ボリビア大統領選:アルセは得票率55%で圧勝

  ボリビア選挙最高審議会(TSE、中央選管)は10月23日、大統領選挙(18日投票)の最終開票結果を発表。社会主義運動(MAS。先住民族主体、左翼・中道左翼)のルイス・アルセ元経済相、ダビー・チョケウアンカ元外相をそれぞれ次期正副大統領と認定した。就任式は11月8日、政治首都ラパスで催される。

  100%開票時の最終得票率は、アルセ55・1%(338万票)、カルロス・メサ(市民共同体、中道・保守)28・83%(177万票)、ルイス・カマチョ(信じよう、極右)14・0%(86万票)。他の2候補は泡沫。

  アルセ圧勝の要因は、モラレス政権の経済相として民族主義経済を高度成長に導いた手腕が買われたことが第一に挙げられる。13年大統領を続け飽きられていたエボ・モラレスと比べ、新鮮さがあった。アニェス非合憲暫定政権が先住民憎しの余り経済を破壊、危機感を募らせた先住民、農民、都市大衆層と新興中産層はアルセに期待をかけた。

  メサは中産層と白人系有権者を主対象として選挙戦を展開、最大多数層の先住民・大衆層に食い込めなかった。極右カマチョとの候補一本化工作にも失敗した。世論調査はみな「上位2候補の決戦進出」を予測したが、調査に不備があったことが暴露された。

  大統領選挙と同時に実施された国会議員選挙の最終結果も発表された。MASは下院(定数130)78、上院(同36)21をそれぞれ獲得、両院で過半数となった。メサの市民共同体(CC)はそれぞれ35と11。カマチョの「信じよう」は17と4。

  だが、これまでのように両院で3分の2の絶対多数議席を握ることはできなかった。これを予測していたMASは選挙前日の17日、大使任命、軍高官昇進など重要事項を過半数で議決できることに変更した。これにはCCなどから激しい非難が起きている。

  MASは24日、政治首都ラパス上方の大高原(アルティプラ―ノ)に拡がる大都市アルトで大規模なアルセ当選祝賀祭を開いた。 

★23日、ブエノスアイレスに昨年12月から10か月間亡命生活を送っていたエボ・モラレス前大統領(MAS)は、ニコラース・マドゥーロVEN大統領が派遣したVEN政府機でカラカスに向かった。亜国大統領政庁当局者が明らかにした。

  モラレスはカラカスでマドゥーロ大統領と会談、著書を贈り、25日ブエノスアイレスに戻った。同大統領が明らかにした。

      アルべルト・フェルナデス亜大統領は「モラレスと一緒にボリビアに行きたい」と、アルセ就任式出席を示唆している。

▼日本メディアの間違い

 某メディアがアルセを「反米左派」と決めつけ、報じている。これはボリビアを米国を起点として眺めている間違いだ。ボリビアはボリビアの立場で見なければならない。日米安保体制化で雁字搦めの日本のメディアは哀れ、「従米主義」が第2の天性になってしまっているようだ。

 アルセは当確後の一連のインタビューで、「対米関係は主権、民族自決、内政不干渉の相互尊重があれば、他国との関係と同様、やっていける」と明言している。

 昨年モラレス追放のクーデターに関与した米国も逸早く国務省がアルセ当確を認め、次いでマイク・ポンぺオ国務長官が祝福している。

▼ボリビア法廷がモラレス起訴を取り下げ

 ラパス州裁判所は10月26日、エボ・モラレス前大統領への「テロリズム」「選挙時の不正」などによる起訴と逮捕命令を取り下げた。これでモラレスは帰国およびアルセ大統領就任式出席が可能となった。一連の起訴は、大統領選挙戦応援のためのモラレス帰国を阻むのが主な理由だった。

 「テロリズム」は、非合法政権内務省およびカマチョ派など極右が恣にしてきており、その責任者は国内に留まるかぎり、追及されることになるだろう。

 一方、ボリビア国会は26日、ジャニーネ・ヤネス非合憲暫定大統領および、外相、内相、国防相、司法相、エネルギー相、大統領府相、環境・水利相の計8人を虐殺関与容疑で起訴することを決めた。

 


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