ブラジル最高裁がルーラを法廷闘争から解放

      ブラジル連邦最高裁は4月15日、ルーラ元大統領に腐敗罪などで有罪判決を下したパラナー州都クリチーバの連邦裁による一連の審理を無効とする先の判断を確認。これによりルーラは法廷闘争から解放され、被選挙権を回復し、来年の大統領選挙に出馬できることになった。

  最高裁判事11人のうち8人が無効判断支持、3人が反対した。最高裁はまた先ごろ、クリチーバ裁判を遂行した当時のセルジオ・モロ判事が(「反ルーラ」に凝り固まり)公平性を欠いていたとの判断も下していた。

  この日、発表された最新の世論調査では、来年の大統領選挙決選がジャイール・ボウソナロ現大統領とルーラの戦いとなった場合、ルーラ52%、ボウソナロ34%で、ルーラが当選する予測となった。

  一連の「ルーラ事件」の背景には、労働者党(PT)に大統領選挙では勝てない伝統的支配階層の陰謀があった。まず2016年8月、国会は当時のヂウマ・ルセーフ大統領を些細な理由で弾劾解任し、保守右翼暫定政権を樹立。次いでモロ判事を使ってルーラの18年大統領選挙出馬権を奪い、極右ボウソナロを当選させた。

  PTはルーラ2回、ルセーフ2回の4回連続で大統領選挙に勝利、ルセーフ弾劾まで13年余り政権を担った。PTは新自由主義経済路線を修正維持しつつ社会政策を大幅に導入し、多数派の貧困層の支持を得て長期政権を維持した。

  この貧困多数派という経済階級的構造はコロナ禍で一層悪化し、ますますPTが有利な政治環境が醸されている。ボウソナロはとくにコロナ禍対策で失政、最高指導者としての資質を疑われてきた。

  今回の最高裁判断には、世論の「ルーラ待望論」を司法が汲み取った結果とも言える。

▼国会にコロナ禍対策調査委設置へ

 伯最高裁(判事11人)は4月14日、ボウソナロ政権のコロナ禍対策を検証する議会調査委員会(CPI)を国会に設置することを承認した。これに反対していたボウロナロ大統領が敗北したことになる。

▼支持率調査でルーラ有利

 5月11日のアトゥラス・ポリチコ調査結果では、来年の伯大統領選挙の第1回投票でジャイール・ボウソナロ大統領、とルーラ元大統領がそれぞれ得票率37%、33%で決選に進出。決選では46%のルーラが41%のボウソナロを上回る見込み。

  

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