キューバ軍部の企業運営責任者への米制裁が波紋呼ぶ
米政府は9月30日、玖革命軍少将でラウール・カストロ共産党第1書記(89)の元女婿であるルイス=アルベルト・ロドリゲス=ロペスカジェハスGAESA社長に対し、在米資産凍結と対米金銭取引を禁止した。米国務省ラ米担当当局者は、今回の措置について、玖最高指導部への「制裁」に向けての第一歩と示唆している。
GAESA(企業経営集団)は、玖軍部支配下にある企業体の「経団連」のような組織で、玖経済の7割方を握っているとされる。とくに玖政府が7月、本格的に進め始めた米ドル販売店網運営などドル経済部門の実質的支配者だ。
一方、通貨ペソ(CUP)に基づく、食糧・食品など国民経済を扱う関係省庁は、外貨事情逼迫により、食糧をはじめ生活必需品の輸入が ままならなくなっているため、四苦八苦してる。その責任的地位にいる軍高官らは、ドル経済を牛耳るGAESAに反目している。
軍部内の「GAESA派」と「CUP派(別名「豆入りご飯派」)」の確執は、コロナ疫病COVID19の蔓延と11月3日の米大統領選挙結果待ちにより小康状態にあった。だがGAESAの総帥ロペスカジェハスが米国の「制裁」に遭ったことで、確執が新たに関心を集めている。
2021年4月半ばには第8回玖共産党(PCC)大会が予定され、ラウールは第1書記を任期満了で辞めることになっている。後継者はミゲル・ディアスカネル大統領と予測されているが、ラウールの懐刀の一人ロペスカジェハスをも巻き込んだ軍部内の確執が、新第1書記決定に影響を及ぼすのか否かが人口に膾炙されつつある。
無論、米政府の今回の「ロぺスカジェハス狙い撃ち」が、10月半ばマイアミで開かれる第2回大統領候補討論会を前に玖系有権者の票田を固めたいトランプ陣営の思惑を反映しているのは疑いない。
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