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ボリビア政府がリチウム開発で国際入札を発表

   世界最大級のリチウム埋蔵量を誇るボリビアが、クーデター政権期(2019年11月~20年11月)に中断されていたリチウム開発事業計画を4月30日、再開させた。   ルイス・アルセ大統領は同日、政治首都ラパスで開かれた「リチウム直接採掘」(EDL)の国際入札発表会で演説。ボリビアの国家リチウム開発計画の枠内でEDL参加を希望する外国企業に応札を呼び掛けた。会合にはロシア、中国、米国の企業代表が出席した。   EDLは、ウユニ塩湖などの塩水の溶液から、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、硫酸塩を分離させる技術過程。アルセ大統領は、その技術を環境保全と生産性の両面から考慮すると述べた。   ボリビアのリチウム資源は2100万トンで、南部のポトシー州にあるウユニ塩湖にほとんどの資源がある。他は、同州パストス・グランデス、中部のオル―ロ州とチリ領にまたがるコイパサ地域がある。   国営のボリビアリチウム鉱床(YLB)社が、外国企業と合弁することになる。   注目されたのは米企業の参加。リチウム電池は電気自動車に欠かせないが、世界最大の電気自動車製造会社・米テスラ社の総帥イーロン・マスク(南ア系米国人)は19年11月のクーデターの際、「必要ならば、どこででもクーデターを起こす」と発言したことを、政権を追われたエボ・モラレスから糾弾されていた 。   モラレス政権は、マスクがクーデター首謀勢力に資金を提供したと見ていた。   アルセ政権が入札開始発表会に露中企業とともに米企業を招いたのは、同政権がバイデン米政権下の米企業ともうまくやっていきたいとの意思表示と受け止めることができる。   クーデター前、日本、ドイツ、韓国などの企業もボリビアでのリチウム開発に参加する交渉を積極的に推進していた。今回招かれたのか不参加だったのか明確でないが、公開入札であり、技術さえあればどの国の企業も応札することが可能だ。 ▼モラレス元大統領が欧州議会を糾弾   右翼勢力が幅を利かせている欧州議会は4月28日、2019年11月にクーデターで発足したボリビア暫定政権のジャニーネ・アニェス暫定大統領の釈放を求める決議を賛成396、反対267、棄権28で可決した。アニェスは3月から拘禁され、反乱など6種の容疑で検察から取り調べられている。   欧州議会決議を受けてエボ・モラレスは29日、アニ

ペルーから米国際開発局を追放ー左翼候補が公約

    ペルー大統領選挙決選で優位に立っている自由ペルー党候補ペドロ・カスティージョ(51)は4月29日、北西端のトゥンべス市から首都リマに到着後、呼吸困難となり、病院に緊急入院した。この日リマで予定されていた遊説は、すべて打ち切られた。  カスティージョは同日、自身の携帯電話に「リマ市内に爆弾を設置した」とする暗殺の脅迫が入ったことを明し、「卑怯者がいる。だが私は携帯電話の番号を変えない」と述べた。  決選の相手候補ケイコ・フジモリ(45、人民勢力党)は公開討論を要求していたが、カスティージョは29日、生まれ故郷である北部カハマルカ州チョタ県都チョタ市中央広場で5月1日午後1時からの討論会を提示。ケイコは同意した。  教組幹部として実績を挙げたカスティージョにとり、国際労働者の日(メイデー)は最高の日付だ。ケイコは財界から支持されており、ある意味で労使対決型の討論ともなる。  一方、自由ペルー党は28日、「政権担当100日間の政策綱領」を発表。ラ米保守・右翼諸国の政策調整機関「グルーポ・デ・リマ」(グリマ=リマグループ)を脱退し、その解体を図ることが含まれている。 ▼ケイコがやや追い上げる  4月30日公表のDATUM調査では、ペドロ・カスティージョの支持率は44%、ケイコ・フジモリは34%。別の機関による前回調査で出た20ポイント差は、半分に縮まった。22%は浮動票。     グリマは2017年8月、マドゥーロVEN政権打倒を目指すトランプ米政権(当時)と連携していたPPクチンスキ秘大統領 (同)の政権期に設立された。後継のマルティン・ビスカラ大統領もグリマを米州外交の柱にしていた。   だがビスカラは解任され、トランプ政権も終焉。トランプ政権が傀儡として擁立したフアン・グアイドーは国会議長任期が今年1月に終わった。さらにメキシコ、アルゼンチンなど左翼・進歩主義政権諸国は事実上、グリマを脱退した。   カスティージョは、そのグリマに止めを刺そうというわけだ。政策綱領はまた、米国際開発局(USAID)追放、米軍駐屯拠点一掃、国内非常事態発動地域での発動解除を謳っている。   一方のケイコは、父親アルべルト・フジモリ大統領が1990年に始めた新自由主義経済路線の堅持、治安強化などを公約、25年の禁錮刑に服役中の父親釈放を公言している。 ▼チョタで第1回討論開催   

パディージャ事件から50年、分析冊子が刊行さる

    キューバの詩人エべルト・パディージャ(1932~2000)が1971年3月20日逮捕され、4月27日自己批判させられた「パディージャ事件」から半世紀が過ぎた。この時宜を捉えて25日、同事件の解釈やラ米知識人らの反応を分析した冊子(読本)がハバナで刊行された。    執筆者は、ラス・アメリカス館長アベル・プリエト(作家、元文化相)と、同館幹部ハイメ・ゴメス=トゥリアナ。題名は、『ゲームの外(および内)でー「パディージャ事件」から50年』。    パディージャは1968年に詩集『ゲームの外で』を出版。「ゲーム」とは、進行中のキューバ革命体制の隠喩である。この詩集は同年、玖作家芸術家協会(UNEAC)賞を受賞したが、「反革命」傾向を指摘されていた。    キューバは59年元日の革命当初から経済建設が難航。60年代半ば以降、経済苦が厳しくなっていた。そこでフィデル・カストロは共産党路線を民族路線からソ連寄りに切り替え、72年にはソ連圏諸国の経済相互援助会議(コメコン)に加盟、経済を安定させた。75年には社会主義憲法を制定、76年にソ連型政治機構に移行した。    60年代末には、政経両面の「ソ連近似化」路線が始まっており、思想統制も徐々に厳しくなっていた。コメコン加盟を翌年に控えた71年の3月20日、パディージャは逮捕され、4月27日まで拘禁された。釈放されてすぐにUNEACで自己批判させられ、「反革命の非」を認めた。これが「パディージャ事件」である。   事件を境にラ米や欧州の知識人が少なからずキューバ革命支持を取り下げ、カストロ体制と袂を分かった。刊行された読本は、とくにラ米作家たちの反応を三通りに分けて分析している。   ①はペルーのマリオ・バルガス=ジョサ(MVLL)ら強硬派。カストロ体制を「スターリン主義」と批判して離反した。②は亜国の故フリオ・コルタサル、スペインの故フアン・ゴイティソーロらで、袂を一旦分かった後、キューバと仲直りした。③はコロンビアの故ガブリエル・ガルシア=マルケスのように革命体制支持が明確な者。   興味深いのは、パディージャが自己批判を逆手にとって、キューバが、「スターリンによる粛清が猛威を振るっていた1930年代のソ連のようになってしまった」ということを暗に表示したと、筆者2人が指摘していること。   自己批判を聴いたUNEACや

左翼候補優位でペルー財界が投資控え

   左翼大統領が誕生する可能性が高まっているペルーで、民間企業の投資控えが顕著になりつつある。   次期大統領を決める決選投票は6月6日実施されるが、地下資源などの国有化を公約している左翼の教組指導者ペドロ・カスティージョ(51、自由ペルー党)は、最新の支持率調査で20ポイント差を右翼ケイコ・フジモリ(45、人民勢力党)に付けるなど、全国で有利な選挙戦を展開している。   経営顧問会社SAEが27日、ペルーメディアで公表したところでは、同社が調査した主要約400社のうちの75%(約300社)は投資を控えたり、これから控えようとしている。25%(約100社)は、決選結果に拘わらず投資を続けるという。   75%のうち、4ポイントは既に無期限投資控えに踏み切っている。34ポイントは決選結果が出るまで投資を控えることにしている。37ポイントは、決選結果が出た後も投資を控える可能性がある。企業の69%は、ケイコ支持と回答している。   カスティージョが政権に就けば、国家の経営関与が増すと85%が予測している。79%は、中央銀行の行政府からの独立性が弱まると考えている。   また65%は自由貿易条約・協定が破棄され、特恵関税措置がなくなると見ている。さらに60%は、鉱物資源やエネルギ-部門が国有化されると予想している。

人民レベルで南米統合ー遠大な理想が第一歩印す

   先住民族をはじめ南米の多民族人民が、人民レベルで「南米諸国連合(UNASUR=ウナスール)」の再興に努めるという組織「RUNASUR」(ルナスール)が4月25日発足した。   2011年に設立された南米全12カ国の連絡調整機関「ウナスール」は2015年末に始まった南米右傾化により18年以降、事実上機能しなくなった。現在、加盟国として残るのは、ベネズエラ、ボリビア、ガイアナ、スリナムの4か国だけ。3分の1にすぎない。   ボリビア先住民族アイマラ人であるエボ・モラレス元大統領は昨年11月、亡命先のブエノスアイレスから帰国した直後、ルナスール(ウナスール再興)構想を打ち出し、小半年かけて設立会合開催を準備していた。   その会合は4月24,25両日、モラレスの活動拠点であるコチャバンバ州ビジャ・トゥナリー市で開かれ、ボリビア、エクアドール(赤道国)、ベネズエラ、アルゼンチンの人民・市民代表が出席した。   ウナスールのような国家間機関は、政権が変わるために加盟・離脱があって不安定だが、人民レベルで連帯すれば、政権のイデオロギーが変化しても機関は存続しうる。そんな発想から、モラレスは結成を呼び掛けた。   ルナスールは、米国、その「植民地省」と酷評される米州諸国機構(OEA、本部ワシントン)、資本主義、帝国主義、新植民地主義、新自由主義を排し、「母なる大地」の神パチャママを讃え、大自然と共存する機関を目指す。    本部はボリビアに置かれ、南米の東西南北に1カ所ずつ計4カ所の支部を置く。事務局長と12カ国代表理事で構成する「執行理事会」が最高指導部となる。   会合に参加しなかった8カ国については、ボリビアがペルー、パラグアイを、亜国がブラジル、ウルグアイを、赤道国がコロンビアとチリを、VENがガイアナとスリナムを、それぞれ説得し、加盟を働き掛けてゆく。   モラレスの多民族主義によるラ米統合の遠大な理想が第一歩を踏み出した。

ペルー大統領選挙決選は左翼カスティージョ優勢続く

   ペルー大統領選挙決選(6月6日)で政権の座を争う2候補の最新の支持率調査結果が4月25日公表された。自由ペルー党のペドロ・カスティージョ(51)は41・5%、人民勢力党のケイコ・フジモリ(45)は21・5%。教組幹部で民族派左翼指導者カスティージョが20ポイント差をつけた。   ペルー研究所(IEP)が4月17~21日に18歳以上の有権者を対象に全国で1367人に意見を訊いた。白票・無効票は21・2%、未決定は13・5%だった。   11日の第1回投票後3度目の調査だったが、いずれもカスティージョが優勢。カスティージョは遊説で、「国民が望まなければ新憲法制定はない」と言い始めている。選挙戦での公約は、地下資源国有化などを果たすため制憲議会を開設、憲法を起草し、国民投票で憲法を制定するというものだったが、姿勢はやや軟化した。   一方のケイコは、「私が勝ったら、首相はフジモリ派以外から任命する」と約束した。財界や保守派はケイコを支持しており、ある著名な政党人は「ケイコはもはやフジモリ派代表ではなく、反共主義の代表だ」と指摘して、ケイコ支持を表明した。カスティージョを「共産主義者」に見立てているのだ。 

バイデン政権がベネズエラ資産をグアイドー派に渡す

    ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月25日、米政府はVEN極右グアイドー派にVEN国有資産1億5000万ドルを渡したと、バイデン米政権を糾弾した。大統領は、コロナ疫病COVID19感染状況に関する報告のなかで公表した。   米政府は欧州諸国などの銀行にあるVEN政府口座を凍結し、そこから資金を勝手に引き出し、トランプ前米政権が擁立したフアン・グアイドー前国会議長以下の傀儡勢力に与えている。VEN政権は、そう非難してきた。   マドゥーロはまた、トランプ前米政権は在外米債資産から12~17億ドルをグアイドー派に渡した、と明らかにした。19年1月から21年1月までの2年間の数字だが、5億ドルの差は、捉え方や計算方法の違いによる。   大統領は、VEN有権者の85%はグアイドー派に反対している、と述べた。   トランプ政権は、在米VEN製油施設、諸外国の銀行内のVEN預金口座、一部在外銀に保管されている黄金などを直接、間接的に差し押さえている。米政府の指令に従わない外国銀行は米ドルを使用できなくなるため、巨額の罰金を支払わされることになる。   米政府は、VENなど不服従国に対する一方的な「制裁」を軍隊と兵器を使わない「経済戦争」と呼び、被害国側も「経済戦争を仕掛けられた」と受け止めている。 ▼忠臣イズトゥーリス死去   VEN教育相アリストーブロ・イズトゥーリスが4月27日死去、74歳だった。教員だったが1992年の選挙でカラカス首都圏リベルタドール区長に当選。98年にウーゴ・チャベスが大統領選挙に出馬すると支持、以来、チャベス大統領の側近となり、それはマドゥーロ現政権まで続いた。同政権で副大統領も務めた。葬儀は28日国会議事堂で挙行され、大統領以下、高官がほぼ全員参列した。 ▼ローマ教皇が内政干渉に反対   フランシスコ教皇は4月29日、VEN国民にメッセージを送り、「国外からのVENへのいかなる干渉にも反対する」と伝えた。       。 

ボリビア大統領が「母なる大地経済」建設を提唱

     国連「地球国際日」(4月22日)はラ米では「世界母なる大地の日」と広く呼ばれている。2009年に提唱者であるボリビアのエボ・モラレス大統領(当時)らの尽力が実り、この日が定められた。   この日、ボリビアの政治首都ラパス中心部のサンフランシスコ広場では「母なる大地の日」を記念して物産展示販売市が開かれ、ルイス・アルセ大統領、ダビー・チョケウアンカ副大統領らが視察し、出店した庶民と交歓した。   アルセ大統領は翌23日にはラパスで「パチャママ(母なる大地の神)との再会」フォロ(フォーラム)を主宰、ボリビア訪問中のベネズエラのホルヘ・アレアサ外相も出席した。   フォロでアルセは、「野蛮な資本主義による過剰開発が、世界中の人民と大自然との調和を破壊し、温暖化など気候変動や多数者の貧困を招いている」として、先進資本制諸国 の責任を指摘。   さらに同諸国は「緑の資本主義(環境資本主義)」を打ち出しているが、大自然との均衡の下、地球の富を全人民に分かち合わせることを可能にする「母なる大地経済」を創建しよう、と呼び掛けた。   このフォロはALBA(米州ボリバリアーナ同盟)との連携で開催された。遠隔参加したニコラース・マドゥーロVEN大統領は、ジョー・バイデン米大統領の肝煎りで22~23日、「気候変動遠隔首脳会議」が開かれたのを指摘しつつ、「この好機に世界の革命勢力は社会運動、環境運動を活発化させよう」と訴えた。   ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領も遠隔参加で、「大自然を少しでも回復させよう」と述べた。キューバのブルーノ・ロドリゲス外相も同様に参加した。   一方、アレアガVEN外相は21日、モラレス元大統領の拠点コチャバンバ州エル・トロピコ地方のチモーレでモラレスと会談するととともに、パチャママ行事に参加した。      

キューバが独自ワクチン接種を5月開始へ

    キュ―バ政府は、独自開発中のコロナワクチン「ソベラーナ」(主権)と「アブダラ」のうち「ソベラーナ」を5月から19歳以上の国民に接種する。マリーア=エレーナ・ソト公共保健相が4月22日明らかにした。  感染した場合、重症度が高くなる60歳以上を優先させる。次いで、40~59歳、19~39歳の3段階に分けて接種するという。人口170万人の首都ハバナから開始する。  ソト保健相は「医療従事者への接種は重要だ」と強調しており、医療従事者に接種してから一般国民に接種しはじめるもよう。妊婦および重病人などは接種対象外とされる。  アレルギーを起こす可能性のある者には、有機水銀化合物ティオメルサル(チメロサール)を含有しないワクチンを用いるという。  接種作業には医療施設のほか、大学医学生、玖女性連盟(FMC)、革命防衛委員会(CDR)が参加する。  ソト保健相は、「ワクチン接種は万能ではなく、マスクや手洗いなど従来からの必要事項を引き続き守らねばならない」と、国民に注意を促している。  キューバでは昨年3月以来、9万8000人が感染、560人が死んでいる。  もう一つの開発中のワクチン「アブダラ」はベネズエラなどの友邦で5月以降、接種される見通し。キューバ政府は外貨逼迫の折、外国での接種が成功してワクチンが輸出品になるのを強く望んでいる。  玖国民の間には、「既存の外国製ワクチンを買わずに開発して時間を失い、感染者が急増した」との批判と不満が高まっている。    

ムヒーカ元ウルグアイ大統領がカスティージョを支持

     ウルグアイのホセ・ムヒーカ元大統領(85)は4月21日、ペルー国民に向けてビデオ挨拶を送り、「ペルーの運命が懸かる」6月6日の大統領選挙決選では「進歩主義思想の持ち主」ペドロ・カスティージョ候補を支持するよう呼び掛けた。   日本では「世界で最も清貧な大統領」だった人物として知られるムヒーカは、「開かれた精神を持つ社会主義者」にカスティージョ支持を訴えるととともに、「ペルーがフジモリ主義の方向に再び陥りかねない恐るべきジレンマに立ち向かうべきだ」と発破をかけた。   ムヒーカはさらに、「闘ってきた多くの人々の名において、社会で最も忘れ去られてきた者を視野に入れている人々に連帯する偉大さと高潔さを持ってほしい」と強調した。   また、「左右両勢力は南米の基本的問題や計画について話し合ってほしい」と前置きし、「これは古参の社会闘争家の願いだ。左翼は思想で一体化し、右翼は利益でまとまるという永遠の問題があるからだ。両派に話し合ってもらいたい。ペルーは今、そうすべき挑戦を受けている。ラ米の他の国々と同様に」と述べた。   別の機会にムヒーカは、4月11日のエクアドール大統領選挙決選で2位に大差をつけて進出したアンドレス・アラウス候補が右翼財界人候補に接戦で敗れた最近の実例を挙げて、カスティージョに「この教訓に学ぶべきだ」と忠言している。 

メキシコが南部国境での不法移民流入管理を強化

   メキシコのAMLO(アムロ)大統領は4月21日記者会見で、南部国境地帯での外国人移民の流入規制と流入児童保護を強化すると明らかにした。   大統領は20日、南部国境州知事・市長との会合で、地元当事当局の意見を集約した。南部国境はグアテマラおよびベリーズとの国境を意味するが、多くの場合、グアテマラとの国境を指す。   同国境地帯には移民流入管理のため国軍部隊が展開しているが、国軍と各州市当局は連携して対処してゆく。米国との北部国境地帯での移民対策と連動させてゆくという。   今年1月、北部国境地帯タマウリパス州カマルゴ市内で小型トラック内から白骨化した不法移民19人の遺体が発見された。うち16人はグアテマラ人だった。AMLOは、「このような悲惨な出来事を繰り返さないため、移民管理を強化する」と説明した。   現時点でメキシコ内には外国人未成年・児童が5300人保護されている。だが1人当たり平均5人の成人が同行しているため、計2万4000の不法滞在者がいるという。   メキシコには3月、1万7500人が流入。昨年12月と比べ6000人も増えている。一方、米国には3月、メキシコ国境から17万2000人が流入、うち1万9000人は未成年・児童だった。      が

アンドーラで第27回イベロアメリカ首脳会議開催

   ピレネー山脈内にあるアンドーラ公国で4月20日、第27回イベロアメリカ(イ米)首脳会議が始まった。20日までの2日間で、コロナ禍COVID19問題、気候変動、多国間主義などを話し合う。特に「国際社会におけるコロナワクチンの公平な配分」が最重要議題。   イベロアメリカとは、「イベリア半島系米州」を意味し、フランス系のハイチを除くラ米19カ国を指す。だがこの会議は同19カ国の元宗主国スペイン、ポルトガル両国と、アンドーラも参加する計21カ国の会合。1991年に発足、第1回会議はメキシコのグアダラハーラで開かれた。       今会議は昨年11月に予定されていたが、コロナ禍のため延期されていた。期せずしてイ米会議発足30周年の記念会合となった。     コロナ禍のさなかとあって出席している首脳は、イベリア側が開催国アンドーラのシャビエル・エスポット首相、スペインのフェリーペ6世国王およびペドロ・サンチェス首相、ポルトガルのマルセロ・ㇾベロ=デ・ソウザ大統領およびアントニオ・コスタ首相。   ラ米側は、グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ、ドミニカ共和国(RD)のルイス・アビナデルの両大統領。それぞれ前回会議、次期会議の開催国の元首として出席している。他のラ米首脳は遠隔参加する。   19日に共産党第1書記に就任したミゲル・ディアスカネル玖大統領は21日、玖最高指導者として遠隔ながら初参加し、コロナワクチン独自開発中の玖科学技術機関などについて語った。       また米国から経済・外交・軍事的脅威に晒されている主権国ベネスエラのマドゥーロ政権を尊重しようと訴え、「誠実であろうとするならば、米国の対VEN政策の失敗を認めるべきだろう」と、米国の政策を支持してきたイ米諸国に暗に問いかけた。   玖第1書記はまた、トランプ前米政権から今年1月、キューバが全く一方的に「テロリズム支援国家」に再指定された理不尽さにも触れた。   同じく遠隔参加したチリ、コロンビア、ウルグアイ、エクアドールの4大統領は、マドゥーロ政権を厳しく批判した。マドゥーロは遠隔参加しなかった 。   代わりに遠隔参加したデルシー・ロドリゲスVEN副大統領は、米国による一方的強制措置によって奪われているVEN資産の無条件返還に尽力するようポルトガルの大統領と首相に要請した。   2011年12月にラ米・

ペルー大統領選挙決選支持率はカスティージョ優勢

    ペルー大統領選挙決選(6月6日)の第1回支持率調査結果が4月19日公表された。11日の第1回投票で1位になった自由ペルー党のペドロ・カスティージョ候補(51)が42%、2位だった人民勢力党のケイコ・フジモリ(45)が31%で、カスティージョが優勢。    両候補とも気に食わないと白票・無効票を投じると回答したのは16%、未決定は11%だった。これらを合わせた27ポイントの切り崩しと獲得が勝敗を分けることになる。    首都リマではケイコ43%、カスティージョ26%で、ケイコが強い。だが地方部ではカスティージョ51%、ケイコ27%で、カスティージョが引き離している。     この地方票の在り方は、都市部での新自由主義支持を、貧困渦巻く農村部の国有化経済志向支持が凌駕していることを物語る。    ケイコには反フジモリ主義の攻撃に晒されているという不利な条件が付きまとっている。収賄・資金洗浄容疑で起訴され、未決囚として収監され保釈中の身でもある。    一方、禁錮25年の刑に服役中の元フジモリ大統領顧問ブラディミロ・モンテシーノス は、刑務所内からケイコ支持を呼び掛け、ケイコの実弟でケイコと仲違いしたケンジ・フジモリ元国会議員に姉との和解を求めている。    モンテシーノスは諜報機関SINの長を務めていたが、その機密任務が暴露され、自らの失墜とフジモリ失権を招いた。2026年に刑が満期となるが、それ以前に釈放される可能性がある。    この暗い人物の支持表明はケイコには有難迷惑で、反フジモリ主義の火に油を注ぐ効果を招きかねない。 ▼2党がカスティージョに対話求める    第1回投票に敗れた穏健左翼、環境保護派のベロニカ・メンドサが率いる「拡大戦線」党は4月21日、ペドロ・カスティージョの決選1位進出は、「新自由主義体制下で長年虐げられていた貧者が反逆した結果」と論評し、カスティージョ候補との話し合いを希望した。また直接民主党のアンドレス・アルカンタラ党首も話し合いを求めている。    一方、ケイコ・フジモリは21日、エボ・モラレス元ボリビア大統領に向けて、「ペルー情勢に介入しないよう」要求した。モラレスはカスティージョ支持をあからさまにしており、第1回投票でカスティージョが1位になると、「我々はペルー勝った」と発言した。 ▼カスティージョがリード拡げる    4月

キューバ共産党第1書記にディアスカネル大統領就任

     キューバ共産党(PCC)の新しい第1書記に、ミゲル・ディアスカネル大統領(60)が就任した。4月19日終わった第8回党大会は初日の16日、ラウール・カストロ第1書記(当時)が引退表明し、最終日に正式に退任した。   ラウールは6月初め90歳になる。10年前の2011年の第6回党大会で、「党・政府・国の要職は1期5年、1人2期まで」と決め、自ら実行した。   ディアスカネルは90年代半ばごろからラウールが目をかけ、「隠し玉」として育てていた。実兄フィデル・カストロの重病による引退後、後を継いだラウールは、「ラウール後」に兄が想定していた意中の後継候補を追放。この時点でディアスカネルが後継者に事実上決まっていた。   ラウールは「ディアスカネルは思い付きで選ばれたのではない」とし、地方党指導者からの長い党歴を挙げて、正統性を強調した。   注目された政治局員の顔ぶれも、予測にほとんど違わなかった。第2書記は廃止された。政治局員は従来の17人から14に減らされた。最大の注目点は、ラウールの元女婿で中央委員だったルイス・ロドリゲス=ロペスカジェハGAESA(軍部企業連合)社長(60)の抜擢だった。ラウールの「懐刀」の一人が政治局に入ったことは、カストロ体制の一定の「継続」を保証する。   政治局員は次の通り(★印は留任);①★ミゲル・ディアスカネル第1書記・大統領②★エステバン・ラソ立法府ANPP議長・国家評議会議長③★サルバドール・バルデス=メサ副大統領④★ロベルト・モラレス=オヘーダ党幹部組織政策書記⑤★アルバロ・ロペス=ミエラ革命軍相⑥★ブルーノ・ロドリゲス=パリ―ジャ外相⑦ウリーセス・ギラルテ=デ・ナシミエント玖労働者中央同盟(CTC)議長⑧テレサ・アマレジェ=ボウエー玖女性連盟(FMC)書記長⑨マルタ・アヤラ=アビラ遺伝子工学・生物工学センター(CIGB)所長⑩マヌエル・マレーロ=クルース首相⑪ホセ=アマ―ド・リカルド=ゲラ閣僚評議会書記(官房長官)⑫ルイス=アルベルト・ロドリゲス=ロペスカジェハGAESA社長⑬ラサロ=アルべルト・アルバレス=カサス内相⑭グラディス・マルティネス=ベルデシア党アルテミサ州支部第1書記。   書記局員6人は以下の通り;①ロベルト・モラレス=オヘーダ政治局員②ロヘリオ・ポランコ=フエンテス党イデオロギー局長(元駐VEN大使)

「ラウールは癌」とスペイン紙報道

   キューバ共産党(PCC)のラウール・カストロ第1書記(89)は「食道癌、直腸癌、肝硬変に罹っている」。スペイン王党派系保守紙ABC(アベセ)が4月18日報じた。「カストロ体制に近い筋」が情報源という。   ラウールは4月16日、PCCの第8回大会開会時に「中央委員会報告」をした際、その締めくくりに「第1書記を退く」と表明。大会最終日の19日、正式に退任し、政界から引退する。ABCは、そのタイミングに合わせて報じた。   マイアミの西語テレビ放送「アメリカテべ」は18日、記事を書いたABC記者に電話インタビューする形で後追い報道した。そのなかでABC記者は、「ラウールは家族間でも政争に巻き込まれている」とし、「息子アレハンドロ・カストロ内務省大佐(55)と、元女婿ルイス・ロペスカジェハス革命軍少将(60)の対立の狭間にいる」と指摘している。   ラウールは昨年、人前に長期間姿を現さなかったことがあり、その際、「癌説」が流れた。実兄フィデル・カストロは2016年11月、直腸癌で90年の生涯を閉じている。   ABC紙によれば、ラウールは定期的に通院しているが、普段は生まれ故郷であるオルギン州ビラーンで静養することが多いという。ラウールは6月初め、90歳になる。     

キューバ党大会:守旧派と改革派が鬩ぎ合い

    ハバナ市内西部の会議殿堂で4月16日開会した第8回玖共産党(PCC)大会は2日目の17日、前日に引き続き、3部会で議論が続けられた。「経済危機からの脱出」が最大の関心事だが、共産党政権は従来通り国営企業中心の経済運営を経済政策の基盤にしており、これに異論を唱える者も少なくない。  簡単に言えば、革命第一世代や軍部の代議員は守旧派で、経済畑や若い層の代議員は改革派だ。両者の鬩(せめ)ぎ合いが続いている。誰もが認識しているのは「市場化促進」以外に打開策はない、ということ。  守旧派は「革命深化」という空しい言葉を吐き、改革派は「革命でなく、改革実行を」と叫ぶ。守旧派は、市場化が進めばPCCの統制機能が殺がれると恐れ、改革派は「他に選択肢がなく、水が首まで迫っているのに相変わらずためらっている」と不満を隠さない。  厳しい外貨欠乏に直面し輸入がままならない現状を打破するため、仮想通貨を導入する案も出されている。同盟国ベネズエラのマドゥーロ政権は2018年、原油国際価格に連動する仮想通貨「エル・ペトロ」(石油)の使用を開始、一定の成果を挙げてきた。  食糧危機は輸入できなくなったことによるところが大きいが、国内の生産者が、政府による農作物の独占的買上げ価格の低さに反発して、本気で生産しないことにも起因している。この問題も話し合われている。  大会は、経済活性化と食糧確保を「国家安全保障問題」に組み入れた。  政府は党大会に合わせて、牛肉の販売を認可した。玖人庶民の動物性蛋白源は豚肉、鶏肉、魚介類が中心。牛肉は高根の花だ。その販売許可は「新機軸」には違いない。肉牛の年齢、肉の部位などを基にした細かい価格が設定されている。牛乳の買上げ価格も更新された。これらの方策は、生産農民への刺激策だ。  一方、1959年元日の革命の後、60年代から制度化されてきた生活必需物資の配給は、ソ連圏消滅で経済危機に直面した90年代以降、徐々に縮小されてきた。財政赤字が深刻なため補助金削減が急がれており、配給制度もそのあおりを食らっている。  だが深刻な経済危機にある今、代議員から「縮小されながらも配給制度は、庶民に辛くも安心感を与えている」との指摘がなされている。  国民は空腹と、国民間の格差拡大によって、PCCに背を向けつつある。80年代に生まれた40歳未満の層にそれは著しい。彼らは党が

月刊LATINA電子版「ラ米乱反射」で記事公開

    月刊LATINA電子版「ラ米乱反射」第8回が公開されました。内容はペルー大統領選挙分析と決選展望、エクアドール大統領選挙決選分析、ボリビア統一地方選挙分析、ルーラ伯元大統領が被選挙権回復の背景ーの4点です。    ご覧ください。2021年4月18日  伊高浩昭  

キューバ共産党大会開会、ラウール第1書記が辞意表明

     キューバ共産党(PCC,党員67万人)の第8回大会が4月16日、ハバナ市内西部の会議殿堂で始まった。開会演説(中央委員会報告)をしたラウール・カストロ第1書記(89)は締めくくりに辞意を表明。最終日の19日に正式に辞任する。ミゲル・ディアスカネル大統領(60)が新第1書記に就任する。   代議員は300人。コロナ禍のため、大幅に縮小された。最大のテーマは「物資欠乏による未曽有の危機への対応」。これは謳われていないが、誰もが認識している事実だ。   ラウールは報告で革命後60余年の歩みに大まかに触れ、最近のラ米情勢やコロナ禍について語った後、「満足して退任する。党中枢部に残ってほしいという要望があるが、それは受け入れられない。だが党員として命の最後の瞬間まで革命体制に尽くす」と述べた。そして「祖国か死か」という亡き兄フィデルの革命標語を叫び、代議員らが「勝利するぞ」と応え、報告を終えた。   党大会初日に逸早く辞意を打ち出したのは、今大会が政経・社会各面で重大な岐路に立たされている状況の下に開かれた重要性を党員および国民に意識させるためだ。   4月16日という日付は、1961年のこの日、故フィデル・カストロ首相(当時)が「社会主義革命」を宣言した歴史的な節目。その60周年にフィデルの実弟ラウールは最高指導者の地位を離れる意志を明確にした。現在のPCCは65年10月に発足した。   また翌17日は、ケネディ米政権がカストロ体制転覆のため送り込んだ反革命在米キューバ人部隊が、玖カリブ海側のコチーノス(豚)湾ヒロン浜(プラヤ・ヒロン)に上陸した日。そして19日はフィデルが率いた革命軍と民兵部隊が侵攻部隊を撃破した輝かしい日。その60周年記念日にPCC新指導部が発足する。   キューバは社会主義経済政策の失敗、米国による厳しい経済封鎖、コロナ禍COVID19蔓延などで経済が疲弊。食糧や薬品が欠乏する苦境が続いている。ラウールが「満足して退任」できる事態ではまったくない。   国民には青年層を中心に革命体制への不満が充満している。パソコン、携帯電話、スマホなど電子機器の普及は、国の情報独占を打ち破り、国が強権で情報を一元的に統制できる時代は終わった。国民は日々、政府や警察当局に対し平和裏に反逆している。   その国民不満の中心にあるに日常生活物資の欠乏の解消など具体

米軍電子諜報機がベネズエラの軍事状況偵察  

   コロンビアのW放送(カラコル放送局所属)が4月15日伝えたところによると、米空軍の電子諜報機ボーイングRC135W機(1機)が12日、COLアラウカ州に飛来、VEN国境地帯での軍事状況を探っている。   同機は米本土ネブラスカ州のリンカーン空軍基地に所属、空中給油を受けながら飛来。COL領内に展開したのは初めて。アラウカ州はCOL東北部にあり、VEN中南西部のアプレ州に隣接する。一帯はオリノコ、アマゾン両水系の大河が流れる密林地帯。   アプレ州パエス市域内では3月21日ごろから、左翼ゲリラFARC(COL革命軍)の残党部隊などとFANB(VEN国軍)が戦闘。VEN人難民約6000人がアラウカ州内に避難しているという。   マドゥーロVEN政権は、マイアミに司令部のある米南方軍、ドゥケCOL政権、ゲリラを含む準軍部隊が連携してのVEN不安定化作戦が遂行されていると指摘。ニコラース・マドゥーロ大統領は14日「全人民戦争戦略」を展開するとして、現地に民兵特殊部隊1000人を派遣した。   COLは極右のアルバロ・ウリーベ元大統領の政権期に対米軍事関係を確立。ウリーベの腹心だったイバン・ドゥケが現大統領。同大統領とCOL国軍司令部が南方軍と協議、今回の電子諜報機が派遣となった。 ▼FARC残党が内部対決  VENアプレ州内での戦闘は、イバン・マルケスが率いるFARC残党の主流派と、ヘンティル・ドゥアルテらの分派の武力対決に起因する。ドゥアルテが4月18日、声明で明らかにした。マドゥーロ政権はFARC分派との話し合いの道を探っている。 ▼エス―ス・サントゥリチが戦死  コロンビア国防省は5月18日、ベネズエラ国境地帯での旧FARC分派同士の戦闘で、イバン・マルケス派のヌエバ・マルケタリアの幹部ヘスース・サントゥリチが死亡したと明かにした。サントゥリチは元FARC最高幹部の一人。        

ブラジル最高裁がルーラを法廷闘争から解放

      ブラジル連邦最高裁は4月15日、ルーラ元大統領に腐敗罪などで有罪判決を下したパラナー州都クリチーバの連邦裁による一連の審理を無効とする先の判断を確認。これによりルーラは法廷闘争から解放され、被選挙権を回復し、来年の大統領選挙に出馬できることになった。   最高裁判事11人のうち8人が無効判断支持、3人が反対した。最高裁はまた先ごろ、クリチーバ裁判を遂行した当時のセルジオ・モロ判事が(「反ルーラ」に凝り固まり)公平性を欠いていたとの判断も下していた。   この日、発表された最新の世論調査では、来年の大統領選挙決選がジャイール・ボウソナロ現大統領とルーラの戦いとなった場合、ルーラ52%、ボウソナロ34%で、ルーラが当選する予測となった。   一連の「ルーラ事件」の背景には、労働者党(PT)に大統領選挙では勝てない伝統的支配階層の陰謀があった。まず2016年8月、国会は当時のヂウマ・ルセーフ大統領を些細な理由で弾劾解任し、保守右翼暫定政権を樹立。次いでモロ判事を使ってルーラの18年大統領選挙出馬権を奪い、極右ボウソナロを当選させた。   PTはルーラ2回、ルセーフ2回の4回連続で大統領選挙に勝利、ルセーフ弾劾まで13年余り政権を担った。PTは新自由主義経済路線を修正維持しつつ社会政策を大幅に導入し、多数派の貧困層の支持を得て長期政権を維持した。   この貧困多数派という経済階級的構造はコロナ禍で一層悪化し、ますますPTが有利な政治環境が醸されている。ボウソナロはとくにコロナ禍対策で失政、最高指導者としての資質を疑われてきた。   今回の最高裁判断には、世論の「ルーラ待望論」を司法が汲み取った結果とも言える。 ▼国会にコロナ禍対策調査委設置へ  伯最高裁(判事11人)は4月14日、ボウソナロ政権のコロナ禍対策を検証する議会調査委員会(CPI)を国会に設置することを承認した。これに反対していたボウロナロ大統領が敗北したことになる。 ▼支持率調査でルーラ有利  5月11日のアトゥラス・ポリチコ調査結果では、来年の伯大統領選挙の第1回投票でジャイール・ボウソナロ大統領、とルーラ元大統領がそれぞれ得票率37%、33%で決選に進出。決選では46%のルーラが41%のボウソナロを上回る見込み。   

ボリビア政権党MASの退潮目立つ

    ボリビア統一地方選挙(3月7日)の決選投票が4月11日実施された。336市長の7割方は、アルセ政権の政権党MAS(社会主義運動)が確保したが、州知事と大都市長の選挙ではMASの退潮が目立った。  MASは第1回投票でオル―ロ、ポトシー、コチャバンバ3州の知事を獲得、野党はサンタクルース、ベニ両州知事を獲った。  残るラパス、パンド、チュキサカ、タリーハ4州知事選が決選となったが、MASは同4州すべてで敗北した。結局全9州中、MASは3州知事を得たのみとなった。政治首都ラパス市に隣接する大都市エル・アルトでも、かつてMAS幹部で上院議長を務めながらMASと袂を分かったエバ・コパが市長選に当選した。  今選挙は、2019年11月まで13年余り大統領だったエボ・モラレスが選対本部長を務めたが、エボのカリスマと神通力の衰えが印象づけられた。  決選有権者は270万人。投票率は83%だった。

ペルー大統領選挙決選は左右対決へ【解説】

    4月11日実施のペルー大統領選挙は13日、選挙庁(ONPE=オンぺ)が開票率96・7%段階での集計結果を発表。①ペドロ・カスティージョ(自由ペルー)19・08%②ケイコ・フジモリ(人民勢力)13・36%③ラファエル・ロペス=アリアガ(国民刷新)11・68%④エルナンド・デ・ソト(ペルー前進)11・62%⑤ジョニー・レスカ―ノ(人民行動)9・10%⑥ベロニカ・メンドサ(共にペルーのため)7・84%⑦セサル・アクーニャ(進歩のための同盟)6・05%⑧ダニエル・ウレスト(ペルーは可能)5・65%⑨その他10候補計15・57%ーだった。    投票率は72%。白票は12%だった。  既に世論調査会社IPSOSが11日夜発表した速算とほぼ同じで、ONPE集計の著しい遅れが際立ち、またも開票・集計への信用性が傷ついた。ONPEは「開票・集計要員の欠席が多かった」など信じがたい言い訳をしている。  ともあれ、上位1、2位が事実上確定、左翼カスティージョと保守・右翼フジモリが6月6日の決選に進出することが確定的となった。  国家選挙審査会(JNE)は、開票集計が済み次第、両候補の得票集計表(アクタ)を5月初めまでに精査。これにより正式に決選進出が公認される。 ▼両候補の横顔  カスティージョ(51)は地方の農村学校教師。農民でもあり、日焼けした精悍な風貌。押しが利き、自身に満ち、雄弁家で迫力がある。つまりカリスマが光る。  かつてキューバ革命と、故ウーゴ・チャベス大統領期のVENボリバリアーナ革命に憧れていた。今世紀初め、フジモリ政権崩壊後の混乱期を収拾する大統領選挙で誕生したアレハンドロ・トレード大統領の政権党「可能なペルー」(PP)に入党した。  だがトレードは、「先住民大統領」と自己宣伝して登場しながら汚職にまみれ、有権者の期待を大きく裏切った。任期切れの後、追及をかわすため出国、米国に潜伏していた。だが米当局に拘禁され、身柄引き渡しを待つ身。  同党を離脱したカスティージョは2017年、教員ストライキを成功させ、教組指導者として一躍有名になった。だが政治的には無名だった。教組仲間らが今大統領選挙を目指して「自由ペルー」を結党、党首が出馬する予定だった。だが党首はある事件で出馬資格を失い、代わってカスティージョが立候補することになった。  政策は、ボリビアのエボ・モラ

ペルー大統領選挙決選に左翼とフジモリが進出か

    ペルー大統領選挙第1回投票は4月11日実施された。18人の候補が乱立し、票は割れているが、世論調査会社IPSOSの100%高速集計によれば、左翼の自由ペルー(PL)党ペドロ・カスティージョ(51) 18・1%、新自由主義の人民勢力(FP)党ケイコ・フジモリ(45)14・5%で、それぞれ1,2位となり、6月6日の決選に進出することが確実になった。   カスティージョは教員労連指導者で、待遇改善ストで成功、名を挙げた。北部のカハマルカ出身。ケイコはアルべルト・フジモリ元大統領の長女。   選挙庁(ONPE)の集計は遅れているが、初期段階でカスティージョ1位、デ・ソト2位、フジモリ3位。  出口調査では、カスティージョ1位、フジモリとデ・ソトが2位を分け合っている。 ▼フジモリ2位につける  ONPEは開票率90%段階で、カスティージョ18・9%、フジモリ13・2%、デ・ソト11・9%と発表した。★投票率は73・9%だった。 ▼国会議席決まる。  大統領選挙と同時に実施された一院制国会(定数130)の議席配分が決まった。  自由ペルー(PL)党28、人民行動(AP)党23、人民勢力(FP)16、進歩のための同盟(ALPRO)14、国民刷新(RP)党11、国よ前進せよ(AP)党10、共にペルーのめに(JPP)8、ペルーは可能(PP)党6、我らはペルー(SP )党5、国民勝利(VN )党5、暗紫党(PM)4。

赤道国次期大統領は保守・右翼の財界人ラソ

    エクアドール(赤道国)に14年ぶりに本格的な保守・右翼政権が生まれることになった。4月11日実施の大統領選挙決選で「機会創出運動」(CREO)のギジェルモ・ラソ候補(65)が接戦を制したからだ。  国家選挙理事会(CNE=中央選管)は11日夜、開票率97%段階で、ラソ52・51%、対立候補アンドレス・アラウス(36)=UNES(希望連合)=47・49%と発表。これを受けてアラウスがラソを祝福し、混乱なく決着した。  ラソは太平洋岸の大都市グアヤキルを地盤とする銀行家。3度目の挑戦で政権を勝ち得た。5月24日に就任する。任期は4年。当確後、「祖国の運命変革に挑戦する責任を負う。全国民に機会を与え、繁栄のため働く」と述べた。  赤道国はラファエル・コレア前大統領の左翼・進歩主政権10年の後、副大統領だったレニーン・モレーノ現大統領が4年前、決選でラソを破って政権に就いた。だが財政赤字、対外債務が膨らみ、モレーノはコレアと袂を分かち、米国に接近。コロナ禍による経済縮小で施政は行き詰まった。  有権者はコレア10年と、その延長線上で政権に就いた現政権という計14年間と異なる選択をした。財界人ラソに経済再建を託したのだ。  アラウスは2月7日の第1回投票で1位になり優勢だったが、3位の先住民候補陣営がアラウス支持を明確にしなかったこと、隣国コロンビアのドゥケ政権とラソ陣営が組んでのアラウスに対する悪辣な攻撃、 コレアの「弟子」アラウスの若さへの不安感などから、選挙戦最終段階で票が伸び悩み、ラソに追い抜かれた。  潔く敗北を認めたアラウスは「団結を維持し、進んでゆく」と述べ、4年後に再挑戦する意志を明らかにした。政治的な師であるコレアから距離を置き、自立してゆく可能性もある。 ▼ラソを次期大統領に認定  赤道国中央選管は4月18日、ギジェルモ・ラソを公式に次期大統領と認定した。決選での得票率は52・36%。敗れたアンドレス・アラウスは47・64%で、差は42万票だった。    

きょう注目のペルー大統領選挙

   ペルー大統領選挙(第1回投票)が4月11日、実施される。18人が出馬し、うち5~6人が6月6日の決選に進出する可能性を秘めている。「歴史的大接戦」と秘各紙は指摘している。決選進出上位2候補の組み合わせは、幾通りか予測されている。順不同。   その①は最終支持率調査で上位に位置する左翼2候補が決選に進出するというもの。著名な左翼ベロニカ・メンドサと、無名だったペドロ・カスティージョである。どちらが勝っても、1980年代後半の故アラン・ガルシア大統領以来31年ぶりに左翼大統領が生まれることになる。   (ガルシアは今世紀に2期目を務めたが、すっかり保守・右翼化し、汚職にまみれ、逮捕される直前に拳銃自殺した。第1期でも汚職にまみれていた。)    ②は支持率が高い中道・保守の大学教授ジョニー・レスカ―ノと、左翼候補いずれかの決選進出。   構図①では両候補が左翼票を奪い合って、一方が3位以下に落ちる公算も小さくない。その場合、漁夫の利を得るのは、ダークホースで新自由主義派のケイコ・フジモリか。そこで③は、左翼両候補の一方とフジモリの決選進出。ベロニカとフジモリが進出すれば、この国に初めて女性大統領が誕生することになる。これが最も興味深い対決だ。   他にエルナンド・デ・ソト、ラファエル・ロペス=アリアガという新自由主義者の候補がいるが、勢いは同派のフジモリに及ばない。しかし番狂わせは常にあり得る。そこで④は左翼と、フジモリでない新自由主義路線候補の対決となる。   ⑤は左翼両候補が共倒れになって、レスカーノと新自由主義候補が決選に向かう場合。この場合、レスカーノ対フジモリが有力か。   7番手の候補は、元サッカー秘チームGKで、ラ・ビクトリア市長だったジョージ・フォーサイス(フォルシス)。昨年半ば過ぎまで支持率調査で1位を占めていたが、大統領の器ではないという見方が浸透し、支持率は低迷している。⑥は奇跡的なフォーサイスの決選進出。 ▼赤道国では11日、大統領選挙決選が実施される。アンドレス・アラウスとギジェルモ・ラソの左右対決となる。 ▼ボリビアでは3月7日の統一地方選挙の決選投票が11日実施される。過半数得票者、あるいは2位に10ポイント差をつけた得票者がいなかった選挙地の州知事、市長などが決まる。 

ベネズエラ・コロンビア国境で非正規戦闘頻発

   バイデン米政権が発足後の2月ごろからベネズエラ・コロンビア国境地帯での武力紛争が頻発している。VEN政府は、米南方軍、COL政府、COL非正規武闘集団の合作によるVEN政府揺さぶり作戦と観ている。   オリノキーア(オリノコ川流域)とアマソニア(アマゾン川流域)にまたがる両国国境地帯のVEN側でFANB(VEN国軍)と非正規部隊との小規模な戦闘が断続的に続き、これまでに非正規兵9人が死亡、33人が逮捕・起訴され、VEN軍事法廷にかけられている。   さらに非正規部隊の野営地6カ所が破壊され、爆発物、武器などが押収されている。戦闘の中心地であるアプレ州パエス市所属く地域では非正規部隊が地雷を敷設している。VENは2013年5月、「地雷完全撤去国」になったが、それ以来初めて地雷敷設が明らかになった。   FANB側は戦闘で兵士8人が死亡、34人が負傷している。   オバマ元米政権は2015年3月、VENを「米国の安全保障の脅威」と決めつけ、マドゥーロ政権打倒工作を公式に開始。後継のトランプ前政権は、フアン・グアイドー傀儡体制を擁立しつつ、対VEN政経外交封鎖を強化していた。クーデターも数回仕掛けたが、ことごとく失敗した。   14年12月に対玖国交正常化を決めたオバマの戦略は「国交再開により社会主義キューバを軟化させる一方、強敵ウーゴ・チャベス前大統領が死去したVENの後継体制を潰す」というもので、オバマの副大統領だったバイデンは、この政策に従っている。   昨年の米大統領選挙でトランプに肉薄されたバイデンは、米有権者の右翼・保守体質を警戒しており、来年の中間選挙をにらみつつ、VEN叩きを戦術として使っている。   米政府は南方軍の関与を公式には認めていないが、南方軍やCiaの関与は「常識」で、COLと組んで「汚い戦争」を開始したのは疑いが濃厚だ。    一方、VEN陸軍作戦戦略司令部は、アプレ州内で犯罪行為をしていたメキシコ人一人を9日逮捕したと明かにした。墨麻薬マフィア「シナロアカルテル」の要員という。       。   

「デモクラシータイムス」でラ米麻薬問題番組放映

   パソコンで観られるユーチューブジャーナリズム「デモクラシ―タイムス」の「ラ米シリーズ⑤」として8日夜、「麻薬問題:コカ葉は神、コカインは悪魔」が解禁されました。   「デモクラシ―タイムス」、次いで「麻薬」と検索すれば、出てきます。過去の同シリーズなどを含め、是非ご覧ください。             20210409  当ブログ主宰 ジャーナリスト 伊高浩昭   

キューバ共産党大会の前触れ解説記事掲載の件

   「キューバ共産党大会でカストロ第1書記引退へ」「高まる体制不満、経済浮揚待ったなし」という拙稿が、9日付『週刊金曜日』誌に掲載されています。御覧ください。    玖共産党(PCC)第8回大会は4月16~19日開かれます。その前触れ解説記事です。ご参考まで。 当ブログ主宰 ジャーナリスト 伊高浩昭            

米法廷が元ボリビア大統領に賠償金支払いを命ず

   米フロリダ州高裁は4月5日、元ボリビア大統領ゴンサロ・サンチェス=デ・ロサーダ(通称ゴニ)被告に賠償金1000万ドルを支払うよう命じた。    ゴニは大統領だった2003年10月、チリ領経由での対米天然ガス格安輸出に反対する国民の抗議行動を軍隊を出動させ弾圧。エル・アルト市や農村部で60人を超える死者が出た。「暗い10月」と呼ばれるこの事件の犠牲者のうち8人の遺族が訴えていた。   ゴニは腹心だった当時の内相カルロス・サンチェス=ベルサイーンらと03年10月、米国に逃亡、亡命生活を送ってきた。このため法廷闘争は米国内で続けられた。   ゴニとサンチェス両被告は2018年にフロリダ州の法廷で、「拷問犠牲者保護法」(TVPA)に基づき有罪になったが、後に「証拠不十分」として無罪になった。そこで控訴となった。今回は2度目の控訴で、陪審員の評決で賠償金支払いが決まった。   遺族が原告となった犠牲者8人には、妊婦や少女が含まれている。   原告側弁護士トーマス・べカーは、「外国の元国家元首が米国内で人道案件によって裁判にかけられ断罪されたのは初めて」と、判決の意義を強調している。   またボリビアのイバン・リマ司法相は、「民間人が元大統領を訴え勝訴した。良き先例をつくった」と讃えた。   ボリビアでは2019年の政変時にも、エル・アルト市センカラと、コチャバンバ州サカバ市で虐殺事件が起きている。当時の暫定政権首班ジャニーネ・アニェス被告は逮捕、起訴されており、両事件でも裁かれることになる。  

チリが新憲法起草会議代議員選挙を5月に延期

      セバスティアン・ピニェーラ智大統領は4月6日、コロナ禍covid19蔓延に鑑み、11日に予定されていた新憲法起草会議代議員155人を選ぶ選挙を5月16日に延期すると発表した。   併せて、10日予定の市長、市会議員、州知事などを選ぶ統一地方選挙を5月15日に延期したことも明らかにした。   この延期は、国会上下両院で可決されていた。   大統領は、「4月に両選挙を実施すれば、covid19怖さから棄権率が高くなり、それは民主政治の健康を害する」とし、「国民と民主制度の健康を守るため、両選挙を延期する」と説明した。   今年11月21日には大統領選挙が実施されるが、各党や各政党連合の候補を決める予備選挙は7月18日に実施される。

エクアドール大統領選挙決選は大接戦

   赤道国(エクアドール)で4月11日、大統領選挙決選投票が実施される。2月7日の第1回投票で32・72%獲得し1位で決戦に臨む左翼アンドレス・アラウス(36、UNES=希望連合)と、13ポイント差を付けられた2位の右翼ギジェルモ・ラソ(65、CREO=機会創出運動)が追いつ追われつの大接戦を演じている。   最新の支持率調査ではアラウス50%、ラソ49%。浮動票(未決定票)は8%にすぎない。ラソとの差わずか0・35ポイントで3位に甘んじた先住民運動パチャクティクのヤク・ペレスは、支持者に決選両候補のいずれも支持しないよう言い含めてきた。   だが先住民の大勢が、右翼財界人のラソよりも、左翼ラファエル・コレア前大統領の政治的申し子であるアラウスの政策に馴染みやすいのは疑いない。予断を許さない大激戦だが、若く活気にあふれるアラウスがわずかに優勢との指摘もある。   しかし先住民運動も割れている。ペレスの副大統領候補だった女性ビルナ・セデーニョはラソ支持を表明したため6日、パチャクティクから追放された。   同様に、赤道国先住民連盟(CONAIE)のハイメ・バルガス議長はアラウス支持を打ち出したため同日、パチャクティクから追放された。    この国の人口は1740万人、有権者は1310万人。当選者は5月24日、大統領に就任する。任期は4年。   コロナ禍covid19は猛威を振るいつづけ、33万人が感染、1万7000人が死亡した。人口比では、かなり多い数字だ。経済は昨年7・8%も縮小した。   次期政権は「コロナ後」の政経社会の立て直しを迫られる。 (註)パチャクティクの最後の「ク」は一般的に発音しない。   

ペルー大統領選挙は大接戦

    4月11日実施のペルー大統領選挙(第1回投票)の最新支持率調査の結果が4日公表された。調査は3月31日と1日の両日実施された。18人が出馬している。    主要候補6人の支持率順位は、1位が人民行動党(AP)のジョニー・レスカ―ノ候補で11・1%。2位には、7・9%の人民勢力(FP)のケイコ・フジモリが着けた。    3位以下は、エルナンド・デ・ソト(7・8%、アバンサ・パイ-ス=国よ前進せよ)、ベロニカ・メンドサ(7・3%、共にペルーのために)、ラファエル・ロペス=アリアガ(7%、人民刷新)、ジョージ・フォーサイス(フォルシス、6・8%、国民勝利)。フォーサイスは4日、コロナウイルス感染が明らかになった。    別の調査では、レスカーノ、デ・ソト、メンドサ、フォーサイス、フジモリ、ロペス=アリアガの順になっている。    過半数得票者は出ないと見られており、その場合は、得票上2候補が6月6日の決選に進出する。 ▼もう一人浮上    4月8日発表の支持率調査で、自由ペルー(PL)党のペドロ・カスティージョが、決選進出を争う第七の候補に躍り出た。 

ルーラ伯元大統領が3選出馬の意欲表明

     ブラジルのルーラ元大統領は4月3日、ポルトガルのテレビ放送RPTによるインタビューで、来年2022年の大統領選挙に出馬する可能性を強く示唆した。   ルーラは、「私が健康であって、求められればの話だが、当面の優先課題ではない」と述べながらも、「ジャイール・ボウソナロ(現大統領)の再選はない」と断言。現職を破るのは自分だという意思を明確にした。   さらに「物事には時宜がある」と前置きしながらも、「広範な戦線が構築されれば、労働者党(PT)は候補者を出す」とし、必勝を期していることを示唆した。   ブラジル法廷は3月、セルジオ・モロ判事(現政権元司法相)がクリチーバ連邦裁でルーラを起訴、収賄罪などで有罪に追い込んだ一連の裁判を「無効」とし、さらに後日、「モロは反ルーラという個人的感情で行動し、判事としての公平さに欠けていた」とモロを糾弾した。   これらの法廷判断によって、ルーラは出馬権を回復した。政府当局による新たな妨害行為がなければ、出馬する方向にある。   コロナ禍covid19の感染者130万人、死亡者33万人で、米国に次ぎ最悪2位のブラジルだが、その中心的原因は、「反知性派極右」として知られる元軍人ボウソナロ大統領が、「単なる風邪のようなものだ」とうそぶき、コロナ禍対策を怠ったことと受け止められている。   PT政権の社会政策重視路線を嫌悪するブラジルの伝統的支配階層は、ルーラの後継大統領だったヂウマ・ルセーフをささいな「罪」で弾劾し、ルーラの出馬権を奪って、新自由主義路線のボウソナロ政権を誕生させた。  だがコロナ禍対策における失政、アマゾニア破壊進行など、大統領としての不適格性が暴露されたり、適格性への疑問が渦巻き、支配階層も危機感に苛まれている。   世論も「危機脱出にはルーラ再登場しかない」とルーラに期待。その結果として、過去2期8年政権にあったルーラの3選出馬に道が開かれたと言える。 ▼決選でルーラ有利か   来年の伯大統領選挙の支持率調査が早くも実施されている。4月7日公表の調査では、候補者が乱立する第1回投票で現職ボウソナロ27%、元職ルーラ25%で、両候補が決選に進出する。   決選はルーラ42%、ボウソナロ38%で、ルーラが優勢となる。           、

トアー・チリ元内相暗殺の自殺偽装犯の起訴確定

     1973年9月11日の軍事クーデターで倒されたアジェンデ智社会主義政権で内相と国防相を務めたホセ・トアー(1927~74)の暗殺を自殺に偽装した元陸軍士官への起訴が4月1日、首都の控訴審で確定した。   トアーはジャーナリスト出身の社会党員で、サルバドール・アジェンデ大統領の腹心だった。クーデター当日、アジェンデ大統領が籠城していた政庁(ラ・モネーダ宮殿)に駆け付け、軍政当局に逮捕された。アジェンデは機銃で抵抗した後、その機銃で自害した。   軍事学校に連行されたトアーは拷問された後、南端のマゼラン海峡に面したダウソン島の流刑場に送られた。冬は極寒の地だ。政治囚でなく「戦争捕虜」とされたトアーは強制労働と拷問で健康を害し、身長192㎝のところ、体重が49㎏に落ちた。   このため軍政はトアーを、マゼラン海峡地方の中心地プンタアレナス市の病院に送り、次いで74年2月1日、首都の軍事病院に移した。ここで暗殺の陰謀が動く。軍政最高指導者アウグスト・ピノチェーの意向が働いたのだ。   1974年3月15日、トアーの死の日、内務省捜査警察の法医学医師アルフォンソ・チレーンは軍事病院から緊急呼び出しを受け、駆け付けた。トアーの検視を命じられたのだ。   病院当局は「自殺」と断定した死亡診断書に署名するようチレーンに迫った。だが チレーンは「第三者介在による絞殺」と判断、署名を拒否した。その結果、同医師は捜査警察から追放された。   トアーの妻、娘、息子の遺族3人はメキシコに亡命した。1990年3月、民政移管がなった。遺族の要請で首都控訴裁は2010年11月、トアーの遺体を発掘し解剖。11年11月には軍事病院で現場再現検証が実施された。チレーンの証言が物を言ったのだ。   暗殺に関与したラモーン・カセレスら退役大佐3人が15年12月「執行猶予3年」という変則的な有罪判決を受け、確定した。上官命令による暗殺のため、このような判決となった。   次いで事件当時、陸軍大尉で、病院長の補佐官だったホルヘ・チョバーン退役中佐が自殺に偽装した罪で起訴され、それが今回確定した。懲罰は決まっていないが、これも「断り切れない上官命令」による犯行と見なされる方向にある。                

ボリビア政府がコカ葉栽培地削減作業を再開

     アルセ・ボリビア政権は4月1日、国内の主要コカ葉生産地で、許容されている作付け面積を上回るコカ畑9000ヘクタールの破壊作業に着手した。   最大の生産地コチャバンバ州のチャパーレを中心とするエル・トロピコ地方で7000ha、第二の産地である政治首都ラパス北方のラパス州ユンガス渓谷で2000haを、それぞれ破壊する。作業には軍隊が導入されている。    先住民族とその混血が人口の85%近いボリビアでは、古来、自然薬、栄養剤、呪術用、装飾用などとして使われてきたコカ葉は日常生活の必需品。だが20世紀半ば過ぎから麻薬コカイン原料としての需要・使用が急伸。1980年代以降、米国の圧力でコカ葉生産地壊滅作戦が展開された。   これによりコカインの価格が急騰。麻薬マフィアが財力と政治力を身に着け、麻薬資金によって買収された腐敗社会が拡がった。   最大生産地コロンビア、次いでぺルー、ボリビアは3位だが、同じようなコカ葉生産とコカインの問題を抱えてきた。   チャパーレでコカ葉栽培に従事し、栽培農民労組6団体を束ねる労連議長から政界に出て大統領にまで上り詰めたエボ・モラレス元大統領は、労連議長時代に弾圧され多数の栽培農民幹部が殺害された経験を踏まえ、コカイン原料に回される公算の大きい「過剰生産」分を自発的に破壊する政策をとった。   モラレス政権を2019年11月のクーデターで追放し発足したアニェス暫定極右政権は、余剰栽培地8800haの破壊作業を怠った。アルセ現政権は作業を再開した形になる。   モラレス政権末期の19年の作付面積は2万5500haだったが、アニェス政権後の20年末には、3万2000haに増えていた。ことし9000ha削減を目標としていることは、2万3000haを当面の最大許容値にしていることを意味する。