米法廷が元ボリビア大統領に賠償金支払いを命ず

   米フロリダ州高裁は4月5日、元ボリビア大統領ゴンサロ・サンチェス=デ・ロサーダ(通称ゴニ)被告に賠償金1000万ドルを支払うよう命じた。

   ゴニは大統領だった2003年10月、チリ領経由での対米天然ガス格安輸出に反対する国民の抗議行動を軍隊を出動させ弾圧。エル・アルト市や農村部で60人を超える死者が出た。「暗い10月」と呼ばれるこの事件の犠牲者のうち8人の遺族が訴えていた。

  ゴニは腹心だった当時の内相カルロス・サンチェス=ベルサイーンらと03年10月、米国に逃亡、亡命生活を送ってきた。このため法廷闘争は米国内で続けられた。

  ゴニとサンチェス両被告は2018年にフロリダ州の法廷で、「拷問犠牲者保護法」(TVPA)に基づき有罪になったが、後に「証拠不十分」として無罪になった。そこで控訴となった。今回は2度目の控訴で、陪審員の評決で賠償金支払いが決まった。

  遺族が原告となった犠牲者8人には、妊婦や少女が含まれている。

  原告側弁護士トーマス・べカーは、「外国の元国家元首が米国内で人道案件によって裁判にかけられ断罪されたのは初めて」と、判決の意義を強調している。

  またボリビアのイバン・リマ司法相は、「民間人が元大統領を訴え勝訴した。良き先例をつくった」と讃えた。

  ボリビアでは2019年の政変時にも、エル・アルト市センカラと、コチャバンバ州サカバ市で虐殺事件が起きている。当時の暫定政権首班ジャニーネ・アニェス被告は逮捕、起訴されており、両事件でも裁かれることになる。

 

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