ボリビア政府がコカ葉栽培地削減作業を再開

     アルセ・ボリビア政権は4月1日、国内の主要コカ葉生産地で、許容されている作付け面積を上回るコカ畑9000ヘクタールの破壊作業に着手した。

  最大の生産地コチャバンバ州のチャパーレを中心とするエル・トロピコ地方で7000ha、第二の産地である政治首都ラパス北方のラパス州ユンガス渓谷で2000haを、それぞれ破壊する。作業には軍隊が導入されている。

   先住民族とその混血が人口の85%近いボリビアでは、古来、自然薬、栄養剤、呪術用、装飾用などとして使われてきたコカ葉は日常生活の必需品。だが20世紀半ば過ぎから麻薬コカイン原料としての需要・使用が急伸。1980年代以降、米国の圧力でコカ葉生産地壊滅作戦が展開された。

  これによりコカインの価格が急騰。麻薬マフィアが財力と政治力を身に着け、麻薬資金によって買収された腐敗社会が拡がった。

  最大生産地コロンビア、次いでぺルー、ボリビアは3位だが、同じようなコカ葉生産とコカインの問題を抱えてきた。

  チャパーレでコカ葉栽培に従事し、栽培農民労組6団体を束ねる労連議長から政界に出て大統領にまで上り詰めたエボ・モラレス元大統領は、労連議長時代に弾圧され多数の栽培農民幹部が殺害された経験を踏まえ、コカイン原料に回される公算の大きい「過剰生産」分を自発的に破壊する政策をとった。

  モラレス政権を2019年11月のクーデターで追放し発足したアニェス暫定極右政権は、余剰栽培地8800haの破壊作業を怠った。アルセ現政権は作業を再開した形になる。

  モラレス政権末期の19年の作付面積は2万5500haだったが、アニェス政権後の20年末には、3万2000haに増えていた。ことし9000ha削減を目標としていることは、2万3000haを当面の最大許容値にしていることを意味する。

 

  

  

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