旧コロンビアゲリラFARCが大物暗殺を告白

   コロンビアの左翼政党「人民革命代替勢力」(FARC)が、前身の共産党系ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)時代に大物政治家ら6人を暗殺していたことが明らかになった。犠牲者には、保守党の元大統領候補で「エル・シグロ」紙編集主幹だったジャーナリストのアルバロ・ゴメス=ウルタードも含まれている。

  和平特別司法当局(JEP)は10月3日、旧ゲリラ書記局員だった現FARC党幹部たちが9月30日の声明で暗殺の事実を明るみに出した、と発表した。ゴメスは1995年11月2日、首都ボゴタの自宅アパートを出たところを殺害された。

 当時ゴメスは、エルネスト・サンペル大統領が麻薬マフィアからもらった500万ドルを選挙資金として当選したとする論陣を張り、サンペル追い落としを図っていた。ゴメスの遺族は、サンペルを「暗殺の黒幕」として糾弾してきたが、その見方を依然変えていない。

 ゴメスは、「ボゴタソ」(1948年のボゴタ大騒擾事件)後の1950年代初頭、政権にあったラウレアーノ・ゴメス=カストロ大統領の息子。同大統領は右翼強権政治家で、政敵が多かった。

 息子アルバロ・ゴメスは80年代末、大統領選挙に出馬したが、民主党のビルヒリオ・バルコに敗れた。後に私(伊高)は自宅アパートを訪ねインタビューしたが、ゴメスは「あなたもジャーナリストだからわかるでしょうが、私はジャーナリストとして何でも中立的立場で見たり判断したりする習慣が身についていて、政治には今一つ熱心になれないのですよ」と述懐したものだ。大型の拳銃を腰に付けた屈強な身辺警護の男たちが目を光らせていたのを記憶している。

 ゲリラFARCが暗殺に関与したのは他に、フェルナンド・ランダーサバㇽ退役将軍(1998年)、政府和平顧問ヘスース・べハラーノ氏(99年)ら5人。

 政府(サントス前政権)とFARCはハバナでの長期交渉を経て2016年に和平合意に達し、政党FARCは国会下院に指定議席を得た。

 だが極右支配層は殺し屋を使って、標的の人権活動家や労組幹部らに加え、FARC党員多数を殺害してきた。今回のFARCの告白が党員殺害に拍車をかけるのではないかと懸念されている。

 

  

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