メキシコ・チアパス州に「先住民ゲリラ」出現か

  メキシコ南東端のチアパス州で8月17日、「オコシンゴ高地の農民らのゲリラ」を自認する「先住民革命軍」 (ERI=エリ)がSNSで13項目の「戦争宣言」を発表、オコシンゴ地域から国軍と国家警備隊が撤退しなければ戦いを挑む、と表明した。治安部隊の駐屯は「地域社会に不安を巻き起こしている」と指摘してる。

 同州では1994年元日、「サパティスタ民族解放軍」(EZLN)が同日発行した「北米自由貿易協定(条約)」(TLCAN、NAFTA)や連邦政府支配に反対して武装蜂起し、26年後の今も自治を続けている。ERIとEZLNとの関係は不明だが、「無関係」ではないはずだ。

 「宣言」はAMLO政権と国軍に向けられており、ERIは農民、カフェ栽培農、市場小売り商などで構成されているとし、自動小銃やライフル銃で武装した男7人の写真を公開した。オコシンゴ高地は、主としてマヤ系ツェルタル人の居住地だ。

 「先住民多思想・民族自治会議」(CPEAI)による自治政府を発足させ、その場所を近く公表する、という。

  AMLO政権は、テウアンテペク地峡、ユカタン半島、チアパス州にかけてのマヤ民族居住地域で自動車網などを建設する「トゥレン・マヤ」事業を展開中だが、「宣言」は連邦政府の事業を拒否すると言明。「なぜなら地元先住民社会に何ら恩恵をもたらさないからだ」と主張している。

 ERIは、先住民共同体の自衛や「母なる大地」の防衛が目的で、近郊の中心都市サンクリスト―バルデラスカサスーオコシンゴ間などの自動車道を監視し、検問すると表明。

 「外国資本主義者や帝国主義者の介入」を拒否。TLCAN・NAFTAに替わって7月1日に発行した「墨米加条約」(T-MEC)=米国では「米墨加協定」(USMCA)=への反対を打ち出している。これはEZLNがTLCANを拒否したのと同じ構図だ。

 「自治政府 」もERIも自給自足主義。「自治政府」が政治部門、ERIが軍事部門をそれぞれ代表する。

 因みにEZLNは蜂起26周年を迎えた今年初め、「トゥレン・マヤ」への反対を表明。指導部は「四半世紀余り経ち、忘却との闘い」を迫られていると、置かれた状況を説明した。

 


 

 

 


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