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10月, 2021の投稿を表示しています

スウェーデンがチリ軍政期の養子縁組不正を調査へ

   スウェーデン政府は10月29日、同国人による1950年以降6万件を超える外国人養子縁組をめぐる不正を調査する委員会を設置した、と発表した。レナ・ハレングレン社会問題相は、ウプサラ大学民法教授アンナ・シンゲルが委員長を務めるとし、中国とチリが主な対象となると明らかにした。   2023年11月に調査結果を発表する予定。   チリの法廷は2018年、マリオ・カロ―サ判事の下で、ピノチェー軍政期(1973~90)に結ばれた数千件に上る外国人との養子縁組の不正調査に着手した。2004年にジャーナリスト、アナ=マリーア・オリバレスの調査報道がきっかけの一つとなった。  スウェーデン人養父母との縁組もチリ政府の調査対象になっている。ハレングレン社会問題相は、チリの調査結果を待ちたい、としている。   このほどスウェーデンのダーゲンス・ニュヘテル紙は、チリの調査情報などを基に、ピノチェー独裁政権は、同政権をことのほか厳しく批判していたスウェーデン政府に圧力をかける手段として養子縁組を利用した、と報じた。   1974~90年にチリ人児童約2000人がスウェーデン人に養子として引き取られた。この一連の養子縁組には、スウェーデン養子縁組センターと、ピノチェー軍政を支持していたスウェーデンの極右団体が関与していた、という。   チリ軍政のモニカ・マダリアガ司法相が70年代半ばスウェーデンを訪問してから養子縁組が盛んになった、という。    71~92年の養子縁組には、チリ人児童の実父母の承諾なしに結ばれたものが多い。同期間の計2100件の縁組のうち1700件は、ピノチェー軍政および、その関係者がスウェーデン極右団体との間で取り決めたという。           

ボリビアとペルーが液化天然ガス工場建設で調査へ

        ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は10月30日、隣国ボリビアを訪れ、ルイス・アルセ大統領と会談し、両国間の第6回合同閣僚会議に出席した。   同会議は、①環境・国際水源(ティティカカ湖など)②安全保障と防衛③経済開発④統合・開発のための制度・インフラ強化、の4議題を討議。10項目の協力で合意し、エネルギー関係の協力をはじめ3協定に調印した。   その①は、ペルー南部ガスパイプラインと、ボリビアが建設を予定しているガスパイプラインの接続の実現可能性および有効性の調査。これには、ボリビアがペルーのイロ港に輸出を目的とする液化天然ガス製造設備を建設する計画と、両国国境地帯での天然ガス供給協力計画が含まれている。   また、両国関係機関による知的所有権協力、両洋鉄道回廊事業の実現可能性調査についても合意、調印された。太平、大西両洋間の都市や港湾を結ぶ鉄道建設計画は、既に開通している両洋自動車道と比べ、実施は遅れている。   ボリビアは1870年代末にチリに仕掛けられた「太平洋戦争」で海岸領土を奪われ、内陸国になった。以後150年に亘って「海への出口回復」闘争を続けてきた。チリはボリビアの要求を拒否してきた。両国間に公式の国交はない。   そこでペルーが「海への安全な出口」としての役割を担おうとしている。スペイン植民地時代、ボリビアは「高地ペルー」と呼ばれ、ペルーと一体化していた。   会議終了後、以上の合意などを盛り込んだ共同声明が発表され、アルセ大統領主催の昼食会があり、カスティージョ大統領はボリビア最高位の「アンデスコンドル勲章」を授与された。   カスティージョと閣僚らは帰国。日帰りのボリビア訪問だった。  ▼内相が交代   ルイス・バランスエラ秘内相は11月2日辞任。アべリーノ・ギジェン元検事が4日、内相に就任した。バランスエラはPL(自由ペルー)党首ブラディーミル・セローン書記長の側近の一人で、就任当時から更迭を求める声が強かった。  

亜国がCOP26 で「債務とCO2排出削減を交換」提案へ

       累積対外債務を返済できない途上諸国が二酸化炭素排出量を減らせば、それに見合った債務を帳消しにする。この案を、アルゼンチンのアルべルト・フェルナンデス大統領が、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で提案する。   COP26 は10月31日~11月12日、英スコットランドのグラスゴー市で開かれる。この会議に備えてフェルナンデス大統領は準備を進め、まず9月初めラ米気候変動会議で披露した。次いで、米州気候変動対策高級対話会合で持ちかけた。      国際通貨基金(IMF)は世界銀行と連携して、「緑の負債」交換案をCOP26で提案すべく用意している。このため亜国政府は、自国案は、さほど突拍子もない提案ではないと考えている。   亜国は、地元ラ米諸国をはじめ「南世界」の賛同国を集めてきた。債務との交換は、利子削減から始まるという。   ローマで10月30日始まるG20首脳会議は31日、気候変動問題を討議するが、その場で亜国は提案について発言するもよう。   亜国には特に、マクリ前政権がIMFに対し負った450億ドルの巨額債務が重くのしかかっている。 

ハイチ大統領暗殺事件担当の裁判所が襲われ略奪さる

      ハイチのジョヴネル・モイーズ大統領暗殺事件(7月7日発生)を捜査している首都ポルトープランス第1審裁判所は10月28日、襲撃され略奪された。事件担当のガリ・オレリアン判事も数日前、武装一味に待ち伏せされ被害に遭っている。   また20日には、首都弁護士協会のモンフェリエ―・ドルヴァル会長の暗殺事件を捜査している事務所が襲撃された。   一連の事件は、大統領暗殺事件の解明で打撃を受ける勢力が雇っている暴力団の犯行と見られている。   この種の暴力団は政府系、反政府系、財界系など様々で、国家警察よりも数が多く、装備している武器類も強力だ。全土に数多くあり、警察も手が出せない。   また別の暴力団は、発電用燃料施設を襲撃占拠し、アリエル・アンリ首相の辞任を占拠解除の条件としている。首相にも、大統領暗殺事件への関与の嫌疑が浮上している。   一方、大統領暗殺事件の容疑者の一人で逃亡していたコロンビア人傭兵マリオ・パラシオスが先週、ジャマイカで逮捕された。ハイチに送還されるもよう。   ハイチ当局は、コロンビア人傭兵18人を含む約40人の容疑者を逮捕済み。政府の弱さ、治安の乱れ、金次第で動く暴力団の暗躍で、裁判は遅れてきた。   2度延期されて11月実施となった大統領・国会議員選挙は、さらに延期される見通しだ。     

11月15日抗議行動前にキューバ政府と反体制派が対峙

     キューバの立法府ANPP(人民権力全国会議)は10月27日、ハバナの会議殿堂で本会議を開き、反体制派が11月15日に予定している全国的な対政府抗議行動(15N)を厳しく取り締まる意思を込めた「宣言」を発表した。   政府当局は「15N」を許可せず、抗議行動が決行されれば「非合法」となる。   「社会主義キューバは前進しており、信念を一層堅固にしている。キューバが自由に選んだ主権・独立・民主の国家を守るべく決意している」。宣言はそう謳い、米政府を秩序攪乱の狙っていると糾弾した。   宣言は24日の共産党中央委員会総会最終日にミゲル・ディアスカネル第1書記兼大統領が演説で、革命体制の断固死守を表明したのを受けた措置。27日のANPP審議には、同大統領も出席した。   今中央委総会では、①経済行為者への政治的保証制度②基本的文書学習を通じての人民権力強化計画③2021~26年党幹部養成政策一般戦略④中央委常設委員会任務規定⑤幹部・党員への政治・イデオロギー教育改革計画、が承認された。   一方、「15N」の組織者 「アルチピエラゴ」(多島海)は27日、ディアスカネル大統領宛の公開書簡を発表。「我々は合法・非合法を他者が決めるのを認めない」とし、15Nを断固決行する決意を明らかにした。   また、15Nを支援する米国の国務省は同日、「玖国民は自由、民主および、玖体制の失敗を訴えようとしている」とし、「玖政府は弾圧せず、国民の真の声を聴くべきだ」と表明した。 ▼ANPPが閉会   立法府ANPPは10月28日、裁判所法、刑事訴訟法、行政訴訟法、訴訟規定法を採択して閉会した。審議にはラウール・カストロ陸軍大将(前第1書記)、ラミーロ・バルデス革命司令官、ホセラモーン・マチャード元第2書記、若返った政治局員全員らも出席した。   2019年新憲法施行、反体制運動の高まり、段階的市場経済化などで法体系の整備が必要になっていた。改定新法は来年元日発効するが、それまでの2カ月間に修正作業が加えられる。   党経済政策担当責任者マリーノ・ムリージョは、今年元日からの通貨統合政策実施により、インフレが累計6900に達したと明らかにした。国営企業は総額70億ペソの赤字となり、その財の欠損は16億ペソに達した。   1米ドルは公定換算率が24ペソだが、ムリージョは闇市場で70㌷に達し

ペルー大統領が天然ガス国有化立法を国会に呼び掛け

       ぺドロ・カスティージョ秘大統領は10月25日、クスコ州内で2004年から操業している外資系のカミセア天然ガス田を国有化するための立法作業に行政府と共同で着手しようと、国会に呼び掛けた。    大統領は、生産されるガスを(首都のある太平洋岸地方に運ぶだけでなく)アンデス高地や周辺部の住民生活を潤すため「大衆化」すべきだと主張してきたが、国有化を目指す方針を具体的に明言したのは初めて。    カスティージョは、「資源がもたらす恩恵が国民に直接届くようにしたいのだ」とも述べている。 ▼民間部門国有化は否定    ペドロ・フランケ経済・財務相は10月27日、ガス国有化は民間経済部門の国有化を意味しない、と強調した。財界や国際資本の動揺を抑えるためだ。 ▼大統領が「国会閉鎖」に触れる    カスティージョ大統領は10月27日、「国民に国会閉鎖を求める声があるが、慎重さが必要だ」とし、「我々は国家の権力制度を引き続き尊重してゆく」と明言した。  

ゲーリング礼賛記事掲げたチリ紙に批判・糾弾相次ぐ

     チリの保守・右翼系有力紙エル・メルクリオは10月24日、ナチ戦犯ヘルマン・ゲ―リング(1893~1946)の生涯を綴る特集記事を掲載した。これに対し、ドイツ大使館は異例の声明を発表。在智ユダヤ人社会も同紙に抗議した。   エル・メルクリオはゲーリング没後75周年(10月15日)を記念して、「ヘルマン・ゲーリング、ヒトラーの後継者」と題した記事を載せた。   ドイツ大使館は24日、「独大使館に報道について言及する習慣はない。この人物H・ゲーリングが人道犯罪を犯し、ナチの支柱の一人だった事実を明確にしたいだけだ 」と強調。   「その事実を道徳的、政治的に正当化したり矮小化したりする余地は全くない」と続けた。   ユダヤ人社会は、「ゲシュタポ創設者を記念する記事を掲げることによってナチを礼賛したことを糾弾する。欧州では受け入れがたい犯罪行為になる」と述べた。   チリでは11月21日、大統領選挙が実施されるが、主要4候補は強弱は異なるが、この報道を批判している。   エル・メルクリオは1970年代初頭、自由選挙で選ばれたアジェンデ社会主義政権を厳しく批判する論陣を張り、軍事クーデターの下地となる世論形成に努めた。流血の政変で登場したピノチェー軍政と蜜月状態を維持した。    

キューバ共産党中央委総会が反体制運動などを討議

      経済危機が深まり反体制運動が高まる中、キューバ共産党(PCC)の第2回中央委員会総会が10月23日、2日間の日程で、ハバナ市内西部の会議殿堂で開会した。ミゲル・ディアスカネル大統領が第1書記に就任した4月の第8回党大会に次ぐ第2回総会で、過去半年間の内外情勢分析が主題。    ディアスカネル第1書記は開会演説で、7月11日に起きた初の全国的対政府抗議・反体制行動に触れて、「革命体制が野蛮な行為によって数時間で崩壊するという偽りの印象を与えるために仕組まれた見世物」と形容。「党員としてでなく玖人民として多数派の我々は革命体制を防衛した」と強調した。   第1書記はまた、「キューバに権力分立はない。あるのは人民主権の下での権力連合だ」と述べた。   総会には、革命第1世代を代表して、ラミーロ・バルデス革命司令官が出席している。   中心的議題は、第8回党大会の決議実施状況、経済状況、反政府行動、経済封鎖を中心とする対米関係、COVID19対策。   玖経済にとり在米玖系人からの送金は極めて重要な資金獲得源だが、1年前の10月23日に米電信為替大手ウェスタンユニオン社が対玖送金業務を停止して以来、送金が滞り、玖国内の留守家族や、送金による外貨収入が頼りの玖政府にとって深刻な問題になっている。   反体制派は政府の禁止命令を受けながら、11月15日(15N)に全国的な対政府抗議行動実施を計画している。ジョー・バイデン米大統領のラ米問題首席顧問フアン・ゴンサレスは10月22日、「15N」支持・支援を表明した。

TESLA社と英MIー5もボリビア政変に加担とモラレス語る

    ボリビアのエボ・モラレス元大統領は10月21日、メキシコ大統領政庁(国家宮殿)でAMLO大統領と2時間会談した。モラレスは2019年11月のクーデターで政権を追われた後、窮地に陥ったが、AMLOが派遣したメキシコ政府機で脱出、同国に亡命。その後、ブエノスアイレスに亡命拠点を移した。     モラレスはあらためてAMLOに感謝した。会談にはメキシコ側から外相、内相、国防相も出席した。モラレスはメキシコ政権党連合の一角を担う労働党(PT)の政策セミナーに招かれて訪墨した。     メキシコ市での記者会見に臨んだモラレスは、2019年のクーデターはモラレス政権がリチウム資源を国有化したために起きたと述べた。このことは、米連邦議会議員や米TESLA社総帥が明言していると指摘した。     さらにクーデターには、TESLA社総帥、英諜報機関MI-5も加担したと言明した。     記者会見には、アルべルト・アナヤPT党首が臨席した。モラレスは、AMLOのリチウム資源国有化政策への支持を表明した。

キューバが野球を「国家文化遺産」に指定

     キューバ文化省は10月19日、ペロ―タ(ベイスボル=野球)を「国家文化遺産」に指定した。その式典は、1874年に建設された国内最初のパルマル・デ・フンコ野球場(マタンサス州)で挙行された。   米国から導入された野球は、玖人が最も愛し熱狂するスポーツ。 玖代表チームは五輪、世界選手権、世界杯大会、米州選手権などで数多くの金メダルを獲得したり、優勝を飾ったりしてきた。   だが近年は、経済苦による練習・育成環境の悪化や、将来展望が開けないことによる選手の国外流出で戦力が低下。今年の東京五輪時も、北米・メキシコ・中米・カリブ諸国の予選段階で姿を消した。   このほど、玖野球界トップ10以内に位置する強打者ルイス=アントニオ・ペレス=ヘミングス(19歳、身長190cm)が近隣のドミニカ共和国に脱出。米大リーグ入りを目指している。   ぺレスは2020年度18歳以下代表チームの主力だった。同チームのメンバーで脱出した選手は、これで7人になった。   

米国務長官がコロンビア訪問、移民外相会合に出席

      ラ米3カ国歴訪中のアントニー・ブリンケン米国務長官は10月20日、エクアドールからコロンビア入りし、ボゴタのナリーニョ宮殿(大統領政庁)でイバン・ドゥケ大統領、マルタ・ラミレス副大統領兼外相と2時間に亘って会談した。   会談後、ドゥケとブリンケンは共同記者会見に臨んだ。ブリンケンはコロンビアをラ米一の同盟国と呼び、会談で対ベネズエラ関係、麻薬、暴力、人権、COVID19対策などについて話し合ったことを明らかにした。   人権問題については、米国を含む内外の人権団体から、人権・労働・環境活動家殺害、和平に応じた元FARCゲリラ要員約300人の殺害など、コロンビアの凄まじい人権状況についてブリンケンに厳しい注文がなされていた。   一方、ドゥケは、マドゥーロVEN政権とは国交回復はないと強調した。米国とコロンビアは共に、マドゥーロ政権打倒工作を数次に亘って展開したため、VENから断交されている。米国のVEN担当大使は、ボゴタの米大使館内のVEN政策室に駐在している。   ドゥケ、ラミレス、ブリンケンはその後、サンカルロス宮殿(外務省)での、移民問題を話し合う米州外相会議に出席した。両国を含め19カ国が出席、ハイチ、中米、VEN、キューバの難民や、米墨国境地帯での不法移民流入問題を話し合った。 ▼ベネズエラが非難   ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は10月21日、コロンビア訪問中の米国務長官は対VEN侵害を策謀したと糾弾。「虐殺政権(コロンビアを指す)を礼賛した付けは米国民が払わされることになるだろう」と付け加えた。   同副大統領はカラカス訪問中のリカルド・カブリサス玖副首相(対外経済関係担当)と会談中に発言したもので、 「キューバも米政府による迫害と侵害の標的にされてきた」と指摘した。   

バルバドス国会がメイソン初代大統領を選出

   バルバドス国会上下両院総会は10月20日、英総督で弁護士のサンドラ・メイソン(72)を初代大統領に選出した。下院30人、上院21人の計51人のうち45人が賛成、反対無し、6人不参加だった。同国は独立記念日の11月30日に共和国に移行するが、その日に大統領は就任する。    メイソンは8月21日、ミア・モトリー首相から、大統領に指名されていた。メイソンは1990年代には国連児童権利委員会に所属。長年、最高裁判事を務め、2018年から総督を務めてきた。    バルバドスは1624年に英植民地になり、1966年英連邦の一員として独立した。       

エクアドール政府が「非常事態」発動

     赤道国のギジェルモ・ラソ大統領は10月18日、全土に60日間の非常事態を発動した。麻薬マフィアによる取引や暴力の取締りをはじめ、治安回復が目的で、重武装の軍隊と警官隊が24時間態勢で巡視・警備活動を続ける。     この国では刑務所暴動が続き、敵対する服役囚集団の麻薬マフィア要員らが殺し合い、最近116人が死亡、負傷者多数が出た。この機を捉えてラソ大統領は非常事態を敷いた。     一方、野党CREO(機会創設運動)をはじめ反ラソ勢力は26日に全国的な抗議行動を予定している。ラソは、それを「クーデターを狙っている」と非難。こうした反政府府勢力の封じ込めも非常事態の狙いであるのは疑いない。     さらにラソは「パンドラ文書」報道により、「租税回避地で脱税行為をした」嫌疑が暴露され、国内に非難が巻き起こっている。この醜聞事件から有権者の眼をそらせるのも、非常事態の狙いに含まれていると、有識者や野党は見ている。

キューバ「青年の島」旧金山で有望鉱脈見つかる

         社会主義キューバの「青年の島」特別州にある古い金山で、「豊な金銀鉱脈」が発見された。豪州紙ザ・ウエスト・オーストラリアンが10月13日報じた。    豪アンティレス・ゴールド(AG)社が、青年の島北西部ラ・デマハグア特別区の地中計1万5000mを掘削し、掘り当てた。ここは露天掘り金山。    金山は州都ヌエバ・へローナから40㎞の地点にあり、900haの拡がりを持つ。20世紀初頭から有望な金山とされ、開発が断続的に続けられていた。    同社は玖国営ヘオミネラ社との合弁により、カナダの鉱山会社が1990年代に発掘していた場所で鉱脈にたどり着いた。初期の6年間に、年産10万オンスが見込まれるという。    へオミネラ社は、ラス・トゥナス州ホバボのゴールデンヒルで、ALBA(米州ボリバリアーナ同盟)諸国の投資により、2011年から金鉱を開発している。今年は、この金鉱産60㎏の輸出が見込まれている。    同社はまた、シエゴ・デ・アビラ州フロレンシア、カマグエイ州マクラマの両金鉱でも開発調査を続けている。    ラ・デマハグア金山は1900年ごろに見つかった。キューバは当時、米支配下に置かれており、米企業が開発権を得ていた。だが玖革命戦争末期の1958年に開発を取り止めた。    AG社は、1990年代にカナダ社の掘削作業を請け負っていた。    国庫が底をつき、財政赤字に苦しむキューバ政府にとり、ラ・デマハグア金山は朗報だ。だが社会主義経済体制そのものが行き詰まっているため、金鉱収益が経済浮上に貢献するにせよ、多くは望めそうもない。         

アルセ大統領暗殺の陰謀あったとボリビア政府認める

   ボリビアのエドゥアルド・デカスティージョ内相は10月18日ラパスで記者会見し、昨年10月、就任前のルイス・アルセ現大統領を暗殺する陰謀があった、と明らかにした。        これは、調査報道英字電子誌「ザ・インターセプト」 による今年6月の同陰謀報道を認めたもの。この報道を受けてボリビア政府は陰謀事件を捜査。陰謀関係者らのEメイルや通話を傍受してた。   その結果、陰謀に加担した容疑者たちは、今年7月のハイチ大統領ジョヴネル・モイーズ暗殺事件に関与した傭兵派遣会社と関係を維持していたことがわかった。   暗殺を画策したのは、2019年11月のクーデタ―で非合憲暫定政権に就いたジャニーネ・アニェス非合法大統領の下で国防相だったフェルナンド・ロペス。   元コロンビア軍兵士ヘルマン・リベーラは20年大統領選挙直前の10月16日、コロンビアからサンタクルース市のビルビル国際空港に到着、ボリビア入りした。このリベーラこそ、ハイチ大統領暗殺事件の容疑者としてハイチで逮捕された人物。他にもハイチ事件に関与したコロンビア人傭兵がボリビアに来ていた。   また同月16~18日、別のコロンビア人アルカンへㇽ・プレテルら2人が米国からビルビル空港に飛来、入国した。プレテルは、ハイチ事件に関与したリベーラらをハイチに送り込んだ、マイアミに本社のあるCTU(対テロリスト作戦安全保障)の傭兵採用要員だった。   内相は、ロぺスは外国人傭兵を使って(アルセらを)暗殺し、非合法政権に居座り続けるつもりだったと我々は見ている、と述べた。   傭兵たちはCTUと、経費を除く年間12万5000米ドル+報奨金支払いという契約を結んでいた。ボリビアの陰謀に関与した傭兵らは、20年5月のマドゥーロVEN大統領ら要人拉致・暗殺未遂事件にも関わっていたという。          

ボリビア法廷が2019年「クーデター発生」を認める

    ボリビア憲法裁判所は10月15日、エボ・モラレス大統領を強制辞任させた2019年11月の政変を「クーデター」と判断。これにより、ジャニーネ・アニェス「暫定大統領」の暫定政権は公式に「非合法政権」、「非合憲政権」と規定された。    モラレス元大統領は16日、ようやく正当な判断がなされたと、満足の意を表明した。    また、選挙最高裁判所は、19年10月の大統領選挙時、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務局長がクーデター派の側に立って「選挙不正」を唱え、それが政変に繋がったことを確認。「選挙不正はなく、モラレスが勝っていた」事実をあらためて認定した。   同裁判所は、OEAとアルマグロを虚偽情報を流した罪で責任がある(有罪)とした。

カルロス・ラへ元玖副議長が12年ぶりに登場

   故フィデル・カストロ国家評議会議長時代のキューバで副議長、閣僚評議会書記(官房長官)、共産党政治局員などを務め、「将来の最高指導者」と見られていたが2009年に失脚したカルロス・ラへ(70)が10月16日、写真で綴る8分余りのSNS投稿映像に登場した。   ラへは、前日15日の誕生日を祝ってくれた人々に向けて、家族写真を見せながらメッセージを送る形式で8分余り語った。   主な発言は; ①革命体制を信頼し、社会主義を強く信じる。だがその社会主義は公平で人間的なものでなければならず、過去20年間の改革を凌ぐ深い改革がなければ実現できない ②私の70年の人生のうちの20年は、「平時の特別期間」を含めフィデルと共にあった。フィデルの革命的、知的、人間的偉大さを熟知していた。フィデルを礼賛し、いとおしむ気持は不変だ ③私は我が身を情熱と無私をもって革命体制に捧げた。(09年の)更迭は予期しており、驚かなかった。それによって私の第2の人生が始まった ④今後も、二者択一状況に置かれた場合、革命体制の側に身を置く   ラへは、フィデルの後継者ラウール・カストロによって、「野心的過ぎた」として、フェリーぺ・ペレス=ロケ外相らと共に更迭された。   だが今、SNSに登場したことは、陸軍大将の地位を維持している最高権力者ラウール(90)歳の意向が働いたことを意味する。   まず発言①は、ラウールを筆頭とする社会主義市場経済推進派を代弁している。同②は、有能なラへのような人材の再登用がありうることを示唆する。③は、反体制派が11月15日に予定している、社会主義体制揺さ振りのための無許可デモ行進への反対を意味する。   同時に、ミゲル・ディアスカネル大統領・党第1書記の指導部内で改革派と守旧派の権力闘争が起きている可能性も示すと言えなくもない。   ラへが今後、今回のような形で、あるいは別の形で、社会の表面に出てくるかどうかが一つの注目点になった。   

ベネズエラ大統領代理人Aサアブが米国に護送さる

   ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領の代理人として、国外での資産管理運営に当たっていたコロンビア国籍のアレックス・サアブ容疑者の身柄が10月16日、米司法省チャーター機でカボ・ヴェルデ共和国から米国のマイアミに護送された。    サアブは昨年6月、イランに赴く途中の経由地カボ・ヴェルデ首都ベーリャ市で逮捕され、拘禁されていた。VEN政府は、あらゆる法的手段を講じて、米国へのサアブ引き渡しを阻止しようと努めてきた。だがアフリカ西岸沖の小さな島国カボ・ヴェルデは米国の圧力に逆らえず、身柄を引き渡した。    米当局がサアブにかけている容疑は、マドゥーロ大統領、その一族、側近らが巨額の公金を横領したこと、および同大統領の資金3億5000万ドルを洗浄したこと。    米国はオバマ政権下の2015年にマドゥーロ政権打倒打倒工作を開始。トランプ前政権は、「グアイドー傀儡政権」を擁立してVENを分断させようと謀った。バイデン現政権は、打倒作戦を継承している。    米国務省の戦略は、サアブから自白を引き出してマドゥーロを窮地に陥れ、VENに政権交代を促すこと。それによりVENの同盟国キュ―バや、玖同盟国ニカラグアを弱体化させようと狙う。    VENは8月以来、ノルウェー政府仲介によるメキシコ市での政府・野党間交渉で、11月21日の州知事・市長選挙の「民主的実施」実現を目指している。だがサアブの身柄を米国が握ったことで、同交渉の行方は一気に暗雲に包まれた。    案の定、交渉のVEN政府首席代表ホルヘ・ロドリゲス国会議長は16日、メキシコ市で予定されていた交渉の第4回会合に参加しない、と発表した。 【マイアミ連邦裁判所は10月18日、サアブに資金洗浄関連8件に基づく起訴を言い渡した。】      ▼スペイン元首相の秘密暴かる    VEN軍事諜報機関の元長官ウーゴ・カルバハルは国外逃亡中の9月9日スペインで逮捕されたが、このほどスペイン当局に、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元同国首相がVEN国内に金山を所有している、と供述した。この情報の関連書類はスペインの法廷に提出済みいという。    カルバハルについては、麻薬と武器の密輸容疑で米司法省から身柄引き渡しの要請がスペイン政府になされている。引き渡しを免れるため、司法取引していると見られている。    ロドリゲス=サ

中露海軍が日本海で合同演習実施中

     玖共産主義青年同盟(UJC)機関紙「反逆青年」の電子版は10月15日、モスクワ発テレスール電を引用し、中露両国海軍が10月14~17日の日程で日本海で合同演習を実施中、と報じた。      ロシア海軍からは、大型対潜艦「パンテレイェフ提督」、潜水艦「ウストゥ₋ボルシェレツク」、護衛艦2、掃海艇2、ミサイル巡洋艦、曳航艦の計8隻が参加。      中国海軍からは、駆逐艦2,護衛艦2,ディーゼル潜水艦、補給艦、救助艦の計7隻が参加。さらに中国太平洋艦隊航空隊の航空機12機も参加している。      演習目的には、砲撃力強化、対潜包囲網撃破も含まれている。      ラ米国際TV放送局テレスールの実質的経営国ベネズエラと、その同盟国キューバは、ともに中露と密接な関係にある。この演習は、最近の日米豪英仏などによる北東太平洋海域における合同軍事演習を意識したもの。

第2回ラ米先住民女性サミットがリマで始まる

       第2回国際アブヤ・ヤラ(ラ米)女性クンブレ(サミット)が10月14~18日の日程で、ペルー首都リマで始まった。地元の「ペルー女性農民・職人・先住民・生来国民・給与生活者全国連盟」(FENMUCARINAP、ルールデス・ウアンカ議長)、およびラ米域内7女生団体から代表約1000人が参加。多くは先住民族だ。    主要議題は、先住民女性の人権擁護と、パチャママ(母なる大地)防衛。気候変動、環境、ジェンダー平等、「ブエン・ビビール」(良く生きる)権利なども議論される。「パチャママ防衛」には、水利権、土地権、女性が自分の肉体を自由にする権利が含まれている。     参加している女性団体は、今会合で先住民女性が直面している諸問題を明確にし、その改善策を諸政府に申し入れる。会合の結論は国連にも報告される。ウアンカ議長は、女性が諸問題解決に向けて意思を表明し、決定権を行使するのが重要だ、と強調している。    「ボリビア知的共同体女性労連」(CSMCB)のアンへリカ・ポンセ代表は、家父長主義者や政治的右翼からの攻撃に対抗せねばならない、と語っている。    第1回クンブレは今年5月ボリビアで開かれ、女性を暴力・殺害から守るための委員会が設置された。           

グアテマラ内戦期の志願兵組織が功労金求め道路封鎖

   グアテマラ内戦期(1960~96)に政府軍に動員され 志願兵としてゲリラ部隊と戦った元志願兵9万5000人の退役志願兵組織は10月13日、国内14カ所の自動車道要衝を実力で閉鎖、政府に未払いの戦闘功労金の支給を求めている。    閉鎖により交通と物流は止まり、港湾、官庁などへの接近が困難になっている。首都グアテマラ市の表玄関アウロラ国際空港周辺では、警官隊が空港機能を守るため厳戒態勢を敷いている。   国会には2019年11月、退役志願兵への功労金支給法案が提出されたが、2年経っても審議は停止状態にある。業を煮やした退役志願兵組織が道路閉鎖に訴えたのだ。   支給には、360億ケッツァール(約50億米ドル)の予算が必要。だが財源不足もあって、法案審議は棚上げされてきた。   今年は内戦終結四半世紀の年で、退役志願兵たちは、影響の大きい道路封鎖という決起に出た。

キューバ政府が反体制派のデモ行進申請を却下

    玖政府は10月12日、反体制派芸術家らが申請していた11月15日実施予定の「変革のための平和的行進」を許可せず、禁止した。劇作家ジュニオール・ガルシアらの「アルチピエラゴ(多島海)綱領」は、集会・デモ行進・結社の自由を保障する憲法56条を盾に9月21日から許可を求めていた。ハバナでは5000人規模の行進を想定していた。    目的は、①政治囚全員釈放②あらゆる暴力禁止③基本的人権尊重④対話による意見対立解消。だが政府は「政治囚」の存在を否定。国家権力による治安維持のための実力行使を「暴力」とは捉えない。    「15N」(11月15日行進)は全国の約10州で申請されていた。政府は首都ハバナの旧市街ハバナビエハのアレクシス・アコスタ区長の公式文書を発表、デモ行進禁止理由を明らかにした。    それによると、「多島海綱領」は米連邦議会議員らの公然たる支持や、政治的活動家やマスメディアの支援を受けた(米国の)傭兵で、玖社会を不安定化させ軍事的介入を惹起させるのを目的にしており、憲法4条の「社会主義不変」条項に違反する。憲法56条を言うのなら、反人民的行動をとることはできないはずだ、とも反論している。    ガルシアらは禁止通達を受けて、「我々は異論を排除する全体主義体制と対峙している」と表明。反体制派は、7月11日の全国的対政府抗議行動に続く、体制変革の起爆剤にしようと目指していた戦略が潰された。    政府は10月8日、多島海綱領がデモ行進実施期日として当初申請していた11月20日を「国防の日」に指定、同月18~20日に全人民戦争戦略に基づく国防演習を実施する決定を下した。この時からデモ行進禁止は予測されていた。    ガルシアら若手芸術家たちは昨年11月27日に文化省前で抗議種会を開いた「サンイシドロ運動」(MSI)に属する。急進派のマヌエル・クエスタ=モル―アは、禁止に拘わらず行進すると表明している。 ▼ロシア副大統領が訪玖    ロシアのユーリ・イヴァノヴィッチ・ボリソフ副大統領は10月12日、ハバナでミゲル・ディアスカネル大統領と会談した。両国政府間経済・通商・科学技術協力委員会の露側議長。13日にはラウール・カストロ陸軍大将と会談した。  ▼11月に第2回欧亜経済委員会会合開催へ    ディアスカネル大統領は10月14日、欧亜経済員会の第2回協力合同委

ベオグラードで非同盟創立記念外相会議開く

    非同盟諸国運動(MNOAL)は1961年9月、当時のユーゴスラヴィア首都ベオグラードでの第1回首脳会議開催をもって始まった。その創設60周年記念外相会議が10月11日、べオグラ―ドで2日間の日程で開かれた。    東西冷戦期に米ソ両陣営に入らない「非同盟」諸国は25カ国にすぎ議なかった。冷戦終結から32年経った今、加盟国は117。オブザーバーは17カ国で、そこにはラ米7国(亜URU伯PAR墨CR・ES)が含まれている。    今会議には、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相、ベネズエラのフェリックス・プラセシア外相らが参加している。プラセンシア外相は初日の会議で、米国による強圧手段(制裁)を糾弾した。    首脳会議は第1回ベオグラードから2019年のアゼルバイジャン・バクーまで18回開かれた。並べると、①1961ベオグラード②64カイロ③70ルサカ④73アルジェ⑤76コロンボ⑥79ハバナ⑦83ニューデリー⑧86ハラレ⑨89ベオグラード⑩92ジャカルタ⑪95カルタヘーナ⑫98ダーバン⑬2003クアラルンプール⑭06ハバナ⑮09シャルムエルシェイク⑯12テヘラン⑰16ポルラマル⑱19バクー。 ▼多国間主義と内政不干渉を決議し閉会    外相会議は、議長のアゼルバイジャンのジェイフン・バイラモフ外相が10月12日、国際的決定に際しての多国間主義や内政 不干渉など決議事項を読み上げ、閉会した。         

ペルー国会野党が大統領権限縮小に動き始める

   ペルー国会憲法委員会は10月9日、大統領が国会に支持(可決)を求めることができるのは政府政策の可否だけとする決議案を可決した。これが本会議で可決されば、大統領は制憲議会開設や国会権限などについての採決を求められなくなる。   ペドロ・カスティージョ大統領は、大統領選挙戦中の最重要公約として、新憲法制定のための制憲議会開設を唱え、就任後も「急務ではない」としながらも開設方針を維持してきた。だが野党が圧倒的多数派の国会は、開設への反対意思を表明してきた。   大統領の対国会権限が、本会議での同決議案可決によって制限されれば、大統領弾劾が容易になると、野党勢力は計算している。カスティージョが制憲議会開設に固執し、国会審議にかけようとすれば「新決議」により「権限外」として阻まれ、弾劾に道が開かれるという寸法だ。   現法規では、国会が大統領不信任案を2回可決すれば、大統領は国会を閉鎖することができる、と定めている。この国会閉鎖権限がどうなるかについては明らかでない。   この動きを推進しているのは、ケイコ党FP(人民勢力)を中心とする保守・右翼諸党。FPは国会第1党だった前大統領任期5年間の間に、ケイコ・フジモリを決選で逆転して勝ったPPクチンスキ大統領を辞任に追い込み、昇格したマルティン・ビスカラ大統領を解任した。   PLは、今年の大統領選挙決選でケイコを破ったカスティージョの追い落とし工作に本格的に着手したと言えそうだ。既にギド・べジード前首相の内閣を潰すのに成功している。 ▼ペルーがOECD加盟を申請   ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は10月10日、経済協力開発機構(OECD)のマティアス・コーマン事務局長に書簡を送り、ペルーの加盟を正式に申請した。 ▼パナマ政府がアグレマン拒否   パナマ政府は、ペルーが次期駐巴大使に任命していたリチャード・ロハスへのアグレマン(事前同意)を拒否した。ロハスはカスティージョ大統領の元広報官で、政権党PLのブラディーミル・セローン書記長の側近。今月6日、パナマの同意期間30日が切れ、外交上の慣習「暗黙の拒否」が成立。ペルーはロハス任命を取り下げた。   だが10月15日、ベネズエラ政府はロハスにアグレマンを与え、ロハスのVEN駐在大使任命が決まった。両国はカスティージョ政権発足後、国交を再開させている。ロハスには、セロ

岩波ホールが映画「夢のアンデス」上映開始

  ◎鑑賞感想文;「夢のアンデス」ー希望と絶望の輪廻ー   伊高浩昭    チリ人映画監督パトリシオ・グスマンの2019年作品「夢のアンデス」(原題「夢の大山脈」)を観た。無論、南米で「ラ・コルディジェ―ラ(大山脈)」と言えば、アンデス山脈に他ならない。この作品は「光のノスタルジア」、「真珠のボタン」に続く三部作の3番目で、私はチリ軍事クーデター48周年記念日前日の9月10日、東京・渋谷の試写会場で時宜良く観た。コロナ疫病COVID19が醸す煩わしさと外出する億劫さから20ヶ月以上、映画鑑賞から遠ざかっていたが、これは観ないわけにはいかないと発心し出掛けたのだった。   グスマンは1973年9月11日の軍事クーデター直後、その前年からの「チリの闘い」撮影などから睨まれていたため、一時期迫害された。解放されると、フィルムを守り制作の自由を確保するため、パリに去った。その後の作品は一時帰国して制作しても、「祖国を遠望する思想」(伊高造語)と遠近法を踏まえたものとなり、その最たるものが最新作「夢のアンデス」だ。老境も80歳の佳境に至った監督は、太古から現代までチリの動静を見守ってきたアンデスの「不変」と「過去を記憶する地層」を探求しつつ、懐念(サウダーディ)に駆られ、作品を「あのクーデター前のチリは還らない」の言葉で締め括る。   監督は偉大なアンデスを、最高峰アコンカグア(標高6960m)をはじめ名のある高峰を特に描き出すことなく、コンドルが舞うように、あるいは夢遊病者のように漠然と描く。高く低く、行きつ戻りつしながら鳥瞰する不思議さを、私はしばし味わった。   サンティアゴ・ブエノスアイレス間、リマ・ラパス間、そしてパナマ地峡からマゼラン海峡までと、アンデス上空を盾に横に何十回も飛行した私だが、コンドルの眼で俯瞰したのは初めてだ。この映画を観ながら私は、クーデターに終わったアジェンデ時代のチリ、まさにクーデター直後のチリ、さまざまなラ米の出来事を現地取材し、老境に入ってからは遠近法を駆使しつつ、55年間観察してきた自分の来し方を回想していた。脳裏の回路が画面と混線するのも厭わずに。    この映画が2019年に制作されたのは偶然ではない。同年10月から20年3月まで5カ月に亘ってチリ全土で、新自由主義経済路線により生じた絶望的なほど巨大な貧富格差や社会的不正義に強烈に

墨米「安保高級対話」が「200周年合意」に到達

   墨米両国は10月8日、メキシコ大統領政庁(国家宮殿)で「安全保障高級対話」を実施、米側からは国務、国土安全保障、司法の3長官らが出席、墨側からは外務、防衛、海軍、内務各相らが出席した。    会議冒頭で挨拶したAMLO大統領は「メキシコ最大の問題は汚職・腐敗で、それが退治できれば住みやすい国になる」と強調。ジョー・バイデン米大統領の訪墨招待を口頭で米側に伝え、「かつてポルフィリオ・ディアス(独裁政権大統領)は<おお哀れなメキシコよ。神からはるかに遠く、米国にあまりに近すぎる>と言ったとされるが、今日、私は<祝福されているメキシコは神にとても近く、米国にはさして遠くない>と言い直そう」と語り、両代表団を笑わせた。   会議では、麻薬、武器密輸、暴力事件、移住、保健などが話し合われた。双方は2008年に始まった軍事優先の「メリダ計画」が終わり、それに替えて、暴力を総合的に捉え直す「200周年合意」に至ったと認め合った。   会議終了後、マルセロ・エブラ―ル外相と、アントニー・ブリンケン国務長官が記者会見に臨んだ。   ブリンケン長官は、「両国の安全保障関係は新しい章に入り、両国は対等の立場で協力することになった」、「安保のほか、不平等、腐敗、無処罰などの課題の根本的原因についても話し合ってゆく」と述べた。   長官は今回の合意には、①両国間の保健と安保を投資などを通じて守る②麻薬嗜癖矯正支援、麻薬需要削減、法的整備、武器密輸削減、人身取引撲滅で協力する③両国間の犯罪網およい資金洗浄の追及ーの3本柱があると指摘。これらの対策には、公共保健、法治国家性、経済機会などの強化が欠かせなしと語った。   エブラ―ル外相は、同長官の発言を受けて、メキシコ側の優先事項が米国のそれと共通の事項になった、と歓迎。「両国は同盟へと進むが、信頼し敬意を払え合える相手とだけ同盟できる。今回の合意は記憶に残るものとなろう」と述べた。   両国が進む次の段階は、12月1日までに行動計画を策定し、来年1月30日までに、その後3年間の安保協力政策遂行の準備を整えること。2022年は墨米関係樹立200周年に当たる。このため「200周年合意」と名付けられた。   

チリ検察が利益相反でピニェーラ大統領を捜査へ

      チリ検察庁の特別汚職取締班は10月8日、セバスティアン・ピニェーラ智大統領を利益相反容疑で捜査すると発表した。同大統領は3日報じられた「パンドラ文書」で、租税回避地である英領ヴァージン諸島での取引に関与した と指摘されている。   大統領を総帥とするピニェーラ一族はチリきっての富豪家系の一つ。報道によれば、大統領1期目の最初の年である2010年12月に一族が保有していた企業が、国内での鉱山開発計画における開発権を売却した際、贈収賄と脱税がなされた可能性があり、それに関与した容疑が大統領にかけられている。   検察は、以前からこの事件を捜査していたが、ヴァージン諸島で調印された英文契約書の存在が「パンドラ文書」で明らかになり、新たに同契約書も捜査対象に加えた。   野党勢力は、ピニェーラを国会で弾劾する方向で事件を追及することを決めている。   ピニェーラは今回の「パンドラ文書」報道を受けて記者会見し、大統領1期目が終わった後の17年に検察から事情聴取を受けたこと、および、一族の事業には現在まで12年以上も関与していない、と述べている。   これまでに判明している事実として、ピニェーラの息子が株の一部を所有する鉱山会社ドミンガは10年12月、ピニェーラの親友カルロス=アルべルト・デラノ所有の鉱山会社アンデス・アイアンと1億5200万ドルの開発権売買取引をした。   ドミンガは、総額25憶ドルに及ぶ銅と鉄鉱石の開発調査をしていたが、その開発地域は、国立フンボルトペンギン保護区の隣接地期にある。同保護区にはペンギンの他、クジラ、イルカ、野鳥などが生息している。   1億5200万ドルの取引額のうち、①1億3800万ドルはヴァージン諸島の弱小会社を通じて支払われた②そのうち990万ドルには自然保護区などの存在によって開発が妨げられない場合に限って支払われるとの条件が課された③残りの1400万ドルはチリ国内で支払われた。   ①は脱税、②は贈収賄の容疑が、それぞれかけられている。こうした支払い条件を定めた細部は、英文契約書に明記されている。   チリでは来月21日、大統領選挙が実施される。ピニェーラの不正捜査開始の検察決定により、政権党連合を組む保守・右翼陣営の候補は、一層の苦戦を余儀なくされそうな気配だ。   ピニェーラの他、赤道国のギジェルモ・ラソ、ドミニカ共

ボリビア2019年クーデターの実像が暴露さる

    2019年10月、エボ・モラレス大統領率いるボリビア政権に反逆し、11月10日クーデターを起こした極右勢力の代表格だった人物が、モラレス打倒工作を仕掛けていた事実が10月6日、公開されたビデオ映像で暴露された。    現在のサンタクルース州知事ルイス=フェルナンド・カマ―チョで、クーデター前日の11月9日、支持者との会合で、「モラレス打倒で軍・警察と合意した」と語っていた。    カマ―チョは、「今や私には、ダイナマイトで武装した鉱夫6000人の味方がいる。彼らはモラレスを引きずり落とす用意がある」とも口にしている。    検察はカマ―チョと、その父親ホセ=ルイス・カマ―チョに出頭を求めており、父親は7日以降に出頭を命じられている。そんな時に合わせるかのように、ビデオが公開された。その映像の一部は政変後の19年12月、ブエノスアイレスに亡命していたモラレスによって明かにされた。だが当時のモラレスは追放された身だった。    だが昨年11月、ルイス・アルセ大統領が政権に就き、MAS(社会主義運動)が政権党に復帰した。モラレスはMAS党首であり、アルセ大統領と並ぶ権力者だ。    クーデターで非合憲暫定政権の首班となったジャニーネ・アニェス(反逆罪容疑被告)も、カマ―チョ親子もクーデター説を否定してきたが、ビデオはクーデター説を裏付ける重要な証拠になると見られている。 ▼大統領がクーデター勢力を糾弾    ボリビアのルイス・アルセ大統領は「植民地解放の日」(コロンブス米州到達日)の10月12日、コチャバンバ州内での大規模集会で「我々の旗ウイパラ(先住民族旗)を守ろう」と述べ、2年前の軍民クーデターを糾弾した。    大統領は、この政変を主導したサンタクルース州極右勢力と、同勢力による「市民スト」の呼びかけを非難した。                  

チリ制憲会議が決議方法など内規を決定

    チリ制憲会議(CC)は10月7日、新憲法起草の決議法など105項目の内規を本会議で承認した。7月4日の開会から3カ月で第1期を終えた。    CCは10月18日から草案審議に入る。各条項の決議は3分の2の多数決で決まる。それで否決された条項は5分の3票を得れば、国民投票にかけられる。    18日は、新憲法制定とCC代議員選挙実施を決めるに至った2019年の学生蜂起2周年記念日。    CCはジェンダー平等で、代議員155人は男性78人、女性77人。先住民族マプーチェの知識人女性エリーサ・ロンコンが議長。

亜国イラン覚書事件でクリスティーナらの起訴取り下げ

      亜国法廷は10月7日、ブエノスアイレスで1994年7月18日朝起きた「亜国イスラエル相互協会」(AMIA)爆破事件の真相隠匿事件へのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル現副大統領らの関与を否定、起訴を取り下げた。   この事件は「イラン覚書事件」と呼ばれる。車爆弾による爆破事件ではユダヤ系市民ら85人が死亡、約300人が負傷した。事件当時のカルロス・メネム大統領の亜国ペロン派政権が核技術のイラン移転を拒否したため、AMIAが標的に選ばれたとされている。   事件はイラン政府が立案、レバノンのイスラム主義組織ヒズボラが実行したと見られるが、その事実を記した亜国諜報機関の情報はメネム政権によって隠された。   後継のエドゥアルド・ドゥアルデ暫定大統領、およびネストル・キルチネル大統領の両ペロン派政権は隠匿事件を捜査、判事や検事が更迭された。   クリスティーナの夫キルチネル大統領は2004年、事件担当のアルべルト・ニースマン特別検事を任命。爆破事件の真相は段階的に明らかになっていく。   2007~15年、クリスティーナは大統領を2期務めた。 その間の13年、AMIA事件の政治的決着を図る「亜国イラン了解覚書」がアフマディネジャド政権との間で結ばれた。   ところが15年1月、ニースマン検事は、同覚書には事件に関与したイラン当局者を無処罰にし事件を覆い隠す意図があるとして、クリスティーナ大統領、エクトル・ティメルマン外相らを告発する。       しかし数日後の同月、ニースマンはその告発について国会で報告する日の朝、首都の自宅で変死体で発見された。この事件は「自殺」、「強制自殺」、「他殺」を巡って判断が割れており、解明されていない。   覚書事件に関しては今回、一応の決着をみた。だが検察が異議を唱えれば、審理は再開される。       

ペルーでべジード首相辞任、バスケス新内閣発足

   ペルーのギド・べジ―ド首相は10月6日、ペドロ・カスティージョ大統領に辞意を伝え、大統領はそれを受け入れた。これにより全閣僚が辞任した。大統領は新首相に、政権党PLの友党「拡大戦線」所属のミルタ・バスケス元国会暫定議長(46)が任命した。       重要閣僚の経済・財務相と外相らは留任。労働・雇用促進相は交代した。カスティージョ大統領は同日、新内閣との初会合に臨んだ。政府の「左翼・極左色」は薄まり、「中道左翼」ないし「左翼進歩主義」に傾斜した。    内閣19人のうち女性は、首相を含め5人になった。PL書記長ブラディーミル・セローン被告の弁護士ルイス・バランスエラは、その弁護を下りて内相に就任した。これが早くも「政権の新しいリスク」として問題視されている。   7月末に発足したカスティージョ左翼政権は、8月半ばのエクトル・べハル外相更迭、8月末の国会でのべジ―ド首相信任などを経て9月、保守・右翼野党勢力による激しいべジ―ド内閣揺さぶり工作を乗り切った。   だが10月には入ってからも工作は止まず、イベル・マラビー労働・雇用促進相への更迭要求が浮上した。前首相、前外相、労働相はいずれも、極左地下結社センデロ・ルミノソ(SL=輝く道)との「思想的近さ」を問題視された。   カスティージョは9月ワシントンとNYを訪問、米財界や国際金融機関と良好な関係を築きつつあるが、政権部内の、急進的変革を求める極左勢力に足を引っ張られていた。   大統領は左翼というより農村民族主義者のであり、もともと中道保守のPP(可能性のあるぺルー)党の地方幹部党員だった。同党首で大統領だったアレハンドロ・トレードは、不正資金受領により追及されて米国に逃亡、ペルーへの身柄引き渡しが迫っている。   大統領は、べジ―ド前首相の上にいるブラジーミル・セローン書記長のPL(自由ぺルー)党から出馬し当選した。政権党となったPLとは思想的には合わない。内なる極左勢力を切らないと政権は持たないと判断、同書記長や前首相と距離をとりつつあった。   カスティージョは首相辞任直後、全国向けの談話を発表、べジードへの謝意を表明し、「権力の均衡は法治国家と民主との懸け橋であり、政府においては静寂と一体性が求められる」と述べた。   さらに、「ペルーは、政府に多くを期待しており、イデオロギーや党派的で孤立した立場を

マリオ・バルガス=ジョサが租税回避地に会社開く

       2010年にノーベル文学賞を受賞したペルー人作家マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL、85歳)は、スペイン国籍も持つ。主要な居住地はリマ市だが、しばしばスペインに出かける。そのスペインの主要紙エル・パイ―スが10月4日、MVLLは租税回避地として名高い英領ヴァージン諸島に会社を所持していたと暴露した。調査報告「パンドラ文書」の一環としての調査報道だ。   MVLL、ガブリエル・ガルシア=マルケス、フリオ・コルタサルらラ米文学ブームの作家たちを出版を通じて育てたスペイン人、故カルメン・バルセルの名を被せた代理店は、MVLLの公式広報所ともなっているが、同代理店は、問題の会社が設立された時点に、MVLLは居住権のある秘西両国のいずれにも居住していなかった、と明らかにしている。   報道によれば、MVLLは2015~17年、「メレック投資会社」の所有者(名義人)だった。同社の口座には110万ドルが入れられ、それを米投資銀行ジェファリ―ズが管理していたもよう。110万ドルは作家が得た印税などだという。   会社設立は、パナマの海外経営管理会社OMCが仲介した。OMCに対し、生前のカルメン・バルセルらが推薦状を書いていた。   英領ヴァージン諸島ガゼット紙は、作家の息子アルバロ・バルガス=ジョサが17年4月20日付で会社をたたんだ、と伝えている。   MVLLは政治的発言が好きで、最近ではペルー大統領選挙でのペドロ・カスティージョ勝利は「私の敗北だった」などと述べている。   作家は1990年の大統領選挙決選でアルべルト・フジモリに敗れて以来、反フジモリ主義の旗頭で、前回まで2度の大統領選挙決選でケイコ・フジモリ候補を目の敵にしていた。だが今回決選では、「カスティージョは最悪、ケイコは次悪」として、ケイコ支持に回っていた。しかしケイコはまたも敗れた。   ラ米の先住民主義を「新型共産主義」とくさす発言もしていた。これに対し、ペルーのTVキャスターらから最近、「(見当違いの)政治発言はやめて、作家に専念したらどうか」と諫める声が出ている。   「民主と自由の擁護者を喧伝する前に、まず税金を払え」との辛辣な批判も起きている。          

「ハバナ症候群」の原因はコオロギの羽音!!!

  米国の在玖大使館員らが「音響攻撃に遭い、神経に脳に悪影響が及んだ」とされる「ハバナ症候群」の原因は、「極超短波(マイクロウェーヴ)」による攻撃でなく、コオロギの羽音が原因だった!!!    米国務省はJASONという顧問会社に委託して調査していたが、このほど「情報自由法」によって解禁された同社の調査結果によると、被害21件のうちの少なくとも8件は「コオロギの羽音(鳴き声)が原因だ十分考えられる」という結論に達した。   羽音以外に、いかなる電子音響機器もあのような音は出せない、という判断も記されていた。   日本人は晩夏から初秋にかけて虫の音を楽しむ。初夏から盛夏にかけての風鈴を楽しむのと同じだ。だが諸外国の人々には、風鈴や虫の音を「耐え難い騒音」と感じる者が少なくない。   4年越しの「ハバナ症候群」騒ぎは、「キューバ当局による嫌がらせの音響攻撃」でなく、昆虫の発する羽音が原因だったとは、風流な結末だ。だが、大らかに笑えない。米玖関係の現状が冷たく、いじましいからだ。 ★当「報告」9月14日付記事を参照願います。     

パラグアイで「土地占拠弾圧法」発効

        パラグアイのマリオ・アブド=ベニーテス大統領は9月30日、土地占拠を厳しく取り締まる改定刑法を公布した。占拠者には禁錮最高6年、占拠時に資産を破損させた場合は同10年の実刑が科せられる。     スペイン植民地時代からの大土地所有制度が続くこの国では、貧農、農業労働者らによる土地・農地占拠活動が絶えない。グアラニーを中心とする先住民族・農民のなかで政治的に目覚めた者は「土地無し農民運動」を組織し、「祖先の土地」奪回を志す。    現実的な解決法は本格的な農地改革しかないが、農村と都会の富裕層から成る伝統的支配階層を代表するコロラード党の保守・右翼政権下で大規模な農地改革は非現実的で、あり得ない。    今回の改定刑法は先週上院を、29日に下院を、それぞれ通過していた。下院では賛成49、反対3だった。    改定法を弾圧法、悪法と見なし、土地占拠を正当な行為と主張する人々は、国会前に29、30両日集結して抵抗した。だが警察機動隊に激しく弾圧され、19人が負傷した。    大土地所有制度を悪化させたのは、1954年から89年まで続いたアルフレド・ストロエスネル将軍の独裁が、先住民族と農民の土地の多くを接収し、独裁支持者らに分配したこと。主として今日の土地占拠問題は、記憶が残るこの独裁期の横暴に起因する。    ストロエスネルは、1930年代の対ボリビア・チャコ戦争を戦った軍人で、政権掌握後はコロラード党と一体化して、長期独裁を敷いた。だが89年、軍事クーデターで政権を追われブラジルに去り、ブラジリアで死去した。         

ベネズエラ通貨が「ボリーバル・ディヒタル」に移行

        超インフレに苦しむベネズエラで10月1日、新通貨「ボリーバル・ディヒタル」(ディジタルボリーバル=BD)が発効した。従来のボリーバル・スプレモ(主権ボリーバル=BS)から「0」6桁を削除したデノミナシオン(通貨単位切り下げ)。    チャベス前政権は2008年に通貨ボリーバルをデノミし「ボリーバル・フエルテ」(強いボリーバル)を作り、それをマドゥーロ政権は18年のデノミで「スプレモ」にし、今度は「ディヒタル」に変えた。    新通貨のうち、5BG、10BGの紙幣は10月4日から流通、使用される。     9月末時点で100万BS=米ドルの25セントで、パンを買うにも役立たなくなっていた。 ▼ラウール・バドゥエル元将軍が死去    故ウーゴ・チャベスの政敵で2009年に逮捕されて以来、ほぼ全期間、刑務所暮らしを余儀なくされていたラウール・バドゥエル元国防相(66)が10月12日、COVID19による心肺停止により独房内で死亡した。    元将軍は陸軍士官時代からチャベスの同志で、2002年4月の反チャベスクーデターで幽閉されたチャベスを救い、政権に復帰させた立役者。その後チャベスに重用されたが、政治思想を巡って反チャベスに転じ、投獄された。