ベネズエラ軍が伯国境地帯で演習、露軍要員も参加

  ベネズエラ国軍は、ブラジルと国境を接する南東部のボリーバル州のサバンナ地帯でロシア軍要員を交えて演習。11月3日の米大統領選挙前後に「起こりうる不測の事態」に備えて警戒している。「不測の事態」は米南方軍のVENへの軍事介入を意味する。

 ブラジル軍はVENとの国境に近い地域で9月4~23日、「アマゾナス作戦」と名付けた軍事演習を実施した。兵員3500人と、多連装ロケット弾発射装置、軍用機、戦車などが用いられた大掛かりな演習だった。

 同時期に米南方軍はカリブ海で演習していた。マイク・ポンぺオ米国務長官の「VEN包囲外交」(スリナム、ガイアナ、ブラジル、コロンビア歴訪)と時期が一致していた。

 コロンビアには米軍共用の軍事基地7か所があり、米軍部隊も7月から同国内に展開している。名目は「麻薬取締まり」だ。ブラジルとコロンビアは極右政権下にあり、トランプ政権のマドゥーロ打倒戦略に加担。コロンビアとVENは断交、ブラジルは対VEN外交を打ち切っている。

 マドゥーロVEN政権は、ブラジル軍と米軍の演習およびポンぺオ歴訪を「危険信号」と捉え、厳戒態勢に入っている。露軍要員は伯軍演習後の10月9日、サバンナ地帯に到着している。ロシア製地対空ミサイルを扱う技術要員の可能性がある。

 トランプは先ごろマイアミ遊説中に、「私が再選されたらVENで何かが起きる」と発言している。再選されれば次の出馬はあり得ず、したがって有権者の反応を気にすることなく対VEN軍事介入が可能になるという示唆と、VENは受け止めている。

 だが、大統領選挙の選挙戦終盤で支持率逆転を狙うトランプ陣営が形振り構わぬ人気とり戦術として軍事行動に出る可能性をもVENは依然警戒している。露軍要員の演習参加は、南方軍、伯・コロンビア両軍への牽制策であろう。

▼国会が選挙監視団結成

 反政府勢力が多数派のVEN国会は10月20日、野党議員5人、保守系「市民社会」代表4人で構成する、国会議員選挙監視団を結成した。反政府勢力の大勢は、12月6日実施の同選挙をボイコット済みで、参加しない。

▼トランプ政権が秘密交渉し失敗

 10月20日明らかになったところでは、今年9月トランプ米政権は国家情報省リチャード・グレネル暫定局長(当時)をメキシコに派遣、マドゥーロVEN政権の重鎮ホルヘ・ロドリゲス情報・通信相と会談させた。交渉によりニコラース・マドゥーロ大統領を退陣させる目的だったが、VEN側は当然拒否、話し合いは決裂した。


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