「米国のベネズエラ政策は完璧な惨敗」:米上院外交委が糾弾

 米上院外交委員会は8月4日、トランプ米政権のエリオット・エイブラムス「ベネズエラ問題」特使を喚問、同政権の対VEN政策を「完璧な惨敗」と厳しく指摘した。

 エイブラムス特使は過去にラ米でさまざまな米政府の策謀に関与、「米帝国主義の象徴」とラ米で見なされてきた人物。この日、委員会で「12月6日のVEN国会議員選挙の結果いかんに拘わらず、米国はフアン・グアイドー(現国会議長)を(暫定大統領として)支持し続ける」、「ニコラース・マドゥーロ(現VEN大統領)は今年いっぱいは持たないだろう」と述べた。

 この発言の直後に集中砲火を浴びせられた。共和党のミット・ラミー議員と、クリス・マーフィーをはじめとする民主党議員たちは、「トランプ政権が昨年1月、グアイドーを(暫定大統領として)承認したことが、米外交を前例のない外交的矛盾に陥れた」と糾弾した。

 とくにマーファー議員は、「過去1年半の対VEN政策はひどいものだった」と前置きし、「VEN国家も軍部も支配しておらず、選挙ボイコットをするばかりのグアイドーへの承認と対VEN制裁が機能しなかったことを認めるべきだ」と迫った。「グアイドーは悪い選択だった。キューバとロシアを利しただけだった」とも批判した。

 さらに、「昨年4月(30日)の(グアイドーらの)軍事クーデター計画の大失敗は、米国を愚かで弱いと見せてしまい、グアイドーを米国の<下僕>と印象づけた」と指摘。「過ちを認めないならば、何も修正できない」と述べた。

 グアイドーが所属する暴力的政変肯定路線の極右政党「人民意志」(VP)をはじめ4大野党、および弱小野党23党の計27党は8月2日、12月の選挙ボイコットを打ち出した。5年前の前回選挙で敗北した政権党PSUV(ペスーブ=VEN統一社会党)が態勢を立て直し有利な状況のため、選挙に参加しても勝てない公算が大きいからと見られている。

 一方、ヘンリー・ファルコン党首(前ララ州知事)の進歩主義前哨党(AV)をはじめ野党数党は選挙参加を表明している。ファルコンは2018年の前回大統領選挙に出馬し善戦、再選されたマドゥーロに次ぎ2位になった。

 日本政府はグアイドーを「支持」するが「承認」しておらず、マドゥーロ政権との国交を維持している。今日8月6日の広島平和記念式典にも同政権のセイコウ・イシカワ大使が出席した。
 

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