左右激突のチリ大統領選挙始まる

       チリ大統領選挙が11月21日朝(JST夜)の投票が始まる。本国に先立ち、ニュージーランドでは在留智人約1700人がJST同日早朝、智大使館や領事館で投票を開始した。併せて国会上下両院議員、および各州地域参事会参事(代議員)の選挙も実施される。

  大統領選挙は、1990年3月11日の民政移管後31年8カ月間で8度目。今回は最も難しい選挙と見られている。7人が出馬しているが、左翼と極右の主要2候補が得票上位1、2位を占めて12月19日の決選に進出する公算が大きいからだ。

  ピノチェー軍政終焉後7回の選挙では、中道・穏健左翼連合が5回、保守・右翼連合が2回、それぞれ勝利した。中道のキリスト教民主党(DC)と社会党(PS)が中心の中道・穏健左翼連合はエイルウィン(DC)、フレイ(DC)、ラゴス(PS)、バチェレ―(PS)2回が政権を担った。

  国民党(PN)と独立民主連合(UDI)中心の保守・右翼連合はピニェーラ(PN)が2度勝った。ピニェーラは現在2期目最終年の現職。このほど、租税回避地脱税疑惑により国会で弾劾裁判にかけられ、辛くも解任を免れたばかりのレームダックだ。

  今選挙は、共産党候補と左翼統一候補の座を争って勝った拡大戦線(FA)のガブリエル・ボリッチ(35、前下院議員、ユーゴスラヴィア系)と、極右・共和党(PR)のホセ=アントニオ・カスト(55、元国会議、ドイツ系)の決選進出争いになると見られている。カストはUDIを離脱、19年にPRを結党した。

  選挙直前に公表された2種類の最終支持率調査では、ボリッチ24%・カスト23%、同32%・27%で、ボリッチがやや優勢。カストは選挙戦終盤で、故軍政独裁者アウグスト・ピノチェーを礼賛する失言をしでかし、本音を見透かされて有権者の警戒感を刺激、支持率を下げた。

  現政権の政権党連合は予備選で、PN系無所属のセバスティアン・シチェル(44、元社会開発・家族相)を候補に選んだ。以前DCに所属していたシチェルは、右翼と距離をとる保守。これを横目に政権党連合側のアウトサイダー、カストは立候補。たちまちシチェルに水をあけた。シチェルは支持率4位に甘んじている。

  支持率3位は、DCのヤスナ・プロボステ(51、前上院議長)。唯一の女性候補だ。彼女は、左右激突構図に危機感を抱く有権者を引き付けて決選進出を狙う。カストの躍進で陰ったシチェルの支持票に食い込みたいところ。

  他の3候補は、穏健左翼マルコ・エンリケスオミナミ(=大南=、48、進歩党(PRO)、人民主義フランコ・パリシー(44、平民党(PDG)、極左エドゥアルド・アルテ―ス(70、愛国同盟(UPA)。

  大統領選挙の結果はJST22日午後判明する見込み。

▼ベネズエラでは大型地方選挙

  ベネズエラでは11月21日、州知事と市長・市会議員を選ぶ大型地方選挙が実施される。

 

 


   

  

   

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