米政府がニカラグア体制打倒工作に着手か

 ニカラグアのラ・プリメリッシマ放送は7月31日、トランプ米政権がダニエル・オルテガ大統領のニカ・サンディ二スタ政権の打倒工作に着手したと伝えた。

 来年にはオルテガが連続4選をかけた大統領選挙が予定されており、オルテガ当選は堅いと見られている。選挙では勝てないための政変工作で、米政府は今も、ベネズエラで実体のない「グアイドー傀儡暫定政権 」を支え、選挙に応じさせないようにしている。

 同放送によれば、入手された18ページの文書には、①ニカ<市民社会>にオルテガ退陣を迫らせる、②素早く大統領選挙を実施して反政府側に勝たせる、③もしサンディニスタ(FSLN)が勝てば、選挙結果を認めない、④政変に成功すれば、国軍と国家警察をまず解体するーなど政変の手順が記されている。

 この計画には、米国際開発局(USAID)が資金提供などで支援する。ジョン・ボルトンが米大統領補佐官(19年9月更迭)に就任した18年4月、ニカ<市民社会>(反政府勢力の別名)は反政府街頭活動を開始したが、USAIDが<市民社会>の闘争を支援してきた。USAIDは中央情報局(CIA)と連携して秘密工作する。

 ドナルド・トランプ大統領は劣勢が伝えられる11月の選挙で敗れた場合、ジョー・バイデン民主党候補の勝利を否定する戦略を立てていると報じられているが、この選挙結果無効化戦略はマイアミの<陰謀シンクタンク>方面から何年も前に出てきたものだ。

 ウーゴ・チャベス大統領が死去した2013年のVEN大統領選挙で、後継のニコラース・マドゥーロ現大統領が初当選したが、敗れた右翼候補エンリケ・カプリーレス(当時ミランダ州知事)は「選挙無効」を叫んで街頭暴動を起こした。だが当時のオバマ米政権がマドゥーロ勝利を認めたため、暴力活動を打ち切った。

 昨年11月、ボリビアのエボ・モラレス大統領が当選したにも拘わらず、「選挙の不正」を逸早く内外に宣伝され、それを理由にクーデターで追放された。背後には米政府がいて、米国の主な狙いはウユニ塩湖のリチウム資源奪取だった。

 モラレスは自ら制定した憲法の大統領連続再選規定を変えて強引に出馬していた。これはモラレスの大きな落ち度で、後継候補を立てていれば、政変はなかっただろう。

 しかし、だからといって、選挙は公式に実施されてぉり、敗れた右翼側が米国の支援を受けて「不正」を叫び、政権を奪ったことを正当化するものではない。

  

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