キューバ共産党第1書記にディアスカネル大統領就任

     キューバ共産党(PCC)の新しい第1書記に、ミゲル・ディアスカネル大統領(60)が就任した。4月19日終わった第8回党大会は初日の16日、ラウール・カストロ第1書記(当時)が引退表明し、最終日に正式に退任した。

  ラウールは6月初め90歳になる。10年前の2011年の第6回党大会で、「党・政府・国の要職は1期5年、1人2期まで」と決め、自ら実行した。

  ディアスカネルは90年代半ばごろからラウールが目をかけ、「隠し玉」として育てていた。実兄フィデル・カストロの重病による引退後、後を継いだラウールは、「ラウール後」に兄が想定していた意中の後継候補を追放。この時点でディアスカネルが後継者に事実上決まっていた。

  ラウールは「ディアスカネルは思い付きで選ばれたのではない」とし、地方党指導者からの長い党歴を挙げて、正統性を強調した。

  注目された政治局員の顔ぶれも、予測にほとんど違わなかった。第2書記は廃止された。政治局員は従来の17人から14に減らされた。最大の注目点は、ラウールの元女婿で中央委員だったルイス・ロドリゲス=ロペスカジェハGAESA(軍部企業連合)社長(60)の抜擢だった。ラウールの「懐刀」の一人が政治局に入ったことは、カストロ体制の一定の「継続」を保証する。

  政治局員は次の通り(★印は留任);①★ミゲル・ディアスカネル第1書記・大統領②★エステバン・ラソ立法府ANPP議長・国家評議会議長③★サルバドール・バルデス=メサ副大統領④★ロベルト・モラレス=オヘーダ党幹部組織政策書記⑤★アルバロ・ロペス=ミエラ革命軍相⑥★ブルーノ・ロドリゲス=パリ―ジャ外相⑦ウリーセス・ギラルテ=デ・ナシミエント玖労働者中央同盟(CTC)議長⑧テレサ・アマレジェ=ボウエー玖女性連盟(FMC)書記長⑨マルタ・アヤラ=アビラ遺伝子工学・生物工学センター(CIGB)所長⑩マヌエル・マレーロ=クルース首相⑪ホセ=アマ―ド・リカルド=ゲラ閣僚評議会書記(官房長官)⑫ルイス=アルベルト・ロドリゲス=ロペスカジェハGAESA社長⑬ラサロ=アルべルト・アルバレス=カサス内相⑭グラディス・マルティネス=ベルデシア党アルテミサ州支部第1書記。

  書記局員6人は以下の通り;①ロベルト・モラレス=オヘーダ政治局員②ロヘリオ・ポランコ=フエンテス党イデオロギー局長(元駐VEN大使)③ジョエル・ケイポ=ルイス党経済局長④ホセ=ラモーン・モンテアグロ=ルイス党農食糧局長⑤フェリックス・ドゥアルテ=オルテガ党工業建設観光運輸局長⑥ホルヘ=ルイス・ブロチェ=ロレンソ党教育スポーツ科学局長。

     中央委員96人も発表された。新人は55人。従来の 114人から18人減った。「カストロ姓」は見当たらない。

  ラウール引退に伴い、革命戦争を戦ったホセ=ラモーン・マチャード(第2書記)、ラミーロ・バルデス革命司令官(政治局員)、ギジェルモ・ガルシア革命司令官(中央委員)ら「革命第1世代」はほとんど全員が引退した。

  今大会前日に革命軍相に就任したロペス=ミエラ(77)は14歳だった1958年、ラウールが率いていた反乱軍東部第2戦線に参加した第1世代。後年、アンゴラとエティオピアの戦線で玖派遣部隊を指揮した。

      ディアスカネル新第1書記は就任演説を兼ねた閉会演説で、キューバ革命の歴史を辿り、革命戦争を率いた故フィデル・カストロの業績、チェ・ゲバラ、カミ―ロ・シエンフエゴスらの活躍を讃え、今回引退した革命第1世代のマチャード、ラミーロ、ギジェルモらの尽力を高く評価した。そして自分を引き立ててくれた恩人ラウールを最大限に持ち上げた。 

  「われわれ共産党員は前衛として最前線に立ち、革命を守るのだ」と誓いつつ、檄を飛ばした。最後はフィデルの革命標語「祖国か死か」を叫び、場内が「勝利するぞ」と応じた。


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