米国に右翼独裁支配が到来しうると加人学者が警告

  カナダの政治学者が同国政府に対し、2030年までに米国に右翼独裁政権が登場する可能性があり、それに備えるべきだと忠言した。   ラ米では昨年、ペルー、ホンジュラス、チリの大統領選挙で穏健左翼が勝った。今年はコロンビアに初の(穏健)左翼政権が誕生する可能性があり、ブラジルでは、穏健左翼の大陸的指導者ルーラ元大統領が、極右のジャイール・ボウソナーロ現大統領の再選を阻む公算が大きい。   そうなればラ米は、弱肉強食、富裕層・大企業優先の新自由主義経済路線から、社会政策重視の社民主義路線に少なからず傾斜する。そんな時代に、「北方の巨人」米国に「右翼独裁」が現れたら、ラ米・カリブにとっても大変なことになるだろう。   トロントの新聞「ザ・グローブ&メイル」は12月31日、加ブリティッシュ・コロンビア州にあるロイヤルローズ大学カスケイド研究所のトーマス・ホーマーディクソン所長の論考記事を掲載。同所長はその中で、米民主主義は2025年には崩壊する可能性があり、民間暴力の拡大を含め、内政が極度に不安定になりうる、と警告した。   同氏は続けて、遅くとも2030年までには米国が右翼独裁に支配される可能性がある、と指摘。「馬鹿げているとか、想像するのも恐ろしいというだけの理由で、そのような可能性を否定すべきではない」と強調した。   さらに、2014年段階でドナルド・トランプが米大統領になると予測すれば、馬鹿げていると誰しも思っただろうと前置きし、だが現代世界は馬鹿げたことが現実になる世の中なのだ、と述べた。   また、米国は徐々に統治不能になりつつあり、内戦に陥ると観る専門家もいる、と指摘した。米陸軍退役将軍3人は昨年12月、2024年の次期大統領選挙の結果を陸軍の一部が認めない場合、内戦が起こりうると警告している。   昨年11月、約150人の米学者は、有権者登録と投票に関する「投票の自由法」(案)の立法を呼び掛ける公開書簡を発表した。ホーマーディクソン所長は、米国の民主擁護者にはまだ少し活動の余地があるが、時間切れが近づいていると、悲観的に展望する。   所長は2024年選挙にトランプが勝てば、彼は復権と復讐を二大目標にするだろうと観る。「国境の南から暴風が近づいているのに、嘆かわしいかなカナダは、それに備えていない」とし、「危険性の規模の大きさを認識する必要がある」と警鐘を鳴らしている。   そしてカナダ政府に対し、議会内に超党派の常設委員会を設置し、米国の民主状況を分析して対応を勧告すべきだ、と提言している。

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