トリニダード・トバゴ選挙でローリー首相与党が勝利

 カリブ海アンティージャス諸島の最南端、ベネズエラ沖にある産油国トリニダード・トバゴ(TT)で8月10日、下院議員選挙が実施され、政権党PNM(人民国家運動)が定数41議席中22議席を得て勝利、キース・ローリー現首相が再選され5年間の新任期を迎えることになる。

 カムラ・バサード=ビセッサー前首相の率いる野党UNC(統一国民会議)は19議席にとどまった。前回2015年の選挙ではPNMが23、UNCが18の議席をそれぞれ獲得した。

 ★TTに連続6年間滞在し、『トリニダード・トバゴ:カリブの多文化社会』(2018年、論創社)の著書があるTT専門家の鈴木美香さんに、選挙結果について訊いた。

 PNMの勝利について鈴木さんは、「UNCは、対抗政策を打ち出せなかったし、コロナ禍で十分な選挙戦が展開できなかったのも響いた」と、野党の不調を要因に挙げた。

 TTには、2014年以降の原油国際価格下落で低迷する経済の再建、経済多様化や、治安改善、汚職撲滅の重要課題があるが、ローリー政権は成果を挙げることができなかった。だがコロナ感染防止では成果を挙げた。

 鈴木さんは、ローリー首相新任期の2大課題として「経済再建とコロナ対策」を挙げ、TT観光の中心地トバゴ島の観光産業がコロナ禍で打撃を受けている問題も指摘する。また、ベネズエラ難民への反感や差別感情の顕在化も気になるという。

  TTに両親と共に移住した若いVEN人女性がつい最近、男たちに暴行され重体になって病院に搬送される事件が起きている。TT女性と間違われ襲われたとの見方があるが、定かでない。

 

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