ベネズエラ製油所爆破は無人機発射ミサイル使用か

  VENファルコン州内にあるパラグアナー製油複合施設のアムアイ製油所で10月27日、一部施設が爆破される事件が起きた。タレク・エルアイサミ石油相は30日、破壊された施設の写真とビデオ映像を公開し、「捜査中だが、破壊力の強さなどから見て、無人機か船舶から発射されたミサイルによる攻撃だったと思われる」と明らかにした。

 アムアイ製油所は、日量95万9000バレルの処理能力をもつ世界最大級の製油所。同石油相はまた、今回の事件と、9月11日アムアイ製油所付近で逮捕された米国人マシュー・ジョン・ヒースとは無関係ではない、と述べた。

 ヒースは榴弾発射装置、爆発物、衛星通信携帯電話機、自動小銃などを携行しており、製油所爆破を狙っていた。ヒースはVEN人5人とともに今年3月コロンビアで逮捕され、禁錮9~12年の実刑判決を受けたが、釈放され、VENに潜入、破壊工作をしていた。

 エルアイサミは、犯人はヒースの失敗に鑑みドローンなどを用いた破壊戦術に切り替えた、との見方を示唆した。

 一方、ニコラース・マドゥーロVEN大統領は29日、今回の爆破事件にはコロンビアのイバン・ドゥケ大統領と米諜報機関が関与している、と糾弾した。コロンビアでは同日、失政を理由にドゥケに退陣を求める野党主導の署名運動が始まった。有権者180万人の署名をもって大統領弾劾を国会に求めることが可能となる。

 VENは世界最大の原油確定埋蔵量を誇るが、かつて日量300万バレルを超えていた原油生産は、今年は40万バレル台に激減低迷している。今回の破壊活動が、VEN石油産業の息の根を止めたい内外の反マドゥーロ勢力の犯行であるのは疑いない。

▼バイデン勝てばグアイドー切り捨てか

 NYT紙は10月30日、ジョー・バイデン米民主党大統領候補の補佐陣営の発言を基に、バイデンが大統領になれば、VEN軍説得に失敗してきたフアン・グアイドー国会議長を<暫定大統領>扱いすることはなくなる、と報じた。

 また「バイデン政権」は、マドゥーロ政権に公明正大な選挙を実施させるためマドゥーロと話し合う道を探ることになる、と伝えた。

▼ロペスがクーデター不発の原因を語る

 マドリ―に逃亡したVEN極右指導者レオポルド・ロペスは10月30日米TVに対し、2019年4月30日のVEN軍事クーデター不発の原因を語った。それによれば、ロペスら反政府暴力肯定派指導部と直接交渉したマイケル・モレーノ最高裁長官は、①制憲議会(ANC)解散②2018年大統領選挙無効化③出直し大統領選挙実施ーの3点で合意、4月30日午前10時11分にそれを発表することになっていた。

 だがモレーノは約束を守らず、蜂起計画は失敗した。ジョン・ボルトン元トランプ米大統領補佐官は著書『それが起きた部屋 ホワイトハウス回顧録』に、モレーノがANCによるマドゥーロ大統領合憲認定を否定しなかったため軍部が動かず政変は失敗した、と記している。

▼玖VEN統合的協力協定20周年を祝う

 ニコラース・マドゥーロ大統領とミゲル・ディアスカネル玖大統領は10月30日、協定調印20周年を記念してテレ会合した。この協定は2000年のこの日、故フィデル・カストロ国家評議会議長と故ウーゴ・チャベス大統領が結び、今日まで両国関係の基盤になっている。

 故両首脳と交流のあった元亜国サッカーチーム代表ディエゴ・マラドーナはこの日、60歳の誕生日。マドゥーロは、「フィデルの息子にしてチャベスの弟分であるディエゴの誕生日でもある」述べ、祝福した。

▼マドゥーロが厳戒態勢呼び掛け

 ニコラース・マドゥ―ロ大統領は10月30日、政権党連合GPP(大愛国軸)の第1回大会で、政権を支える「人民権力制度」を構築するよう求めた。また、(米国やコロンビアなど)「国外からVENへの攪乱工作を11月1日に仕掛けるとの通信を傍受した」として、厳戒態勢を維持するよう呼び掛けた。

 米国務省は30日、米国人に対し、コロナ禍や犯罪多発を理由にVENに渡航しないよう求める警告を発した。

 

 

 

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