組などの組合員らが続々合流し、デモ隊は膨らみつつある。昼は暑く夜は冷え込む標高4000mのアンデス大高原を何百キロも歩くデモ行進は、この国の労農運動の定番だ。中継地点には休息所、食堂、宿泊所などが用意されている。   東部のアマゾニアに拡がる富裕州サンタクルースは、19年10月にクーデターに繋がる暴動を組織した極右指導者ルイス・カマ―チョが今や州知事に収まっている。   カマ―チョらはクーデター2周年、アルセ政権発足1周年のこの11月、反政府的会合を開き、ストを主導・支援してきた。政府やMAS党員は危機感に苛まれ、対抗行進を開始した。 ▼行進がラパスに到着   政府を支持するデモ行進は11月29日、ラパスに到着した。最大労連COB発表では、参加者は全国から結集した農民、先住民、労働者、社会活動家ら100万人を超えている。   ラパスではルイス・アルセ大統領、ダビー・チョケウアンカ副大統領、エボ・モラレスMAS党首(元大統領)、国会上下両院議長らに迎えられた。            

ペルー右翼系3党が大統領解任決議案を国会に提出

     ぺル―国会(1院制、130議席)の右翼・保守3野党は11月25日、ペドロ・カスティージョ大統領不信任決議案を提出した。ケイコ・フジモリ派の人民勢力(FP)、「国よ前進せよ」(AV)、人民刷新(RP)の共同提案で、AV系のパトリシア・チリ―ノス第3国会副議長が主導した。     不信任案提出には、定数の5分の1の26議員の賛同が必要だが、28人が共同提案者になった。だが不信任審議(弾劾審議)には定数の4割52票の賛成が必要。さらに解任決議には3分の2の87票が要る。現時点では、審議に至るかどうかは定かでない。     政権担当約4カ月を経たカスティージョ大統領は、政権の不安定さを象徴するように多くの閣僚を交代させてきた。また農民帽を被り続ける「正装姿」に違和感を抱く議員も少なくない。決議案提出の理由は、大統領の「無能力」。            近年では20年11月、マルティン・ビスカーラ大統領が腐敗問題を問われ、弾劾解任されている。ビスカーラは、16年大統領選挙決選でケイコに辛勝したKKクチンスキ大統領の辞任により副大統領から昇格した。その解任を主導したのはケイコ党だった。     カスティージョ弾劾の動きは、今年の大統領選挙決選で惜敗したケイコが「いずれ始めるだろう」と予測されてきた。

フィデル・カストロ没5周年、その名被せた研究所開所

    キューバ革命の指導者だった故フィデル・カストロ=ルスが2016年11月25日に90歳で死去してから5周年の11月25日、ハバナ市革命広場区に「フィデル・カストロ=ルス」セントロ(センター)が開所した。          式典には、フィデルの実弟ラウール・カストロ陸軍大将、ミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)、政治局員たちに加え、ベネズエラのニコラース・マドゥ―ロ大統領夫妻が出席した。    式典では演説は一切なかった。マドゥーロは別途、「フィデル・カストロ司令官は、超重要かつ不滅の英雄だった。あらゆる人々の尊厳と主権を守るため、困難な状況の下で玖人民を導いた」と讃えた。     このセンターは、フィデル・カストロの思想、著作、ゲリラ戦、革命政策などを研究し、研究結果や出版物を伝播するための研究所だ。    カストロは、自分の氏名を道路、広場、空港など公共施設の名称に使用してはならないと遺言。それは立法化された。開所したセンターは、「個人崇拝」とは無関係の研究機関であるため、「唯一の例外」として氏名使用が認められた。    この日、共産党機関紙グランマをはじめ国営メディアは一斉にフィデル追悼記事や番組を組んだ。友邦諸国の指導者からは追悼メッセージが寄せられている。    共産党政権は、ことし7月以来、反体制運動や対政府抗議行動があからさまになっていることから、一種の鎮静剤として「フィデル礼賛」キャンペーンを張っているわけだ。だが世代交代が著しく、高齢層はフィデルを懐かしがるが、若者らは「過去への関心」は低い。    ニカラグア政府はこのほど、キューバ人に対し観光など一時滞在のための査証を免除した。ハバナーマナグア航空便はコロナ禍で停止されていたが、近く再開される見通し。    ハバナ市内のコパ航空やコンビアサ航空の事務所には25日、航空券を求めるキューバ人が殺到した。彼らは「物資に困らない日常生活と自由」を求めて出国したいのだ。    従来、出国希望のキューバ人は、南米北部から中米地峡を越えてメキシコまで北上し、米国入国機会をうかがう者が多かった。 だが同地峡越えなどは多くの危険が伴う。    ニカラグアまで飛べば北上は、はるかに楽になる。ニカラグア政府も、来訪するキューバ人のほとんどが国内に留まらず北上すると判断、観光・短期査証免除に踏み切った。

ニカラグアでの人道的演習にラ米・米露軍など参加へ

   ニカラグア国会は11月24日、来年元日から6月30日までの期間に同国内で実施される人道支援合同軍事演習に参加する米州など9カ国1地域の軍要員の入国を許可する決議を可決した。   ラ米からはメキシコ、グアテマラ、エル・サルバドール、ホンジュラス、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ。他に米国、ロシア、台湾が軍要員を派遣する。

コロンビア和平合意5年、元ゲリラの安全保障が問題

       コロンビアは11月24日、政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の和平合意調印の5周年記念日を迎えた。首都ボゴタでは同日、合意に基づく「平和特別法制」(JEP)事務局主催の記念式典が開かれ、イバン・ドゥケ現大統領、合意調印時のフアン=マヌエル・サントス大統領、ロドリーゴ・ロンドーニョ元FALC最高司令、エルネスト・サンペル元大統領らが出席した。   ドゥケ大統領は演説で「和平合意は全コロンビア人の勝利だった」と言い、ロンドーニョ元司令は、「犠牲者に謝罪する」とあらためて謝罪を表明した。   サントス前大統領は、この調印により2016年のノーベル平和賞を受賞した。サントスの後に大統領になったドゥケは極右で、和平遵守に消極的だった。2人が対面したのは、18年8月の政権交代時以来、3年3カ月ぶりだった。   アントニオ・ギテラス国連事務総長は和平5周年に合わせて22、23両日コロンビアを訪問した。22日はアンティオキア州北部の、パナマ地峡に接するウラバ地方を視察した。ここは内戦中、ゲリラ活動や極右準軍部隊の活動が盛んな地域だった。   同州が政治基盤の極右アルバロ・ウリーベ元大統領はギテラス総長に公開書簡を送り、「そもそも和平合意など存在しない」と暴言を吐いた。総長は「誰にも発言の自由がある」とかわし、無視した。   内戦中や、その後、準軍部隊に土地を奪われ避難民と化した貧農らの土地回復と故郷帰還の問題も依然、政府に重くのしかかっている。   ギテラスは23日、ドゥケ大統領と会談した後、「FARCの元戦闘員たちが第二の人生を歩むのを保障すべきだ」と述べた。この発言は和平合意後、復員した元FARCゲリラ約300人が殺害されてきた重大事を踏まえている。   また社会活動家、人権活動家、先住民指導者、労組幹部ら計約900人が暗殺されている。   ドゥケには合意順守の義務と、もう一つのゲリラ組織ELN(民族解放軍)との和平交渉再開という課題がある。だが、どんな方針なのか、本心を明かさない。サントス前大統領は24日、ドゥケはELNとの交渉再開に向け準備中と語っている。   一方、元戦闘員殺害など合意が守られない状況に怒ったFARC第2の実力者だったイバン・マルケス司令は、部下たちを引きつれて密林地帯に去り、ゲリラ戦を再開した。合意交渉のFARC側全権代表だったマ

世界一周海洋調査のノルウェー帆船がハバナ入港

      ノルウェー海軍の練習艦シュタトラート・レームクール(SL号)が「海洋は一つ」と名付けられた世界一周航海の途上、11月24日、ハバナに入港した。乗組員は70人。    1914年就航の世界最古の現役帆船の一つで、3本マストの美しい船だ。全長98m、マスト最高48m、船腹13m、1516トン。    22カ月に亘り36カ国に寄港する今航海は、国連「海洋持続可能性科学調査10年」の一環。気候変動、生物多様性、漁業、海洋汚染・酸化などを調査している。この海洋調査研究は「洋上大学」とも呼ばれ、寄港地では科学者らと交流し、意見を交換する。    SL号はノルウェーのベルゲンが母港。同国を8月20日出港、大西洋を横断調査し、カリブ海に入った。キュラソー、ジャマイカに寄港、キューバに到着した。28日にはバハマのナッソーに向け出港する。    その後、南米南端のホーン岬を回って太平洋に入り、チリ、インドネシア、モーリシャス、モザンビークなどに寄港する予定。

チリ大統領選挙決選勝利の鍵は「中道化」

   11月21日実施のチリ大統領選挙は22日最終結果が判明。候補者7人の得票順位は; ①極右ホセ=アントニオ・カスト(55、共和党)27・91% ②左翼ガブリエル・ボリッチ(35、拡大戦線)25・83% ③人民主義(ポプリズモ)フランコ・パリシー(平民党)12・80% ④保守セバスティアン・シチェル(無所属)12・79% ⑤中道ヤスナ・プロボステ(キリスト教民主党)11・61% ⑥穏健左翼マルコ・エンリケスオミナミ(進歩党)7・61% ⑦極左エドゥアルド・アルテース(愛国同盟)1・47%。   カストとボリッチが12月19日の決選進出が決まった。両者の得票差は2・8ポイント(14万6000票)。投票率は47・34%と低かった。   決選勝利の鍵は、リベラルから穏健右翼までを包含する人民主義のパリシー、政権党候補で保守のシチェル、中道プロボステ、穏健左翼のエンリケスオミナミの「中道両側票」をいかに多く引き寄せられるかだ。   この4人を支持した有権者は極右や左翼に拒否反応を示したのだ。有権者の多数派工作せねばならない極右カストと、共産党候補に勝って左翼連合統一候補となった左翼ボリッチは共に「中道接近」を迫られている。   カストの躍進は、2019年10月以降の「学生蜂起」と、その結果としての軍政憲法に替わる民主憲法を起草する制憲議会開設に反発する保守・右翼・極右勢力や財界の危機感の表れだ。起草作業は進んでおり、新自由主義経済路線は大幅修正のまな板に載せられている。   一方、ボリッチは19年蜂起の「申し子」で、若い世代の希望。若さと勢いがあるが、政治家としては未熟だ。共産党と調整しつつ、中道方向に傾斜せねばならない。   年配の有権者が懸念するのは、今選挙が1970年9月の大統領選挙の構図と、やや似ていること。左翼サルバドール・アジェンデ(人民連合)、中道ラドミロ・トミッチ(キリスト教民主党)、右翼ホルヘ・アレサンドリ(国民党)の三つ巴の闘いとなり、①アジェンデ②アレサンドリ③トミッチとなった。過半数得票者はいなかった。   アジェンデが1位になったのは、共産党候補パブロ・ネルーダが出馬を取り止め、左翼統一候補になったこと。アジェンデは大統領就任後、ネルーダを駐仏大使に任命した。ネルーダはパリに着任して間もなく、ノーベル文学賞受賞の通知を受けた。   当時の決選は国

ニカラグアが米州諸国機構(OEA)脱退を発表

   ニカラグアのデニス・モンカーダ外相は11月19日、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務局長(元ウルグアイ外相)に対し、脱退を通告した。   ワシントンに本部のあるOEAは「米国のラ米植民地省」と揶揄されるほど、米政府の強い影響下にある。とくにアルマグロ事務局長は右翼で、べネズエラ、ニカラグア、ボリビアのラ米左翼諸国に厳しい態度をとってきた。   OEAはこのほど、11月7日実施のニカラグア大統領選挙を「無効として認めない」と決議した。   これを受けてニカラグアの1院制国会は16日、圧倒的多数で、ダニエル・オルテガ大統領にOEA脱退を要請する「主権宣言」を採択。最高裁も17日、同宣言を支持した。3権分立の建前をとる政府は立法・司法両権の決定を基に、モンカーダ外相が脱退を表明した。   OEAは米州35カ国の「地域国連」のような存在。だが1962年1月、社会主義キューバを米国の圧力で追放した。その後、キューバは復帰を認められたが、断固復帰しない立場を維持、OEAの枠外にいる。   今世紀に入ってからベネズエラが19年に脱退した。だがトランプ前米政権は、擁立したグアイドー「傀儡VEN政権」をVEN代表としてOEAに「残存」させ、虚構に虚構を重ねた。   これで事実上、OEA加盟国は32カ国となった。ニカラグアの正式脱退は規定により、通国日から2年後となる。   キューバ政府は「国防の日」の20日、外務省声明を発表、ニカラグアの決定を支持した。マドゥーロVEN政権も支持している。  

左右激突のチリ大統領選挙始まる

       チリ大統領選挙が11月21日朝(JST夜)の投票が始まる。本国に先立ち、ニュージーランドでは在留智人約1700人がJST同日早朝、智大使館や領事館で投票を開始した。併せて国会上下両院議員、および各州地域参事会参事(代議員)の選挙も実施される。   大統領選挙は、1990年3月11日の民政移管後31年8カ月間で8度目。今回は最も難しい選挙と見られている。7人が出馬しているが、左翼と極右の主要2候補が得票上位1、2位を占めて12月19日の決選に進出する公算が大きいからだ。   ピノチェー軍政終焉後7回の選挙では、中道・穏健左翼連合が5回、保守・右翼連合が2回、それぞれ勝利した。中道のキリスト教民主党(DC)と社会党(PS)が中心の中道・穏健左翼連合はエイルウィン(DC)、フレイ(DC)、ラゴス(PS)、バチェレ―(PS)2回が政権を担った。   国民党(PN)と独立民主連合(UDI)中心の保守・右翼連合はピニェーラ(PN)が2度勝った。ピニェーラは現在2期目最終年の現職。このほど、租税回避地脱税疑惑により国会で弾劾裁判にかけられ、辛くも解任を免れたばかりのレームダックだ。   今選挙は、共産党候補と左翼統一候補の座を争って勝った拡大戦線(FA)のガブリエル・ボリッチ(35、前下院議員、ユーゴスラヴィア系)と、極右・共和党(PR)のホセ=アントニオ・カスト(55、元国会議、ドイツ系)の決選進出争いになると見られている。カストはUDIを離脱、19年にPRを結党した。   選挙直前に公表された2種類の最終支持率調査では、ボリッチ24%・カスト23%、同32%・27%で、ボリッチがやや優勢。カストは選挙戦終盤で、故軍政独裁者アウグスト・ピノチェーを礼賛する失言をしでかし、本音を見透かされて有権者の警戒感を刺激、支持率を下げた。   現政権の政権党連合は予備選で、PN系無所属のセバスティアン・シチェル(44、元社会開発・家族相)を候補に選んだ。以前DCに所属していたシチェルは、右翼と距離をとる保守。これを横目に政権党連合側のアウトサイダー、カストは立候補。たちまちシチェルに水をあけた。シチェルは支持率4位に甘んじている。   支持率3位は、DCのヤスナ・プロボステ(51、前上院議長)。唯一の女性候補だ。彼女は、左右激突構図に危機感を抱く有権者を引き付けて決選進出を狙

「キューバに帰国し闘争再開する」とガルシア表明

    玖反体制派指導者の一人で劇作家のジュニオール・ガルシアは11月18日、前日到着したマドリ―で記者会見し、「私の願いは帰国だ。だからスペインに亡命は申請していない。査証は90日間滞在用だ」と強調。「私は沈黙しない。言葉を奪われたら、私ではなくなる」と、叫ぶように訴えた。     「今まずすべきは私の心の傷、激高した心を癒すことだ。そして闘いを再開する。これまでよりもずっと大きな力を蓄えて。絶対に降伏はしない」とも述べた。     「私の突然の出国が同志たちに衝撃と痛みを与えたのは承知している。私は人間としての弱さを仲間たちに謝罪する。だが私はキューバに留まって生ける屍になるわけにはいかなかった。妻と私の真っ当な生を救うため、ひとまず出国せねばならなかった」と説明した。     この会見の後、ガルシアは米CNN放送に対し、「玖当局はハバナの私の自宅アパルタミエントの扉の外側で私を脅し、窓の下の路上には大勢の政府支持派が押しかけて罵詈雑言を浴びせた。これは紛れもないファシズムだ」と、玖政府を厳しく批判した。      スペインのホセ・アルバレス外相は19日、ガルシアと会い、キューバの民主化運動を支持すると伝えた。     玖反体制派と在外玖人反体制派の抗議ラップ歌「祖国も命も」は19日、今年度の「ラテングラミー賞」受賞が決まった。     一方、玖政府は18、19両日、「モンカーダ2021戦略的演習」を全国規模で展開した。革命体制防衛のためで、全人民戦争戦略に基づく。20日は、今年初めて制定された「国防の日」だ。     演習は、革命軍(FAR)のラウール・カストロ陸軍大将とミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)が陣頭指揮。エステバン・ラソANPP(立法府)議長、マヌエル・マレーロ首相ら、他の最高幹部たちも参加した。     政府はまた18日、来年元日から入国者の入国書類はディジタル方式での提出が義務付けられる、と発表した。用紙に手で記入する方式は廃止される。これは紙資源を節約し、電子化する手間を省き、一括電子管理により出入国者調査を容易にするためだ。               

北米3国首脳会議がラ米カリブへのワクチン配布決める

    第9回墨米加北米3国首脳会議(NALS)は11月18日、ワシントン(ホワイトハウス)で開かれた。コロナ禍COVID19が中心議題で、3国はLAC(ラ米・カリブ)諸国へのワクチン無料配布を決めた。気候変動問題も話し合われた。    3首脳はそれぞれ個別にも会談、AMLO墨大統領はジョー・バイデン米大統領、ジャスティン・トルドー加首相と別途話し合った。米加首脳はまた、個別にカマラ・ハリス米副大統領とも会談した。    AMLOはバイデンとの2国間首脳会談で、在米メキシコ移民1100万人の法的身分保障問題や、欧州連合(EU)型の「米州連合」結成構想について提言した。    墨加首脳会談はワシントン市内にあるメキシコ文化庁施設で行われ、①先住民族との和解を探り、先住民共同体を政治的中心に招き入れる②富の再分配による不平等を是正③北米域内での競争力強化、で合意した。    AMLOは、今回が米加両首脳との初面談だった。3国は「TーMEC」(墨米加協定)という、経済・貿易関係を中心とする協定を昨年発足発効させた。3首脳は、その発足を祝った。    第10回NALSは来年、メキシコ市で開かれる。        

チリの人権派闘士ファビオ―ラ・レテリエル弁護士死去

        著名なチリの人権活動家ファビオ―ラ・レテリエル弁護士(92)が11月18日、死去した。ピノチェー軍事独裁政権下(1973~90)で犯された夥しい数の人道犯罪の犠牲者や遺族に寄り添い、司法闘争を展開した。    実弟オルランド・レテリエル(アジェンデ政権外相)はピノチェー軍政の諜報機関とCIAの合同作戦により1976年9月  、滞在先のワシントン市内で爆殺された。姉ファビオーラは法廷で闘い、国家諜報局(DINA)の長官だったマヌエル・コントレラスら2人を7年の禁錮刑に追い込んだ。    後年、「弟の暗殺は単に一人の人物の殺害ということでなく、多くのチリ人に衝撃を与えた」と語った。コントレラスらを有罪にした裁判は、その後の人道犯罪裁判の「先例」的役割を果たし、多くの軍政関係者の起訴、断罪に繋がった。    ファビオ―ラは2018年、チリ人権賞を受賞した。    

ベネズエラ当局が選挙妨害工作を未然に防ぐ

      ベネズエラでは11月21日、市長・市会議員、州知事・州会議員を決める大型地方選挙が実施される。これには、長らく選挙をボイコットしていたグアイドー派など極右・右翼・頑迷保守陣営も久々に参加する。その選挙を妨害する破壊活動が未然に防がれた。   トゥレク=ウィリアム・サアブ検事総長は17日、カラカス市内にある国家選挙理事会(CNE)本部の倉庫を破壊する陰謀に加担した容疑者7人を13日に摘発、容疑者7人を破壊活動未遂容疑などで起訴した、と明らかにした。倉庫には、選挙当日に用いられる機材が保管されていた。   検察は、一味のアジトなどから燃料の入った缶4個、銅線のはいった金属製の筒10個、ビラなどが入った瓶3個を押収した。      検事総長によれば、容疑者らの供述から、グアイドーが所属する極右政党VP(人民意志)の最高指導者レオポルド・ロペス(スペイン滞在中の逃亡犯)と、犯罪科学専門家で反政府活動家のイバン・シモノビス(逃亡犯)が、この破壊工作を計画し資金を提供したことが明らかになった。   一方、ニコラース・マドゥーロVEN大統領は17日、米国務省はVEN選挙を妨害するための陰謀に着手していると非難。米政府による干渉政策を糾弾し、国際社会に注意を喚起する、と表明した。   

キューバ反体制派のガルシアがスペインに出国

         社会主義国キューバの反体制派指導者の一人、劇作家ジュニオール・ガルシア(39)は11月17日、妻ダヤーナを伴い空路、スペインの首都マドリ―に到着した。    ガルシアが創設した反体制運動体「多島海」(アルチピエーラゴ)の同志たちは16日、ガルシアが突然消えてしまった、と騒いでいた。    スペイン入管は、ガルシア夫妻は観光査証で入国した、と明らかにした。    ガルシアはマドリ―到着後にSNSで、「11月14日に出国を決めた。(玖当局が)私を逮捕するのではなく、沈黙させようとしていると聴いたからだ。それから逃れる唯一の方法が、この出国だった」、「自宅が包囲され、電話とインターネットが遮断された。私は壊れ崩れてしまった」と述べた。    「多島海」が15日に実施を計画していた「変革のための市民行進」は、玖政府の圧力で不発に終わった。    ガルシアは13日、「私は14日にハバナを独りで行進する」と発表し、奇異な印象を与えていた。14日には既に自宅が包囲されており、外出は不可能になっていたが、そのころ出国を決意していたということになる。    玖政府は、ガルシア出国に一切関与していないと表明している。だが自宅が包囲されていたガルシア夫妻が15日にスペイン領事館で観光査証を取得し、マドリ―行き航空便を予約して、16日ハバナ空港に到達、出国できたのは、玖政府や在玖スペイン大使館の関与なしにはありえまい。    玖政府は従来、厄介な反政府活動家らを出国させてきた。事実上の「国外追放」措置だ。ガルシアの在外期間が長期化すれば、「追放処分」が確定したことになる。  

租税回避地脱税疑惑のチリ大統領が弾劾免れる

        チリ国会上院(定数43)は11月16日、租税回避地での脱税疑惑が暴露されたセバスティアン・ピニェーラ大統領の弾劾裁判を実施したが、大統領解任に必要な3分の2(29)の賛成票がなく、大統領は弾劾を免れた。   投票は2回実施された。1度目は賛成24、反対18、棄権1。2度目は、それぞれ22、20、1だった。大統領は来年3月11日に後任に政権を引き渡す。   その後任を選ぶ大統領選挙は今月21日に迫っている。出馬している7人のうち、左翼のガブリエル・ボリッチ(ボリック)と極右のホセ=アントニオ・カストの両候補が12月19日の決選に進出する公算が大きいと見られている。 

キューバ反体制派が11月27日まで闘争期間を延長

   キューバ反体制派「多島海(アルチピエーラゴ)」(賛同者3万人)は11月16日、声明を発表。政府に前日封じ込められ不発に終わった「変革のための市民行進」闘争を11月27日まで延長すると表明した。   「キューバが全国民の福利のための法治共和国になるまで戦い続ける」と強調。世界120都市から連帯表明があった、とも明らかにした。    その日付は、キュ-バ第1次独立戦争中の1871年、スペイン植民地当局が一方的に玖医学生8人を処刑した史実を生んだ日。   声明は、27日まで、ハバナをはじめ地元市内を行進するよう呼び掛けた。白シャツを着て、白薔薇と、殉教者に捧げる別の花を一輪を手に。毎晩9時には、鍋やフライパンを叩いて抗議する「カセロラソ」をするよう求めている。   行進の目的は従来通り、①全政治囚および「良心の囚人」の解放②異議を唱える者への表現・集会・デモの自由の保障③政治的理由による玖人間の排除と暴力の停止④相違を民主的・平和的に解決するための透明性ある実施過程開始。              

キューバ政府、「反体制行進」を封じ込める

           キューバ政府は、反体制派、対政府不満派らが昨11月15日に予定していた全国的な「変革のための市民行進」を実力で封じ込めた。政府は何事もなかったかのように「国境を開き」、国際観光を15日再開させた。     またコロナ禍COVID19が下火になったのを受けて、政府は学校教育での対面授業を再開。ミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)は、学生・生徒らと歓談した。             大統領は夜には、昨年7月死去したハバナ市の変遷を記録していた著名な公式歴史家エウセビオ・レアルの立像の除幕式を同市旧市街で挙行した。      「15N」の略称で内外に広く報じられた今回の反政府デモ行進計画は、「アルチピエーラゴ」(多島海)という若手芸術家らの団体が組織していた。これを米政府をはじめ、世界各地の市民団体などが支持支援していた。     玖政府は、7月11日に全国で1万人前後の国民がSNSで連携し合って対政府抗議行動を決行した「不意打ち」に遭って狼狽。「革命体制」(共産党一党支配体制)が危機に陥ったと認識し、「反革命行動」再発に全力を挙げた。     今回は「予告された行進」だったため、政府はまず行進を「非合法」とし、内務省軍、警察特殊部隊、有事即応青年部隊、革命防衛委員会などを総動員して、「革命体制防衛」の準備を整えた。それが奏功した。     カトリック教会のカマグエイ大司教区は、司祭らが後進に参加するのを阻止された、と明らかにした。青年共産主義者同盟(UJC)の若者らが教会施設前で「くたばれグサーノス(反革命派)」などと叫び、外出を阻んだという。     「多島海」の指導者である劇作家ジュニオール・ガルシアらは自宅から一歩も出られなかった。厳戒態勢下で行進は不可能となり、政府側の行事だけが目立った。国営メディアに対抗するフリージャーナリストたちも自宅に留められた。     玖民間団体「玖人権監視」の集計では、13日から15日朝にかけて約200件の弾圧があった。49人が自宅軟禁、25人が脅迫に遭った。カトリック司祭数人も脅された。インターネット切断が相次ぎ、SNSによる情報伝播が途切れた。      一方、玖国営通信プレンサ・ラティーナは15日、米国内から膨大な数量のインターネット攻撃があった、と報じた。     米国の国営放送「ヴォイス・オ

「反体制行進」前日のキューバ、全土で厳戒態勢

      カリブ海の社会主義国キューバは11月14日、反体制派や対政府批判派らによる「変革のための市民行進」を翌日に控え、首都ハバナをはじめ全国主要都市、空港、港湾などは厳戒態勢が敷かれ、緊張に包まれている。15日の行進は「15N」と呼ばれている。   行進の発案者である劇作家ジュニオール・ガルシア(39)は、15Nに先駆けて14日、独りでハバナ市内を歩く計画だった。だが14日未明からガルシアの住むアパート一帯は、多数の制服・私服の警官により厳戒に警戒されており、ガルシアの外出は難しい状況だ。   ガルシアは14日朝、電話取材に応えて「窓から見た厳戒態勢」を語り、「私の部屋の扉がいつ破られてもおかしくない状況だ」と伝えた。   さらに、「だれも排除されないキューバを造りたい」、「国民はこれまであまりにも多く権力者に拍手を送ってきた。それには疲れた。今は我々自身に拍手すべきだ」と述べた。   ミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)は、「バイデン米政権が革命体制を潰そうと(15Nを)画策した」と非難。「革命体制防衛の準備がある」と強調、実力で15Nを抑え込む構えだ。   とくに15日は、コロナ禍COVID19から立ち直りつつあるキューバが「ドル箱」産業である観光を再開するため「国境を開く日」。欧州、ラ米、カナダなどからの航空便が続々再開されつつある。その大事な日に15Nが重なり、政府は怒っている。   大統領は14日、首都中央公園で政府支持派の若者たちの組織「赤いハンカチ」が展開している行事に参加。体制変革を求める若者がいる一方、体制支持の若者もいることを強調した。   内外メディアは15N取材に向け態勢を整えているが、玖外務省国際報道局は13日、スペイン国営通信EFE(エフェ)支局の支局長ら記者3人、カメラマン(動画映像記者)1人、フォトグラファー(スティール写真記者)1人、計5人の取材許可証を没収した。    これにはスペイン政府は激しく抗議。玖側は14日、記者1人とフォトグラファ―の計2人に取材証を返却した。EFE通信は全員の取材証を返すよう要求している。   EFE支局は、ジュニオール・ガルシアにインタビューし、その記事を流したばかりだった。   一方、アントニー・ブリンケン米国務長官は14日、「玖政府は国民を脅して行進に参加させないようにしている」と

政権党退潮見込みの亜国会議員選挙投票始まる

        亜国(アルヘンティーナ)で11月14日、国会議員選挙の投票が始まった。下院議員257人中127人、および上院72人の3分の1の24人を選ぶ。有権者は4500万人。結果は同日深夜判明する見込み。     ペロン派正義党キルチネル路線の穏健派アルべルト・フェルナンデス大統領が任期半ばで迎えた重要選挙で、今後2年間の施政と、再来年の次期大統領選挙の行方を占うことになる。     だが9月の予備選挙で政権党は議席を大幅に減らす見通しになった。特にインフレ激化など、経済不調が原因だ。     今世紀初めに登場した故ネストル・キルチネル大統領の妻クリスティーナ・フェルナデス=デ・キルチネルは夫の死後、大統領を2期務めた後、1期置いて、現在は副大統領。     政権内で大統領に次ぐ実力者クリスティーナは、予備選で政権党退潮の公算が大きいいことが明らかになるや、フェルナンデス大統領から距離を置いた。この正副大統領間の仲違いも政権党には好ましくない。      2015年から1期政権を担った保守・右翼陣営のマウリシオ・マクリ前大統領の率いる野党連合「共に改革を」は勢いづいている。 ▼野党票が伸びる      選管発表によると、80%開票段階での得票率は政権党32%、「共に改革を」42%、その他26%。政権党は国会での多数派工作が不可欠となる見込み。投票率は71%だった。  

墨大統領が欧州連合型機構創設を米加に提案へ

      墨米加3国協定(T-MEC)を組む同3国の首脳会談は11月18日、ワシントンで開かれる。これを前にAMLO墨大統領は12日の記者会見で、欧州連合(EU)のような国家連合体を米州に創設する構想をあらためて明らかにした。   米州全35カ国が加盟し、経済だけでなく、政治・外交など広範な分野で協働するEU型の一大統合機構を生み出す構想だ。   米州には、米国の影響の強い米州諸国機構(OEA)と、米加北米両国を除く「米州の南」33カ国が形成する「広義の南米」の機構ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)がある。   OEAには、米国によって追放された社会主義キューバは復帰が可能となった今も加盟しておらず、同国以外の34カ国が加盟する。だかマドゥーロ政権のベネズエラは脱退。実体のない「グアイドー暫定政権」(トランプ前米政権期の傀儡)がVENを代表するという虚構が罷り通っている。   AMLO構想は、1948年に生まれたOEAと、2011年に発足したCELACおよび、他の数多い域内経済機構や機関を統合するもの。   3国首脳会談でAMLOは、ジョー・バイデン米大統領とジャスティン・トルドー加首相に構想を開陳し、議題にするという。 ▼メキシコでプエブラグループ会合開催へ   ラ米およびスペインの進歩主義指導者の「ご意見番」が参加する「グルーポ・デ・プエブラ」(2019年創設) の全体会合が11月29日から12月1日までメキシコで開かれる。   現職大統領2人、元大統領11人、元首相ら約150人が参加を予定している。   ラ米諸国の大統領選挙状況や、AMLOの米州統合構想などが話し合われる。

LATINAが大統領暗殺事件後のハイチ情勢記事公開

     月刊雑誌LATINA電子版は11月11日、伊高浩昭執筆「<呪われた国ハイチ>を捏造した内外利権」(長文、写真44枚使用)を公開しました。御覧ください。

キューバ外相が外交団前に米政府を糾弾

      キューバでは、物資不足や自由の欠乏に対する不満国民や、米政府に支援された反体制派による大規模な対政府抗議行動が11月15日に予定されているが、玖政府は共産党一党支配体制が危機に瀕しつつあると受け止め、全国で厳重な警戒態勢を敷いている。   そのような状況の下、ブルーノ・ロドリゲス外相(党政治局員)は10日、各国大使ら駐在外交団を集め演説。米政府を「玖社会に騒乱状態を起こすため不安定化運動を推進している」と糾弾した。   同外相は、「玖体制を変えるため、憎悪を醸成し、暴力と犯罪を扇動する組織的な作戦が米国内から展開されている」と批判した。   また、「重大なのは、物質的、実践的に組織された作戦が米国内から仕掛けらており、それが従来、玖国民にテロ攻撃をかけてきた暴力集団と関係していることだ」と指摘した。   ロドリゲスはさらに、「キューバは、外国政府が玖国内で不安定化工作をするのを絶対に許さない」と警告した。   外相は、「キューバを<失敗国家>として(国際社会に)提示しようという米国の意図は、無益かつ絶望的にして愚かなことだ」と扱き下ろした。   続けて、「キューバ駐在の外交官や外国メディア通信員らに対し<15N>(11月15日の反政府行動)を支持するよう迫る毒性ある作戦もある」とし、それを止めるよう米政府に要求した。   外相は国際社会に対し、この米政府の反玖作戦を糾弾するよう呼び掛けた。           

AMLOメキシコ大統領が安保理で議長を務める

    メキシコのAMLO大統領は11月9日、国連安保理輪番制議長国議長席に着き、安保理討議を主導した。メキシコが安保理非常任理事国になったのは6回目。    同大統領は「安保理は世界政府のようだ」と指摘。腐敗、不平等、社会不安との闘いや、「世界友愛福祉計画」へ協力を呼び掛けた。    AMLO一行が8日夜から宿泊していたホテルの前や国連本部前には9日、在米メキシコ人約500人が集結。マリアッチ音楽や民俗舞踊で大統領を歓迎。国連近くに設置されている大TV画面で安保理討議を見守った。    安保理とは別にAMLOは、米政府側に対し、在米1100万人のメキシコ人移民労働者と家族を、そして他国からの移民をやさしく扱ってほしいと伝えた。この場面が大画面で中継されると、路上から大歓声が上がった。    大統領は、アントニオ・グテレス国連事務総長と会談後、帰国の途に就いた。  

チリ上院がピニェーラ大統領を「脱税」で弾劾審議へ

    チリ国会下院本会議は11月9日、セバスティアン・ピニェーラ大統領解任決議案を賛成78、反対67、棄権3で可決した。    大統領は第1期政権にあった2010年、租税回避地である英領ヴァージン諸島に私財1億5200万ドルを送金し、同地で管理したため脱税容疑を問われている。この事実は先に、「パンドラ文書」報道で暴露された。    同決議は上院に回される。上院本会議が「弾劾審議」を経て、3分の2の賛成で可決すれば、大統領は解任される。その場合、ロドリーゴ・デルガード内務・公共安全相が暫定大統領になる。    この国では今月21日、大統領選挙が実施される。保守・右翼勢力を代表するピニェーラ大統領は大富豪一族の総帥で、チリを統治でなく「経営」していると酷評されていた。今回の脱税行為が追及されればされるほど、間近に迫った選挙で保守・右翼陣営は不利になる。    同陣営が上院で大統領弾劾に反対すれば、「脱税支持」と受け止められ、これまた墓穴を掘ることになりかねない。    近隣のエクアドールでも、銀行家出身で保守・右翼系のギジェルモ・ラソ大統領がやはり「パンドラ文書」に暴かれて、窮地に陥っている。

ニカラグア正副大統領にオルテガ夫妻再選

    ニカラグアの最高選挙理事会(CSE)は11月8日、前日の大統領選挙で現職ダニエル・オルテガが得票率75・92%で当選した、と発表した。オルテガは連続4選、1980年年代のサンディニスタ革命体制下の1期目と合わせ、計5選となった。投票率は65・23%と発表された。     得票2位(14・4%)は、立憲自由党(PLC)のワルテル・エスピノーサだった。     副大統領には、オルテガの妻で現職のロサリオ・ムリージョが2選された。     米州では、今選挙を「オルテガのパントマイム」と揶揄していた米国と、隣国コスタ・リカの両政府が逸早く声明を発表、「選挙を認めない」と表明した。一方、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領はオルテガ夫妻を祝福した。     キューバ、ボリビア、ロシア、北朝鮮も祝意を表した。     オルテガは、有力な対抗馬になりそうな野党の出馬希望者たちを相次いで逮捕、拘禁。「無風状態」にして、自作自演の再選劇を演じた。 

アルゼンチンで「アフリカ月間」始まる

        亜国で11月8日、「アフロアルヘンティニダ―(アフリカ系亜国性)とアフリカ文化月間」が始まった。この日は亜国では「アフリカ系国民とアフリカ文化の日」で、月末まで舞踊・音楽祭、美術・写真・資料展示会、映画上映会、シンポジウムなどが全国で続く。    とくに亜国やウルグアイで発祥したタンゴは、アフリカ系文化の貢献なしには生まれなかった。タンゴは重要な「アフリカ系亜国性」だ。    文化省主催で、「私たち(現代人)は(文化的・民族的混淆)の継承者だ」が標語          2010の国勢調査では、15万人が「アフリカ系」を自認している。実際は、もっと多くのアフロ混血国民がいるとされる。    

ニカラグア大統領選挙の投票終わる

    ニカラグアで11月7日朝(JST7日夜)、正副大統領、一院政国会議員90人、中米議会議員20人を選ぶ総選挙が実施された。有権者は440万人。    首都マナグアで投票を終えたダニエル・オルテガ大統領は、「大多数の有権者は、平和を求め、内戦再発やテロリズムに反対して、投票した」と述べた。    従来の国政選挙には外国からの選挙監視団を受け入れていたが、今年5月の選挙法改正で監視団受け入れは廃止され、替わりに「選挙同伴者」制度が採用された。    今選挙は最初の「同伴者」受け入れとなり、27カ国・地域からの計232人の同伴者が公認され、監視員の役割を担った。この他、内外ジャーナリスト約600人が取材の形で投開票現場を観察した。     「同伴者」に参加した27カ国・地域は以下の通り。 ラ米15:亜URU伯PAR智秘COL・VEN玖RD巴CR・HON・GUA墨 欧米9:米加西仏伊独英露ベルギー 地域3:プエルト・リコ、アブハジア、南オセティア     ニカラグアは、アブハジアと南オセティアを逸早く承認し、「国交」を結んでいる。     大統領選挙では1980年代に第1期を務めたFSLN(サンディ二スタ民族解放戦線)のオルテガ元司令官が、21世紀になってからの連続4期目を狙う。その夫人ロサリオ・ムリージョ現副大統領は、2期目を目指す。    大統領選挙には、オルテガの他に5人が出馬しているが、オルテガないし政権党FSLNの協力者か同調者ばかり。立憲自由党(PLC)の国会議員ワルテル・エスピノーサ、キリストの道(CC)の牧師ギジェルモ・オソルノ、ニカラグア自由同盟(ALN)のマルセロ・マルティエル=フェルナンデス、共和国同盟(APRE)のヘルソン・グティエレス=ガスパリ―ン、独立自由党(PLI)のマウリシオ・オル―エス=バスケス。    有力候補らは刑務所に収監されており、オルテガ当選が間違いない「不正選挙」と見る米欧などは、今選挙そのものを認めていない。この選挙を「オルテガのパントマイム」と見下す発言もある。          FSLNのような一強政党に同調したり付き従って利益を得る弱小政党や泡沫候補の姿勢は、「サンクディズモ」と呼ばれる。    反オルテガ政権連合「正義と民主のための市民同盟」は7日、「有権者の多くはオルテガ政権拒否の意志を示すため棄権した」と表明

エクアドール国会委が大統領の倫理規定違反を認定

        エクアドールのギジェルモ・ラソ大統領は「パンドラ文書」で租税回避地での蓄財が暴露されているが、同国国会の憲法保障委員会は11月5日、同大統領に対する捜査結果報告書を賛成6、反対2、棄権1で承認した。    その結果、ラソは、公務員や公的選挙で選ばれた公職者は租税回避地に私財を保有してはならないという2017年制定の倫理規約を遵守せず、21年の大統領選挙に出馬したと判断された。これは大統領解任の理由となる。    同委員会の決議に拘束力はないが、委員会は立法府に審議を要請した。大統領は8日以内に国会本会議に出席し、倫理規定違反について説明しなければならない。委員会はまた、検察庁、会計検査院などに報告書を送付すべく勧告した。    ラファエル・コレア元赤大統領は5日、重大な脱税行為であり、国会での弾劾裁判にかけられるべきだ、と述べた。    一方、ラソ政権は、「クーデターを画策している」と野党陣営を非難した。    

グアイドー前VEN国会議長が巨額の国費を浪費か

        ベネズエラ極右野党VP(人民意志)の前国会議員フアン・グアイドーが、国会議長だった2019~20年に米国の後押しで「暫定政権首班」を名乗り、その運営費としてお手盛りで国会を通し計上した「ベネズエラ解放基金」から1億2190万米ドルを使い、19年9月だけでグアイドーを意味する「大統領経費」が190万ドルに上っていた。11月6日、旧グアイド―派公務員らによって公表された。    基金の基盤は国費。請求書・領収書や経費説明書のない使途不明金も多く、事実上の着服ないし公金横領の嫌疑がかけられている。    同9月だけの経費を基に推計すれば、24カ月間「お手盛り首班」として振舞っていたことから、グアイドーが浪費した国費は数千万ドルに上ると見られている。。    また昨年9月、グアイドーと部下たちが、米国によって接収されたVEN国有資産のうち2200万ドルを私していたことも暴露された。    VENでは11月21日、州知事・市長選挙が実施され、VPも参加するが、グアイドーの不祥事は極右・右翼諸党に打撃になる可能性がある。

カスティージョ秘政権100日、批判相次ぐ

     ペルーのギド・べジード前首相は11月5日、就任後100日となったペドロ・カスティージョ大統領について、「彼は社会主義左翼政権を率いてはいない。イデオロギー的政治教育を全く受けていない。せいぜい基礎的労働組合主義者でしかない」と指摘した。    ペルー国会は4日、べジードの後任、ミルタ・バスケス現首相の信任を賛成68、反対56、棄権1で可決したが、べジードら政権党PL(自由ペルー)の議員16人は反対票を投じた。 べジードは、この投票を受けて、大統領の思想傾向について発言した。 ▼政権100日の「不安」    ペルー各界は11月5日、発足後100日経ったカスティージョ政権について不安を表明した。マスメディアからは、「大統領はメディア対応が<選挙>でなく<義務>であることを理解していない」との声が聞かれた。    国会のパトリシア・チリ―ノス第3副議長は、「経済破壊の100日だ」と、特に大統領の腹心ペドロ・フランケ経済相を批判した。    ある大学教授は、国際社会と比べてペルーは、コロナ禍により遮断された教室での対面授業の復活が遅れている、と強い不満を漏らす。    「地方住民の生活の安全保障がなされていない」、「打ち出された対麻薬政策には、農村に麻薬取引を奨励することにもなりかねない危うさがある」と指摘したのは、ベテラン政治家だ。    エコノミストは、「来年のペルー経済の展望(成長予測2%程度)は暗い。7月末の政権発足時と比べ、経済状態は悪化している」と厳しい。民間部門が政府の長期的な経済政策の不確実性を警戒し、投資控えをしている、と見る。    政治学者は、「首相を含む閣僚たちが相次いで更迭や辞任を余儀なくされ、一口で言えば<弱い政権>だ。大統領を支えていた左翼勢力が分裂してしまった」と、政権党の脆弱さを指摘した。    政治評論家は、「大統領は国を導くために与えられている権力を理解していない。未熟さから今や、国の最高指導者でなく、謀反組織の首領のように映る」と酷評した。    世論調査で、カスティージョ政権の非支持率は48%に達している。        

エボ・モラレスが第2回人民会合を呼び掛け

    南米12カ国は「南米諸国連合」(ウナスール)を組織していた。だが右傾化した南米諸国が米国の分断統治策に乗せられ、ウナスールは分裂、有名無実状態となった。    熱心なウナスール主義者であるボリビアのエボ・モラレス元大統領は、「ルナスール」(再生ウナスール)設立を過去2年来、呼び掛けてきており、11月4日、ルナスール会合として第2回「アブラ・ヤラ人民会合」を12月20・21両日、ペルーのクスコで開催すべく、賛同者に号令をかけた。    「アブラ・ヤラ」は、先住民語で「ラス・アメリカス」(米州)大陸を指す。この場合は「ラ米」に力点が置かれる。    「米国はラ米の資源収奪を図り、歯向かう国々に制裁を科す」とし、「人民会合」が資源防衛のためでもあることを訴えている。    会合には、南米諸国の先住民団体をはじめ人民運動組織や政治家が参加する。モラレスは「我々の祖先が唱えていたような多民族主義の米州の再建を目指す」と強調している。

国際刑事裁判所がベネズエラ人権状況の調査開始へ

   国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官は、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領の招きで訪VENし、3日間に亘り人権状況を調査した。最終日の11月3日、政庁で大統領と会談し、基本合意書に調印した。   その結果、ICCは今後、カラカスで2017年に行われた反政府街頭行動時などの人権状況を調査することが決まった。大統領は、「調査段階に移行することに関し我々は同意見ではなかったが、カーン氏の意思を尊重することにした」と述べた。   2018年に始まった予備的評価段階は終わり、第2段階の調査が近い将来、始まることになる。人道犯罪の犠牲者や家族・遺族からの意見聴取が中心で、懲罰内容、刑務所状況なども調べられる。   カーン氏は、VEN政府の刑法改正などの努力を評価しつつ、合意書調印にこぎつけた。内外人権団体は、VEN政府がICCの調査実施を許したことに一様に驚いている。

伊高浩昭執筆:最近の書評

  ◎「週刊読書人」紙 ▽9月21日付:松尾理也著『大阪時事新報の研究 「関西ジャーナリズム」と福澤諭吉』=創元社、400p= 「日本新聞史の変遷を描く見事な労作」「『大阪時事新報』軸に時代を語る」 ▽10月29日付:加藤良三著 三好範英編『日米の絆 元駐米大使 加藤良三回顧録』=吉田書店、430p= 「議論の<叩き台>にして<半面教師>」「元駐米大使が日米同盟と国防を語る」  ◎「週刊金曜日」誌 ▽10月8日付:ルルヒオ・ガビラン著『ある無名兵士の変遷 ゲリラ兵、軍人、修道士、そして人類学者へ』(黒宮亜紀訳)=現代企画室、290p= 「20世紀ペルーの歴史を体現する波瀾万丈の半生」 ▽11月5日付:三木健編『沖縄と色川大吉』=不二出版、340p= 「沖縄と歴史家が共振する志 復帰50周年を前に必読の書」

11月はラ米の選挙月

   11月はラ米諸国の「選挙月」。まず7日(日)にニカラグア大統領選挙が実施される。連続4選(通算5期目)を目指す現職ダニエル・オルテガは、野党の政敵をほぼ排除し尽くし、「お飾り候補」数人と選挙に臨む。国際社会から選挙を認めないとの声が高まっている。        7日(日)ハイチ大統領・国会議員選挙、および改憲国民投票(2022年末に延期)   14日(日)は、亜国国会議員選挙。2023年の次期大統領選挙の行方を占う。アルべルト・フェルナデス大統領のペロン派政権党は難しい選挙戦を戦ってきた。   21日(日)はチリ大統領選挙。主要候補は左翼、中道・中道保守、右翼、極右の4人。12月19日の決選での勝負になりそうだ。   この日はベネズエラで州知事・市長選挙が実施される。これまで選挙参加を拒否していたグアイドー派など極右・右翼・保守諸党も参加する。   28 日(日)はホンジュラス大統領選挙。3選を狙って拒絶された現職エルナンデスの後釜に誰が就くか。