ペルーから米国際開発局を追放ー左翼候補が公約

    ペルー大統領選挙決選で優位に立っている自由ペルー党候補ペドロ・カスティージョ(51)は4月29日、北西端のトゥンべス市から首都リマに到着後、呼吸困難となり、病院に緊急入院した。この日リマで予定されていた遊説は、すべて打ち切られた。

 カスティージョは同日、自身の携帯電話に「リマ市内に爆弾を設置した」とする暗殺の脅迫が入ったことを明し、「卑怯者がいる。だが私は携帯電話の番号を変えない」と述べた。

 決選の相手候補ケイコ・フジモリ(45、人民勢力党)は公開討論を要求していたが、カスティージョは29日、生まれ故郷である北部カハマルカ州チョタ県都チョタ市中央広場で5月1日午後1時からの討論会を提示。ケイコは同意した。

 教組幹部として実績を挙げたカスティージョにとり、国際労働者の日(メイデー)は最高の日付だ。ケイコは財界から支持されており、ある意味で労使対決型の討論ともなる。

 一方、自由ペルー党は28日、「政権担当100日間の政策綱領」を発表。ラ米保守・右翼諸国の政策調整機関「グルーポ・デ・リマ」(グリマ=リマグループ)を脱退し、その解体を図ることが含まれている。

▼ケイコがやや追い上げる

 4月30日公表のDATUM調査では、ペドロ・カスティージョの支持率は44%、ケイコ・フジモリは34%。別の機関による前回調査で出た20ポイント差は、半分に縮まった。22%は浮動票。  

  グリマは2017年8月、マドゥーロVEN政権打倒を目指すトランプ米政権(当時)と連携していたPPクチンスキ秘大統領 (同)の政権期に設立された。後継のマルティン・ビスカラ大統領もグリマを米州外交の柱にしていた。

  だがビスカラは解任され、トランプ政権も終焉。トランプ政権が傀儡として擁立したフアン・グアイドーは国会議長任期が今年1月に終わった。さらにメキシコ、アルゼンチンなど左翼・進歩主義政権諸国は事実上、グリマを脱退した。

  カスティージョは、そのグリマに止めを刺そうというわけだ。政策綱領はまた、米国際開発局(USAID)追放、米軍駐屯拠点一掃、国内非常事態発動地域での発動解除を謳っている。

  一方のケイコは、父親アルべルト・フジモリ大統領が1990年に始めた新自由主義経済路線の堅持、治安強化などを公約、25年の禁錮刑に服役中の父親釈放を公言している。

▼チョタで第1回討論開催

  両候補は5月1日、チョタ市で最初の討論会に臨み、激しく遣り合った。カスティージョは、猛威を振るうCOVID19に関し、問題の根底には貧富格差を拡げ、貧者を窮地に陥れている新自由主義がある、と強調。

  これに対し新自由主義者のケイコは、「市民が接近できる国にする」と述べ、経済運営への国家介入をある程度増やす可能性を示唆した。(★追って詳報掲載へ)


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