ルーラ伯元大統領が3選出馬の意欲表明

     ブラジルのルーラ元大統領は4月3日、ポルトガルのテレビ放送RPTによるインタビューで、来年2022年の大統領選挙に出馬する可能性を強く示唆した。

  ルーラは、「私が健康であって、求められればの話だが、当面の優先課題ではない」と述べながらも、「ジャイール・ボウソナロ(現大統領)の再選はない」と断言。現職を破るのは自分だという意思を明確にした。

  さらに「物事には時宜がある」と前置きしながらも、「広範な戦線が構築されれば、労働者党(PT)は候補者を出す」とし、必勝を期していることを示唆した。

  ブラジル法廷は3月、セルジオ・モロ判事(現政権元司法相)がクリチーバ連邦裁でルーラを起訴、収賄罪などで有罪に追い込んだ一連の裁判を「無効」とし、さらに後日、「モロは反ルーラという個人的感情で行動し、判事としての公平さに欠けていた」とモロを糾弾した。

  これらの法廷判断によって、ルーラは出馬権を回復した。政府当局による新たな妨害行為がなければ、出馬する方向にある。

  コロナ禍covid19の感染者130万人、死亡者33万人で、米国に次ぎ最悪2位のブラジルだが、その中心的原因は、「反知性派極右」として知られる元軍人ボウソナロ大統領が、「単なる風邪のようなものだ」とうそぶき、コロナ禍対策を怠ったことと受け止められている。

  PT政権の社会政策重視路線を嫌悪するブラジルの伝統的支配階層は、ルーラの後継大統領だったヂウマ・ルセーフをささいな「罪」で弾劾し、ルーラの出馬権を奪って、新自由主義路線のボウソナロ政権を誕生させた。

 だがコロナ禍対策における失政、アマゾニア破壊進行など、大統領としての不適格性が暴露されたり、適格性への疑問が渦巻き、支配階層も危機感に苛まれている。

  世論も「危機脱出にはルーラ再登場しかない」とルーラに期待。その結果として、過去2期8年政権にあったルーラの3選出馬に道が開かれたと言える。

▼決選でルーラ有利か

  来年の伯大統領選挙の支持率調査が早くも実施されている。4月7日公表の調査では、候補者が乱立する第1回投票で現職ボウソナロ27%、元職ルーラ25%で、両候補が決選に進出する。

  決選はルーラ42%、ボウソナロ38%で、ルーラが優勢となる。 

 

 

 

  


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