キューバ当局が「買占め屋」らの取締りを開始

  キューバ政府は6月に首都ハバナや地方都市で営業を始めた米ドル使用店で、商品を買い占めたうえで転売し荒稼ぎする者や、他人の代わりに行列し「行列代」を稼ぐコレロ(並び屋)の取り締まりを8月開始した。

  内務省管轄下の国家革命警察(PNR)と革命防衛委員会(CDR)が取締活動の中心機関だが、ラウール・カストロ共産党第1書記の決定により革命軍(FAR)も参加する。

 取締小隊約5200を全国に展開させる計画で、すでに約3000小隊が活動中。一隊平均7人。活動中の2万2000人は若者が多い。

 取締対象は「ピジョ」(他人を出し抜くずるがしこい輩)と呼ばれる。定職がなく「社会的貢献のない者」 が多く、とくに「時間はありあまるが収入の乏しい」年金生活者が目立つという。

 8月6日までにピジョ1300人が拘束され、うち280人が起訴されている。

 代表的なドル店経営母体は革命軍経済部門系のCIMEXだが、世論の批判を受けて、独自の取締りを始めた。CIMEX所属の店長が買占め屋と組んで腐敗していた、という嫌疑もかけられている。

 一方、従来からある小売り店では通貨ペソ(CUP)と、兌換ペソ(CUC)が用いられているが、品不足が問題化している。CUCの公定交換率は1CUC=1米ドルだが、ドル店が出現しことで、実勢は1ドル=1・5CUCと、CUCの大幅安となっている。

 政府は昨年末近く、CUC廃止方針を決め、徐々に実行している。経済学者らは、遠くない将来の完全廃止の可能性を指摘、今のうちにCUCを処理すべきだと国民に呼びかけている。

 ドル持つ者と、持たぬ者あるいは少ししか持たぬ者との間の経済格差、生活格差が急激に著しくなっている。黒人など低所得層の不満は一段と強まっている。

▼「キューバはVENに寄生」と米外交官が非難

 7月末まで在玖・米大使館の臨時代理大使を務めていたマラ・テカチ国務省キューバ室調整官は8月7日の記者会見で、「キューバはベネズエラを植民地扱いし、原油などVENの資源を吸い取ってきた。玖VEN関係は寄生虫のような関係だ」と非難した。

 テカチはまた、「玖政府はキューバのロマンティシズムを売り物にしている。だが指導者層がヨット遊びをしたり高級腕時計を持ったりしている一方で、庶民は食品や薬品を買うため長時間の行列を強いられている」と述べ、指導部と庶民の間の大きな格差を指摘した。

 さらに、「キューバには言論の自由がない。自由に発言すれば家族まで迫害される」とし、キューバが国連人権理事会の理事国になることはもはやないだろうと強調した。

 キューバは今年まで2期4年間、理事国を務めてきたが、来年から2年間の新任期に出馬している。慣例により、ラ米枠は他の国々に充てられる見通しという。

 

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