「反体制行進」前日のキューバ、全土で厳戒態勢

      カリブ海の社会主義国キューバは11月14日、反体制派や対政府批判派らによる「変革のための市民行進」を翌日に控え、首都ハバナをはじめ全国主要都市、空港、港湾などは厳戒態勢が敷かれ、緊張に包まれている。15日の行進は「15N」と呼ばれている。

  行進の発案者である劇作家ジュニオール・ガルシア(39)は、15Nに先駆けて14日、独りでハバナ市内を歩く計画だった。だが14日未明からガルシアの住むアパート一帯は、多数の制服・私服の警官により厳戒に警戒されており、ガルシアの外出は難しい状況だ。

  ガルシアは14日朝、電話取材に応えて「窓から見た厳戒態勢」を語り、「私の部屋の扉がいつ破られてもおかしくない状況だ」と伝えた。

  さらに、「だれも排除されないキューバを造りたい」、「国民はこれまであまりにも多く権力者に拍手を送ってきた。それには疲れた。今は我々自身に拍手すべきだ」と述べた。

  ミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)は、「バイデン米政権が革命体制を潰そうと(15Nを)画策した」と非難。「革命体制防衛の準備がある」と強調、実力で15Nを抑え込む構えだ。

  とくに15日は、コロナ禍COVID19から立ち直りつつあるキューバが「ドル箱」産業である観光を再開するため「国境を開く日」。欧州、ラ米、カナダなどからの航空便が続々再開されつつある。その大事な日に15Nが重なり、政府は怒っている。

  大統領は14日、首都中央公園で政府支持派の若者たちの組織「赤いハンカチ」が展開している行事に参加。体制変革を求める若者がいる一方、体制支持の若者もいることを強調した。

  内外メディアは15N取材に向け態勢を整えているが、玖外務省国際報道局は13日、スペイン国営通信EFE(エフェ)支局の支局長ら記者3人、カメラマン(動画映像記者)1人、フォトグラファー(スティール写真記者)1人、計5人の取材許可証を没収した。 

  これにはスペイン政府は激しく抗議。玖側は14日、記者1人とフォトグラファ―の計2人に取材証を返却した。EFE通信は全員の取材証を返すよう要求している。

  EFE支局は、ジュニオール・ガルシアにインタビューし、その記事を流したばかりだった。

  一方、アントニー・ブリンケン米国務長官は14日、「玖政府は国民を脅して行進に参加させないようにしている」と非難した。

  

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