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ハバナが9月半ばまで夜間外出禁止令実施

  玖首都ラ・アバーナ(ハバナ)のあるラ・アバーナ州のレイナルド・ガルシア知事は9月1日、夜7時から朝5時までの夜間外出禁止令を発動した。コロナ疫病の蔓延を抑え込むためで、9月15日まで実施される。  首都には非公用車11万台が走っているが、緊急必要時以外の走行はできない。不要不急の外出や運転をした者には、最高5000ペソ(CUP=約200米ドル)の罰金が科せられる。  玖でのコロナ疫病状況は、3月31日~8月31日の期間に感染者4032人、死亡者94人。  一方、米国ホテルチェーン「マリオット」は9月1日、玖国内唯一の傘下ホテル「シェラトン・フォーポイント」の営業を打ち切った。米政府の認可が8月末に終了したため。  これは米政府の対玖経済封鎖の一環。 

ビデオ審査のタンゴ選手権でコロンビア組が優勝

 アルゼンチン国際タンゴ祭兼世界選手権は8月末、計200組がブエノスアイレスでのビデオ審査に参加、最終日の30日、各部門の優勝者が決まった。  アクロバット性の強い「舞台踊り」の部では、コロンビア人のディアナ・フランコ、バレンティン・アリアス組がクリック投票で7833票を得て優勝した。この二人は17年3位、18年2位、19年5位の実力組。    亜国タンゴの王様カルロス・ガルデルはコロンビア公演中の1935年6月、メデジン市内の空港を飛び立った乗機が別の機と空中衝突、44歳で死亡した。この事故も縁となって、コロンビアはラ米で亜国、ウルグアイに次ぐタンゴ愛好国となってきた。  「サロン踊り」の部では、亜国のルイーズ・フンケイラ、マルコス・ロバーツ組が6530票で優勝した。  これら踊りの部には、タンゴの本場である亜国とウルグアイのほか、ブラジル、コロンビア、ボリビア、日本、韓国、マレーシア、米国、イタリア、スペイン、スイス、ロシア、ノルウェーから参加した。  歌唱部門では亜国のマリーア・パス、演奏部門では同アンダリエガ楽団が、それぞれ優勝した。  例年は1万2000人収容のルナパークで催されるが、今年はコロナ禍によりビデオ審査会となった。亜国では30日現在、感染者40万9000人、死亡者8457人が出ている。    

ウルグアイ軍部の犯罪解明に遺族の会が動く

 ウルグアイ軍政期(1973~85)の人道犯罪の細部が8月27日、 新たに暴露された。軍部が犯した人道犯罪犠牲者の遺族組織「ウルグアイ逮捕・行方不明者の母と家族の会」はこのほど、解除された軍事法廷の機密記録から、軍政期の政敵抹殺部局「謀反取締作戦調整機関」(OCOA)に所属していた諜報機関幹部ヒルベルト・バスケス退役陸軍大佐(75)の罪状や証言内容を確認し、27日モンテビデーオで記者会見し明らかにした。   それによれば、バスケスは2006年に軍事法廷で、軍政期に関与した人道犯罪を自白していた。アルゼンチンで逮捕されたウルグアイ人たちを2回に亘り空路ウルグアイに連行、拷問し抹殺した。  当時のニクソン米政権の肝いりで南米南部の軍政諸国が協力し合って政敵(左翼、知識人、労働・人権活動家ら)を逮捕し、出身国に身柄を渡す1970年代の「コンドル作戦」の一環だった。当時のヘンリー・キッシンジャー国務長官が密接に関与していた。  バスケスは25人の拷問・殺害に関与、09年に禁錮25年の判決を受けた。また、著名なアルゼンチンの詩人、故フアン・ヘルマンの息子夫婦の殺害に関与し、2人の娘マカレーナ・ヘルマンをウルグアイ人家庭に渡した。この件では11年に禁錮30年を言い渡された。  バスケスは、これだけの罪を犯しながら現在、自宅軟禁処分を享受している。  マカレーナが祖父ヘルマンの孫だと知ったのは2000年のこと。ヘルマンの運動と内外人権団体の支援活動の成果だった。祖父と孫は初めて会い、マカレーナの真の出自が確定した。劇的な対面として大きく報じられた。  軍事法廷記録でバスケスは、「私は殺してはいない。処刑したのだ。拷問したのではなく自白を強要したのだ」とうそぶき、「後悔していない」と述べている。  バスケスはまた一時逃亡し、地下結社に加入。人道犯罪を追及していた左翼・進歩主義の拡大戦線(FA)党第1期政権期のタバレー・バスケス大統領を襲撃対象に含めていた。   軍部はこれまでバスケスの軍事法廷証言を隠していた。「母と家族の会」のイグナシオ・エランドネア代表は、軍部の「事実隠し」を糾弾。06年当時、バスケス証言を知る立場にあったギド・マニーニ前国軍司令官(62)らを非難した。  マニーニは退役後、政界に転じ、極右政党「開かれた議会」(CA)党首となり、20年2月から国会上院議員を務め

ベネズエラがブラジルとの関係改善に動く

 ベネズエラが南の隣国ブラジルとの関係改善に動き出した。西の隣国コロンビアが米国と組んでVENに軍事攻撃をかける可能性が出ている今、南部国境の安寧を保ちたい思惑が窺える。  極右のジャイール・ボウソナロ大統領の伯政権はトランプ米政権と緊密で、マドゥーロVEN政権との関係は冷ややかで低迷している。   ホルヘ・アレアサVEN外相は8月27日、伯外相経験者であるセルゾ・アモリム、アソイジオ・ヌネス両氏と遠隔会談し、イデオロギーの違いを超えて対伯関係を再構築したいと伝え、エルネスト・アラウージョ伯外相への仲介を依頼した。  アレアサは7日、アラウージョに書簡で、コロナ疫病対策での協力を呼び掛けている。  アレアサは今回、コロナ対策だけでなく、安全保障、通商維持、活動停止状態にあるウナスール(南米諸国連合)の活性化など、広範な問題を話し合いたいと伯側両氏に伝えた。 ▼VEN外相が国連改革を求める  J・アレアサ外相は8月26日、「グローバル統治と開発」と題して開かれた国内会合で、国連は「一国支配」を止めさせるためにも改革すべきだ、と述べた。「一国」とは、VENが軍事攻撃を警戒している米国を指す。  アレアサはまた、国連の他に国際通貨基金(IMF),世界銀行、北大西洋条約機構(NATO)なども、諸国民のために役立つよう改革せねばならない、と指摘した。  さらに、VEN はロシア、インド、中国、南アフリカなど新興経済大国との関係を重視すると述べた。 ▼伯がVEN駐在官を「好ましからざる人物」に指定  ブラジル外務省は9月4日、VEN在伯外交官35人を「好ましからざる人物」に指定した。だが出国命令は出さず、希望者は外交官資格無しで滞在可能とした。  断交通告もしていない。だが8月末に関係改善を求めたVENに拒否の返事を突きつけたことになる。背景には、対VEN敵対政策をとるトランプ米政権の意向がある。 ▼伯がVEN外交官の外交官特権剥奪  ブラジル政府は9月18日、在伯VEN人外交官の外交官特権を剥奪、外交官専用車使用などを禁止した。決定は、同日のマイク・ポンぺオ米国務長官の伯ボアヴィスタ市訪問に合わせて為された。             

ルビオ米議員がトランプにベネズエラ侵略を進言

 米共和党キューバ系右翼のマルコ・ルビオ上院議員は最近、11月3日の米大統領選挙でラテン系票を固めるためにベネズエラに軍事攻撃をかけるべきだと、再選を狙うドナルド・トランプ大統領に進言した。軍事侵攻があるとすれば10月が有力視されている。  メキシコの「ラ・ポリティカ・オンライン」が8月24日伝えたところでは、ルビオの地元フロリダ州にはラテン系住民が多いのだが、VENを侵略しマドゥーロ政権を倒せば、同州の「大統領選挙人29人を獲得できる」とルビオは述べた。  米軍が軍事攻撃をかける場合、VENと2200kmの国境を共有する隣国コロンビアを前進基地に使う公算が大きい。同国内には米軍がコロンビア軍と共同使用している軍事基地7カ所がある。  トランプ大統領のロバート・オブライエン国家安保担当補佐官は8月17日、コロンビアを訪問、イバン・ドゥケ同国大統領と対VEN戦略について協議した。補佐官には米軍の「ラ米探題」である南方軍のクレイグ・フォーラ―司令官が同行した。  補佐官訪問の後、ブラディーミロ・パドゥリーノVEN国防相は、コロンビアからのいかなる軍事侵攻にも対応する態勢を整えている、と表明した。   このほど、ドゥケが公言した「VENがイランからミサイルを買おうとしている」との見方は、「米・コロンビア連合軍」がVENを攻撃する可能性のある緊張した状況下で出てきた。  ニコラース・マドゥーロ大統領は、「買い付け説」は否定せずに、「VENはロシア製最新型の地対地・地対空ミサイルを要所要所に配備している」と語っている。     一方、ラ米情勢専門家筋によれば、米国のマイク・ペンス副大統領とマイク・ポンぺオ国務長官はホワイトハウス内の右翼で、ルビオと肌合いが合う。だがペンスとポンぺオは昨年、VEN侵攻を主張した当時のジョン・ボルトン大統領国家安保担当補佐官に反対、それがボルトン更迭の主要な原因の一つになったという。  同筋は、ルビオのVEN侵略の進言も、ペンスとポンぺオの反対に遭う可能性があるが、対立候補に支持率で水をあけられているトランプが形振り構わずVEN攻撃に出る公算は少なからずあると見ている。 ▼コロンビア元上院議員が指摘  著名な人権活動家であるピエダー・コルドバ元議員は8月26日、コロンビアは米軍のベネズエラ攻撃のための基地になっている、と指摘した。

「私は米-コロンビアの暗殺の標的」とベネズエラ大統領

  ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月23日、ジャーナリストであるエルネスト・ビジェガス文化相によるインタビューで、(トランプ米政権になってからの)過去数年来、米国が首謀しコロンビアが共謀する自身(マドゥーロ)および、VEN民・軍体制指導部を暗殺する陰謀が続いている、と語った。  一例として、18年8月4日カラカス市内の目抜き通りで催された国家警備隊(GNB)式典のさなか、飛来したドローン1機が大統領らのいた場所の上空で爆発した事件を挙げた。このインタビューは国営テレビ(VTV)で伝えられた。  マドゥーロ政権は昨年、トランプ政権による実体のない「グアイドー傀儡政権」擁立などをめぐり、米・コロンビア両国と断交した。米国の対VEN外交前進拠点は、コロンビアの首都ボゴタだ。このため米・コロンビア両国の対VEN戦略は一層緊密に協議・策定されている。  大統領はまた、トランプ大統領のエリオット・エイブラムス対VEN特使が米議会で先ごろ、「今年12月までにマドゥーロを排除すると発言した」として、「彼の(国家テロ)犯罪歴からすれば、警戒すべき発言だろう」と指摘した。  マドゥーロは前日22日には、「ボリーバル主義人民会議」(CBP)のテレ会合で、コロンビア大統領イバン・ドゥケを非難した。ドゥケはこのほど、「VENはイランから短・中距離ミサイルを買っている」と証拠を挙げずに発言、「ロシアとベラルーシが介在している」ことを示唆した。  マドゥーロはこれを受けて、「そうか、そうだった。イランは技術が優れている。ドゥケよ、ではミサイルを買い付けるとするか」といなした。  また「VENにはロシア製最新型の地対地・地対空ミサイルが配備されており、この点はラ米一だ」と述べた。しかし「イランからの買い付け」自体は否定しなかった。 ▼イランと米国も言及  イラン外務省は8月25日、同国とベネズエラは「仲介者を全く必要としない」と表明した。これはコロンビアのイバン・ドゥケ大統領が「ロシアとベラルーシが(ミサイル取引の)仲介をした」と示唆する発言をしたのを受けたもの。  一方、マイク・ポンぺオ米国務長官は25日、「VENがイランから殺傷力の強い兵器を買うという情報には驚かない。これぞまさに、我々がイランへの国連制裁を再開させたい理由だ」と述べた。 ▼VEN外相が反論  ホルヘ・アレアサV

「太平洋とはどんな海か」ーピースボートでテレ講座

  日本人が誇るべき「平和建設の一大ソフトウェア」である国際NGO「ピースボート」(平和船=PB)=本部・東京高田馬場=が、2017年の「核兵器禁止条約」採択を促進した「ICAN」(核兵器廃絶国際キャンペーン)で中心的役割を果たしたことは記憶に新しい。ICANは同年、ノーベル平和賞に輝いた。  私はPB世界一周航海の船上講師を務めてきたが、ICANとの関係では2016年の北大西洋航路が印象深い。アイスランドからNYまで、原爆投下に関与した2人の米国人の孫が乗船し、日本人船客群を前に講演・質疑応答会を開いたのだ。私はこの船に、ロンドンのテムズ河口の港ティルべリーから乗っていた。  その2人の孫は、広島・長崎への原爆投下を命じたハリー・トルーマン米大統領の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルと、原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の爆弾投下技術士の孫だった。クリフトンの瞳の形状と光は何と、映像や写真で見た祖父と全く同じだった。  日本側パネラーには、PB共同代表でICAN幹部の川崎哲、国際政治学や平和学の専門家・武者小路公秀らがいた。  日本人船客には「原爆投下への謝罪」を求める声があったが、2人の米国人は謝らなかった。その代わりに、現代の日米両国民が理解し合えるよう努力する必要を説いた。私は2人と個別に話し合った。それは私にとっては取材でもあった。  PBとICANはNYでは国連本部で、核兵器禁止条約採択に向けてキャンペーンを張った。これは、ほんの一例に過ぎないが、こうした長年の地道な積み重ねが条約締結とN平和賞に繋がったのだ。  とくに重要なのは、広島・長崎の被爆者、同在外被爆者たちをPB船に乗せ、世界各地で講演会を催し、各国首脳や報道機関に核兵器廃止を訴えてきたことだ。  ▼前置きが長くなったが、PBはコロナ禍により、昨年12月~今年2月の第103回航海(豪州・メラネシア巡り)を最後に航海を休止している。  そこでPBは、乗船を熱望する多くの人々に応えるため昨8月22日、高田馬場のPB拠点で「第1回PB地球一周船旅オンライン」を催した。10~17時の7時間に亘って、40近いさまざまな「船内企画」が繰り広げられた。  私は午後の75分間、PBの椎名慈子(のりこ)職員とともに「太平洋とはどんな海か」というテレ講座を開いた。  2万5000年前にモンゴロイドがアメリ

メキシコ市でのトロツキー暗殺死から80年

  ロシア革命の立役者の一人で赤軍創設者にしてソ連最高指導部に所属したレオン・トロツキ―が1940年8月21日、暗殺死を遂げてから80年が経った。  トロツキーは政敵スターリンから1929年追放され、1937年1月、ラサロ・カルデナス大統領期のメキシコに亡命、首都メキシコ市コヨアカン地区の住宅に居を定めた。  39年3月、40年5月の2回暗殺未遂事件に遭うが生き延びた。だが40年8月20日、スターリンの秘密警察NKVD(内務人民委員部)に雇われたバルセローナ生まれのスペイン人ラモーン・メルカデルに油断し気を許していたためピッケルで脳天を割られ、搬送された病院で翌21日死去した。60歳だった。  政敵を追い詰めて止めを刺す「スターリンの長い手」(秘密警察)の暗い名声は頂点に達した。  暗殺者メルカデルは禁錮20年の刑に服した後、革命後間もないキューバで静養し、フルシチョフ政権下のソ連に還る。だが暑いキューバを好み移住、ハバナで78年に65歳で死んだ。  トロツキーは壁画家ディエゴ・リベラ、画家フリーダ・カロ夫妻の世話でコヨアカンに住んだ。フリーダは夫の浮気癖に対抗するかのようにトロツキーと関係を結ぶ。彫刻家イサムノグチとも同様の関係になった。トロツキー夫人は夫の浮気に心を痛めていた。  私(伊高)は1967~74年、メキシコ市とクルナバカ市で壁画家ダビー・A・シケイロス(故人)と取材で交流したが、画伯は「トロツキ-を殺す意志はなかった」と言っていた。  スターリンの命令で1940年5月、トロツキーの館を急襲し発砲したコマンドを率いたのが当時、墨共産党(PCM)の党員だったシケイロスであった。リベラも一時期、PCMに属していた。

パナマ海事庁が「WAKASHIO」を2回点検と表明

 パナマ海事庁(AMP)商船局のラファエル・シガルイスタ局長は8月20日、パナマ船籍の大型貨物船「WAKASHIO」がモーリシャス沿岸で座礁した事故との関連で、同船は豪州ヘドランド港で2月14日、川崎港で3月1日、それぞれ船体検査をしていたと明らかにした。  局長はまた、「パナマはいいかげんな基準で船籍を与えることはない。今年拒否した船はすでに118件に上る」と述べた。さらに「20人の乗組員は熟練証明書を持ち、各自が職務を十分にこなす能力を備えている」と強調した。  同局長らパナマ政府調査団は今週末、モーリシャスに行き、事故の調査に当たるという。  「WAKASHIO」(若潮か)は岡山県笠岡市の長鋪汽船が所有し、管理している。それを商船三井がチャーターし、インド洋経由でブラジルに向かっていたところ、モーリシャス沿岸の珊瑚礁に7月25日座礁、漂流状態となり、燃料の重油約1000トンが流出した。  その後、全長300mの船体は真っ二つに割れた。モーリシャス海事当局は8月20日、近隣の仏領レユニオン島当局などと合意し、船体前方部を海底に沈めるため、沖合22キロ(水深3180m)の海域に曳航した、と発表した。  モーリシャスをはじめ近隣沿岸諸国は生態系保全と海洋観光維持の両面から、海洋環境汚染の深刻化を懸念。同国は仏印両国などの支援を得て、すでに対策を講じている。事故当事国である日本の「対応の遅れ」に批判が出ている。  

トランプ米政権が「新しいラ米政策」打ち出す

  トランプ米政権が「新しいラ米政策」を発表した。その骨子は、①国家の安定、②経済成長促進、③民主および法治の促進、④外国(ラ米域外)の影響力阻止、⑤思想の近い諸国との同盟、の5点。政策は「西半球戦略枠組み」と銘打たれている。  これはドナルド・トランプ大統領のロバート・オブライエン国家安保担当補佐官が8月16日、マイアミ北方ウェストパームビーチのコロンビア・ベネズエラ系社会で打ち出した。「新しい」というのは、ブッシュ政権が2005年に発表して以来の総合的なラ米政策だからという。  注目される④は、モンロー教義宣言を踏まえており、ラ米からロシア、中国、イランなどの政経両面の影響力を排除ないし規制するのが狙い。具体策としてたとえば、「対中交渉能力をラ米に備えさせる」ことを挙げている。  国別ではベネズエラが最大の標的で、「圧力強化、グアイドー(国会議長)支持、麻薬取締強化、VEN人の対米移住保証」を具体策として並べている。米国はすでにグアイド―傀儡政権擁立、軍事クーデター、ニコラース・マドゥーロ大統領暗殺、軍事侵攻などの手を打ち、ことごとく失敗してきた。経済封鎖による「兵糧攻め」は効果を発揮している。  社会主義キューバについては、「オバマ前政権の無残な対玖政策を見直す」と明記。すでに対玖経済封鎖を厳しくしてきた。ニカラグアに対しても締め付けを強化する方針。  オブライエンは翌17日、コロンビアとパナマを歴訪した。ホワイトハウス拉米室のマウリシオ・クレイバーカロ―ネ室長、クレイグ・フォーラ―米南方軍司令官が同行した。  11月の大統領選挙でトランプが再選を阻まれれば、このラ米政策も意味を失うことになる。現時点で打ち出したのは、フロリダ州内のラ米系有権者の気を引きたいトランプ陣営の思惑による。 ▼コロンビア大統領が「虚偽発言」  反マドゥーロの急先鋒を自認するイバン・ドゥケCOL大統領は8月20日、「VENはイランから中・長距離ミサイルを買おうとしている。ロシア・ベラルーシ両国製の武器を在VENコロンビアゲリラに与えている」と述べた。  「イランからのミサイル買い付け」の証拠や証言を示しておらず、虚偽発言と受け止められている。ホルヘ・アレアサVEN外相は20日、「ドゥヶはまたも自身を恥にまみれさせた」と非難した。  ドゥケは17日ボゴタでロバート・オブライエン米大統領補

メキシコ・チアパス州に「先住民ゲリラ」出現か

  メキシコ南東端のチアパス州で8月17日、「オコシンゴ高地の農民らのゲリラ」を自認する「先住民革命軍」 (ERI=エリ)がSNSで13項目の「戦争宣言」を発表、オコシンゴ地域から国軍と国家警備隊が撤退しなければ戦いを挑む、と表明した。治安部隊の駐屯は「地域社会に不安を巻き起こしている」と指摘してる。  同州では1994年元日、「サパティスタ民族解放軍」(EZLN)が同日発行した「北米自由貿易協定(条約)」(TLCAN、NAFTA)や連邦政府支配に反対して武装蜂起し、26年後の今も自治を続けている。ERIとEZLNとの関係は不明だが、「無関係」ではないはずだ。  「宣言」はAMLO政権と国軍に向けられており、ERIは農民、カフェ栽培農、市場小売り商などで構成されているとし、自動小銃やライフル銃で武装した男7人の写真を公開した。オコシンゴ高地は、主としてマヤ系ツェルタル人の居住地だ。  「先住民多思想・民族自治会議」(CPEAI)による自治政府を発足させ、その場所を近く公表する、という。   AMLO政権は、テウアンテペク地峡、ユカタン半島、チアパス州にかけてのマヤ民族居住地域で自動車網などを建設する「トゥレン・マヤ」事業を展開中だが、「宣言」は連邦政府の事業を拒否すると言明。「なぜなら地元先住民社会に何ら恩恵をもたらさないからだ」と主張している。  ERIは、先住民共同体の自衛や「母なる大地」の防衛が目的で、近郊の中心都市サンクリスト―バルデラスカサスーオコシンゴ間などの自動車道を監視し、検問すると表明。  「外国資本主義者や帝国主義者の介入」を拒否。TLCAN・NAFTAに替わって7月1日に発行した「墨米加条約」(T-MEC)=米国では「米墨加協定」(USMCA)=への反対を打ち出している。これはEZLNがTLCANを拒否したのと同じ構図だ。  「自治政府 」もERIも自給自足主義。「自治政府」が政治部門、ERIが軍事部門をそれぞれ代表する。  因みにEZLNは蜂起26周年を迎えた今年初め、「トゥレン・マヤ」への反対を表明。指導部は「四半世紀余り経ち、忘却との闘い」を迫られていると、置かれた状況を説明した。        

故ガルシア=マルケスの夫人メルセデス・バルチャが死去

  コロンビアのノーベル文学賞作家、故ガブリエル・ガルシア=マルケスの夫人メルセデス・バルチャ(87)が8月15日、墨都メキシコ市外延部の邸宅で死去した。  2014年4月に死去した夫は愛称「ガボ」で親しまれたが、メルセデスは「ラ・ガバ」(ガボの女性系に冠詞LA)と呼ばれた。同志的夫婦仲、ガボの小説執筆に閃きを与えたことなどから、そう呼ばれたのだ。  二人は1958年、コロンビア・カリブ沿岸の都市バランキージャで結婚。ガボは当時、新聞記者だった。長男ロドリーゴ(映画監督)と次男ゴンサロ(画家・版画家)が生まれる。  ガボは1959年のキューバ革命後、創設された革命政権の通信社プレンサ・ラティーナの記者としてハバナ本社に一時勤務した。60年代末に墨都を拠点とし、出世作『シエン・アニョス・デ・ソレダー』(「百年の孤独」ないし「孤独の百年」)を書いた。  これが世界中で大ベストセラーになり、82年にノーベル賞を獲得した。その前年、豪邸を構えた。その家で作家は87歳で死去したが、そこで亡くなった妻も享年87歳だった。 ▼エボ・モラレスの姉死去  ボリビアのエボ・モラレス前大統領(60)の姉エステル・モラレス(70)は8月16日、オルーロ市内の病院で死去した。死因はコロナ感染症。  亜国に亡命しブエノスアイレスにいるエボは、見舞いに行けなかったが、葬儀にも行けず、「姉は母のような存在だった」とSNSで述べた。      

ドミニカ共和国のルイス・アビナデル新大統領が就任

   カリブ海のドミニカ共和国(RD、ラ・ドミニカ―ナ)で8月16日、新大統領ルイス・アビナデル(53)が 就任した。任期は4年。現代革命党(PRM)所属。  アビナデルはレバノン系で、エコノミストにして企業家。米国留学経験がある。副大統領はラケル・ペニャ(女性)。  コロナ疫病のため、就任式は規模を大きく縮小して催された。RDはコロナ感染者8万5000人で、カリブおよび中米地域で最多。死者は2300人で、同地域でグアテマラに次いで多い。  新大統領の重点政策は、コロナ対策と、コロナ禍で縮小を余儀なくされた経済の復調。アビナデル自身も選挙直前の6月に感染、2週間あまり選挙戦から離脱した。  就任式には、エスパニョーラ島を共有する隣国ハイチのジョヴネル・モイーズ、ホンジュラスのフアン・エルナンデス、ギネ・ビサウのウマロ・エムバローの3大統領、マイク・ポンぺオ米国務長官が出席。スペイン、グアテマラ、トルコの外相、セルビア労相も出席した。  ポンぺオの出席は、RDとの外交協調路線を維持するため。米政府は、新大統領がキューバやベネズエラに接近するのを警戒している。  アビナデルは7月5日の大統領選挙で得票率52%で当選した。ダニーロ・メディーナ前大統領の与党PLD(ドミニカ解放党)のゴンサロ・カスティージョ、PRSC(キリスト教社会改革党)の元大統領レオネル・フェルナンデスら5候補を破った。  新しい政権党PRMは、2014年にドミニカ革命党(PRD)から分離して発足。中道左翼、社民主義、進歩主義を標榜している。PRDは1939年結党の伝統政党。  前回16年の大統領選挙に初出馬したアビナデルはメディーナに敗れた。メディーナはコロナ禍を理由に、政敵アビナデル大統領の就任行事には一部を除き出席を避けた。

米欧両州などの31カ国がVENに大統領選挙を求める

 マドゥーロVEN政権の打倒を目指す米州諸国集団「リマ・グループ」(グリマ)は8月14日、オンライン外相会議を開いた。反マドゥーロ急先鋒のコロンビア大統領イバン・ドゥケの呼びかけで開かれ、欧州諸国なども参加、共同宣言を採択した。  宣言は、①12月6日実施予定のVEN国会議員選挙に反対、②マドゥーロ政権に代わる暫定政権を樹立、③大統領選挙実施、が骨子。トランプ米政権の意向に沿っている。  これには31カ国が賛同した。米州では、伯パラグアイ智ボリビア秘コロンビア赤ハイチRDグアテマラES、HON巴CRバハマ、ガイアナ加セントルシア米の19カ国。欧州は、アルバニア、コソヴォ、エストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナ、ジョージア、ハンガリー英の9カ国。加えて豪韓イスラエル3国。  グリマ原参加国アルゼンチンのフェルナンデス政権は「選挙こそVENで合意された正道」として、宣言には署名せず、VENに「自由で透明な選挙の実施」を要請した。同じく原参加国メキシコはAMLO政権になってから事実上脱退、グリマ会合には参加していない。  ベネズエラ紙ウルティマス・ノティシアス(UN)は15日、上記オンライン会議で、欧州とラ米の有志諸国のVEN問題国際接触グループ(GIC)などが、フアン・グアイドーVEN国会議長を以前のように「VEN暫定大統領」と呼ばなくなったことを指摘した。  トランプ米大統領の安保担当補佐官だったジョン・ボルトンは、著書『それが起きた部屋 ホワイトハウス回顧録』の「自由ベネズエラ」の章で、同大統領がニコラース・マドゥーロ大統領の「強さ」を繰り返し評価し、「暫定大統領」に擁立したグアイドーを「持つべきものに欠ける子供」と矮小化したことを暴露している。  UN紙は、グアイドーの呼称の<格下げ>について、ボルトン本が示すとおりになったと書いている。  ラ米有識者の間では、今回の「31カ国宣言」は、米大統領選挙で劣勢にあるトランプへの外交面での援護射撃と受け止められている。 ▼国連安保理がイラン武器禁輸否決  安保理は8月14日、米国が提案した対イラン武器禁輸の延長決議案を否決した。賛成は米国とRD(ドミニカ共和国)、反対は中露両国。英仏独など他の11カ国は棄権した。  「米国の孤立」、「トランプ政権への痛烈な打撃」と捉える報道が目立つ。 ▼VEN大統領がコ

メキシコで前・元政権絡む一大汚職事件明るみに

 メキシコ政界が前・元政権の汚職問題で揺れている。エンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)前大統領期にPEMEX(国営石油会社)総裁だったエミリオ・ロソーヤ被告が司法取引に応じて事実を暴露したからだ。  事の起こりは2017年8月、ラ米最大級のブラジルの建設会社オデブレシ―(オデブレヒト)の元重役たちが、ロソーヤ総裁に1000万ドルの賄賂を渡したと証言したこと。  これを受けて、メキシコの腐敗と無処罰に反対し摘発する組織も、EPNは2010~13年に、当時オデブレシ―社長だったマルセロ・オデブレシーに4回会ったと証言した。  ロソーヤはスペインに出国したが、20年2月逮捕され、7月半ばメキシコに送還された。検察との司法取引で、EPNおよび、EPN政権で財務相、外相を務めることになったルイス・ビデガライから迫られ、12年の大統領選挙に出馬していたEPNの陣営に選挙資金として1億ペソ(450万ドル)をPEMEXが出したと明らかにした。  大統領に就任したEPNは、「選挙の功労者に渡す資金」として5億ペソ(2250万ドル)出すよう命じた。ロソーヤはこれに従った。この資金がどこに消えたか不明だ。  ロソーヤはまた、EPNの前の大統領フェリーペ・カルデロンが、PEMEXの油化施設建設時の09年、オデブレシ―との贈収賄事件に絡んでいたことも暴露した。  AMLO現大統領は、ロソーヤから名を挙げられた者は検察に出頭すべきだ、と述べた。カルデロンは06年の大統領選挙の開票時の不正でAMLOの勝利を奪ったとされている。このため「AMLOの真の標的はEPNでなくカルデロン」という見方がある。  一方、EPN政権で社会開発相と農村・地方・都市開発相を務めたロサリオ・ロブレスは、公金150億ペソ(6億7500万ドル)の不正流用事件で昨年8月に収監され、1年が経った。だが9月末にも自宅軟禁処分になるもよう。                

米国がベネズエラにイラン原油運ぶタンカー4隻を拿捕

 米司法省は8月13日、イランから原油や石油製品を積んでべネズエラに向かっていたタンカー4隻を拿捕・押収し、テキサス州ヒューストンに連行中と明らかにした。米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が報じた。  米国が一方的に宣言した対VEN「経済制裁」に違反したためという。  今年5~6月、タンカー5隻が計150万バレルの原油・石油産品をVENに運び、産油国ながら石油が逼迫しているVENのエネルギー事情を一時的ながら緩和させた。これに怒ったトランプ米政権の検察は7月、タンカー拿捕手続きを取り、今回実行した。   VENでは最近、全国1570給油所のうち950カ所が閉鎖され、残る620か所での給油も滞りつつある。今回4隻が無事到着すれば、計116万bの原油などが確保でき、急場を一時的ながら凌げるようになるはずだった。  イランのホジャ・ソイタニ駐VEN大使は13日、「拿捕された4隻はいずれもイラン所有でもイラン船籍でもない」と前置きし、「テロリスト・トランプは偽りの情報をもってイランを恥辱することはできない」と米政府を糾弾した。 ▼米国でVEN問題会議開く  米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」は8月13日「VEN専門家会議」を催した。米南方軍のクレイグ・フォーラ―司令官は、「マドゥーロVEN政権を支えている最大の勢力はロシアだ。VEN諜報機関はキューバが握っている」と述べた。  国務省「紛争・安定化作戦」室のデニーズ・ナタリ室長は、「VENと地域の安定化のため活動している。(米同盟国の)コロンビアが重要な役割を担っている」と指摘した。  同省西半球(米州)担当次官補玖VEN問題担当のキャリー・フィリペッティ次官補代理は、「経済制裁が効果を挙げつつある」と語った。  民間の安保戦略家ダグラス・ファラー氏は、「VENはスイス、アンドーラ、スペインで資金を洗浄している。欧州は自らの影響圏でない地域の問題に対しては断固たる措置を取ろうとせず、VENに対しても(米国より)寛大だ」と指摘した。 ▼亜国がVEN問題国際的取組に参加  アルゼンチンのフェルナンデス政権は8月12日、VEN問題国際接触グループ(GIC)入りを決めた。仏独伊蘭葡西英スウェーデンの欧州8カ国と、赤CR巴ウルグアイのラ米4国が既に参加している。(赤=エクアドール、巴=パナマ、CR=コスタ・リーカ)

10月のボリビア大統領選挙は決選実施の公算

 ボリビアの最大政党MAS(社会主義運動)の最高指導者エボ・モラレス前大統領は8月12日、大統領選挙の10月18日実施案を受け入れた。当初は5月3日だったが、コロナ禍を理由に9月6日に延期され、さらに10月18日に延期されることになった。  昨年11月、ボリビアの右翼・保守派はトランプ米政権と連携して財界主導の軍部・警察クーデターを起こし、10月の大統領選挙で再選されていたモラレスを追放。右翼勢力の代弁者ジャニーネ・アニェスが一方的に「暫定大統領」に就いた。  生命の危機に直面したモラレスは、AMLOメキシコ大統領が用意した政府機でメキシコ市に脱出。昨年末、アルゼンチンにペロン派のフェルナンデス政権が誕生すると、亡命地をブエノスアイレスに移した。ボリビアの隣国であり、政治活動に便利だからだ。  10月の大統領選挙には8人が出馬する予定。最有力候補はモラレスの後継候補であるMASのルイス・アルセ元経済相。財界支配州サンタクルースの実力者で昨年のクーデターを主導したルイス・カマチョは対抗馬の一人で、保守連合「クレエモス」(我々は信じる)から出馬している。  暫定大統領経験者の保守派の2人、ホルヘ・キロガ(リブレ21)とカルロス・メサ(市民共同体)も出馬。アニェス現暫定大統領(社会民主運動=MDS)は当初、次期大統領が決まるまでの中継ぎを表明していたが、権力への野心が高じて立候補、同志だったカマチョと仲違いしている。  アニェスは選挙最高裁(TSE)を動かして大統領選挙日程の変更を重ねてきたが、真の理由はコロナ禍ではなく、勝機がないためと見られている。一時はMASの選挙からの締め出しさえ謀ったが、これには失敗した。  アニェスの「陰謀」を知るMASの中核であるCOB(ボリビア中央労連)、鉱山労連、コカ葉栽培農連などは8月3日から選挙の10月への延期に抗議し、全国ストライキや幹線道路の封鎖を決行した。  モラレスは10月への延期を受け入れたが、これは、反対闘争が長引き大量流血などの重大事態に発展すれば、それを口実にMASが選挙から排除されることにもなりかねないからだ。そうなればアニェスの思うつぼで、MASの政権奪回の機会は遠のいてしまう。  大統領選挙だが、候補者が8人もいるため、第1回投票での当選者は出ず、上位2人が11月29日の決選に進出する公算が大きい。  リチウムを

トリニダード・トバゴ選挙でローリー首相与党が勝利

 カリブ海アンティージャス諸島の最南端、ベネズエラ沖にある産油国トリニダード・トバゴ(TT)で8月10日、下院議員選挙が実施され、政権党PNM(人民国家運動)が定数41議席中22議席を得て勝利、キース・ローリー現首相が再選され5年間の新任期を迎えることになる。  カムラ・バサード=ビセッサー前首相の率いる野党UNC(統一国民会議)は19議席にとどまった。前回2015年の選挙ではPNMが23、UNCが18の議席をそれぞれ獲得した。  ★TTに連続6年間滞在し、『トリニダード・トバゴ:カリブの多文化社会』(2018年、論創社)の著書があるTT専門家の鈴木美香さんに、選挙結果について訊いた。  PNMの勝利について鈴木さんは、「UNCは、対抗政策を打ち出せなかったし、コロナ禍で十分な選挙戦が展開できなかったのも響いた」と、野党の不調を要因に挙げた。  TTには、2014年以降の原油国際価格下落で低迷する経済の再建、経済多様化や、治安改善、汚職撲滅の重要課題があるが、ローリー政権は成果を挙げることができなかった。だがコロナ感染防止では成果を挙げた。  鈴木さんは、ローリー首相新任期の2大課題として「経済再建とコロナ対策」を挙げ、TT観光の中心地トバゴ島の観光産業がコロナ禍で打撃を受けている問題も指摘する。また、ベネズエラ難民への反感や差別感情の顕在化も気になるという。   TTに両親と共に移住した若いVEN人女性がつい最近、男たちに暴行され重体になって病院に搬送される事件が起きている。TT女性と間違われ襲われたとの見方があるが、定かでない。  

ブラジルの貧者に聖職を捧げたカサルダリガ司教が死去

  伯アマゾニア南部のマトグロッソ州(サンフェリックス・ド)アラグアイアで半生を過ごし、貧者や先住民族のために闘い「人民の司教」と呼ばれたペドロ・カサルダリガ司教(92)が8月8日、入院していたサンパウロの病院で呼吸疾患により死去した。  カサルダリガは1928年、西国カタルーニャ州に生まれ、45年クラレト修道会に入る。68年布教のためアラグアイアに行き、同地に留まることを決意。ローマ教皇庁から70年に司教に任命された。  71年、『大土地所有制および社会的疎外との闘いにおけるアマゾニアの一教会』という文書を発表。ブラジルの土地問題についての歴史的重要文書として今も評価されている。司教は「土地無し農民運動」(MST)を積極的に支援した。82年には著書『新しい人間の風貌』を刊行した。  85年には、レーガン米政権に内戦を仕掛けられていたサンディ二スタ革命体制のニカラグアを訪問。墨チアパス州で94年に起きたサパティスタ民族解放軍(EZLN)の武装蜂起を支持。90年代に『キューバ全体的革命への愛の宣言』も発表した。  「解放の神学」の実践者だったが、「マルクス主義傾斜」と見なされ、88年にはヨハネ=パウロ2世教皇からヴァティカンに呼ばれ、喚問された。  司教は風土病マラリアに8回もかかり、75歳だった2003年にはパーキンソン病を患う。定年でもあり、ヴァティカンに引退を申し出たが、その後も司教的立場で活動を続けた。  だがパーキンソン病に起因する呼吸疾患で肺を痛め、さる8月4日からサンパウロの病院に入院していた。死の報を受け、ラ米司教会議やラ米各国教会組織は哀悼の意を表した。  司教の遺体は、ニカラグア訪問時に贈られたマントで覆われた。また伯先住民が作った十字架が首に懸けられた。遺体は、故人が司教人生をかけたアラグアイアに埋葬される。              

マドゥーロ大統領拉致未遂の米国人2人に禁錮20年

 カラカスの法廷は8月7日、ニコラース・マドゥーロ大統領の身柄拘束と米国への連行を目的として5月初めVENに海岸から侵入した元米陸軍特殊部隊要員の米国人2人に禁錮20年の実刑判決を言い渡した。  テキサス州出身のリューク・デンマン(34)と同エイラン・ベリー(41)。陰謀、共犯、武器密輸、テロリズムの4件で有罪になっていた。  マドゥーロ大統領の身柄にはトランプ米政権が巨額の賞金を懸けている。上記米国人2人と他のVEN人、コロンビア人ら89人の被告・容疑者は「ヘレドン作戦」と名付けられた上陸侵攻・大統領拉致計画に加担したが、上陸時に制圧されたり、VEN国内で逃亡中や待機中に逮捕されたりした。  法廷審理で明らかになったのだが、VEN国会議長フアン・グアイドーが、米国人2人の盟友ジョーダン・グ―ドー(在米)と作戦契約を結び、グアイドーは「最高司令官」に位置付けられていた。  グ―ドーが米国内で経営する軍事作戦会社「シルヴァーコップス」は、コロンビア国内で作戦要員らに訓練を施した。グードー、デンマン、べリーらが直接、訓練に当たった。  グアイドーは昨年4月30日、米政権と連携して軍事クーデターを図ったが、完全な失敗に終わった。その後、コロンビアに逃亡したVEN軍脱走兵らを、グード―らが訓練した。  グアイドーが所属する極右政党で暴力肯定路線の「人民意志」(VP)は、クーデター未遂事件のほか、マドゥーロ暗殺工作、停電誘発、街頭殺傷事件などを続けてきた。だが今年末の国会議員選挙はボイコットする。この選挙で勝てる見込みがないからだ。  8月8日現在、VENの登録有権者は16歳以上の2073万人。 ★米上院議員がベネズエラ侵攻を呼び掛け  ニュージャージー州選出のロバート・メネンデス 米上院議員は8月10日、「権力が空白のVENは米国にとり危険」として、「多国籍軍によるVEN侵攻がなされるべきだ」と述べた。メネンデスはキューバ系で、民主党極右。  マドゥーロ政権の存在を無視する発言であり、「米国への危険」は軍事侵略を正当化するお決まりの言い分。VENが世界最強の軍事大国にとって危険であるはずがない。  VENのサムエル・モンカーダ駐国連大使は10日、「米政府は依然VEN侵略を意図しており、VENの植民地化を狙っている」と糾弾した。  マドゥーロ政権や同盟国キューバは、ドナルド・

月刊誌LATINAが電子版「e-magazine」に変身!!!

 ラ米の音楽、文化、情勢などを伝えてきた月刊誌『LATINA』は2020年5月、活字雑誌としての歴史を閉じた。前身誌『中南米音楽』から続いていた68年の伝統にひとまず区切りをつけたのだ。  そして、この8月初め、『e-magazine LATINA』として、新しい門出を迎えた。多くの読者、潜在読者、在外読者から強く望まれていた、電子文化時代に必然的な変身だった。  https://e-magazine.latina.co.jp/  この検索ですべてがわかる。  総合プロデューサー・宮沢和史 編集長・花田勝暁 編集部員・東千都、宇戸裕紀  電子版のため内容は固定的でなく、常に新陳代謝してゆくが、 8月上旬の今、すでに豪華で魅力的な読み物がびっしりと詰まっている。たとえばー  今福龍太  【こだまする土地、響きあう聲①】ジャック・クルシルへの手紙  加藤登紀子 【TOKIKOの地球曼荼羅①】ロシアの歴史から生まれた歌  ハニャ・ラニ(ポーランド人音楽家)【特集:世界の音楽家はコロナ後の”next world”をどう描くか?】  宮沢和史  【島々百景】香港  私伊高も寄稿。【ラ米乱反射 電子版第1回】ボルトンが暴露したベネズエラ工作 トランプはグアイドーを軽視  私はLATINA誌に12年に亘って「ラ米乱反射」という情勢・文化物を計140回連載した。それが「電子版・ラ米乱反射」として甦ったのだ。  執筆者兼読者として、生まれたばかりの電子版LATINAに積極的に関与してゆきたい。                

キューバ当局が「買占め屋」らの取締りを開始

  キューバ政府は6月に首都ハバナや地方都市で営業を始めた米ドル使用店で、商品を買い占めたうえで転売し荒稼ぎする者や、他人の代わりに行列し「行列代」を稼ぐコレロ(並び屋)の取り締まりを8月開始した。   内務省管轄下の国家革命警察(PNR)と革命防衛委員会(CDR)が取締活動の中心機関だが、ラウール・カストロ共産党第1書記の決定により革命軍(FAR)も参加する。  取締小隊約5200を全国に展開させる計画で、すでに約3000小隊が活動中。一隊平均7人。活動中の2万2000人は若者が多い。  取締対象は「ピジョ」(他人を出し抜くずるがしこい輩)と呼ばれる。定職がなく「社会的貢献のない者」 が多く、とくに「時間はありあまるが収入の乏しい」年金生活者が目立つという。  8月6日までにピジョ1300人が拘束され、うち280人が起訴されている。  代表的なドル店経営母体は革命軍経済部門系のCIMEXだが、世論の批判を受けて、独自の取締りを始めた。CIMEX所属の店長が買占め屋と組んで腐敗していた、という嫌疑もかけられている。  一方、従来からある小売り店では通貨ペソ(CUP)と、兌換ペソ(CUC)が用いられているが、品不足が問題化している。CUCの公定交換率は1CUC=1米ドルだが、ドル店が出現しことで、実勢は1ドル=1・5CUCと、CUCの大幅安となっている。  政府は昨年末近く、CUC廃止方針を決め、徐々に実行している。経済学者らは、遠くない将来の完全廃止の可能性を指摘、今のうちにCUCを処理すべきだと国民に呼びかけている。  ドル持つ者と、持たぬ者あるいは少ししか持たぬ者との間の経済格差、生活格差が急激に著しくなっている。黒人など低所得層の不満は一段と強まっている。 ▼「キューバはVENに寄生」と米外交官が非難  7月末まで在玖・米大使館の臨時代理大使を務めていたマラ・テカチ国務省キューバ室調整官は8月7日の記者会見で、「キューバはベネズエラを植民地扱いし、原油などVENの資源を吸い取ってきた。玖VEN関係は寄生虫のような関係だ」と非難した。  テカチはまた、「玖政府はキューバのロマンティシズムを売り物にしている。だが指導者層がヨット遊びをしたり高級腕時計を持ったりしている一方で、庶民は食品や薬品を買うため長時間の行列を強いられている」と述べ、指導部と庶民の間の大きな格

チリで先住民族マプーチェの歴史的問題が再燃

  スペイン植民地時代に虐殺・制圧され、独立後も200年に亘って弾圧されてきたチリ先住民族マプーチェが、奪われた土地の奪回を究極の目的として続けてきた闘争が深刻な問題として、今また同国中南部のマプーチェ居住州ラ・アラウカニアで浮上している。  マプーチェの「マチ」(シャーマン、呪術師)セレスティーノ・コルドバ(33)は、2013年1月ドイツ系移住者農業者夫婦が自宅で死に至った放火事件で「放火致死罪」に問われ、禁錮18年の刑に服役中。  コルドバは5月上旬、刑務所はコロナ禍で危険であるとして、疫病が終息するまで自宅軟禁にしてほしいと訴え断食を開始、8月初め断食95日目に入った。  この放火事件は、08年にカラビネロス(準軍警察)に射殺されたマプーチェの大学生 マティアス・カトゥリレオの追悼と抗議の行事に参加したマプーチェたちがドイツ系農業者の自宅敷地内に入ったことから起きた。ドイツ系の主(75)は銃で対応、マプーチェ側は放火したとされる。  駆け付けたカラビネロスは事件現場から2km近く離れた地点を、「銃創から血を流しながら歩いていた」コルドバを容疑者として逮捕、主犯として「テロリズム取締法」により起訴した。  同法はピノチェー軍政下にできた悪法で、民政移管後は主に<マプーチェ取締法>として用いられてきた。民主派の4大統領5政権は、この法律の廃止を求められながら実行できなかった。  7月末から今月初めにかけアラウカニア州内で、コルドバ釈放を求めるマプーチェのデモ隊と人種主義の右翼グループが衝突、負傷者が出た。刑務所では、他のマプーチェ受刑者たちがコルドバ解放を求め、断食して連帯している。  チリ控訴裁はコルドバの自宅軟禁許可の仮処分訴えを却下。先住民族差別を禁止する国際労働機関(ILO)条約169条の実施を求める弁護団は、最高裁に上告した。コルドバ問題が大きくなったため、チリ国会は急遽、マプーチェ問題の審議を開始した。  一方、国連人権高等弁務官事務所ラ米担当官はチリ政府に対し、対話による早期解決を求めている。現在の国連人権高等弁務官はミチェル・バチェレ―前チリ大統領。  マプーチェ問題は、歴史的負債としてチリに重くのしかかっている。チリのマプーチェ人口は216万人で、同国総人口の約12%を占めている。スペイン系など欧州系とマプーチェの混血はかなり多い。

「米国のベネズエラ政策は完璧な惨敗」:米上院外交委が糾弾

 米上院外交委員会は8月4日、トランプ米政権のエリオット・エイブラムス「ベネズエラ問題」特使を喚問、同政権の対VEN政策を「完璧な惨敗」と厳しく指摘した。  エイブラムス特使は過去にラ米でさまざまな米政府の策謀に関与、「米帝国主義の象徴」とラ米で見なされてきた人物。この日、委員会で「12月6日のVEN国会議員選挙の結果いかんに拘わらず、米国はフアン・グアイドー(現国会議長)を(暫定大統領として)支持し続ける」、「ニコラース・マドゥーロ(現VEN大統領)は今年いっぱいは持たないだろう」と述べた。  この発言の直後に集中砲火を浴びせられた。共和党のミット・ラミー議員と、クリス・マーフィーをはじめとする民主党議員たちは、「トランプ政権が昨年1月、グアイドーを(暫定大統領として)承認したことが、米外交を前例のない外交的矛盾に陥れた」と糾弾した。  とくにマーファー議員は、「過去1年半の対VEN政策はひどいものだった」と前置きし、「VEN国家も軍部も支配しておらず、選挙ボイコットをするばかりのグアイドーへの承認と対VEN制裁が機能しなかったことを認めるべきだ」と迫った。「グアイドーは悪い選択だった。キューバとロシアを利しただけだった」とも批判した。  さらに、「昨年4月(30日)の(グアイドーらの)軍事クーデター計画の大失敗は、米国を愚かで弱いと見せてしまい、グアイドーを米国の<下僕>と印象づけた」と指摘。「過ちを認めないならば、何も修正できない」と述べた。  グアイドーが所属する暴力的政変肯定路線の極右政党「人民意志」(VP)をはじめ4大野党、および弱小野党23党の計27党は8月2日、12月の選挙ボイコットを打ち出した。5年前の前回選挙で敗北した政権党PSUV(ペスーブ=VEN統一社会党)が態勢を立て直し有利な状況のため、選挙に参加しても勝てない公算が大きいからと見られている。  一方、ヘンリー・ファルコン党首(前ララ州知事)の進歩主義前哨党(AV)をはじめ野党数党は選挙参加を表明している。ファルコンは2018年の前回大統領選挙に出馬し善戦、再選されたマドゥーロに次ぎ2位になった。  日本政府はグアイドーを「支持」するが「承認」しておらず、マドゥーロ政権との国交を維持している。今日8月6日の広島平和記念式典にも同政権のセイコウ・イシカワ大使が出席した。  

スペイン前国王フアン=カルロスが出国し姿くらます

  スペイン前国王フアン=カルロス・デボルボン1世(82)が自身の「不徳」から出国、姿をくらました。独裁者フランシスコ・フランコ総統が準備し復活させた王政は、45年経ったいま、国民の厳しい視線に晒されている。  1975年11月のフランコ総統死去に伴い予定通り即位したフアン=カルロスは、民政に反対する準軍組織グアルディア・シビル(治安警備隊)極右勢力による国会占拠事件)を説得によって解決、軍事クーデターを未然に防いだ。  フランコから帝王学を授けられていたため右翼的発想の持ち主かと見られていたが、これを裏切り「民主的国王」であることを内外に印象付けた。  スペインは欧州共同体(EC、現EU)加盟、イベロアメリカ首脳会議設立、バルセローナ五輪開催などで国際的地位を強化。象徴的存在の国王は名声を揺るぎないものにした。  だが愛人関係など醜聞が暴露され、2012年年には南部アフリカのボツワナで象狩りに興じ、国民の顰蹙を買った。  14年、息子フェリーペ・デボルボン6世に譲位、優雅な年金生活に入った。しかしサウディアラビア絡みの巨額収賄事件が明るみに出、スペインおよび、銀行口座のあるスイスで捜査が始まっていた。前国王は「迷惑をかけないため」という趣旨の書簡を現国王に送り、出国した。  フアン=カルロス前国王は、スペイン北西部から8月3日、陸路、ポルトガル北部のポルト市に至り、そこから空路、カリブ海のラ・ドミニカ―ナ(ドミニカ共和国=RD)の首都サントドミンゴ(SD)に向かったとされる。  SD東部カリブ海浜の保養地にある富豪の邸宅に一時的に滞在すると伝えられる。だがRDの最有力紙リスティン・ディアリオは4日、前国王の入国は確認されていないと報じた。  一方、スペインのペドロ・サンチェス首相は4日、前国王出国について、「王制(立憲君主制)ではなく、前国王個人の問題だ」と述べ、王制への打撃を避けたい意向を示した。  だが左翼のパブロ・イグレシアス第2副首相は、「(国外逃亡は)前国王としてなすべきことではない」と批判。王制反対の立場から、「遅かれ早かれスペインの若い層は、<共和国スペイン>に向かってゆくだろう」と指摘した。 【国王の名称】ボルボン家のフアン=カルロス1世。ボルボン家のフェリーペ6世。 ▼前国王はアラブ首長国連邦に滞在  スペイン王室は8月17日、フアン

トランプ陣営がバイデンとラ米左翼結び付ける< 汚い運動>展開

 米大統領選挙を11月に控えたドナルド・トランプ大統領選対陣営は8月3日、ジョー・バイデン民主党候補と「ラ米左翼」指導者を結び付ける否定的情宣運動(ネガティヴキャンペーン)を開始した。ラテン系有権者の「バイデン離れ」を促すのが狙いだ。  同陣営は30秒間のビデオ映像をTVで流した。故フィデル・カストロ玖元国家評議会議長(キューバ革命最高指導者)、故ウーゴ・チャベス前VEN大統領、ニコラース・マドゥーロ現VEN大統領、コロンビア野党指導者グスタボ・ペトロ前大統領候補の演説映像や肖像を出して、バイデンがいかにも近しい関係にあるような印象を与えようとしている。  「バイデンは米国史上最も進歩的な大統領になりたがっている」という前置きの言葉もついている。  またマイアミの玖系社会に住む亡命者・経済難民の中にいる女優らを動員し、「玖社会主義社会の生活がいかに苦しいか」を語らせ、「そのキューバにバイデンは近い」という宣伝も展開している。  バイデンの意中にある副大統領候補として有力視されているアフリカ系女性政治家の一人、カレン・バス民主党連邦下院議員(加州選出)への攻撃も目立つ。バスが過去に何度も訪玖し、市民支援活動を続けたことや、2016年のフィデル・カストロ国葬に際し「最高司令官カストロの死は玖人民にとり大きな損失」と語ったことなどがやり玉に挙げらている。  トランプは支持率でバイデンに7ポイント以上も差を付けられており、「汚い戦術」に出ている。

トランプ政権が米州開銀の不文律破る

  米州開発銀行(BID、本部ワシントン)の総裁選挙は9月実施されるが、トランプ米政権が従来の不文律を破って「米国第一主義」に出たため、ラ米側の疑念や反感を招いている。  BIDは1959年元日のキューバ革命成功に驚愕した米国が同年、米州諸国機構(OEA,本部ワシントン)を動かして設立した国際金融機関。翌60年に開業、61年に就任したジョン・ケネディ大統領は「ラ米共産化を防ぐため」としてLAC(ラ米・カリブ地域)の開発を急ぐ「進歩のための同盟」 (Alpro)を掲げたが、その財政基盤がBIDだった。  Alpro事業は総額200億ドルの基金づくりを目指し、日本も資金提供を求められた。日本はBID加盟国であり、東京・内幸町にBID支店がある。投票権は出資額に応じており、日本は5%。最大の米国は30%、次いで亜伯両国が10・75%ずつ。  BIDは発足当時から、主要な開発対象であるラ米諸国の政経畑から総裁を選んできた。現在の総裁は2005年就任のルイス・モレーノ。コロンビア人で、駐米大使、経済開発相などを務めていた。  ところがドナルド・トランプ大統領は、ホワイトハウス・ラ米担当顧問のマウリシオ・クラベルカロ―ネ(クレイバーカローン)をBID総裁候補に擁立し、集票運動を展開してきた。  これに対し、亜国(アルゼンチン、アルヘンティーナ)ペロン派政権のアルべルト・フェルナンデス大統領は、同派キルチネル政権期の司法相だったグスタボ・べリスを出馬させた。べリスは現在、フェルナンデス大統領の戦略問題担当官。  総裁選当選には加盟国投票権全体の3分の2の獲得が必要。亜国は3分の1強を獲得し、少なくとも第1回投票でトランプの候補の当選を阻みたい作戦だ。  ラ米では元大統領、BID総裁経験者、財界人らの間で、トランプは11月選挙で敗れる公算が大きいのに自分のお気に入りをBID総裁に据えようとしている、と厳しい批判が渦巻いている。  またベネズエラのBIDでの代表権はOEA代表権同様、米国の傀儡で政権実体のない「フアン・グアイドー」派に与えられているという歪んだ側面もBIDは抱えている。BID加盟国の中国は、それを理由に、上海でのBID総会開催を拒否したことがある。  OEAを追放されて以来、復帰を拒否してきた社会主義キューバは、BIDに加盟していない。 ▼欧州連合が総裁選は延期すべき

米政府がニカラグア体制打倒工作に着手か

 ニカラグアのラ・プリメリッシマ放送は7月31日、トランプ米政権がダニエル・オルテガ大統領のニカ・サンディ二スタ政権の打倒工作に着手したと伝えた。  来年にはオルテガが連続4選をかけた大統領選挙が予定されており、オルテガ当選は堅いと見られている。選挙では勝てないための政変工作で、米政府は今も、ベネズエラで実体のない「グアイドー傀儡暫定政権 」を支え、選挙に応じさせないようにしている。  同放送によれば、入手された18ページの文書には、①ニカ<市民社会>にオルテガ退陣を迫らせる、②素早く大統領選挙を実施して反政府側に勝たせる、③もしサンディニスタ(FSLN)が勝てば、選挙結果を認めない、④政変に成功すれば、国軍と国家警察をまず解体するーなど政変の手順が記されている。  この計画には、米国際開発局(USAID)が資金提供などで支援する。ジョン・ボルトンが米大統領補佐官(19年9月更迭)に就任した18年4月、ニカ<市民社会>(反政府勢力の別名)は反政府街頭活動を開始したが、USAIDが<市民社会>の闘争を支援してきた。USAIDは中央情報局(CIA)と連携して秘密工作する。  ドナルド・トランプ大統領は劣勢が伝えられる11月の選挙で敗れた場合、ジョー・バイデン民主党候補の勝利を否定する戦略を立てていると報じられているが、この選挙結果無効化戦略はマイアミの<陰謀シンクタンク>方面から何年も前に出てきたものだ。  ウーゴ・チャベス大統領が死去した2013年のVEN大統領選挙で、後継のニコラース・マドゥーロ現大統領が初当選したが、敗れた右翼候補エンリケ・カプリーレス(当時ミランダ州知事)は「選挙無効」を叫んで街頭暴動を起こした。だが当時のオバマ米政権がマドゥーロ勝利を認めたため、暴力活動を打ち切った。  昨年11月、ボリビアのエボ・モラレス大統領が当選したにも拘わらず、「選挙の不正」を逸早く内外に宣伝され、それを理由にクーデターで追放された。背後には米政府がいて、米国の主な狙いはウユニ塩湖のリチウム資源奪取だった。  モラレスは自ら制定した憲法の大統領連続再選規定を変えて強引に出馬していた。これはモラレスの大きな落ち度で、後継候補を立てていれば、政変はなかっただろう。  しかし、だからといって、選挙は公式に実施されてぉり、敗れた右