ボリビア国会委員会がアニェス暫定大統領らの断罪決議
ボリビア国会両院合同調査委員会は10月26日、昨年11月のクーデターに先立つ10月に起きたコチャバンバ州サカバ、エル・アルト市センカタでの虐殺事件などに関与した容疑で、ジャニーネ・ヤニェス非合憲暫定大統領と、内相、外相、国防相、司法相、大統領府相、エネルギー相、環境・水利相の計8人を裁くことを決議した。国会本会議で最終的に決定する。
【国会は10月29日、アニェスらの責任を問う裁判の実施を決議した。】
また、政治首都ラパスのあるラパス州裁判所は26日、ブエノスアイレスに亡命中のエボ・モラレス前大統領に対する「テロリズム」「選挙不正」などによる一連の起訴と逮捕命令を取り下げた。理由なく一報的な起訴だった、という理由。
これでモラレスは、帰国とアルセ大統領就任式出席が可能になった。しかしモラレスは27日、アルセ就任翌日の11月9日に帰国する予定と明らかにした。新しい主人公アルセを尊重するためと、新政権発足翌日ならば安全が十分に保障されるという理由からだろう。
アニェスは自身を含む350人分の米国入国査証を申請していたことが暴露されているが、11月8日のアルセ政権発足後、断罪されるのを予期していたからだろう。
米政府はアルセ新政権との「友好関係」構築を望む意思を伝えている。アニェスらの国外逃亡の願いが叶うのか、定かでない。
一方、アニェス暫定政権とアルセ次期政権は27日、政権移行のための協議に入った。大統領選挙に敗れた極右ルイス・カマチョ派の数百人は同日、牙城のサンタクルースデラシエラ市にある陸軍第8師団司令部前で、「MAS政権発足を阻止するため軍事評議会を設置して政権を取れ」と気勢を挙げた。
昨年、軍・警察のクーデターに遭ったモラレスは、この危険な動きを非難し、「憲法を尊ぶべきだ」とボリビアにメッセージを送った。
▼労連指導者が殺害さる
鉱山労連書記長オルランド・グティエレスは10月22日、大統領選挙の結果に不満な極右にラパス市内で殴打され病院で手当てを受けていたが28日、死去した。
ボリビア労働中央同盟(COB)のフアン=カルロス・ウアラチは28日、検察庁にグティエレス殺害事件の捜査を要求した。
▼モラレスとマドゥーロを招かず
ボリビア非合憲政権の外務省は10月29日、エボ・モラレス前大統領とニコラース・マドゥーロVEN大統領はルイス・アルセ新大統領の就任式に招かないと発表した。だがフアン・グアイドーVEN国会議長を招待した。
【これに対しアルセは11月2日、就任式にマドゥーロを招いた。】
▼次期大統領が優先政策を公表
ルイス・アルセ次期大統領は10月30日、就任後ただちに生活困窮者に1人当たり1000ボリビア―ノ(約150米ドル)の食品引換券を給付すると明らかにした。また13%の付加価値税(消費税)を、クレジットカードでの支払い者に対しては8%に引き下げるという。
非合憲暫定政権が打ち切ったり破壊したりしたモラレス前政権期の経済政策を再開する方針にも触れた。外交面では、暫定政権が断ち切った玖VEN 両国との関係を復活させることを確認した。
▼オンブズマンが取締りを要請
ボリビアのオンブズマン、ナディア・クルース氏は10月30日、サンタクルース州の極右など一部勢力が「市民・軍部・警察による政府樹立」を呼び掛けていることに鑑み、国軍と警察に憲法順守を呼び掛けるととともに、検察庁に捜査を要求した。
アルセ次期大統領は11月1日、「サンタクルース州の極右少数集団」による爆発物や銃器を使った暴力行為を糾弾し、国民に平和を訴えた。
▼経済は2年内に正常に
アルセ次期大統領は11月2日、非合憲暫定政権によって破壊され、コロナ禍で停滞した経済は「2年内(2022年末まで」に修復できるとの展望を語った。
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