コロンビア和平合意5年、元ゲリラの安全保障が問題

       コロンビアは11月24日、政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の和平合意調印の5周年記念日を迎えた。首都ボゴタでは同日、合意に基づく「平和特別法制」(JEP)事務局主催の記念式典が開かれ、イバン・ドゥケ現大統領、合意調印時のフアン=マヌエル・サントス大統領、ロドリーゴ・ロンドーニョ元FALC最高司令、エルネスト・サンペル元大統領らが出席した。

  ドゥケ大統領は演説で「和平合意は全コロンビア人の勝利だった」と言い、ロンドーニョ元司令は、「犠牲者に謝罪する」とあらためて謝罪を表明した。

  サントス前大統領は、この調印により2016年のノーベル平和賞を受賞した。サントスの後に大統領になったドゥケは極右で、和平遵守に消極的だった。2人が対面したのは、18年8月の政権交代時以来、3年3カ月ぶりだった。

  アントニオ・ギテラス国連事務総長は和平5周年に合わせて22、23両日コロンビアを訪問した。22日はアンティオキア州北部の、パナマ地峡に接するウラバ地方を視察した。ここは内戦中、ゲリラ活動や極右準軍部隊の活動が盛んな地域だった。

  同州が政治基盤の極右アルバロ・ウリーベ元大統領はギテラス総長に公開書簡を送り、「そもそも和平合意など存在しない」と暴言を吐いた。総長は「誰にも発言の自由がある」とかわし、無視した。

  内戦中や、その後、準軍部隊に土地を奪われ避難民と化した貧農らの土地回復と故郷帰還の問題も依然、政府に重くのしかかっている。

  ギテラスは23日、ドゥケ大統領と会談した後、「FARCの元戦闘員たちが第二の人生を歩むのを保障すべきだ」と述べた。この発言は和平合意後、復員した元FARCゲリラ約300人が殺害されてきた重大事を踏まえている。

  また社会活動家、人権活動家、先住民指導者、労組幹部ら計約900人が暗殺されている。

  ドゥケには合意順守の義務と、もう一つのゲリラ組織ELN(民族解放軍)との和平交渉再開という課題がある。だが、どんな方針なのか、本心を明かさない。サントス前大統領は24日、ドゥケはELNとの交渉再開に向け準備中と語っている。

  一方、元戦闘員殺害など合意が守られない状況に怒ったFARC第2の実力者だったイバン・マルケス司令は、部下たちを引きつれて密林地帯に去り、ゲリラ戦を再開した。合意交渉のFARC側全権代表だったマルケスは、合意が破られっ放しの状況を指摘する声明を発表した。

  コロンビア和平交渉の貸し座敷として貢献したキューバのミゲル・ディアスカネル大統領は24日、ドゥケ大統領、ロンドーニョ元司令ら宛にメッセージを送り、元FARC戦闘員の安全保障合意実行の必要性を指摘した。 

  


コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言