「プエブラ集団」が亜国対VEN政策支持し存在感

   メキシコ・プエブラ州都プエブラ市で2019年7月発足したラ米左翼・進歩主義の政治家や知識人の意思表示集団「グルーポ・デ・プエブラ」(GP=プエブラグループ)が、久々に存在感を示した。10月13日、アルべルト・フェルナンデス亜国大統領の対VEN政策を明確に支持した。

   米州にはラ米諸国を中心とする極右・右翼・保守政権諸国の反マドゥーロVEN政権集団「グルーポ・デ・リマ」(グリマ=リマグループ)がある。トランプ米政権と密接に連携し、マドゥーロ政権打倒を目指し同政権を糾弾、その政策にことごとく反対してきた。

  グリマは政権の外交政策調整集団だが、GPは12カ国出身の個人の集団だ。アルべルト・フェルナンデス亜大統領は昨年12月就任したが、就任前のGP設立時からの会員。就任直前の11月、ブエノスアイレスで第2回GP会合を開いている。

  会員には大物が多い。ブラジル;ルーラとヂウマ・ルセーフの両元大統領、チリ;マルコ・エンリケス=オミナミ(大南)元大統領候補、メキシコ;クアウテモク・カルデナス元大統領候補、コロンビア;エルネスト・サンペル元大統領、赤道国;ラファエル・コレア前大統領、パラグアイ:フェルナンド・ルーゴ元大統領、ラ・ドミニカ―ナ(ドミニカ共和国);レオネル・フェルナンデス元大統領、ボリビア;エボ・モラレス前大統領、アルバロ・ガルシア=リネラ前副大統領、ぺルー;ベロニカ・メンドサ元大統領候補ら。スペインからホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元首相が参加している。

  このGPは、フォロ・デ・サンパウロ(FSP=サンパウロフォ-ラム)や世界社会フォーラム( FSM)に近く、グリマ寄りのラ米の保守・右翼元大統領らの友好クラブと一線を明確に画している。

  グリマは17年8月、12か国で始まり、現在は事実上14カ国。設立国だったメキシコは18年に発足したAMLO政権が事実上脱退し、同じくアルゼンチンもフェルナンデス現政権になってから距離を置いている。

  グリマは今回、12月6日のVEN国会議員選挙を認めないとする声明を発表したが、亜政権は、署名を拒否した。グリマが米国と連携して「VEN暫定大統領」として支持・承認しているフアン・グアイドーVEN国会議長について「実権も施政実体もなく、亜国は承認していない」と切り捨て、「VENの国政選挙は重要であり、それを否定するような内政干渉は許されない」と声明に冷水を浴びせた。

  フェルナンデス亜大統領は先ごろ、国連人権理事会で反VEN決議に賛成票を投じてペロン派や国外から厳しく批判された。大統領は今回グリマとの距離を一層開くことで「汚名挽回」を図ったとも言える。 

▼FSPがアジェンデ勝利記念遠隔会合

 フォロ・デ・サンパウロは10月15~17日、「サルバドール・アジェンデ大統領とチリ人民連合(UP)の勝利50周年記念会合」をテレ方式やビデオを使って開いている。

 ミゲル・ディアスカネル玖大統領は、「人類が生存をかけてコロナ疫病と闘っている今、我々ラ米左翼は共通の闘争史であるチリ人民連合勝利50周年を祝うのを誇りとする」という祝辞を送った。

▼ノーベル平和賞40周年祝う

 アルべルト・フェルナデス亜大統領は10月14日、人権活動家アドルフォ・ペレス=エスキベル(88歳。APE)のノーベル平和賞受賞40周年記念式典を大統領政庁ロサーダ館で主催した。

 APEは、とくに1976~83年の亜國軍政と闘い、迫害された。投獄され拷問されたり、爆弾テロに遭うなど命の危険に晒されながら、反軍政闘争の象徴的人物になり、1980年のノーベル平和賞に輝いた。

 私(伊高)は、民政移管後のアルフォンシン政権期にブエノスアイレス中心街のAPE活動拠点でインタビューしたが、その前日に拠点は放火テロに遭ったばかりで、焼け焦げた臭いが漂っていた。APEは「民政下でも社会に潜む軍政支持の極右から狙われている」と言っていた。

 

  

  

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