AMLOメキシコ大統領、高支持得て3年目に入る

   メキシコのアンドレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ)大統領は12月1日、任期6年の3分の1を終え、3年目に入った。民族主義的経済政策やドナルド・トランプ米大統領に「引けを取らない佇(たたず)まい」などから評価は高く、支持率は63%にも及んでいる。  

 来年の任期半ばに来る国会議員改選や州知事選挙の選挙戦で優位に立っている。この選挙は米国の影響で、だいぶ前から<中間選挙>と呼ばれているが、本来、そんな呼び名はなかった。AMLO支持率が崩れなければ、政権側が勝つのは疑いないと見られている。

 財界など保守・右翼勢力は「AMLO治世安泰」に危機感を募らせており、今年10月20日、反AMLO民間団体を結集し、「シ・ポル・メヒコ」(メ年キシコのために)という選挙支援組織をつくった。

 同組織は11月末、企業家のクラウディオ・ゴンサレス代表がシンポジウムを開き、前政権党PRI(制度的革命党),元政権党PAN(国民行動党),AMLOの出身政党PRD(民主革命党)の伝統3大政党に、2021年選挙に向けて3党で統一候補を立てるべきだと呼び掛けた。

 AMLOは公約通り、工事がかなり進んでいた新メキシコ国際空港の建設を止め、財界の利権を奪った。また別の公約だった「アヨツィナパ事件」に関与した陸軍将校らを逮捕、「国軍には手を付けない」という歴代政権のタブーに終止符を打った。これにより、軍部内のAMLOへの反感もかなり強い。

 だがPRI・PAN体制の下で100年以上も虐げられていた貧困庶民大衆は、AMLOを支持している。一人一票制の民主選挙が果たされればAMLO的候補が勝つ、という時代にメキシコも入っているのだ。

 しかし国富を私(わたくし)して肥え太っていた旧体制支配勢力は、そんな「我が世」が忘れられず、権力奪取に必死になっているのだ。

 AMLOの政権党はMORENA(国家刷新運動)だが、政権を勝ち得た「うまみ」から堕落傾向も見られており、3年目に入った今は、緩んだ箍(たが)を締めねばならないときだ。

▼「ポスト新自由主義」フォーラム形式で祝う

  AMLOは12月1日、施政3年目に入った記念に「ポースト・ネオリベラリズモ」というフォロ(フォーラム)形式の祝賀をラ米と欧州の首脳らから受けた。

 世界中を弱肉強食と貧困多数・富裕少数の格差地獄に陥れた自由放任主義の新自由主義経済路線を葬り、展望を開くための一種の「テレ会合」である。

  ホセ・ムヒーカ元ウルグアイ大統領、サパテロ元西首相、パブロ・イグレシアス西第2副首相、ラファエル・コレア前赤大統領、グスタボ・ペトロCOL野党指導者、ジャン=リュック・メランション仏左翼指導者らが発言参加した。

  ラ米と欧州の左翼・進歩主義陣営は、AMLOのMORENA路線の「社会的改良資本制」を評価しており、策定する「ラ米の統一綱領」に取り入れようと考えている。

  だが 労働者党(PT)改革路線のルーラ伯元大統領、先住民族主義路線のエボ・モラレスBOL元大統領は、それぞれ改革モデルとして一家言をなしており、MORENAとは一線を画している。

  

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