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ベネズエラ製油所爆破は無人機発射ミサイル使用か

  VENファルコン州内にあるパラグアナー製油複合施設のアムアイ製油所で10月27日、一部施設が爆破される事件が起きた。タレク・エルアイサミ石油相は30日、破壊された施設の写真とビデオ映像を公開し、「捜査中だが、破壊力の強さなどから見て、無人機か船舶から発射されたミサイルによる攻撃だったと思われる」と明らかにした。  アムアイ製油所は、日量95万9000バレルの処理能力をもつ世界最大級の製油所。同石油相はまた、今回の事件と、9月11日アムアイ製油所付近で逮捕された米国人マシュー・ジョン・ヒースとは無関係ではない、と述べた。  ヒースは榴弾発射装置、爆発物、衛星通信携帯電話機、自動小銃などを携行しており、製油所爆破を狙っていた。ヒースはVEN人5人とともに今年3月コロンビアで逮捕され、禁錮9~12年の実刑判決を受けたが、釈放され、VENに潜入、破壊工作をしていた。  エルアイサミは、犯人はヒースの失敗に鑑みドローンなどを用いた破壊戦術に切り替えた、との見方を示唆した。  一方、ニコラース・マドゥーロVEN大統領は29日、今回の爆破事件にはコロンビアのイバン・ドゥケ大統領と米諜報機関が関与している、と糾弾した。コロンビアでは同日、失政を理由にドゥケに退陣を求める野党主導の署名運動が始まった。有権者180万人の署名をもって大統領弾劾を国会に求めることが可能となる。  VENは世界最大の原油確定埋蔵量を誇るが、かつて日量300万バレルを超えていた原油生産は、今年は40万バレル台に激減低迷している。今回の破壊活動が、VEN石油産業の息の根を止めたい内外の反マドゥーロ勢力の犯行であるのは疑いない。 ▼バイデン勝てばグアイドー切り捨てか  NYT紙は10月30日、ジョー・バイデン米民主党大統領候補の補佐陣営の発言を基に、バイデンが大統領になれば、VEN軍説得に失敗してきたフアン・グアイドー国会議長を<暫定大統領>扱いすることはなくなる、と報じた。  また「バイデン政権」は、マドゥーロ政権に公明正大な選挙を実施させるためマドゥーロと話し合う道を探ることになる、と伝えた。 ▼ロペスがクーデター不発の原因を語る  マドリ―に逃亡したVEN極右指導者レオポルド・ロペスは10月30日米TVに対し、2019年4月30日のVEN軍事クーデター不発の原因を語った。それによれば、ロペス

ラ米諸国が「マーシャル計画」型援助を要請

   国連ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)の輪番制議長国コスタ・リカのカルロス・アルバラード大統領は10月下旬開かれた同委テレ会合で、同委に対し、コロナ疫病COVID19によるLAC(ラ米・カリブ)諸国の経済沈下などを救うため、第2次世界大戦直後に為されたような「マーシャル計画」型の大型援助5160憶ドルを投入するよう要請した。   前議長国キューバ、およびメキシコ、コロンビア、バルバドスが共同提案している。コロナ疫病による経済危機だけでなく、不平等による危機、環境危機にも対処するための資金という。  今回のテレ会合では、従来のような弱肉強食の新自由主義中心の「特権の文化」を「平等の文化」に替えてゆくべきだとする意見が多く出た。  一方、CEPAL代表のアリシア・バルセナ執行書記は10月28日、「LAC諸国はコロナ疫病下で累積対外債務返済と財政危機に直面しており、国際社会の連帯と協力が必要だ」と訴えた。   

ニカラグアで「サイバー犯罪取締法」成立

  ニカラグア国会は10月27日、「シベルデリートス(サイバー犯罪)特別法」を賛成70、反対16、棄権4で可決した。「国家の安全を脅かす場合」には最高10年の実刑が科せられる。  虚偽情報、意図的誤解曲解情報などを「ニュース」であるかのように流し、国民を間違った行動に走らせたり、不安がらせたりする者の個人・集団電子メディアによる通信は、電気通信・郵便庁によって3カ月間凍結され、その間、同庁、検察、警察は凍結された通信を捜査することができる。  反政府メディア、フリージャーナリスト組織、野党などは、政府批判を封じ込めるための「猿轡法」だと猛反対し、多選を続けるダニエル・オルテガ大統領と政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)を非難してきた。   次期大統領選挙を含む総選挙は2021年11月7日に予定されており、それに向けてFSLN政権が反政府側に対し一層攻勢をかけるための法整備と、反政府側は受け止めている。  

外国NGOがキューバ国民の窮乏状況調査を公表

   マドリ―に本部を置くスペインのNGO「OCDH」(玖人権監視所)は10月28日、2020年1月からの調査結果を発表。それによれば、貧困率は年初と比べ倍加し、玖国民の多くは、貧困状況は今後さらに深刻化すると見ている。玖家族の21%は、ひと月20米ドルで暮らしているという。   調査は7月半ば~8月半ば、玖島の西部、中部、東部の全3地域で、計1249人に対面質疑応答形式で実施された。コロナ禍のため、感染の可能性を避ける工夫もなされた。年初には20ドルでの生活家族は11%だった。   20~40ドルで暮らしている家族は24%、41~100ドルは19%だった。一家族平均3人とすれば、玖国民の64%は、一日当たり1・11ドルで生活していることになる。   社会主義政権の経済政策失敗の累積、政治経済社会の構造改革欠如、米政府による経済封鎖で経済体質が衰弱していたところにコロナ禍が見まい、今日の窮地に陥った。   玖政府は昨年末から、通貨ペソ(CUP)と米ドルとの間にある「兌換ペソ」(CUC)の廃止過程に入っている。これによりドルがもてはやされ、生活必需品などの物価が上昇している。ドルに容易に接近できないペソ生活者は、日々の暮らしが精いっぱいというところ。   調査では、国民の42%は、食品を含む生活必需物資の入手も困難だ。72%は物資入手が極めて困難ないし、ある程度困難。10家族中6家族は、配給物資を月10日程度で費やしてしまう。国民の7割は過去3カ月、食糧不足に陥っている。   国民の75%は、薬品入手に困っている。68%は学校で教育指導されていると認識。2人に1人は、教育施設の状態が非常に悪い、あまり良くないと受け止めている。   水道の恩恵を恒常的に受けているのは年初には21%だったが、8月には14%に落ちた。現在は83%は、その恩恵を受けていない。家族の46%は現在住む住宅の修理が必要で、11%は崩落などの危険を意識しながら住んでいる。   高齢者の52%は何らかの食料不足を感じ、64%は生存に不可欠な物資の購入が難しくなっている。国民の7割は食料品や医薬品の入手が、6割は収入(購買力)が減ってゆくと考えている。   玖国民の薄からぬ層は、平等主義を保障していた社会主義経済政策が信頼できなくなっていることから、「市場経済」化の深化に期待している。  「先に豊かにな

ボリビア国会委員会がアニェス暫定大統領らの断罪決議

  ボリビア国会両院合同調査委員会は10月26日、昨年11月のクーデターに先立つ10月に起きたコチャバンバ州サカバ、エル・アルト市センカタでの虐殺事件などに関与した容疑で、ジャニーネ・ヤニェス非合憲暫定大統領と、内相、外相、国防相、司法相、大統領府相、エネルギー相、環境・水利相の計8人を裁くことを決議した。国会本会議で最終的に決定する。 【国会は10月29日、アニェスらの責任を問う裁判の実施を決議した。】  また、政治首都ラパスのあるラパス州裁判所は26日、ブエノスアイレスに亡命中のエボ・モラレス前大統領に対する「テロリズム」「選挙不正」などによる一連の起訴と逮捕命令を取り下げた。理由なく一報的な起訴だった、という理由。  これでモラレスは、帰国とアルセ大統領就任式出席が可能になった。しかしモラレスは27日、アルセ就任翌日の11月9日に帰国する予定と明らかにした。新しい主人公アルセを尊重するためと、新政権発足翌日ならば安全が十分に保障されるという理由からだろう。  アニェスは自身を含む350人分の米国入国査証を申請していたことが暴露されているが、11月8日のアルセ政権発足後、断罪されるのを予期していたからだろう。  米政府はアルセ新政権との「友好関係」構築を望む意思を伝えている。アニェスらの国外逃亡の願いが叶うのか、定かでない。  一方、アニェス暫定政権とアルセ次期政権は27日、政権移行のための協議に入った。大統領選挙に敗れた極右ルイス・カマチョ派の数百人は同日、牙城のサンタクルースデラシエラ市にある陸軍第8師団司令部前で、「MAS政権発足を阻止するため軍事評議会を設置して政権を取れ」と気勢を挙げた。  昨年、軍・警察のクーデターに遭ったモラレスは、この危険な動きを非難し、「憲法を尊ぶべきだ」とボリビアにメッセージを送った。 ▼労連指導者が殺害さる  鉱山労連書記長オルランド・グティエレスは10月22日、大統領選挙の結果に不満な極右にラパス市内で殴打され病院で手当てを受けていたが28日、死去した。  ボリビア労働中央同盟(COB)のフアン=カルロス・ウアラチは28日、検察庁にグティエレス殺害事件の捜査を要求した。 ▼モラレスとマドゥーロを招かず  ボリビア非合憲政権の外務省は10月29日、エボ・モラレス前大統領とニコラース・マドゥーロVEN大統領はルイス・アルセ新大

チリ国民投票で来年の「新憲法制定」決まる

  来年の新憲法制定に向かってチリが動きだした。10月25日実施された国民投票で、「新憲法制定と制憲議会による起草」が圧倒的多数で可決された。ピノチェー軍政(1973・9・11~90・3・11)の「悪しき遺産」である軍政憲法は来年、葬られることになった。  投票率は50・9%で高くはなかったが、この国の国政投票では最大規模の約750万人が投票した。投票率が伸び悩んだのは、結果の趨勢が決まっていたこと、および政治的無関心による。  開票終了時、新憲法制定賛成78・27%(588万人)、反対21・73%(163万人)で、制定派が圧勝。新憲法の起草は制憲議会で78・99%(564万人)、起草会議で21・01%(150万人)だった。25日夜の開票36%段階の新憲法制定賛成78%、反対22%の趨勢は終始変わらなかった。  この趨勢が明確となった同夜、セバスティアン・ピニェーラ大統領はモネーダ宮殿(大統領政庁)前で早々と演説、「チリは新憲法制定に向けて歩み始めた」と宣言した。保守派の大統領が逸早く宣言したことで、右翼・極右らの「敗北拒否活動」は封じ込められた。  大統領は26日朝の閣議で全閣僚に対し、コロナ禍対策、年金、治安などで有権者の要請に応えるよう指示した。  制定反対票が多数を占めたのは、全国で5市しかなかった。タパカラ州コルチャネ(反対74%)、マガジャネス州アンタルティカ(南極、67%)、首都圏のビタクラ(67%)、ロ・バルネチェア(61%)、ラス・コンデス(55%)。ラス・コンデスは首都サンティアゴの富裕層居住地域だ。  ピノチェー軍政が1980年に制定し、90年3月の民政移管後に何度か改憲されてきた、弱肉強食の新自由主義を基調とする現行憲法は来年廃止されることになる。  世界ワースト17位の貧富格差に苦しむチリ国民多数派は、経済的平等性の高い新憲法制定の道を選んだのだ。  中南部以南に居住するこの国最大の先住民族マプーチェは、現行憲法にある「テロリズム取締法」などの弾圧法の廃止や、先住民権、多民族国家チリ規定などを要求している。ボリビアはモラレス前政権が新憲法で、ボリビアを多民族国家と規定、国名に取り入れた。  政権党(保守・右翼・極右)と野党勢力(中道・保守・左翼・極左)は制憲議会議員候補の選出に入った。定数155人は男女半々。選挙は来年4月実施される。男女半

ベネズエラ極右指導者ロペスが逃亡、スペインへ

  ベネズエラの極右指導者レオポルド・ロペスが密出国し逃亡、スペインに向かった。ロペスは暴力による政変を肯定する極右政党「人民意志」(VP)の元党首で、依然、事実上の最高指導者。その弟子に当たるのが、フアン・グアイドー現国会議長だ。  ロペス出国は、VPが10月24日発表した。 ホルヘ・アレアサVEN外相は同日、スペイン政府が外交に関するジュネーブ条約に違反した、と激しく抗議した。  ロペスは2002年のチャベス打倒クーデターに参画、失敗し投獄された。だがウーゴ・チャベス大統領の恩情で釈放された。  チャベスは2013年死去、後継大統領には側近のニコラース・マドゥーロ元外相が同年の大統領選挙に勝って就任した。するとロペスは14年2~5月、米国と謀って激しいグアリンバ(街頭暴力活動)を展開、死者43人、負傷者多数を出した。  逮捕され15年に「暴動教唆罪」で禁錮15年の法廷判決を受け服役。マドゥーロの恩情で17年に自宅軟禁になった。  ところが19年4月末、米国およびグアイドーと謀って自宅を離れ、カラカスの一角でグアイドーと並び立って軍事クーデターを呼び掛けた。だが根回しは失敗、国軍実戦部隊は集まらず、ロペスはスペイン大使公邸に亡命した。  それから1年半、スペインの前保守政権から派遣されていた駐VEN大使は、現左翼・進歩主義政権の駐玖大使が横流れしてVEN駐在と決まり、近く赴任する。  この時点でロペスは国外逃亡を決意した。マドリ―にはロペスの父親と妻子が住むが、この家族と合流する。父親は「息子は2日前にVENを離れ、おそらくコロンビア経由でマドリ―に向かっている」と明らかにした。だが、カラカス沖のカリブ海にある蘭領アルバに船で密出国し、そこから空路マドリ―に向かったという情報もある。  VEN反政府野党勢力の悲劇は、暴力肯定路線のVP国会議員グアイドーを戴いていること。このため支持が広がらず、敗北するしかない12月6日の国会議員選挙をボイコットしている。  マドゥーロ派多数派の新国会が21年1月5日発足すれば、グアイドーの権限は失われる。また11月3日の米大統領選挙で後ろ盾のドナルド・トランプ大統領が落選すれば、借りていた「虎の威」を失い、「狐」になってしまう。  VEN諜報機関は24日、スペイン大使公邸の警備員および、ロペスの食事の世話をしていた女性のVEN人2

チリで25日、民主憲法制定の是非問う国民投票

  きょう10月25日チリで、1980年に制定された現行の軍政憲法維持か、それとも現代にふさわしい民主新憲法制定か、その是非を問う国民投票が実施される。現行憲法はピノチェー軍政下に制定されたが、それを維持すべきか否かが40年ぶりに問われる。  国民投票実施の直接的契機は昨年10月始まった、首都サンティアゴの地下鉄料金30ペソ値上げに大学生と中学校生ら学生層の反対行動だった。政府はカラビネロス(準軍警察、治安警備隊)を出動させ弾圧。30数人が死亡、3500人が負傷した。  学生たちを労働者ら若者層が支援、料金値上げ反対闘争は、長年続いてきた歴代政府の新自由主義経済政策によってもたらされた貧富格差の大幅な拡大など「社会的不正義」を糾弾、そうした状況を覆す「革命的事態」に発展した。  大資産家であるセバスティアン・ピニェーラ大統領は保守・右翼勢力に支えられているが、弾圧から対話、対話から譲歩へと進み、事態打開には新憲法制定しかないという若者をはじめ改革勢力の要求に応じざるをえなくなった。  チリの政治、経済、社会が立ち行かなくなったのを大統領も理解したのだ。  学生側にしてみれば、この闘争は2006年の教育改革運動に始まり、13年後の昨年、ようやく国民投票実施決定として実ったのだ。当初、ことし4月に実施されることになっていたが、コロナ禍で半年延期された。  因みにチリはCOVID19ワースト14位で、50万人が感染、1万4000人が死亡している。  国民投票の設問は、①新憲法制定(軍政憲法廃止)の賛否②新憲法起草を㋐制憲議会(155人、男女半々)が起草㋑国会議員(86人)および同数の制憲議員で構成する起草会議ーのいずれで起草するかー。㋐㋑とも、制憲(議会)議員の選挙が実施されることになる。  制憲議会選挙は21年4月11日の州知事、州議会、市長、市会選挙と併せて実施される。起草会議議員選挙となる場合も同じ日程で実施される。制憲議会ないし起草会議は5月開設される。草案は3分の2の賛成で成立する。  ①で新憲法制定が承認されれば、②の投票結果に基づき起草される。①で否定されれば、②は無意味となる。㋐と㋑では、制憲議会議員が起草する㋐の方が世論や社会をより広く反映させることになる。  有権者は1470万人。世論調査では、「新憲法制定賛成」と「制憲議会開設」が60%以上で勝利する

ボリビア大統領選:アルセは得票率55%で圧勝

  ボリビア選挙最高審議会(TSE、中央選管)は10月23日、大統領選挙(18日投票)の最終開票結果を発表。社会主義運動(MAS。先住民族主体、左翼・中道左翼)のルイス・アルセ元経済相、ダビー・チョケウアンカ元外相をそれぞれ次期正副大統領と認定した。就任式は11月8日、政治首都ラパスで催される。   100%開票時の最終得票率は、アルセ55・1%(338万票)、カルロス・メサ(市民共同体、中道・保守)28・83%(177万票)、ルイス・カマチョ(信じよう、極右)14・0%(86万票)。他の2候補は泡沫。   アルセ圧勝の要因は、モラレス政権の経済相として民族主義経済を高度成長に導いた手腕が買われたことが第一に挙げられる。13年大統領を続け飽きられていたエボ・モラレスと比べ、新鮮さがあった。アニェス非合憲暫定政権が先住民憎しの余り経済を破壊、危機感を募らせた先住民、農民、都市大衆層と新興中産層はアルセに期待をかけた。   メサは中産層と白人系有権者を主対象として選挙戦を展開、最大多数層の先住民・大衆層に食い込めなかった。極右カマチョとの候補一本化工作にも失敗した。世論調査はみな「上位2候補の決戦進出」を予測したが、調査に不備があったことが暴露された。   大統領選挙と同時に実施された国会議員選挙の最終結果も発表された。MASは下院(定数130)78、上院(同36)21をそれぞれ獲得、両院で過半数となった。メサの市民共同体(CC)はそれぞれ35と11。カマチョの「信じよう」は17と4。   だが、これまでのように両院で3分の2の絶対多数議席を握ることはできなかった。これを予測していたMASは選挙前日の17日、大使任命、軍高官昇進など重要事項を過半数で議決できることに変更した。これにはCCなどから激しい非難が起きている。   MASは24日、政治首都ラパス上方の大高原(アルティプラ―ノ)に拡がる大都市アルトで大規模なアルセ当選祝賀祭を開いた。  ★23日、ブエノスアイレスに昨年12月から10か月間亡命生活を送っていたエボ・モラレス前大統領(MAS)は、ニコラース・マドゥーロVEN大統領が派遣したVEN政府機でカラカスに向かった。亜国大統領政庁当局者が明らかにした。   モラレスはカラカスでマドゥーロ大統領と会談、著書を贈り、25日ブエノスアイレスに戻った。同大統領が明らか

エル・サルバドール内戦期の虐殺機密文書めぐり騒動

  エル・サルバドール(ES)内戦中の1981年12月、同国北東部モラサン県の森林地帯にあるエル・モソテ村で女性、子供、老人ら1000人を超える村人が2日間に亘って陸軍特殊部隊に虐殺された重大事件の機密資料の扱いを巡ってES政府が揺れている。  事の起こりはナイブ・ブケレ大統領(右翼)が9月24日記者会見で、4つの書類の束を見せつつ「エル・モソテ事件に関する機密書類はこれがすべてだ。国軍統合参謀本部および、事件に関与したか、その可能性のある兵営数か所に保管されていた」と明言したこと。  法廷は同事件の重要な捜査資料として入手が急がれるとしていたが、ブケレ大統領は10月15日、「事件資料は含まれているが、重要な書類は全くない」と態度を変えた。事実関係が暴かれるのを恐れる軍部が、相当の圧力をかけたと見られた。   これに対し法廷は「資料価値を決められるのは裁判所だけだ」と、大統領を批判。時が無為に過ぎているとし、10月20日から5日以内に全書類を検察庁に引き渡すよう大統領に言い渡した。だが23日現在、検察庁には届いていない。  この国は2009~19年の2代10年、FMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線) の政権が続いた。FMLNは、内戦を米軍に支援された支配体制軍と戦い、「痛み分け」に終わったゲリラ連合に始まる革新政党。  軍の機密資料はFMLN政権下では現れなかった。それが現れ、ブケレが得意げに記者会見で書類入手を公表した。法廷が提示した期限は25日には切れる。    

亜国大統領がウナスール復活を構想

  亜国のアルべルト・フェルナンデス大統領は10月21日、エル・デスタぺ(覆いを剥がし真実を明るみに出す)放送のインタビューで、隣国ボリビアでのルイス・アルセMAS候補圧勝を受けて、「ウナスール(南米諸国連合)を復活させたい」と述べた。  ウナスールは2015年末のマウリシオ・マクリ 亜国右翼政権登場後、右傾化が著しくなった南米で立ち行かなくなり、赤道国キト郊外にある本部の建物は放置された。  この建物はラファエル・コレア前大統領が建設したが、コレアと袂を分かち政敵になったレニーン・モレーノ赤大統領は今年8月、同建物にキト市内にある国立博物館を移転させると表明し、物議を醸した。  ボリビアのコチャバンバ市郊外には、モラレス前政権が建設したウナスール議会議事堂があるが、これも使われていない。  フェルナンデスはアルセ政権が近く発足すれば、ウナスール復活賛成派が少なくともVEN、ボリビア、亜国の3カ国となり、来年以降の大統領選挙で赤道国、チリ、ブラジルなどが「進歩主義政権」になる可能性があると見ている。  南米右傾化は、米国に同調してマドゥーロVEN政権打倒を目指す「リマ集団」(グリマ)の発足(2017年)に如実に表れた。  亜大統領はグリマについて、「メキシコのAMLO大統領と話し合い、グリマ会合に一切参加しないことを決めた」と明かした。ラ米南北両端にある亜墨両大国の事実上の脱退で、グリマの影響力は減じている。  さらにフェルナンデスは、ブエノスアイレス郊外にある大統領公邸に、同市亡命中のエボ・モラレス前ボリビア大統領を19日招いて晩餐会を催し、アルセ勝利を讃え合ったと明らかにした。  大統領は、「モラレスはアルセという<隠し玉>を用意し、出馬させ当選させた」と指摘。「モラレスがボリビアに帰国する際、同道したい」と語った。 ▼メキシコ政府がOEA事務総長に辞任を要求  AMLO政権は10月21日、ルイス・アルマグロOEA事務総長(元ウルグアイ外相)に辞任を公式に要求した。理由はちょうど1年目のボリビア大統領選挙で勝利したエボ・モラレス大統領(当時)に不正がなかったにも拘わらず、同総長は逸早く「不正があった」と言明。これが暴動を招き、11月の軍事クーデターに繋がったこと。  さらに、このほど(20日)実施されたボリビア出直し大統領選挙でもルイス・アルセ当確が明らかになっ

清貧政治家ホセ・ムヒーカがウルグアイ政界を引退

  「清貧大統領」、「ネクタイをしない大統領」として世界的に知られ、「ペペ」の愛称で親しまれたウルグアイのホセ・ムヒーカ元大統領(85歳、任期2010~15、拡大戦線)が10月20日、上院議員を辞任、政界を引退した。  この日、上院は臨時本会議を開き、フリオ=マリーア・サンギネッティ元大統領(84歳、任期1985~1900、95~2000、コロラード党)も上院議員を辞任した。だがサンギネッティは政治活動は国会外で続けるという。  2人は、主要各党代表の礼賛演説を受けて演壇に立ち、ムヒーカは「上院議員であることは事務所に閉じ籠るのではなく、国内各地を回って人々と話し合うことだ。だが高齢とコロナ疫病(の危険性)により引退せざるを得なくなった」と、ユーモアを込めて述べた。  例によって人生哲学を語り、「人生の勝利とは単に勝つことではなく、転ぶたびに立ち上がり再開することなのだ」と強調した。過酷だったゲリラ時代に痛めつけられた心身を強靭にして政治家になり、大統領に上り詰めた人生体験に根差している。  「憎悪は愛と同じように情熱だ。だが愛が創造的であるのに対し、憎悪は破壊的だ」とも指摘した。「私は、多くの欠点がある情熱家だ。だが私は何十年もの間、自分の農場で憎悪は栽培しなかった。人生を律する厳しい教訓に学んだからだ。それは、憎悪がわれわれに客観性を失わせ、愚かな結果を招くということだ」  支配体制や軍部への憎悪がゲリラ活動の原動力であり、ゲリラへの一層激しい憎悪を体制と軍部に引き起こしたことに触れたのだろう。  「政治に継承はない。あるのは大義だ。すべては去るが、残る大義があり、それは変化ということだ。唯一の大義は変革だ。生物学は変化(死、世代交代)を促す。だが新世代に機会を与える方策を講じなければならない」  「継承はない」には、国会議員の世襲などはもってのほかということが含まれているはずだ。政治は決して「家業」ではなく、家業化すれば堕落する。日本の政治を見るまでもなく明らかだろう。  ムヒーカは昨年10月、上院議員選挙に当選、通算3期目に入ったが、今年9月27日、引退を表明していた。  一方のサンギネッティは、1985年に民政移管を果たした大統領として知られる。だが軍政期におびただしい数の人道犯罪を犯した軍部や警察の責任の大部分を免罪、禍根を残した。  付記すれば、日本で

ベネズエラ軍が伯国境地帯で演習、露軍要員も参加

  ベネズエラ国軍は、ブラジルと国境を接する南東部のボリーバル州のサバンナ地帯でロシア軍要員を交えて演習。11月3日の米大統領選挙前後に「起こりうる不測の事態」に備えて警戒している。「不測の事態」は米南方軍のVENへの軍事介入を意味する。  ブラジル軍はVENとの国境に近い地域で9月4~23日、「アマゾナス作戦」と名付けた軍事演習を実施した。兵員3500人と、多連装ロケット弾発射装置、軍用機、戦車などが用いられた大掛かりな演習だった。  同時期に米南方軍はカリブ海で演習していた。マイク・ポンぺオ米国務長官の「VEN包囲外交」(スリナム、ガイアナ、ブラジル、コロンビア歴訪)と時期が一致していた。  コロンビアには米軍共用の軍事基地7か所があり、米軍部隊も7月から同国内に展開している。名目は「麻薬取締まり」だ。ブラジルとコロンビアは極右政権下にあり、トランプ政権のマドゥーロ打倒戦略に加担。コロンビアとVENは断交、ブラジルは対VEN外交を打ち切っている。  マドゥーロVEN政権は、ブラジル軍と米軍の演習およびポンぺオ歴訪を「危険信号」と捉え、厳戒態勢に入っている。露軍要員は伯軍演習後の10月9日、サバンナ地帯に到着している。ロシア製地対空ミサイルを扱う技術要員の可能性がある。  トランプは先ごろマイアミ遊説中に、「私が再選されたらVENで何かが起きる」と発言している。再選されれば次の出馬はあり得ず、したがって有権者の反応を気にすることなく対VEN軍事介入が可能になるという示唆と、VENは受け止めている。  だが、大統領選挙の選挙戦終盤で支持率逆転を狙うトランプ陣営が形振り構わぬ人気とり戦術として軍事行動に出る可能性をもVENは依然警戒している。露軍要員の演習参加は、南方軍、伯・コロンビア両軍への牽制策であろう。 ▼国会が選挙監視団結成  反政府勢力が多数派のVEN国会は10月20日、野党議員5人、保守系「市民社会」代表4人で構成する、国会議員選挙監視団を結成した。反政府勢力の大勢は、12月6日実施の同選挙をボイコット済みで、参加しない。 ▼トランプ政権が秘密交渉し失敗  10月20日明らかになったところでは、今年9月トランプ米政権は国家情報省リチャード・グレネル暫定局長(当時)をメキシコに派遣、マドゥーロVEN政権の重鎮ホルヘ・ロドリゲス情報・通信相と会談させた。交渉に

ボリビア大統領選でアルセ当選、政変で先住民目覚める

  ボリビアで10月18日実施された大統領選挙は19日、社会主義運動(MAS)のルイス・アルセ候補が過半数得票に達する趨勢にあり、決選投票を待たずにアルセが「当確」となった。アルセやカルロス・メサの陣営が独自集計を依頼していた民間世論調査会社の集計で、アルセの得票は52~53%の間にある。  選挙最高審議会(TSE、中央選管)は、投票率は史上最高級の88・39%だったと明らかにした。昨年の政変後、危機感を感じた先住民ら貧困大衆が大挙して投票所に向かったこと、および政治を再度先住民の手に渡さず、白人系富裕層と中産層の支配を復活させたい保守層がメサを勝たせようと投票したことによるのだろう。  中央選管のサルバドール・ロメ―ロ代表は、選挙結果を認めず支持派がサンタクルース市などで決起集会を開いた極右ルイス・カマチョ陣営に結果を受け入れるよう求めている。  2位につけ決選に進出すると見られていたメサ元暫定大統領は敗北を認め、アルセの「圧倒的勝利」を祝福。昨年11月クーデターで打倒されたエボ・モラレス大統領に代わって非合憲の暫定政権を握った極右のジャニーネ・アニェスさえもアルセ勝利を祝福した。また米政府はドナルド・トランプ大統領の名でアルセを祝福し、友好関係構築を呼び掛けた。  副大統領には、ダビー・チョケウアンカ元外相が当選した。  アルセが、決選必至との前評判を覆して当選できたのは、投票率の高さに現れたように、油断していた多数派の先住民有権者らが、昨年のクーデター後、弾圧され、福祉を大幅に削られたりしたことで目覚めたからだろう。  亡命先のアルゼンチンにいるモラレスは、自分を追い落としたボリビア軍部に対し、投票結果を尊重するよう繰り返し呼び掛けていた。中央選管が18日夜、電脳開票集計を停止したため、内外で不正操作が懸念されていたが、メサやアニェスが認めざるを得ないほど、アルセの得票の勢いは止まらなかったもよう。  モラレス前政権は10年を超える姿勢で、先住民族復権を柱とする新憲法を制定。経済政策の民族主義化を推進し、基幹産業の国営化や合弁化で国庫収入を急増させた。それを国民福祉に回し、貧困大衆の支持を勝ち得ていた。  だがモラレスは国民投票で多選出馬を否定されながら、昨年10月の大統領選挙に強引に出馬。当選したものの極右財界などから「不正」を喧伝され、軍・警察が買収されて

メキシコ市中心部にカストロとゲバラの「出会い像」復活

  キューバ革命の覇者フィデル・カストロとエルネスト・チェ・ゲバラは1955年7月、メキシコ市で出会い、盟友となった。その邂逅の場に近い同市クアウテモク区タバカレーラ公園に10月17日、今は亡き両雄がベンチに腰掛けて語り合う様子を描いた銅彫刻が復活した。  彫刻家オスカル・ポンサネジの「出会い記念碑」という作品で、重さは250キロ。2017年12月2日の、グランマ号上陸記念日にタバカレーラ公園に設置された。フィデルとエル・チェが初めて会った革命記念碑に近いエンパラン通りのアパートの建物から2ブロックの所にある。2人の革命家はゲリラの戦闘服姿をしている。  当時のリカルド・モンレアル同区長は除幕式で、「両雄の関係は区内タバカレーラ地区に始まった」と指摘した。モンレアルは現在、AMLO政権の政党MORENA(国家刷新運動)所属の上院議員。  だが設置の数か月後に撤去された。首都の「公共空間記念碑・芸術作品委員会」の認可を受けていないというのが理由だった。同委は設置に反対していた。  認可されて再設置された「出会い記念碑」に、反AMLO派の保守や右翼は異議を唱えている。近くを走る最大の目抜きレフォルマ遊歩道の緑地帯に長らく設置されていたコロンブス像が米国に始まる反人種差別運動の世界的な広がりのなかで撤去されたのと比較し、「なぜカストロとゲバラはいいのだ」と不満を表明している。  モンレアルは2022年の次期大統領選挙にAMLOの後継候補として出馬する野心を抱いていると見なされている。モンレアルは、キューバ革命が東西冷戦期のラ米と第三世界に及ぼした進歩的影響を挙げて、再設置を評価している。観光資源としても有益との判断もある。 ▼ペロンの書簡は部下が書いた  ペロン派古参の亜紙エル・ムンドのマヌエル・ガジェロ元編集主幹(80) は10月20日、故フアン=ドミンゴ・ペロン将軍(元大統領)が、1967年10月のチェ・ゲバラの死に際して亡命先のマドリードで「自ら記した公開書簡」は別人が書いたものと、53年後の今初めて明らかにした。  ゲバラ死去を受けてペロン派左翼の青年らが話し合い、将軍に全く相談せずに「書簡」をしたためた。実際に執筆したのは、活動家ジョン=ウィリアム・クーケの妻アリシア・エグレンで、ブエノスアイレスで書いた。将軍は報道された「書簡」を読んで、それが書かれたことを知

ボリビア大統領選の開票停止、不正に懸念

   ボリビアで10月18日、大統領選挙が実施された。同日20時開票作業が始まったが、間もなく中央選管は「電脳集計が不具合のため」として開票を中止。最終公式結果は20日に発表する、と表明した。開票の不正操作が早くも懸念されている。 ★非公式の出口調査で19日、ルイス・アルセ(MAS)が52・4%で「当選」。2位はカルロス・メサ(31・5%)、3位はルイス・カマチョ(14・1%)だった。この数字が実勢に近ければ、上位2位による決選はなくなることになる。ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、早くもアルセに祝電を送った。  有権者は730万人。立候補者は当初8人だったが今は5人。過半数得票ないし、40%得票で2位に10ポイント差をつける候補がない場合、上位得票者2人が11月29日に予定される決選に進出することになっているが、その可能性は依然残されている。併せて国会議員選挙も実施された。  この選挙は、昨年11月、財界極右が軍と警察を買収して決行したクーデターによりエボ・モラレス大統領が追い落とされたのを受けた出直し選挙。政変で就任した非合憲女性暫定大統領ジャニーネ・アニェスも出馬していたが不人気で支持率が低迷、9月に立候補を取り下げた。  モラレス前大統領は亡命先の隣国アルゼンチンから、ボリビア軍部に投票結果を尊重するよう呼び掛けている。 ★本ブログ10月11日付のボリビア大統領選挙前触れ記事を参照されたい。

メキシコに激震、麻薬犯罪で前国防相逮捕

  メキシコ前政権期に国防相だったサルバドール・シエンフエゴス容疑者(72)の逮捕(9月27日の本ブログ「アヨツィナパ事件」の項末尾参照)が全土を揺さぶっている。シエンフエゴス退役将軍は10月15日、ロサンジェルス空港到着時に米当局により逮捕された。  墨国防相経験者が逮捕されたのは内外を問わず初めてのことであり、この国の法治を害してきた「インプニダ―」(無処罰)に大きな風穴を開けたからだ。これは大方のメキシコ人にとって驚愕すべき新鮮な出来事なのだ。  前国防相は昨年8月、NYの法廷で麻薬密造、同取引、資金洗浄の3つの容疑で逮捕状が出ていた。国防相の地位を利用し、主として2015~17年の3年間、メキシコの主要麻薬マフィアのうちの「ベルトラン・レイバ」の下部組織「H2」の活動を許し、機密情報を提供したり取締り対象から外したりするなど便宜をはかり、巨額の賄賂を受け取っていた。  「H2」は、コカイン、ヘロイン、大麻、覚醒剤をNYを含む米都市に密輸していた。シエンフエゴスは16日起訴された。20日から予審が始まる。米政府の麻薬捜査局(DEA)は、同容疑者が国防次官だったカルデロン政権期から目を付けていたという。  「H2」はシエンフエゴスの庇護を受け、競争相手の麻薬マフィア要員らの拉致、拷問、殺害をほしいままにしていた。  DEAはシエンフエゴスが麻薬地下業界で「エル・パドリーノ」(代父、ゴッドファーザー)と渾名されていたことから、捜査を「パドリーノ作戦」と呼んでいた。  問題は、エンリケ・ペニャ=ニエト前大統領が当然のことながら、自分が任命した国防相と麻薬マフィアとの関りを知りうる立場にあったこと。ビダル・ソベロン前海軍相も、シエンフエゴスの最も近かった閣僚として、麻薬マフィアとの関係を知り得ていたことだ。  さらに前政権下で両相の身近にいた、ルイス・サンドバル現国防相とホセ・オヘーダ現海軍相が、それぞれの前任者の素行を知らなかったとは考えられない。AMLO現大統領は、そのことを考慮したうえで、事を運んでいるはずだ。  重要なのは、シエンフエゴスが2014年9月に発生したアヨツィナパ事件の捜査を妨害していたこと。国防相として責任のあるイグアラ市駐屯陸軍大隊が事件に関与していたからだ。同市のある地元ゲレロ州内の麻薬マフィア「ゲレロス・ウニードス」(GU)も事件に深く関わ

「プエブラ集団」が亜国対VEN政策支持し存在感

   メキシコ・プエブラ州都プエブラ市で2019年7月発足したラ米左翼・進歩主義の政治家や知識人の意思表示集団「グルーポ・デ・プエブラ」(GP=プエブラグループ)が、久々に存在感を示した。10月13日、アルべルト・フェルナンデス亜国大統領の対VEN政策を明確に支持した。    米州にはラ米諸国を中心とする極右・右翼・保守政権諸国の反マドゥーロVEN政権集団「グルーポ・デ・リマ」(グリマ=リマグループ)がある。トランプ米政権と密接に連携し、マドゥーロ政権打倒を目指し同政権を糾弾、その政策にことごとく反対してきた。   グリマは政権の外交政策調整集団だが、GPは12カ国出身の個人の集団だ。アルべルト・フェルナンデス亜大統領は昨年12月就任したが、就任前のGP設立時からの会員。就任直前の11月、ブエノスアイレスで第2回GP会合を開いている。   会員には大物が多い。ブラジル;ルーラとヂウマ・ルセーフの両元大統領、チリ;マルコ・エンリケス=オミナミ(大南)元大統領候補、メキシコ;クアウテモク・カルデナス元大統領候補、コロンビア;エルネスト・サンペル元大統領、赤道国;ラファエル・コレア前大統領、パラグアイ:フェルナンド・ルーゴ元大統領、ラ・ドミニカ―ナ(ドミニカ共和国);レオネル・フェルナンデス元大統領、ボリビア;エボ・モラレス前大統領、アルバロ・ガルシア=リネラ前副大統領、ぺルー;ベロニカ・メンドサ元大統領候補ら。スペインからホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元首相が参加している。   このGPは、フォロ・デ・サンパウロ(FSP=サンパウロフォ-ラム)や世界社会フォーラム( FSM)に近く、グリマ寄りのラ米の保守・右翼元大統領らの友好クラブと一線を明確に画している。   グリマは17年8月、12か国で始まり、現在は事実上14カ国。設立国だったメキシコは18年に発足したAMLO政権が事実上脱退し、同じくアルゼンチンもフェルナンデス現政権になってから距離を置いている。   グリマは今回、12月6日のVEN国会議員選挙を認めないとする声明を発表したが、亜政権は、署名を拒否した。グリマが米国と連携して「VEN暫定大統領」として支持・承認しているフアン・グアイドーVEN国会議長について「実権も施政実体もなく、亜国は承認していない」と切り捨て、「VENの国政選挙は重要であり、それを否定

ラウール・カストロ玖第1書記は末期癌:VEN紙報ず

   VEN紙エル・イムプルソ(本社・ララ州都バルキシメト市)は10月14日、キューバ共産党(PCC)のラウール・カストロ第1書記(89)は末期癌で、医師団の管理下にあると報じた。  VEN人記者ネルソン・ボカランダの署名記事。ラウールの娘マリエラ・カストロ=エスピンがずっと付き添ってきた、という。マリエラは玖性教育センター(CENESEX)所長。  ラウールは7月に公の場に姿を現してから10月6日に共産党政治局員会議に出席するまで3カ月間姿を見せず、健康問題がささやかれていた。    毎週火曜日にはハバナにある革命宮殿(大統領政庁・共産党本部)で政治局定例会議が開かれる。PCC機関紙グランマは、10月13日もラウールは出席し、議長を務めたと報じている。   ボカランダ記者は、情報源を明らかにしていない。玖VEN両国は最重要同盟関係にあり、VEN首脳部から同記者に情報がもたらされた可能性もある。  共産党は2021年4月半ば、第8回党大会を開く。ラウールは引退し、ミゲル・ディアスカネル大統領(政治局序列3位)が後継の第1書記に就任する人事が内定している。  キューバは長年の社会主義性政策の不備に加え、米政府による経済封鎖で経済が疲弊。そこにコロナ疫病COVID19の蔓延で、外貨獲得源の柱・観光産業が停止を余儀なくされ、外貨は底をついている。この苦境に対応するため、通貨一本化政策など、経済改革に躍起だ。  実兄フィデル・カストロ前第1書記は2016年に死去。ラウールも引退ないし死去するつれば、共産党、革命軍、政府の内部で権力闘争が起きる可能性も否定できない。 ▼外相が報告  ブルーノ・ロドリゲス玖外相は10月28日、玖外交の展開について立法機関向けに報告。キューバは197国・国際機関と外交関係をもち、127の在外公館・外交使節を有し、127のうちの69は兼務と明らかにした。  玖在外領事館は149、在外勤務の玖人外交官らは1325人、在玖外国公館・使節団は122。

キューバ、メキシコ、ボリビアが国連人権理事国に

   国連人権理事会の47理事国のうち15カ国が10月13日改選された。ラ米からはキューバ、メキシコ、ボリビアが選ばれた。キューバは国連加盟有権国193国中170カ国(88%)の支持を得て、5回目の理事国就任へ。国際派遣医師団のCOVID19との闘いなどが評価された。   他の12カ国は、中国、ネパール、パキスタン、ウズベキスタン、ウクライナ、ロシア、コートディヴォア―ル(象牙海岸)、ガボン、セネガル、マラウィ、フランス、英国。   理事国は必ずしも人権に関する国情を反映していない。ボリビアは昨年11月の軍事クーデターで生まれた非合憲暫定政権下にある。キューバは国内反体制派から厳しく批判されている。メキシコは殺人事件最多発生国の一つ。       キューバでは13日、反体制派が「クーバ・シ、カストロ・ノ」「共産主義はもう結構、変革を」「新たな囚人を出すな」などのスローガンを掲げた。   人権理事会は2006年に、前身の国連人権委員会から生まれた。理事国の任期は3年。今回選ばれた15カ国は21年元日就任する。   理事国47の配分は、アジアとアフリカが13ずつ、LAC(ラ米・カリブ)が8、西欧・その他が7、東欧が6。   今回、アジア枠に立候補したサウディアラビアは賛成票が90票しかなく落選した。各地域枠内では事前調整で立候補国を絞り落選を避ける習慣があるが、アジアはその調整が働かず、改選国数より1カ国多く立候補し、サウディアラビアが憂き目を見た。   このことは、各枠での立候補国が改選国数を上回れば競争が生じ、より民主的な選出が可能になるとの見方を生んでいる。                 

10月12日「コロンブス米州到達日」を考える

  10月12日は、イタリア人航海者クリスト―フォロ・コロンボ(コロン、コロンブス)が1492年に西大西洋バハマ群島のグアナハナ島(現サンサルバドール島)に到着した528周年記念日。欧州人にとっての「新世界」到達記念日だ。  ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領はこの日、スペイン国王フェリーペ6世に向けて、「国祭日として祝うのを止め、3世紀に及んだラ米植民地期にスペイン人が犯した先住民殺戮を詫びる日にすべきだ」と訴えた。  マドゥーロは、ある自動車道の名称「フランシスコ・ファハルド」(スペイン人入植者)を変更し、スペイン人侵入者に抵抗したVEN先住民の「首領中の大首領」グアイカイプーロの名を冠せた。  VENでは10月12日は「民族の日」(ディア・デ・ラ・ラサ)と呼ばれていた。先住民族とスペイン人ら欧州人が混血(メスティサへ)を始めた日という意味だ。だが2002年、当時のウーゴ・チャベス大統領は名称を「先住民抵抗の日」に替えた。  マドゥーロは、スペイン人はラ米先住民を8000万人も殺したとして、「何が民族(融合)だ」と糾弾。併せて「出会い(エンクエントロ)の日」という呼び方をも批判した。「新旧」両世界、二つの民族、二つの文明の出会いを意味する名称だ。  一大メスティーソ(混血民族)国メキシコでは「民族の日」の名称が用いられているが、AMLO現大統領は2019年3月、ローマ教皇フランシスコとフェリーペ6世に対し、謝罪を要求。このほど、あらためてスペイン国王に謝罪を求めた。  フランコ独裁期のスペインは10月12日を「ディア・デ・ラ・イスパニダー」と呼んでいた。「イスパニダー(スペイン性=偉大なスペインの在り方)」が始まった日という意味だった。とくにラ米から批判され、「スペイン国祭日」に改めた。  私伊高は記者時代に、フェリーペ・ゴンサレス、ホセ=マリーア・アスナル、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロのスペイン3首相や、マヌエル・フラガ元観光相(元ガリシア州首相)らに、「コロンブスの米州到達を<発見>と呼ぶのを止めるべきではないか」と質問した。彼らはこぞって、「いやあれは、確かに発見だったのだ」と断固譲らなかった。  「発見」を否定したり異論を唱えたりすれば、報道されて、スペイン国内で大問題になるのがわかっていたからでもあろうが、信念でもあったはずだ。

ボリビア大統領選まで1週間、決選ならば保守有利か

   10月18日実施のボリビア大統領選挙まで1週間。7候補が出馬しているが、上位2人が11月29日予定の決選投票に臨む公算が大きい。   昨年10月の大統領選挙で現職大統領エボ・モラレス(社会主義運動=MAS)が当選したが、白人系経済支配層が首謀した米国絡みの軍事クーデターで11月追い落とされ、モラレスはメキシコに脱出。12月にペロン派政権が登場して間もないアルゼンチンに亡命した。   クーデター派の極右ジャニーネ・アニェスが臨時大統領に「御手盛り就任」。アニェスは今選挙に出馬したが、不人気で9月、立候補を下りた。   各種世論調査では、モラレスの後継者ルイス・アルセ元経済・財務相(57)が支持率30%台前半で1位。次いで同20%台後半の、MNR(革命的民族主義者運動)のカルロス・メサ候補(67)。   保守主義のメサは2002年にゴンサロ・サンチェス=デ・ロサーダ大統領の下、副大統領になったが、03年10月、サンチェスが汚職や失政で追放されたため、暫定大統領に就任、05年まで務めた。   18日の第1回投票ではアルセが1位になるが、過半数得票は無理。「得票率40%、2位に10ポイント差をつける」という、もう一つの当選条件も満たせず、メサとともに決選に進出する見込み。   決選では、支持率が10%台前半で3位のルイス・カマチョがメサ支持に回り、メサが当選する可能性が大きい。カマチョは、サンタクルースデラシエラ財界の極右で、昨年のクーデターの首謀者だった。   アニェス暫定政権は、「モラレス憎し」から形振り構わずアルセ落選運動を展開。国家選挙理事会(CNE=中央選管)は、政府の違法行動に沈黙している。 ▼最終世論調査では42%対31%   10月12日発表の最終支持率調査でルイス・アルセは42%、カルロス・メサは31%。3番手はルイス・カマチョは16%だった。   支持率3%弱で5番手のホルヘ・キロガ元暫定大統領(2021年自由党)は11日、「決選進出は困難」として、出馬を取り下げた。        

墨大統領がNYTを批判し今年の送金収入は400億ドルと指摘

   墨西哥のAMLO大統領がNYT紙の「倫理と職業意識」を批判した。同紙はこのほど、コロナ疫病COVID19により在外メキシコ人からの今年の送金は激減する見込み、と報じた。これに対し大統領は10月9日の定例記者会見で、「送金は過去に例を見ないほど増えており、年末には400億ドルに達するもよう」と反論した。    AMLOは、ほとんどが在米の家族や同胞から送金を受ける1000万家庭を潤すだけでなく、公共支出を賄うことになると指摘した。   大統領はNYT紙を批判したのに続けて、過去の墨諸政権にとって同紙に載ることはステイタス上、重要だったし、同紙の論説の多くは墨政治家の同意を得て掲載されていた、と暴露した。   また今年の墨民間企業の投資額は3000億ペソ(約136億ドル)で、400億ドルの送金額と比べ物にならないと述べた。送金は民間企業のコロナ禍による打撃を和らげた、とも語った。   国内大中小計100万社強の私企業が社会保障制度に加入しており、私企業は雇用や投資を通じて国内経済の7割を支えている、とも指摘。送金のうち、270億ドルは、社会福祉に回されると述べた。   一方、墨国立自治大学(UNAM)「開発研究計画」所属の研究者によると、メキシコの極貧層は2018年の2100万人から20年6月現在の3300万人に増えた。            

キューバが「通貨統合」と賃金・物価政策策定へ

   ミゲル・ディアスカネル玖大統領は10月8日、マヌエル・マレーロ首相と共に記者会見し、伝統的通貨ペソ(CUP)と「代理外貨」とも呼ぶべき兌換ペソ(CUC)の2種類の国内通貨をペソに一本化する「タレア・オルデナミエント」(<整理業務>)を開始すると明らかにした。その詳細は「いずれ発表する」と述べた。   政府は昨年末、CUC廃止を決定、部分的に使用を禁止してきた。現在、一本化に備え、CUCの使用は大幅に制限されている。国民は政府の要請に従い、CUCのペソへの換金を急いでいる。一本化が成れば、キューバで使用される通貨はペソと、米ドルを中心とする「自由交換通貨」(MLN)と呼ばれる一群の「強い外貨」の2種類となる。   大統領はまた、向こう数か月内に種々の補助金廃止と併せて労働者の昇給を実施する、と明らかにした。これは物価上昇を伴うが、その上昇を賃金上昇が上回るようにするため、購買力は増えると説明した。    補助金は「リブレタ」(食料品配給手帳)記載の23品で廃止される。このため、たとえば輸入米1ポンドは、現行の25セントから7ペソ(CUP)へと28倍に上昇する。   現在の給与・賃金は、週44時間労働で月に最低400ペソから最高2515ペソまで32段階に分けらている。高度技術労働や、重責を担う職場や職位は報酬が高くなる仕組みだ。   これが昇給で、最低2250ペソ、最高1万3148ペソになるもよう。最低賃金は、「カナスタ・バシカ」(4人家族の月当たり生活日)である1500ペソの1・5倍として計算されている。   この「補助金廃止・賃上げ・物価上昇」の実施過程で、「兌換ペソ」(CUC)廃止も実施される。CUCは現在、公定で売り24 CUP、買い25CUP。公定は1CUC=1米ドルだが、実勢は1ドル=35CUCになっている。   通貨統合(一本化)に伴い、革命以来続いてきた「公定1ペソ=1米ドル」は見直され、ペソの大幅切り下げが予想されてる。          

亜国ペロン派政権が人権外交で米国に同調

   ジュネーブの国連人権理事会は10月6日、VEN人権状況に関する「事実確定任務」を2年間延長する決議案を、賛成22、反対3、棄権22で可決した。   賛成国には、亜伯智秘URUのラ米5カ国、バハマ、日韓などが含まれている。棄権国にはメキシコ、インドが加わっている。反対はベネズエラ、フィリピン、エリトリア。   注目されたのは、ペロン派政権のアルゼンチンが「対VEN批判外交」に転じる賛成票を投じたこと。国際通貨基金(IMF)などに巨額の債務を抱えるフェルナンデス亜政権は、米国の圧力に屈したと見なされている。米国は人権理事会を脱退している。   ホルヘ・アレアサVEN外相は、賛成に回った亜国に遺憾の意を表明した。また制憲議会(ANC)のディオスダード・カベ―ジョ議長は、「亜VEN外交を正すため、VEN駐在大使をペロン派左翼陣営から派遣してほしい」と呼び掛けた。   亜国の駐VEN大使を2006~11年務めたアリシア・カストロ大使は、アルベルト・フェルナンデス大統領の「変節」に怒り、すでに任命されていた次期駐露大使の職を辞した。   カストロ大使の駐在したVENはチャベス時代だった。亜国はネストル・キルチネルと妻クリスティーナ・フェルナンデスのペロン派左翼政権期で、両国は蜜月時代にあった。   昨年末に発足した現政権は、フェルナンデス大統領がペロン派中道、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領が同左翼。   一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は6日、スイスのユルグ・スプレシャー新駐VEN大使から信任状を受理した。スイスは、フアン・グアイドー国会議長とマドゥーロ大統領をそれぞれ認めている。   だがスイスは欧州諸国に同調して、厳しい対VEN外交を展開していた。それだけに「意外性」のあるこの日の信任状受理の儀式を、VEN国営テレビは細かく中継した。 ▼亜国大統領が反論   アルベルト・フェルナンデス大統領は10月11日、国連人権理事会での投票はイデオロギーとは無関係で、「VEN国民に早く共存共生状態を取り戻してほしいとの願いからだ」と強調した。   大統領はさらに、「対VEN軍事介入は許しがたいし、経済封鎖にも反対する」と、従来からの立場を表明した。 ▼バイデンが集票演説でVEN批判   米民主党の大統領候補ジョー・バイデン前副大統領は10月6日、ラ米系有権者の多いマイア

米南方軍司令官が「対VEN工作は機能」と言明

    米南方軍(司令部マイアミ)のクレイグ・フォーラ―司令官は10月5日、起業家や保守派研究者らとの遠隔テレ会合で、マドゥーロVEN政権打倒工作は機能しているが、結果が出るまでには時間がかかる、と述べた。  VENは、米軍が11月3日の米大統領選挙を前にVENへの軍事工作をする可能性があると見て、長らく警戒してきた。今回のフォーラ―発言を受けても、厳戒態勢を緩める気配はない。  同司令官は、マドゥーロ政権が持ちこたえてこられた理由として、「キューバが諜報、ロシアが軍事と経済、中国が投資、イランが石油を、それぞれVENに援助してきたため」と分析した。    また、VENが仮想通貨を用いて、米国による制裁をかいくぐっていると指摘した。VENは、価値がなくなっている通貨ボリーバルでなく、1バレル当たりの国際原油価格(米ドル)に連動する仮想通貨(ペトロ)を用いてきた。  トランプ米政権はVENだけでなく、キューバとニカラグアの動向も注視している。フォーラ―は、「これら3国は米国にとって脅威」であるとして、米国一国ないし諸国と共に脅威に対応しているとも語った。この場合の「脅威」は「米政府の意志に従わず歯向かう」という意味に近い。  司令官はラ米一の同盟国コロンビアを礼賛。ブラジル、チリ、エル・サルバドール(ES)も、米国のラ米戦略の重要な連携相手だ。  会合にはジーン・メイネス副司令官(元駐ES大使)も参加。「COVID19が蔓延する状況の下、コロナ対策を口実に弾圧を強化する国が増えている」と指摘した。 ▼ラウール・カストロ第1書記の健康状態に「懸念」  フォーラ―司令官はキューバについても触れたが、同国の最高指導者ラウール・カストロ共産党第1書記(89)は7月上旬、テレビに登場して以来、公の場に姿を見せておらず、「健康不安説」がささやかれていた。  マイアミ在住の玖人ジャーナリスト、フアン=フアン・アルメイダは、カストロ体制の内部事情を暴露することで知られるが、10月5日のビデオ番組で、「9月29日火曜日の玖共産党政治局定例会議が開かれなかった」として、「重病」を含むラウールの健康不安説に触れた。  アルメイダは、故フィデル・カストロの側近だった故フアン・アルメイダ革命司令官の息子。カストロ兄弟の子息たちと幼少時代から親しく、玖政権と袂を分かって出国し、マイアミに定住した

教皇回勅:コロナ後は「万人の幸福」のため政経改革を

  ローマ教皇フランシスコは10月4日の日曜礼拝で、コロナ疫病の世界的蔓延により、市場万能の新自由主義の「魔術的理論」は失敗したと指摘。世界は対話と連帯を促進し、巨額の資金の要る戦争を拒否する新しい政策を必要としている、と強調した。  教皇の名の基になっている聖フランシスコ・デ・アシスの聖祭日に当たるこの日、教皇はこれまで発してきた社会教育をまとめた回勅を「皆きょうだい」と題して発表。その中で「ポストコロナ期」の展望を語った。  フランシスコ教皇は同回勅で、過去何世紀にも亘って「正義の戦争」という考え方があったが、現代には通用しないと述べ、「正義ある防衛手段」として戦争を正当化していたカトリック教会の教義を否定した。  教皇はこの回勅をCOVID19流行前から書きつつあったが、その蔓延を受けて、政経政策は疫病で最も打撃を受けている弱い人々に対応すべく改革せねばならない、との判断に達したという。  そのうえで、「悪霊に取りつかれたようになり孤立するような人民主義(ポプリズモ)」の政策を糾弾。対話、連帯、「万人の幸福」を醸成する「出会いの文化」を つくるべく求めた。  さらに、多数者を貧困に、少数者を富裕にするグローバル経済制度を批判。 個人資産の絶対的所有権に反対し、地球の資源を万人が分かち合えるようためには「社会的意志」や「万人の幸福」という考え方が不可欠だとした。    

旧コロンビアゲリラFARCが大物暗殺を告白

   コロンビアの左翼政党「人民革命代替勢力」(FARC)が、前身の共産党系ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)時代に大物政治家ら6人を暗殺していたことが明らかになった。犠牲者には、保守党の元大統領候補で「エル・シグロ」紙編集主幹だったジャーナリストのアルバロ・ゴメス=ウルタードも含まれている。   和平特別司法当局(JEP)は10月3日、旧ゲリラ書記局員だった現FARC党幹部たちが9月30日の声明で暗殺の事実を明るみに出した、と発表した。ゴメスは1995年11月2日、首都ボゴタの自宅アパートを出たところを殺害された。  当時ゴメスは、エルネスト・サンペル大統領が麻薬マフィアからもらった500万ドルを選挙資金として当選したとする論陣を張り、サンペル追い落としを図っていた。ゴメスの遺族は、サンペルを「暗殺の黒幕」として糾弾してきたが、その見方を依然変えていない。  ゴメスは、「ボゴタソ」(1948年のボゴタ大騒擾事件)後の1950年代初頭、政権にあったラウレアーノ・ゴメス=カストロ大統領の息子。同大統領は右翼強権政治家で、政敵が多かった。  息子アルバロ・ゴメスは80年代末、大統領選挙に出馬したが、民主党のビルヒリオ・バルコに敗れた。後に私(伊高)は自宅アパートを訪ねインタビューしたが、ゴメスは「あなたもジャーナリストだからわかるでしょうが、私はジャーナリストとして何でも中立的立場で見たり判断したりする習慣が身についていて、政治には今一つ熱心になれないのですよ」と述懐したものだ。大型の拳銃を腰に付けた屈強な身辺警護の男たちが目を光らせていたのを記憶している。  ゲリラFARCが暗殺に関与したのは他に、フェルナンド・ランダーサバㇽ退役将軍(1998年)、政府和平顧問ヘスース・べハラーノ氏(99年)ら5人。  政府(サントス前政権)とFARCはハバナでの長期交渉を経て2016年に和平合意に達し、政党FARCは国会下院に指定議席を得た。  だが極右支配層は殺し屋を使って、標的の人権活動家や労組幹部らに加え、FARC党員多数を殺害してきた。今回のFARCの告白が党員殺害に拍車をかけるのではないかと懸念されている。     

ホンジュラス<不法移民>が米国目指すも、トランプ派戦略か

   米墨国境を目指すオンドゥーラス(ホンジュラス、HON)人約2000人がグアテマラ国境地帯で足止めを食らいつつも入国しているが、この動きには、11月初めの米大統領選挙で劣勢のドナルド・トランプ大統領への<援護射撃のための動員>との見方がある。「中米人の国境殺到」は、不法移民取締りを叫んできたトランプに有利に働くと考えられるからだ。  メキシコのAMLO大統領は9月2日、HON北部にある同国最大都市「サンペドロスーラで2000人の移民キャラバンが組織された」と述べ、1カ月後に迫った米大統領選挙との関連を示唆した。2018年の米中間選挙直前にも同様の動きが見られた。  グアテマラ軍と警察は国境地帯でHON人一行に対処しているが、一行は約1000人ずつの2集団に別れ、一方はグアテマラ北部、もう一方は首都グアテマラ市に向かおうとしていると明らかにした。  コロナ疫病状況下にあるため、グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ大統領は、「流入したHON人は感染源になる可能性があり、HONに送還する」と口にしている。だが右翼のジャマテイはトランプと親密で、本来ならば「不法移民殺到作戦」に乗ってもおかしくない。真意は不明。  一方、墨保健当局はコロナ感染の懸念を表明し、HON人集団が領内に入ったら取締まると公言している。しかし、トランプが折しもCOVID19に感染し入院するちは皮肉極まりない。

キューバ軍部の企業運営責任者への米制裁が波紋呼ぶ

  米政府は9月30日、玖革命軍少将でラウール・カストロ共産党第1書記(89)の元女婿であるルイス=アルベルト・ロドリゲス=ロペスカジェハスGAESA社長に対し、在米資産凍結と対米金銭取引を禁止した。米国務省ラ米担当当局者は、今回の措置について、玖最高指導部への「制裁」に向けての第一歩と示唆している。  GAESA(企業経営集団)は、玖軍部支配下にある企業体の「経団連」のような組織で、玖経済の7割方を握っているとされる。とくに玖政府が7月、本格的に進め始めた米ドル販売店網運営などドル経済部門の実質的支配者だ。  一方、通貨ペソ(CUP)に基づく、食糧・食品など国民経済を扱う関係省庁は、外貨事情逼迫により、食糧をはじめ生活必需品の輸入が ままならなくなっているため、四苦八苦してる。その責任的地位にいる軍高官らは、ドル経済を牛耳るGAESAに反目している。  軍部内の「GAESA派」と「CUP派(別名「豆入りご飯派」)」の確執は、コロナ疫病COVID19の蔓延と11月3日の米大統領選挙結果待ちにより小康状態にあった。だがGAESAの総帥ロペスカジェハスが米国の「制裁」に遭ったことで、確執が新たに関心を集めている。  2021年4月半ばには第8回玖共産党(PCC)大会が予定され、ラウールは第1書記を任期満了で辞めることになっている。後継者はミゲル・ディアスカネル大統領と予測されているが、ラウールの懐刀の一人ロペスカジェハスをも巻き込んだ軍部内の確執が、新第1書記決定に影響を及ぼすのか否かが人口に膾炙されつつある。  無論、米政府の今回の「ロぺスカジェハス狙い撃ち」が、10月半ばマイアミで開かれる第2回大統領候補討論会を前に玖系有権者の票田を固めたいトランプ陣営の思惑を反映しているのは疑いない。