人民レベルで南米統合ー遠大な理想が第一歩印す

   先住民族をはじめ南米の多民族人民が、人民レベルで「南米諸国連合(UNASUR=ウナスール)」の再興に努めるという組織「RUNASUR」(ルナスール)が4月25日発足した。

  2011年に設立された南米全12カ国の連絡調整機関「ウナスール」は2015年末に始まった南米右傾化により18年以降、事実上機能しなくなった。現在、加盟国として残るのは、ベネズエラ、ボリビア、ガイアナ、スリナムの4か国だけ。3分の1にすぎない。

  ボリビア先住民族アイマラ人であるエボ・モラレス元大統領は昨年11月、亡命先のブエノスアイレスから帰国した直後、ルナスール(ウナスール再興)構想を打ち出し、小半年かけて設立会合開催を準備していた。

  その会合は4月24,25両日、モラレスの活動拠点であるコチャバンバ州ビジャ・トゥナリー市で開かれ、ボリビア、エクアドール(赤道国)、ベネズエラ、アルゼンチンの人民・市民代表が出席した。

  ウナスールのような国家間機関は、政権が変わるために加盟・離脱があって不安定だが、人民レベルで連帯すれば、政権のイデオロギーが変化しても機関は存続しうる。そんな発想から、モラレスは結成を呼び掛けた。

  ルナスールは、米国、その「植民地省」と酷評される米州諸国機構(OEA、本部ワシントン)、資本主義、帝国主義、新植民地主義、新自由主義を排し、「母なる大地」の神パチャママを讃え、大自然と共存する機関を目指す。 

  本部はボリビアに置かれ、南米の東西南北に1カ所ずつ計4カ所の支部を置く。事務局長と12カ国代表理事で構成する「執行理事会」が最高指導部となる。

  会合に参加しなかった8カ国については、ボリビアがペルー、パラグアイを、亜国がブラジル、ウルグアイを、赤道国がコロンビアとチリを、VENがガイアナとスリナムを、それぞれ説得し、加盟を働き掛けてゆく。

  モラレスの多民族主義によるラ米統合の遠大な理想が第一歩を踏み出した。

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