米国がベネズエラにイラン原油運ぶタンカー4隻を拿捕

 米司法省は8月13日、イランから原油や石油製品を積んでべネズエラに向かっていたタンカー4隻を拿捕・押収し、テキサス州ヒューストンに連行中と明らかにした。米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が報じた。

 米国が一方的に宣言した対VEN「経済制裁」に違反したためという。

 今年5~6月、タンカー5隻が計150万バレルの原油・石油産品をVENに運び、産油国ながら石油が逼迫しているVENのエネルギー事情を一時的ながら緩和させた。これに怒ったトランプ米政権の検察は7月、タンカー拿捕手続きを取り、今回実行した。 

 VENでは最近、全国1570給油所のうち950カ所が閉鎖され、残る620か所での給油も滞りつつある。今回4隻が無事到着すれば、計116万bの原油などが確保でき、急場を一時的ながら凌げるようになるはずだった。

 イランのホジャ・ソイタニ駐VEN大使は13日、「拿捕された4隻はいずれもイラン所有でもイラン船籍でもない」と前置きし、「テロリスト・トランプは偽りの情報をもってイランを恥辱することはできない」と米政府を糾弾した。

▼米国でVEN問題会議開く

 米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」は8月13日「VEN専門家会議」を催した。米南方軍のクレイグ・フォーラ―司令官は、「マドゥーロVEN政権を支えている最大の勢力はロシアだ。VEN諜報機関はキューバが握っている」と述べた。

 国務省「紛争・安定化作戦」室のデニーズ・ナタリ室長は、「VENと地域の安定化のため活動している。(米同盟国の)コロンビアが重要な役割を担っている」と指摘した。

 同省西半球(米州)担当次官補玖VEN問題担当のキャリー・フィリペッティ次官補代理は、「経済制裁が効果を挙げつつある」と語った。

 民間の安保戦略家ダグラス・ファラー氏は、「VENはスイス、アンドーラ、スペインで資金を洗浄している。欧州は自らの影響圏でない地域の問題に対しては断固たる措置を取ろうとせず、VENに対しても(米国より)寛大だ」と指摘した。

▼亜国がVEN問題国際的取組に参加

 アルゼンチンのフェルナンデス政権は8月12日、VEN問題国際接触グループ(GIC)入りを決めた。仏独伊蘭葡西英スウェーデンの欧州8カ国と、赤CR巴ウルグアイのラ米4国が既に参加している。(赤=エクアドール、巴=パナマ、CR=コスタ・リーカ)

▼「平和地域」が危機に

 国連人権理事会のあるジュネーブで8月13日、VENやキューバ の代表部は、「ラ米・カリブ(LAC=ラック)平和地域」が米国によって脅かされている」と表明した。

 ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック)は2014年ハバナでの首脳会議で、LAC域内を「平和地域」と宣言した。

▼VEN首都圏長官がコロナで死去

 カラカス、ミランダ州、ラ・グアイラ州にまたがる首都圏のダリ―オ・ビバス長官(70)が8月13日、コロナ感染により死亡した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領に次ぐ実力者ディオスダード・カベ―ジョANC(制憲議会)議長は感染し重篤になったが、持ち直して今は静養中。

 大統領側近のホルヘ・ロドリゲス情報・通信相、コロンビアコ国境タチラ州のフレディ・ベルナル政府代表も感染している。ロドリゲスの妹デルシーは副大統領。 

 

 

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