ボリビア政府がリチウム開発で国際入札を発表

   世界最大級のリチウム埋蔵量を誇るボリビアが、クーデター政権期(2019年11月~20年11月)に中断されていたリチウム開発事業計画を4月30日、再開させた。

  ルイス・アルセ大統領は同日、政治首都ラパスで開かれた「リチウム直接採掘」(EDL)の国際入札発表会で演説。ボリビアの国家リチウム開発計画の枠内でEDL参加を希望する外国企業に応札を呼び掛けた。会合にはロシア、中国、米国の企業代表が出席した。

  EDLは、ウユニ塩湖などの塩水の溶液から、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、硫酸塩を分離させる技術過程。アルセ大統領は、その技術を環境保全と生産性の両面から考慮すると述べた。

  ボリビアのリチウム資源は2100万トンで、南部のポトシー州にあるウユニ塩湖にほとんどの資源がある。他は、同州パストス・グランデス、中部のオル―ロ州とチリ領にまたがるコイパサ地域がある。

  国営のボリビアリチウム鉱床(YLB)社が、外国企業と合弁することになる。

  注目されたのは米企業の参加。リチウム電池は電気自動車に欠かせないが、世界最大の電気自動車製造会社・米テスラ社の総帥イーロン・マスク(南ア系米国人)は19年11月のクーデターの際、「必要ならば、どこででもクーデターを起こす」と発言したことを、政権を追われたエボ・モラレスから糾弾されていた 。

  モラレス政権は、マスクがクーデター首謀勢力に資金を提供したと見ていた。

  アルセ政権が入札開始発表会に露中企業とともに米企業を招いたのは、同政権がバイデン米政権下の米企業ともうまくやっていきたいとの意思表示と受け止めることができる。

  クーデター前、日本、ドイツ、韓国などの企業もボリビアでのリチウム開発に参加する交渉を積極的に推進していた。今回招かれたのか不参加だったのか明確でないが、公開入札であり、技術さえあればどの国の企業も応札することが可能だ。

▼モラレス元大統領が欧州議会を糾弾

  右翼勢力が幅を利かせている欧州議会は4月28日、2019年11月にクーデターで発足したボリビア暫定政権のジャニーネ・アニェス暫定大統領の釈放を求める決議を賛成396、反対267、棄権28で可決した。アニェスは3月から拘禁され、反乱など6種の容疑で検察から取り調べられている。

  欧州議会決議を受けてエボ・モラレスは29日、アニェス政権下で起きた2件の虐殺事件など無処罰にしようというのか、と怒りの声明を発した。


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