VEN選管が政党グループ別得票を発表

  ベネズエラ中央選管(CNE)は12月7日、前日の国会議員選挙結果を開票率98・63%段階で発表。それによれば、投票率は30・5%、有効票を投じた有権者は625万人強だった。

 政治勢力別得票率・票数は、①政権党連合GPP68・43%、427万8000、②保守・中道右翼(AP、COPEI、CMC、AP,エル・カンビオ)17・52%、109万5000、③右翼・極右(VP,VU,VPA)4・15%、25万9000、④VEN共産党(PCV)2・7%、16万7000、⑤その他6・48%、45万5000。

 各党・政党連合の最終的議席獲得数は明らかでない。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は7日、選挙結果を受けて演説。「我々GPPは勝利も敗北を知っている。5年前(前回選挙)には敗北を認めたが、今回は圧勝し、新しい国会を持つことになった」と自賛した。

 さらに、「シクロ(政治的潮流のサイクル)は変わった。政経の回復、経済封鎖超克、徳性、主権に肯定的なシクロになった。来年の州知事選に向けて準備しよう」と呼び掛けた。

 同盟国キューバのラウール・カストロ共産党第1書記とミゲル・ディアスカネル大統領は7日、マドゥーロ大統領に対し祝辞を送った。それは、「ボリーバルとチャベスの祖国は貴殿の施政の下、帝国主義の強襲に対し、民主と参加の意義を高く掲げた」と強調している。

   ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領とロサリオ・ムリージョ副大統領もマドゥーロ大統領に祝意を表した。

 かつて反政府勢力の急進的代表だったエンリケ・カプリレス元ミランダ元大統領候補は、選挙結果を受けて「これまでの(グアイドー派の)政策がすべて失敗した今、(極右だけでなく)皆に開かれた現実的政策をとらねばならない」と述べた。

 カプリレスはまた、「実効性のない大衆大量動員はあってはならない」と述べ、グアイドー派が12日に予定している「反政府投票」を批判した。 

 グアイドー派は「選挙の不正」を喧伝しているが、具体的証拠を示さない。これは、グアイドーを傀儡にしてきたトランプが「米大統領選挙の不正」を証拠を示さずに主張してきた、選挙結果を形振り構わずに覆そうとするやり方に沿っている。

 米国および、その影響下にあるラ米・カリブ保守・右翼諸国などのリマグループ(グリマ)は勿論のこと、欧州諸国の多くも今選挙を「認めない」と表明。メキシコ、亜国、ボリビアや一部カリブ諸国は、VEN主権尊重の立場をとっている。

 国際監視団の一員としてカラカスに滞在していたホセ=ルイス・ロドリゲス≐サパテロ元スペイン首相は、「私とトランプ米政権の対VEN政策との際立った不一致について誰もが知っている。重大な誤報に基づく米政略は正義に欠ける手段を取ったが、結果的に失敗した」と指摘。欧州連合(EU)に対VEN態度の柔軟化を求めた。

 日本メディアにもトランプ政権の影響を受けたVEN報道が多々見られる。ラ米をワシントンやNYから眺め、米政府の見方を重視する、不勉強で間違った報道が増えるばかりだ。ラ米はラ米の視座から報じなければならない。世界のどの地域についても同じである。

 一方、あるチャベス派知識人は「ウーゴ・チャベス前大統領が死んだ2013年に次ぐ困難な年だった今年が選挙勝利に終わった」と前置きし、政権党連合GGP内やPCVとの中道左翼・左翼陣営内の相互関係を民主化すべきだ、と訴えている。

 政権党選対本部長のホルヘ・ロドリゲス情報通信相は7日の記者会見で、マドゥーロ大統領が投票所を突然変更したことについて、「国家にとって重大な結果をもたらす陰謀があるとの情報が入ったため」と説明した。

▼「トランプはモンロー教義発動」

 ニコラース・マドゥーロ大統領は12月8日政庁で外国メディア記者団を前に会見し、「対米対話を求めたが、トランプはモンロー教義を発動し、ラ米諸国を侵略しようとした」と述べた。

 諜報機関が「選挙当日に大統領暗殺の陰謀がある」と知らせてきたため投票所を変更した事実も明らかにした。

 また隣国コロンビアのイバン・ドゥケ大統領の反VEN干渉活動を厳しく非難し、「コロンビア政府は昨日、VENから帰国する国際監視団員を乗せた航空機の上空通過を妨害し、10時間後に通過を認めた」と明かした。

 マドゥーロは8日、国際監視団に参加したエボ・モラレス元ボリビア、ラファエル・コレア前エクアドール、フェルナンド・ルーゴ元パラグアイ、マヌエル・セラヤ元ホンジュラスの4大統領経験者、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元西首相と会談、労をねぎらった。

 コレア前赤大統領はテレスールによるインタビューで、国際社会の一部にある対VEN姿勢を「二重基準」と批判した。

▼トランプ就任式に外相を派遣していた!

 マドゥーロ大統領は12月8日の記者会見で、2017年1月10~20日、当時のデルシー・ロドリゲス外相(現副大統領兼経済・財務相)をNYとワシントンに派遣していた事実を明らかにした。同外相はNYのトランプタワーで大統領就任直前のトランプの側近と会談し、20日のトランプ就任式に出席したという。

▼「トランプはVENクーデター画策」

 サムエル・モンカーダVEN駐国連大使は12月8日、「ドナルド・トランプ米大統領はフアン・グアイドー(VEN国会議長)を使ってVENで軍事クーデターを起こそうと画策している」と警告した。

▼日本政府の反応

 日本外務省は12月8日、VEN国会議員選挙について「公明正大性に深い懸念を抱いている」と表明した。日本はトランプ米政権の圧力で、米国が傀儡政権として設置した実態のない「グアイドー暫定政権」を「支持」している。だが「承認」はしていない。

 

 

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