チリ大統領選挙決選、最初の調査では左翼優位

     チリ大統領選挙は11月21日の実施から1週間。その28日に公表された決選(12月19日)進出両候補の最初の支持率調査では、左翼ガブリエル・ボリッチ39%、極右ホセ=アントニオ・カスト33%、未決定28%だった。

    カデム研究所の調査。カストは選挙戦で、新自由主義の深化や、全体主義的警察国家を造る構想を打ち出している。これに危機感を抱く左翼に加え、第1回投票で沈んだ中道のキリスト教民主党(DC)、中道左翼の社会党、穏健左翼の進歩党などがボリッチ支持に回っている。

     DCの候補だったヤスナ・プロボステ前上院議長は、「民主主義にとってボリッチ以外の選択肢はない」と、明確な「反ファシズム」を打ち出している。

    2019年10月以降の大学生ら若者たちの「人民蜂起」によって生まれた変革の潮流は、今年半ばごろまで勢いを維持していた。このため今選挙では、左翼候補が容易に政権に就くと見られていた。

    だが国民の多くは「蜂起」の熱気が冷めると、「政治よりも経済」に傾斜。「蜂起」に驚愕した富裕層と共に、極左のカストを1位で決選に送り込んだ。

    21日の投票率は50%を切ったが、決選では2者択一のため、投票率は上がる傾向にある。それが高くなればなるほど、ボリッチ有利と見られている。

    勝敗の鍵の一つを握るポプリズモ(人民主義)票を集めて第1回投票で3位につけたフランコ・パリシーは、支持基盤の北部諸州とビオビオ州の支持者に向けて、両候補のいずれを支持するかを明かしてはならないと言い含めている。

▼2度目もボリッチ優勢

    ガデム研究所は12月3日、2度目の支持率調査の結果を公表。ボリッチ40%、カスト35%、無決定25%だった。無決定を按分して加え、決選ではボリッチ53%、カスト47%とした。「ボリッチ当選」の可能性を示唆している。

▼ボリッチ優勢続く

    「市民の脈拍」(プルソ・シウダダーノ)は支持率調査の結果を12月4日公表。ボリッチ42・2%、カスト28・3で、ボリッチが13・9ポイント上回っている。未決定16%、棄権表明8・5%、無回答5%だった。カストの強権支配公約に対する警戒が有権者に浸透してきたことを示している。

  

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