外国NGOがキューバ国民の窮乏状況調査を公表

   マドリ―に本部を置くスペインのNGO「OCDH」(玖人権監視所)は10月28日、2020年1月からの調査結果を発表。それによれば、貧困率は年初と比べ倍加し、玖国民の多くは、貧困状況は今後さらに深刻化すると見ている。玖家族の21%は、ひと月20米ドルで暮らしているという。

  調査は7月半ば~8月半ば、玖島の西部、中部、東部の全3地域で、計1249人に対面質疑応答形式で実施された。コロナ禍のため、感染の可能性を避ける工夫もなされた。年初には20ドルでの生活家族は11%だった。

  20~40ドルで暮らしている家族は24%、41~100ドルは19%だった。一家族平均3人とすれば、玖国民の64%は、一日当たり1・11ドルで生活していることになる。

  社会主義政権の経済政策失敗の累積、政治経済社会の構造改革欠如、米政府による経済封鎖で経済体質が衰弱していたところにコロナ禍が見まい、今日の窮地に陥った。

  玖政府は昨年末から、通貨ペソ(CUP)と米ドルとの間にある「兌換ペソ」(CUC)の廃止過程に入っている。これによりドルがもてはやされ、生活必需品などの物価が上昇している。ドルに容易に接近できないペソ生活者は、日々の暮らしが精いっぱいというところ。

  調査では、国民の42%は、食品を含む生活必需物資の入手も困難だ。72%は物資入手が極めて困難ないし、ある程度困難。10家族中6家族は、配給物資を月10日程度で費やしてしまう。国民の7割は過去3カ月、食糧不足に陥っている。

  国民の75%は、薬品入手に困っている。68%は学校で教育指導されていると認識。2人に1人は、教育施設の状態が非常に悪い、あまり良くないと受け止めている。

  水道の恩恵を恒常的に受けているのは年初には21%だったが、8月には14%に落ちた。現在は83%は、その恩恵を受けていない。家族の46%は現在住む住宅の修理が必要で、11%は崩落などの危険を意識しながら住んでいる。

  高齢者の52%は何らかの食料不足を感じ、64%は生存に不可欠な物資の購入が難しくなっている。国民の7割は食料品や医薬品の入手が、6割は収入(購買力)が減ってゆくと考えている。

  玖国民の薄からぬ層は、平等主義を保障していた社会主義経済政策が信頼できなくなっていることから、「市場経済」化の深化に期待している。

 「先に豊かになれる者から豊かになれ」という「先富論」を事実上実践しているラウール・カストロ共産党第1書記とミゲル・ディアスカネル大統領の注意深すぎると非難されている「経済改革」は限界に近付いているを見る向きは少なくない。

  OCDHは2010年12月に結成された。

▼玖高官解任法制定

 玖立法府は10月28日、正副大統領をはじめ地方首長に至る選出された高官を職務怠慢などの理由で解任するのを可能にする新法を可決した。

▼パリクラブが債務返済延期を認める

 日本を含む債権国集団パリクラブは10月30日、キュ―バの今年度分返済を不可能と見て、返済延期を認めた。返済繰り延べ合意に基づきキューバは返済してきたが、昨年は返済額全額は支払えず、ことしは10月30日の期限までに全く支払えなかった。

 パリクラブは対玖累積債権111億ドルのうち85億ドルを2015年に帳消しにし、残り26億ドルの返済を受けてきた。

 玖政府は16年に、対パリクラブを含む対外債務総額は182億ドルと公表している。

▼米電信為替会社が送金事務打ち切りへ

 米ウェスタンユニオン社は11月12日、キューバへの米国からの送金サービスを27日に打ち切ると発表した。

 このサービスは1990年代のクリントン政権期に始まり、今では玖国内407カ所に支店を置き、在米キューバ系市民や玖人からの年間35憶ドルの送金窓口になってきた。

 だがトランプ政権は対玖経済封鎖を強化、同社の対玖業務を徐々に狭めてきた。同社の玖側取引相手は、対外金融機関FINCIMEX。軍部の経営団体GAESAに所属している。

 トランプ政権は2017年、米企業との取引を禁止する玖軍部関連企業220社の名簿を作成、その中に最重要企業体GAESAも無論含まれている。

 玖側は、来年1月、バイデン米政権が発足すれば、この種の対玖締付けは大幅に緩和されるものと期待している。  


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