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チリで軍政期の人道犯罪がまた裁かる

チリでは、ピノチェー軍政期(1973~90年)に犯された人道犯罪の追及が続いている。3200人が殺され、2万8000人が拷問され、20万人が亡命を強いられたことから、裁判は絶えない。    首都サンティアゴの高裁は1月31日、中南部ビオビオ州内で1974~75年に軍部に逮捕、監禁され、殴打、強姦など性的迫害を受けた女性1、男性2の計3人に、それぞれ5000万ペソ(約6万2000米ドル)の賠償金を支払うよう、政府に命じた。    原告3人は長い闘争の末に、この判決を勝ち得た。心身ともに後遺症が続いており、今判決が確定しても、それは治らない。法廷は3人の人権を守るため、氏名を明らかにしていない。 

ハイチ諸団体が「暫定大統領・首相」を選出

ハイチ政治の正常化を目指す「政権移行国民会議」(CNT)は1月30日、参加44団体のうち42団体代表による「暫定政権」設立のための投票を実施。首相や中銀総裁を歴任したフリッツ・アルフォンス・ジャンを25票で「暫定大統領」に選んだ。    対抗馬のエドゥガー・ルブラン・フィル元上院議長は15票。棄権2だった。ジャン=ベルトゥラン・アリスティド元大統領のラ・ファンミ・ラバラ党(2票)は同日、「考え方が合わない」としてCNTを脱退した。    CNTはまた、「暫定首相」にスティヴァン・イルヴァンソン・ベヌア元上院議員を選んだ。    政党、労組、NGO、キリスト教会、ヴドゥ協会など国内の主要組織-団体は、昨年7月のジョヴネル・モイーズ大統領暗殺事件を受けて8月30日、首都ポルト―プランスのモンターナホテルに結集、政治正常化のための「モンターナ合意」を結んだ。その幹部会がCNT。    CNT新体制は、アリエル・アンリ現暫定首相を「(米仏加など)強大国から選ばれた」と見なして反対。同首相に2月7日の「政権交代期日」に退陣するよう要求した。      「新暫定体制」は2月7日から2年間存続、その間、政経社会を正常化させ、総選挙を実施、新しい政権に民主体制を引き渡す、と主張している。    これに対しアンリ暫定首相は拒否。「数か月内に制憲議会を開設して新憲法を起草、制定し、年末までに大統領・国会議員選挙を実施する」と表明した    CNTには、故モイーズ大統領とミシェル・マルテリー元大統領の政党「テトゥ・カレ」(スキンヘッド)党も参加している。マルテリ―は政権復帰を志していると伝えられる。  

コロンビアに和平合意順守を要請

コロンビア和平合意の保証国キューバ、ノルウェーの両政府は1月28日、コロンビアのイバン・ドゥケ大統領に対し、和平合意の遵守を要請した。和平合意はハバナでの長い交渉を経て2016年11月、成立した。    だが、保守・右翼勢力を代表するドゥケ政権は遵守を怠ってきた。このため復員した多数の元FARCゲリラ要員が殺害されてきた。また人権、労組、環境活動家や先住民族指導者ら多数が暗殺されてきた。    コロンビア憲法裁判所は27日、こうした事態を憂慮し、政府に和平合意順守を勧告した。これを受けて保証両国は要請した。    この国では5月、大統領選挙が実施され、当選者は8月就任する。穏健左翼のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長が最有力候補であり、国際社会には「ペトロ進歩主義政権」発足に期待する声が広がりつつある。

シンガポールが「太平洋同盟」協賛国に

    メキシコ、コロンビア、ペルー、チリのラ米太平洋岸4カ国がつくる経済連携機関「太平洋同盟」(AP)は1月27日、コロンビア太平洋岸のバジェデルカウカ州バイーア・マラガで第16回首脳会合を開催。シンガポールのリー・シエンロン首相が出席し、同国の協賛国としての準加盟が正式に決まった。     会合にはエクアドールのギジェルモ・ラソ大統領も出席、協賛国となる手続きに着手することになった。同大統領は、ゆくゆくは正式な加盟国になりたいと述べた。     加盟4カ国からは、コロンビアのイバン・ドゥケ、ペルーのペドロ・アスティ―ジョ、チリのセバスティアン・ピニェーラの3大統領と、メキシコのロへリオ・ラミ―レス財務相(AMLO大統領代理)が出席した。     ガブリエル・ボリッチ次期チリ大統領は、ピニェーラと一緒に出席する招待を断り、同日のホンジュラス新大統領シオマラ・カストロ就任式に出席した。 ▼第3回プロスール首脳会合開く     コロンビアのカルタヘーナで1月27日、「南米進歩フォーラム」(PROSUR)の第三回首脳会合が開かれた。これは南米諸国連合(ウナスール)の左傾化を毛嫌いする保守・右翼政権諸国9カ国が2019年に智サンティアゴで結成した。     その後、政権が穏健左翼や進歩主義に替わった国があり、ペルーもその一つ。ペドロ・カスティージョ大統領は出席せず、オスカル・マウルトゥア外相が代理出席した。

ホンジュラス初の女性大統領シオマラ・カストロ就任

オンドゥーラス(ホンジュラス)のシオマラ・カストロ新大統領(62)=LIBRE(自由・再建党)=が1月27日就任した。独立後200年のこの国で、初の女性大統領だ。サルバドール・ナスララ副大統領(63)=PSH(ホンジュラス救国党)=も就任した。     就任式は首都テグシガルパの国立競技場で挙行され、シオマラの夫、マヌエル・セラーヤ元大統領が大統領肩章(襷)を、ルイス・レドンド国会議長に渡し、同議長がシオマラにそれをかけた。シオマラは昨年11月28日の選挙で171万票を獲得し、当選した。     新大統領は43分間の就任演説で、「女性大統領出現まで200年待たねばならなかった。我々は鎖と伝統を打破しつつある」と強調。「私は破産した政府を引き継いだ。2000万ドルの国庫資金が消えてしまった」と、エルナンデス前政権の腐敗を示唆した。腐敗掃討を最重要目標の一つに掲げた。     新大統領は、「民主的社会主義国家」(ESD)建設の理想を掲げた。     富の公平分配、貧困家庭の電力料金無料化、鉱山・水源・森林の搾取・破壊禁止、市場原理への対話による対応、政治囚釈放、税制改革の必要性、「人民主権」確率、ラ米重視外交など、22の政策重点項目を明かにした。     最後に新閣僚全員に宣誓させて、演説を終えた。     際立ったのは、過去12年間の国民党による「独裁腐敗体制」を厳しく糾弾。国連と連携して、腐敗と無処罰を一掃する機関を設置する公約を確認したこと。フアン・エルナンデス前大統領は出席しなかった。招かれたとしても、出席できなかったと思われる。     数日前、政権党LIBREが分裂。主流派はルイス・レドンド議員を、反主流派は野党に回った国民党と組んで別の議員を、それぞれ国会議長に選出。だが官報はレドンドを議長に認定した。       就任式には、カルロス・アルバラードCR大統領、ガブリエル・ボリッチ次期智大統領、クリスティーナ・フェルナンデス亜副大統領(元大統領)、サルバドール・バルデス=メサ玖副大統領、フェリックス・ウジョアES副大統領、カマラ・ハリス米副大統領、頼清徳台湾副総統、ジョニー・ブリセーニョ・ベリーズ首相、スペイン国王フェリーペ6世、デニス・モンカーダNICA外相、マルセル・エブラ―ル墨外相、フェリックス・プラセンシアVEN外相、

「ボリビアに海への出口を」ー秘大統領発言物議醸す

     ペルー大統領が内陸国ボリビアに「海(太平洋岸)への出口」を与える意思を示唆したことから、ペルー政界は揺れている。      事の起こりは、ペドロ・カスティージョ大統領が1月25日、米CNN西語TV放送に対し、ペルー国民がどう考えているかを諮る必要があるという趣旨で発言したこと。カスティージョは昨年、大統領選挙戦中、同趣旨の公約をしていた。      また就任後の昨年10月末、ボリビアとの合同閣僚会合で大統領は、ボリビア人と同国物資の通過のために最良の条件を提供したいと発言している。      今回のCNNへの発言を受けて、国会憲法委員会所属の野党議員10人は26日、連名で、「外交責任者が、実現可能性のない国民への諮問を口にするのは許しがたい」と表明した。      また、ホルヘ・プラード生産相も、大統領の「国民への諮問」発言に反対している。      ボリビアが海岸領土(現在の智アントファガスタ州一帯)を失ったのは、1879年に始まった「太平洋戦争」に起因する。アントファガスタ地方での硝石生産をめぐり、ボリビア政府とチリ政府が対立。チリは開戦に踏み切った。      ボリビアとペルーの連合軍は破れ、ペルーも南部地方(現在の智北部地方)をチリに割譲した。      スペイン植民地時代、アンデス高地にあるボリビアは「アルトペルー」(高地ペルー)と呼ばれ、両国は一体化していた。その後も兄弟国だった。      ボリビアはモラレス元政権期に国際司法裁判所に「海への出口」回復のための対智交渉権を求めて提訴したが、認められなかった。

キューバ検察が「7月事件」で710人起訴と発表

キューバ検察庁は1月25日、昨年7月11~12日に同国各地で起きた反政府・対政府抗議行動に参加した市民790人が送検され、うち710人を起訴した、と明らかにした。容疑は「破壊的行動」、「重大な秩序紊乱」、「騒擾」。      起訴された者の69%(490人)は拘禁中。そのうち55人は16~18歳で、28人は拘禁中。60人は19~20歳で、うち41人拘禁中。      この事件は「11J」(7月11日)として知られる。「物資と自由の欠乏」に抗議する若者らがSNSで行動を呼びかけ、同時多発的に国内62か所で行動が展開された。      すでに法廷で裁かれ有罪となって、禁固刑に処せられている者も少なくない。だが検察は、この点を明らかにしていない。      民間の人権団体は「1000以上が逮捕された」と発表。「まだ800人前後拘禁されている」と観ている。      この日明らかになった数字を基に計算すれば、710人が起訴され490人が拘禁中ということは、220人は、有罪判決を受け服役中、もしくは無罪釈放になったか、ということになる。釈放されたものは少ないと見られている。      「破壊・秩序紊乱・騒擾」罪の下で、「投石しただけで禁固20年」の重罪にされた、というような当事者家族の声が盛んに報じられている。

メキシコ政府がガルシア=マルケスをスパイ

メキシコ政府が、作家の故ガブリエル・ガルシア=マルケス(GGM)を1960年代から85年まで諜報対象としていたことが、最近解禁された当時の機密文書で明らかになった。     GGMはコロンビア人記者で、1959年のキューバ革命後、新設された玖国営通信社プレンサ・ラティーナ(PL)のハバナ本社に勤務。その後、NY支局員となったが退社し、メキシコ市に移った。     制度的革命党(PRI)の長期支配が続いていたメキシコの連邦保安局(DFS)は、GGMとキューバ政府、コロンビアゲリラ、ラ米左翼などとの関係を探っていた。     GGMは60年代末に『孤独の百年』(邦題「百年の孤独」)で一躍、大作家の地位を得、80年代初めノーベル文学賞を受賞した。GGMとフィデル・カストロ玖議長との関係は緊密化し、GGMはカストロの密使としてクリントン米大統領に会ったりした。     DFSが、メキシコの詩人でノーベル文学賞受賞者の故オクタビオ・パスをスパイしていた事実は以前から明らかにされてきた。

新大統領就任直前、ホンジュラス国会に議長2人!

    明後日1月27日、ホンジュラスで同国初の女性大統領シオマラ・カストロ(62)が就任する。昨年11月28日の選挙に穏健左翼LIBRE(自由・再建党)およびPSH(ホンジュラス救国党)など諸党の統一候補として出馬、圧勝した。     これに先立ち25日、新国会が発足する。その議長が新大統領の宣誓式を執り行う。ところが異変が起きた。下院128議席のうち50議席を占めた新政権党LIBREの保守派議員20人が造反、エルナンデス現政権の国民党(43議席)になびき、20日にLIBRE造反組の頭ホルへ・カリックスを新議長に選出してしまったのだ。     一方、カストロ派議員30人他、連立諸党議員は国会議事堂で、PSHのルイス・レドンド議員を議長に選出した。造反組は議事堂外でカリックスを選んだ。一種のクーデター画策だ。LIBREは造反組を除名した。     新政権は「腐敗掃討」を優先政策に掲げている。これを恐れる国民党は、国会の議事進行を阻止するため、LIBREを分裂させる荒業で「自分たちの議長」をしたのだ。その黒幕はエルナンデス現大統領とロボ前大統領だ。2人の家族は麻薬取引で断罪され、米国で服役中。     シオマラの夫マヌエル・セラーヤは2006年に自由党から出馬し、当選して政権に就いたが、09年クーデターで追放された。保守・極右体質の国民党は、シオマラの任期4年を全うさせたくなく、就任直前に早くも揺さぶりをかけたわけだ。

ハイチ政府が大統領暗殺の黒幕引渡しを要請

    ハイチのジャン=ヴィクトル・ジェネウ外相は1月22日、トルコに逃亡し逮捕されたアラブ系実業家サミル・ハンダル容疑者の身柄引き渡しをトルコ政府に正式に要請した、と明かにした。ハンダルは昨年7月7日のジョヴネル・モイーズ大統領暗殺事件の黒幕の一人と目されている。     ハンダルは、アラブの某国に行くため、米国からトルコに入国したが、国際手配されていたため11月15日、トルコ当局に逮捕された。     最近、事件に関与した他の容疑者2人も逮捕され、いずれも米国に身柄を送還された。一人はコロンビアの退役軍人マルコ=アントニオ・パラシオスで、モイーズ暗殺を実行したコロンビア人傭兵コマンドに所属、事件後逃亡していた。     もう一人は、ハイチ人麻薬マフィアのロドルフ・ジャアルで、ドミニカ共和国に潜入したところを逮捕されていた。ジャアルは暗殺前夜にコマンドに資金、武器、自動車を提供、事件直後にコマンドの多くを台湾大使館に逃げ込ませた。同大使館は駆け込んだコマンドをハイチ警察に引き渡した。     パラシオスとジャアルがハイチでなく米国に身柄を送られた理由は明らかにされていない。両容疑者は米国で事件への関与を認めた。     一方、つい最近、大統領暗殺事件を担当していたガリ・オレリアン判事は、事件関与が疑われていたハイチ警察官4人を突然、理由を明かさずに釈放。収賄された嫌疑が明るみに出て、担当判事を降りている。       事件には、麻薬取引取締まりに反発したマフィアと、政権両面の利権を争う政財界マフィアが関与したと見られている。 ▼ハイチ巡る国際会議開く     ハイチのアリエル・アンリ暫定首相とジャスティン・トゥルドー加首相は1月21日、遠隔でハイチ情勢をめぐる国際会合を開催。米加両政府はアンリ支持を表明した。     ハイチでは暫定大統領選出を求める政治家らがアンリに圧力をかけている。アンリは、年内に正式な大統領・国会議員選挙を実施するのが自分の使命として、要求をはねつけている。 さ     

「スク・スクの王様」モンゴ・リベス死去

    「音楽の島」キューバで「スク・スクの王者」と呼ばれたモンゴ・リベス(92歳、本名ラモーン・リベス=アマドール)が1月21日死去した。生まれ故郷の「青年の島」(旧称「ピノス島」)を活動拠点とし、そこで死んだ。      19世紀に生まれたアフリカ・ラ米・欧州の混合音楽ジャンル「スク・スク」を完成させた、と評価されてきた。      「スク・スク」は楽器演奏、歌謡、踊りを伴う。

ボリッチ次期チリ政権閣僚24人中14人は女性

    ガブリエル・ボリッチ智次期大統領は1月21日、記者団を前に閣僚24人を発表、紹介した。過半数の14人は女性で、早くも「フェミニズモ内閣」と形容されている。     官房長官(政府広報官)は、共産党の花形下院議員カミーラ・バジェホ。最重要閣の内相は、ボリッチの選対本部長だったイスキア・シチェ医師。外相はアントニア・ウレホア。国防相はマヤ・フェルナンデス=アジェンデ。女性・ジェンダー公正相にアントニア・オレジャーナ。法務・人権相にマルセラ・リオス。この6人をはじめ14人の女性閣僚がひな壇に並んだ。     政権の経済政策の鍵を握る財務相は、現中央銀行総裁のマリオ・マルセル。マルセルは社会党(PS)に近く、リカルド・ラゴス政権下で財務省予算局長、ミチェル・バチェレ―政権下で大統領顧問会議議長、中央銀行総裁をそれぞれ歴任。保守・右翼のセバスティアン・ピニェーラ現大統領も、マルセルに中銀総裁2期目を託してきた。財界や国際金融界の懸念を鎮めるための人事でもある。     大統領府相は、ボリッチの政策参謀ジョルジオ・ジャクソン。教育相はマリオ・アビラ。男性閣僚は10人だ。n     ボリッチ、ジャクソン、バジェホ、シチェルは、2011年当時の学生運動期からの同志。次期政権は、この4人が中核となる。政党別では、11人が拡大戦線(FA)と共産党(PC)を中心とする「尊厳連合」、3人が社会党(PS)、民主のための党(PPD)、急進党(PR)、自由党(Pl)各1人、無所属7人。 ▼次期国防相は故アジェンデ大統領の孫     マヤ・フェルナンデス=アジェンデ次期国防相は、アジェンデ政権期にチリに駐在していた玖外交官ルイス・フェルナンデス=オニャと、アジェンデの娘ベアトゥリスとの間に1971年生まれた。父フェルナンデスはアジェンデの身辺警護班の顧問を務めていた。     1973年9月の軍事クーデターでアジェンデ政権が崩壊すると、夫妻はキューバで暮らすが、男児が生まれた後に離婚。やがてベアトゥリスは自殺した。マヤはチリに移り社会党に入党、現在は下院議員。  

バルバドス下院選挙は政権党完勝

バルバドスで1月19日、下院議員選挙が実施され、ミア・モトゥリー首相の政権党BLP(バルバドス労働党)が全30議席を獲得、完勝した。同党は社民主義路線。     この国は昨年11月30日、共和国に移行。サンドラ・メイスン英総督は、初代大統領に昇格した。

米州首脳会合は6月ロサンジェルスで

    ジョー・バイデン米大統領は1月18日、第9回米州首脳会合を6月ロサンジェルスで開催する、と発表した。米国を除く米州34カ国のうち、「招待されないのはどの国か」が早くも注目されている。     同大統領は、「西半球に持続・再生可能で均衡のとれた未来をもたらすために話し合う」と述べた。     一方、キューバ共産党体制を敵視しているフロリダ州選出のマルコ・ルビオ玖系共和党上院議員は早くも、ミゲル・ディアスカネル玖大統領(党第1書記)を招べきではない、と表明している。 ▼ベネズエラが米政府に要求    フェリックス・プラセンシアVEN外相は1月19日、バイデン米大統領とアントニー・ブリンケン国務長官に対し、在ワシントン大使館と在NY総領事館を返還するよう要求した。    トランプ前政権は2019年1月、フアン・グアイドー国会議長(当時)を「大統領代行」とする架空の傀儡VEN政権を擁立。在米両VEN公館をグアイドー派に引き渡した。    だがグアイドーは21年1月、任期切れで下野。今日、国会議員でもない。一時五十数か国が傀儡体制を承認したり支持したりしていたが、今では大幅に減り、傀儡としても有名無実になりつつある。    国連総会は19、20、21年の各年末に、マドゥーロ政権をVEN正統政権と認めてきた。

エボ・モラレスが周辺諸国の政変加担捜査を要求

ボリビアのエボ・モラレス元大統領は1月19日、周辺諸国が2019年11月のモラレス政権打倒のクーデターに加担したとして、厳密な捜査をするよう訴えた。亜国紙「パヒナ12」は18日、ジャイール・ボウソナーロ伯大統領が、クーデター政権のジャニーネ・アニェス前非合憲大統領と秘密会談をしていたことを認めたと報じていた。      ボリビア当局の調べでは、アニェスは19年11月のクーデター直後にブラジリアに飛び、ボウソナーロと会談した可能性がある。密出入国だったとされる。      モラレスは、ボウソナーロのほか、マウリシオ・マクリ前亜国大統領と、レニーン・モレーノ前赤大統領も加担したと見ており、少なくとも、この3人が「当時のトランプ米政権とつるんでクーデターに加担した」と指摘する。      また、「これは21世紀のコンドル作戦だ」と糾弾した。1970年代から80年代半ばにかけて、南米南部の軍政諸国は米政府の肝いりで連携。域内に亡命したり滞在したりしていた左翼や反軍政活動家らを相互に殺害する「コンドル作戦」を展開した。これになぞらえてモラレスは、「21世紀のコンドル作戦」と述べた。      ボリビアは2020年11月、選挙で選ばれたアルセ民主政権が登場、事態は正常化した。モラレスは現在、政権党MAS(社会主義運動)の党首を務めている。      これまでにマクリ政権がボリビアのクーデター派に武器を送ったことや、クーデターを共謀したアニェス非合法政権の内相と国防相がブラジル経由で米国に逃亡したことなどが判明している。      アニェスも20年11月、下野後にブラジルに逃亡しようとして逮捕された。投獄、起訴され、重罪容疑で裁判かけられている。      

VEN選管がマドゥーロ大統領解任国民投票申請を受理

     ベネズエラの国家選挙理事会(CNE)は1月17日、ニコラース・マドゥーロ大統領の6年の任期の半分が去る10日に過ぎたため、同大統領の解任の是非を問う国民投票実施要請手続き開始申請を受け入れた。      申請が受理されたのは、①解任のためのベネズエラ運動(MOVER)②解任国民投票のための全員団結(TURR)③会議連合全国執行委員会(CENC)+国家・国際民主委員会(CDNI)ーの3組。      憲法72条は、①国民投票申請者は登録有権者の20%以上の署名を一定期間内に集める②国民投票の投票率は有権者の25%以上が必要③解任を求める対象が当選時に得た得票数以上の獲得が不可欠ーと定めている。      CNEは今後、署名集め開始日、期限など、日程を決める。受理された3組が連携して署名を集めるかどうかは明らかにされていない。 ▼署名集めは今月26日      CNEは1月21日、大統領解任の是非を問う国民投票実施請求に必要な有権者20%の署名集めは26日午前6時から午後6時までの12時間と決めた。全国1200か所の署名所で行われる。      昨年11月現在の登録有権者は2093万人。20%は418万人。      

メキシコで先住民・アフリカ系の文化遺産保護法発効

    メキシコで1月18日、「国民・先住民社会・アフリカ系社会文化遺産保護法」が発効した。同遺産を許可なく利用したり商業化したりすれば罰せられる。     また、「先住民言語権利法」が改正され、国家国民評議会(CNP)に先住民庁(INPI)長官が加えられることになった。CNPは人口政策、国内地域間人口調整政策などを司る政府機関。        

ジャマイカで殺人事件が多発

殺人事件発生率の高いジャマイカでは新年早々、殺人が多発している。1月17日の警察発表では、元日から15日までの今月前半に72人が殺害された。昨年同期は58人で、24%増加した。昨年は1463人が殺害された。一日平均4人だ。    政府は警察に加え、防衛軍(JDF)を出動させ、事件多発地域で警戒に当たっている。多くの国民がコロナ禍で生活苦に陥ったことが凶悪事件発生に拍車をかけていると分析されている。    北西部の保養地モンテゴベイは、日本人新婚旅行者に人気の場所。ここは市街地から隔離されている。南東部にある首都キングストンは、レゲエのメッカで、高台にはボブ・マーリーの住宅跡が博物館になっている。    その背後の山系がブルーマウンテンで、コヒーの産地。秋田県ほどの大きさの島国だが、魅力と危険が同居している。熟達した旅人には、もってこいの島だ。

エチェべリーア元メキシコ大統領が百歳に到達

    メキシコのルイス・エチェベリ―ア=アルバレス元大統領(任期1970~76)は1月17日、満百歳に到達した。この国の国家元首経験者として最長寿者となった。     1922年のこの日、首都メキシコ市に生まれ、40年に国立メキシコ自治大学(UNAM)法学部に入学した。『メキシコと大学』誌を創刊し、社会問題を論じた。国立チリ大学から奨学金を得て留学、アルゼンチンも旅行した。     「若手芸術家・作家協会」、「メキシコ青年自由世界機構」を設立。43年、時のマヌエル・アビラ=カマ―チョ大統領から、「自由世界のための青年協会」代表に任命され、米州学生会議に出席する。       45年、「諸国家の権利と社会の均衡システム」を卒論にUNAMを卒業、弁護士になる。同年、ハリスコ州知事だったホセ・スノの娘マリーア=エステル・スノと結婚。6男2女を儲ける。孫19人、ひ孫14人がいる。     46年、政権党PRI入党、党首次席秘書に就任する。58年内務政務次官になった時から出世コースに入った。上司の内相グスタボ・ディアス=オルダース(GDO)が64年の大統領選挙候補となったため、内相に昇格。GDO政権発足で内相を続ける。     68年、ラ米初のメキシコ五輪大会が開かれることになったが、国際的な学生運動の波が押し寄せ、メキシコ全土で激しい運動が展開された。学生らは封建的な政治・社会n変革を求めていた。       軍隊が出動し死傷者が増えつつあったが、学生側は10月2日、首都トラテロルコの三文化広場に結集し、10日後に開会式が迫っていた五輪を「人質」として、政府に変革の公約を迫った。     GDOは軍隊を出動させ、広場を包囲、一斉射撃を加えた。非公式数字で死者300人、負傷者1000人が出たとされるが、正確な数字はいまだに不明のまま。血塗られた五輪は10月12日、何事もなかったかのように開会した。     エチェベリ―アは大統領の指示に忠実に従い、内相として学生運動を弾圧した。GDOは、70年大統領選挙の後継候補にエチェベリ―アを指名する。無論当選し、70年12月就任した。     新大統領は、中国の「百花斉放・百家争鳴」から閃きを得て、政治改革、報道の自由拡大に努めた。これにより潜んでいた権力闘争が表面化。またも首都カスコ・デ・サントトマースで、流血の学生運

ラ米カリブ諸機関は CELACの下に結集を

ラ米とスペインの元首・政府首班経験者ら政治家55人の会合「グルーポ・デ・プエブラ」(プエブラグループ)は1月13日、ラ米の多国間組織はラ米・カリブ(LAC)諸国の統合を目指し、LAC諸国共同体(CELAC)の下に結集すべきだと表明した。    55人のうち25人が署名。ヂウマ・ルセーフ元伯大統領、ラファエル・コレア元赤大統領、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテーロ元西首相らが含まれている。    呼びかけの対象となった多国間組織は次の通り。①南米諸国連合(ウナスール)②南部共同市場(メルコスール)③米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)④アンデス共同体(CAN)⑤アマゾニア協力条約機関(OTCA)⑥カリブ共同体(カリコム)⑦太平洋同盟(AP)⑧カリブ諸国連合(AEC)⑨中米統合機構(SICA)。

ウルグアイ右翼党が「元拷問者の党員」問題で揺れる

ラカージェ=ポウ・ウルグアイ保守・右翼政権の連立与党に参加している右翼政党「開かれた議会」(CA)が大もめにもめている。創刊50周年の政治週刊誌「ブスケダ」が今週、党員エドゥアルド・ルスト下院議員が2020年8月に党員同士の会話で、「CA党員の半数は1973~85年の軍政期の拷問者だ。女性を殴打して起訴されたら、君はどうする?」などと発言した音声記録を暴露したからだ。    弁護士でもあるルストは、そう発言した当時、録音されていたのを知っていたと言い、「こっそりとでなく、公然と発言した」と主張している。    党員や、その関係者には、1970年代初頭、革命闘争を展開していたゲリラ組織「トゥパマロス」の要員の殺害に関与した者もいる。ホセ・ムヒーカ元大統領や、その妻ルシーア・トポランスキ元副大統領もトゥパマロスの闘志だった。    CA党首ギジェルモ・ドメニク上院議員は、党幹部会を招集し、対策を協議すると1月14日表明した。     

ロシア副外相が玖・VENなどへの「軍事進出」に触れる

   ロシアのセルゲイ・リアブコフ副外相は1月13日、RTVI放送に対し、ロシアは欧州域外、たとえばキューバやべネズエラに軍事インフラを展開させる可能性に触れ、「現時点では肯定も否定もしない」、「米国の出方次第だ」と述べた。    同副外相はまた、「米国流では、世界的影響力を維持するための重要な基盤は外交上、軍事上の選択肢を持つことだ」と指摘した。米露間で先鋭化している「ウクライナ問題」が念頭にあるのは疑いない。    米欧が北大西洋条約機構(NATO)のウクライナへの拡大に固執するならば、ロシアは米国の「影響圏」ラ米に軍事的存在を明確にする、との意思表示だ。    キューバには、核ミサイル危機の前からソ連軍が駐留していたが、1991年のソ連消滅後、撤退。いまはソ連製兵器維持のために露軍技術者が駐在している程度だ。    ベネズエラは、チャベス前政権期に露製兵器類を導入。近く国内でカラシニコフ突撃銃の生産が始まる見通しだ。    ペルーは1968~75年のべラスコ軍事革命政権期に兵器体系をソ連化させたが、その後、米体系に戻った。    コロンビアはラ米で唯一、NATO域外協賛国となっており、米軍のラ米最重要の前進基地の役割を担っている。 ▼米政府が反応    米大統領のジェイク・サリヴァン国家安保顧問は1月13日、ロシアがベネズエラとキューバにミサイルを配備したり軍事インフラを展開させたら、米国は決定的な対応をする、と厳しく反応した。    カラカスのロシア大使館は14日、露副外相が「軍事インフラを展開すると脅した」事実はないと表明した。    

日本がキューバにバス新車84台を贈る

日本政府の無償援助の一環として、乗り合いバス用新車84台が1月13日、ハバナ港に到着、陸揚げされた。いすゞ自動車製。コロンビアで組み立てられ、9日に同国を出航した大型貨物船に積み込まれた。   新車は首都ハバナ交通整備計画に基づき、ハバナ市内を走り、一日当たり計32万人を運ぶことになる。   キューバ政府は、日本側に感謝の意を表した。 ▼五輪メダリストに高級車授与   キューバ政府は1月12日、昨年の東京五輪玖人メダリスト19人に、メルセデスベンツ車を1台ずつ贈った。選手たちは、「国が厳しい状況にあるとき、スポーツ面での貢献を認めてもらい感謝に堪えない」と表明している。

「週刊金曜日」誌掲載記事のお知らせ

      1月24日号       チリ情勢解説「世界ワースト7位の貧富格差を改善できるか」       ◎「チリ新大統領は36歳 公正社会建設目指す」。(中見出し)「伝統勢力交代で新星登場」             書評;『アナキズムを読む』(田中ひかる編著 2021年 こうせい社 2200円)       ◎「支配のない」自由希求する人への複眼的思考       =いずれも伊高浩昭執筆=

ボリッチ智次期大統領が首席閣僚を決める

チリのガブリエル・ボリッチ次期大統領は1月11日、内閣首班(官房長官級)にマティアス・メサロペアンディア弁護士(41)を選んだ。     国立チリ大学時代の2003年にボリッチと知り合い、盟友になった。左翼の「社会的集会」(CS)党所属。人権や先住民族問題の専門家。     全閣僚は20日以降に発表され、3月11日のボリッチ就任と同時に政府として発足する。、

オルテガ・ニカラグア大統領が新任期就任

   ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領(76)と、妻ロサリオ・ムリージョ副大統領(70)は1月10日、新任期に入り、就任式でそれぞれ宣誓した。オルテガは昨年11月7日の選挙で連続4選、ムリージョは同再選。オルテガは通算5期目。    就任式は首都マナグアの革命広場で催された。「人民大統領」を自認するオルテガは、いつものようにジャンパー、野球帽、ノータイで登場。就任演説を45分間ぶち、ヤンキー帝国主義(米政府)を厳しく糾弾、ベネズエラとキューバの抵抗を讃えた。CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)をはじめ地域の統合努力を礼賛した。    また「貧困や飢餓をなくすには平和が不可欠だ」と強調。自身の長期「安定」政権を暗に肯定した。    就任式には、NマドゥーロVEN、 Mディアスカネル玖、Jエルナンデス・ホンジュラスの各大統領、曹建明中国全人代副委員長、Vセローソ・グアテマラ、Fルーゴ・パラグアイ、Sサンチェス=セレーンESの各元大統領ら来賓と、多数の政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)党員が出席した。米国からは「人民代表」として活動家が来賓出席した。    オルテガは1980年代に、当時のレーガン米政権がFSLN革命政権打倒を目指し、反革命ゲリラ「コントラ」の出撃基地とした隣国ホンジュラス から出席したエルナンデス大統領の「勇気」を讃えた。エル今月27日、シオマラ・カストロ新大統領に政権を渡す。    中国とは最近、国交を再開したばかり。その経緯をオルテガは説明し、中国と「海洋一帯一路」事業協力協定を結んだと明らかにした。        

ベネズエラ政権がチャベス派牙城で州知事選に敗北

    故ウーゴ・チャベス大統領の出身州で「チャベス派の聖地」とされてきたバリーナス州で1月9日実施されたの州知事選挙で、野党連合MUDのセルヒオ・ガリード候補(前同州立法府議員)が得票率55・36%で勝利した。     ニコラース・マドゥーロ大統領の政権党PSUV(ベネズエラ統一社会党)は、チャベスの元女婿、ホルヘ・アレアサ前外相を候補にして必勝を期したが、得票率41・27%に留まった。アレアサは敗北を認めた。     ベネズエラでは昨年11月21日、統一地方選挙が実施され、バリーナス州知事選挙ではMUD候補が、現職でチャベスの実弟アルへ二ス・チャベスを破ったが、選管は「MUD候補は被選挙権が停止されていた」として、選挙結果を無効とし、今回のやり直し選挙となった。     過去23年あまりバリーナス州知事の座は、チャベスの父親、兄、弟が占め、元女婿にその継続が託されていた。「聖地」知事選での2度に亘る敗戦は、マドゥーロ体制にとり痛撃だ。     

ハイチ大統領暗殺の主犯格が逮捕さる

    ドミニカ共和国(RD)の当局者は1月9日、隣国ハイチのジョヴネル・モイーズ大統領を昨年7月7日暗殺した事件のハイチ人黒幕の一人ロドルフ・ジャ―ルを7日、両国国境のRD側で逮捕したと明らかにした。     ジャ―ルは暗殺事件直前、ポルトープランスの自邸に暗殺実行犯となるコロンビア傭兵コマンドを招き、自動小銃など武器類を与え、大統領私邸に行く乗用車を提供するなど、事件に深く関与していた。     暗殺事件には、ジャールを含む麻薬取引闇世界の利権が関わっていたとされる。モイーズは生前、麻薬取引の取締り強化を打ち出していた。ジャ―ルは過去、麻薬取引により米国で有罪となり服役したことがある。     RD当局は今回、米DEA(麻薬捜査局)の通報を受けて、入国したジャ―ルを緊急逮捕した。それまで半年間、ジャールはハイチ国内に潜伏していた。

ボリビア政権が反体制派の牙城を牽制

     ボリビアのルイス・アルセ大統領のMAS(社会主義運動)政権が、反政府運動に牙城であるサンタクルース州に「改革」の手を延ばしはじめる兆候を示している。      大統領広報官ホルヘ・リヒテルは1月8日、ラジオインタビューで、政治や経済の一族支配や私権が跋扈しているサンタクルース州の諸制度を民主化すべきだ、と述べた。      同州のルイス・カマ―チョ知事は、2019年10~11月のエボ・モラレス大統領(当時)を打倒する武装蜂起を指導、クーデターでアニェス非合憲政権を擁立した。        2020年11月の大統領選挙を経て事態を正常化、民主化したアルセ大統領は、就任1年2カ月になるが、カマ―チョ州体制の暗部に解明のメスを入れることができないままだった。      カマチョは追及されないまま20年の知事選に当選し、サンタクルース州を旗頭とする全国の反体制勢力の指導立場にのし上がった。同州は石油・天然ガスの中心的生産地で、最富裕州。それゆえに独立論が常にくすぶっている。      アルセ政権は、カマチョらの横暴を放置したままでは、ボリビア民主体制の評価が内外で揺らぎ続けると自覚している。広報官発言は、大統領のカマチョに対する一種の牽制行動と受け止められる。打診気球でもあり、相手の反応を観て、次の手を打つ構えだ。 ▼米国製武器を押収      ボリビア政治首都ラパスのエ・アルト国際空港の税関は1月8日、自動小銃、大型拳銃など米軍用の武器弾薬類を摘発、押収した。 普通貨物に偽装されていたこの貨物は、米国内からサンタクルース市の「エンポ―ト・エクスポート」社宛。 ▼裁判開始へ      ボリビア司法当局は1月9日、ジャニーネ・アニェス前非合憲大統領および、元国軍・警察高官ら計10人の裁判を開始すると明らかにした。被告10人は、2019年11月のクーデタ―の首謀者と実行者たち。      

CELAC外相会議が亜国大統領を議長に選ぶ

     ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)は1月7日、ブエノスアイレスで第22回外相会議を開いた。米加北米両国を除く加盟33カ国のうち「脱退」宣言中のブラジルを除く32か国の外相らが出席した。      会議はサンマルティン広場に近いサンマルティン宮殿(亜国外務省)で開かれ、サンティアゴ・カフィエロ亜外相が議長を務めた。同外相は開会演説で、LAC(ラ米・カリブ)の平和地域としての統合に向け一層努力してゆくことや、コロナ禍COVID19対策強化などを強調した。 会議は、英国の植民地支配下にあるマルビーナス(フォークランド)諸島の亜国主権回復支持などを盛り込んだ共同声明を採択。アルべルト・フェルナンデス亜大統領をCELAC新議長に選出した。            同大統領は新議長として閉会演説し、「我々各国はみな の一部だ」とし、「団結するだけでなく、政治経済社会問題で(国際社会に対し)主張してゆこう」と呼び掛けた。       過去1年間は、メキシコのAMLO大統領が議長だった。ラ米の南北両端の亜墨両国大統領は「穏健左翼」同士として盟友関係にあり、両者の間で議長が引き継がれた。今会議ではとくに、両国間の密接な関係と主導が際立っていた。      

チリ制憲会議2代目議長にキンテロス

    チリ制憲会議(CC、代議員155人)の第2代議長に1月5日、マリーア=エリーサ・キンテロス博士(40)が選出された。キンテロスは昨年5月の代議員選挙に左翼無所属連合「制憲社会運動」(MSC)から出馬し当選した。歯科学の専門家であり、国立チリ大学で保健政策の博士号を取得している。     初代議長でマプーチェ知識人のエリーサ・ロンコンの任期満了に伴う選挙は4日実施されたが、何度投票をやり直しても過半数78票に達する候補がなく、決定は5日に持ち越された。政権党連合の国民刷新党(RN)所属の代議員が78票目の決定票を投じ、キンテロスが当選。討論と選挙に計18時間かかった。2代続いて女性知識人が議長に選ばれた。     セバスティアン・ピニェーラ大統領とガブリエル・ボリッチ次期大統領は、キンテロスを祝福した。     CCは昨年7月、新憲法起草作業を開始。今年7月までに作業を終える。1980年にピノチェー軍政下で制定された現行の強権と新自由主義路線の軍政憲法に替わる民主憲法は、9月以降、国民投票を経て制定される見通し。     副議長には、ガスパル・ロドリゲス医師(33)が選ばれた。性的多様性の活動家でもある。

キューバ政府が反体制記者2人を国外追放

キューバ政府が反体制ジャーナリスト2人を国外追放した。電子メディア「ADNクーバ」の記者エクトル・バルデースが1月5日、エル・サルバドール首都サンサルバドールの国際空港からSNSで伝えたところでは、バルデースは同僚記者エステバン・ロドリゲスと共に1月4日、警察に手足を鎖でつながれたままハバナ国際空港に連行され、ニカラグア首都マナグア行きの民間旅客機に搭乗させられた。    同機は最初の寄港地パナマ市国際空港では何ら問題なかったが、次のサンサルバドール空港で、ニカラグア政府は2人の入国を許可しないとの連絡が入り、搭乗できなかった。このため同空港に留め置かれ、水以外は飲まず食わずで24時間以上が経過した。所持金は20米ドルだけという。    両人は、反体制活動家への支援行動をとがめられ、収監されていた。喘息持ちで高血圧症のロドリゲスは昨年4月から投獄されていたため、体重が40㎏減り、衰弱している。警察はバルデースに出国を条件に2人を釈放刷ると伝え、バルデースはロドリゲスを救うため、やむなく同意したという。別の2人も釈放されたが、玖国内に留まっている。    バルデースとロドリゲスは、祖国キューバには帰れず、新たな行き先も決まらず、途方に暮れている。入国や亡命を認めてくれる国が名乗りを挙げるまで待つしかない状態だ。    一方、著名な玖反体制活動家ギジェルモ・ファリーニャス(60)は1月5日、サンタクラーラ市内で警察に連行された。ファリーニャスは迫害され続けており、何度も逮捕・収監されてきた。 ▼エル・サルバドール政府が保護    ES政府当局者は1月5日、玖人記者2人の身柄を空港からサンサルバドール市内のホテルに移し、医療手当を施した。滞在経費は政府が負担する。2人の健康が回復し、2人が希望すれば、亡命や長期滞在の手続きに入る。 ▼刑務所での迫害を語る    エステバン・ロドリゲスは1月6日、サンサルバドールからマイアミの西語TVのインタビューに応じ、「刑務所内で一般犯罪で収監されていた囚人たちから圧し潰されそうになるなど、迫害された」と述べた。一般の囚人たちは看守に組織されていた。囚人は日曜日以外、毎日「ヤンキーをやっつけろ」、「私はフィデル(・カストロ)だ」などと叫ばされた。叫び方が評価されたグループは、家族などに電話をかける恩典に与った

米国に右翼独裁支配が到来しうると加人学者が警告

  カナダの政治学者が同国政府に対し、2030年までに米国に右翼独裁政権が登場する可能性があり、それに備えるべきだと忠言した。   ラ米では昨年、ペルー、ホンジュラス、チリの大統領選挙で穏健左翼が勝った。今年はコロンビアに初の(穏健)左翼政権が誕生する可能性があり、ブラジルでは、穏健左翼の大陸的指導者ルーラ元大統領が、極右のジャイール・ボウソナーロ現大統領の再選を阻む公算が大きい。   そうなればラ米は、弱肉強食、富裕層・大企業優先の新自由主義経済路線から、社会政策重視の社民主義路線に少なからず傾斜する。そんな時代に、「北方の巨人」米国に「右翼独裁」が現れたら、ラ米・カリブにとっても大変なことになるだろう。   トロントの新聞「ザ・グローブ&メイル」は12月31日、加ブリティッシュ・コロンビア州にあるロイヤルローズ大学カスケイド研究所のトーマス・ホーマーディクソン所長の論考記事を掲載。同所長はその中で、米民主主義は2025年には崩壊する可能性があり、民間暴力の拡大を含め、内政が極度に不安定になりうる、と警告した。   同氏は続けて、遅くとも2030年までには米国が右翼独裁に支配される可能性がある、と指摘。「馬鹿げているとか、想像するのも恐ろしいというだけの理由で、そのような可能性を否定すべきではない」と強調した。   さらに、2014年段階でドナルド・トランプが米大統領になると予測すれば、馬鹿げていると誰しも思っただろうと前置きし、だが現代世界は馬鹿げたことが現実になる世の中なのだ、と述べた。   また、米国は徐々に統治不能になりつつあり、内戦に陥ると観る専門家もいる、と指摘した。米陸軍退役将軍3人は昨年12月、2024年の次期大統領選挙の結果を陸軍の一部が認めない場合、内戦が起こりうると警告している。   昨年11月、約150人の米学者は、有権者登録と投票に関する「投票の自由法」(案)の立法を呼び掛ける公開書簡を発表した。ホーマーディクソン所長は、米国の民主擁護者にはまだ少し活動の余地があるが、時間切れが近づいていると、悲観的に展望する。   所長は2024年選挙にトランプが勝てば、彼は復権と復讐を二大目標にするだろうと観る。「国境の南から暴風が近づいているのに、嘆かわしいかなカナダは、それに備えていない」とし、「危険性の規模の大きさを認識する必要

コロンビアのゲリラ同士が戦闘、20人強死亡。

コロンビア中東部、ベネズエラ国境のアラウカ州で1月2日、ゲリラFARC(コロンビア革命軍)残党と、ELN(民族解放軍)、準軍部隊GAO(組織武装団)が戦闘、22~24人が死亡した。死者がどの組織の要員かは判明していない。     イバン・マルケス率いるFARC残党は、同州と国境を共有するベネズエラ南西部のアプレ州などを「聖域」とし活動してきたが、ELNとの合意が破られたため戦闘になったと伝えられる。     コロンビア政府は、麻薬取引に従事しているGAOをELNの「仲間」と見なしている。 ▼死者は27人に    コロンビア政府は1月6日、ELN絡みの死者は、アラウカ州およびボジャカー州を含め27人に達したと明らかにした。すべてを「ELNの責任」としている。アラウカ州では23人が殺されたが、うち7人はベネズエラ人で、幼児一人が含まれている。    

ノーベル平和賞のぺレス=エスキベルが入院

    アルゼンチンの人権活動家で1980年のノーベル平和賞受賞者アドルフォ・ペレス=エスキベル(90)は1月2日、保養地マルデルプラ―タで心不全で倒れた。同市にある大統領別荘に滞在中のアルべルト・フェルナンデス大統領は侍医を派遣、応急手当を施した。     その後、ペレス=エスキベルは市内の病院に入院した。持ち直し、命に別状はない模様。     1975年に人権運動を開始。翌76年3月、軍事クーデターが起きると抵抗。77年8月、軍政に逮捕され、14カ月間獄中生活を送った。拷問されていた。     私は82年のマルビーナス(フォークランド)戦争中、ブエノスアイレスでぺレス=エスキベルにインタビューしたが、釈放後も軍政から迫害を受け続けていると語っていた。 ▼ブラジル大統領が緊急入院     ジャイール・ボウソナーロ伯大統領は1月3日未明、サンパウロ市内の病院に緊急入院した。腸閉塞の兆候があるという。大統領は休暇でサンタカタリーナに滞在していたが、不調を訴え、サンパウロに搬送された。

ハイチ暫定首相が銃撃を免れる

      ハイチのアリエル・アンリ暫定首相が1月1日、銃撃を免れた。昨年7月にはジョヴネル・モイーズ大統領が自邸内で暗殺された。元日の出来事は内外に衝撃を与えている。       アンリ首相は、独立218周年記念日行事の一環として、ゴナイヴ市にあるサンシャルル・ドゥ・ボローム教会での謝恩ミサに参列して教会外に出たところ、銃撃が始まった。身辺警護班が首相を守り、首相は被弾を免れたが、1人が死亡、負傷者が何人か出ている。       この事件発生により、他の独立記念行事はすべて中止された。ハイチは1804年、フランスから独立した。       ハイチでは、政治性を帯びた重武装の暴力団が全国的に跋扈している。ゴナイヴの暴力団は首相に来訪しないよう警告していた、との情報がある。       大統領暗殺はコロンビア人傭兵コマンドが実行したが、背後に大統領に敵対する利権勢力がいた。今回の事件でも、背後勢力の存在が窺われる。       今年は、大統領と国会上下両院議員を選ぶ選挙の年で、権力闘争や利権抗争が高まると予測されている。  

チリ敗北候補カストが共和党首を辞任

      チリの極右政党PR(共和党)のホセ=アントニオ・カスト党首は1月1日、党首を辞任した。カストは昨年12月19日の大統領選挙決選で、穏健左翼のガブリエル・ボリッチ次期大統領に敗北した。   辞任の理由は、若い後進に道を譲るためと、2019年のPR結党の基になった「共和行動運動」の指揮を執るため、と説明している。   カストは、今選挙で「左翼が支配する地域が相当にあることが判明した」とし、それらの地域で左翼と闘うと表明した。   ピニェーラ現政権の政権党連合を組む主要2党であるUDI(独立民主同盟)とRN(国民刷新党)の両党は右翼本流の座をカストの極右PRに奪われた。UDIの極右部分には、PR入党の動きが出ている。   カスとの戦略は、4年かけて「左翼支配地域」を耕し、支持基盤を拡大、2025年の次期大統領選挙に臨むこと。