カルロス・ラへ元玖副議長が12年ぶりに登場

   故フィデル・カストロ国家評議会議長時代のキューバで副議長、閣僚評議会書記(官房長官)、共産党政治局員などを務め、「将来の最高指導者」と見られていたが2009年に失脚したカルロス・ラへ(70)が10月16日、写真で綴る8分余りのSNS投稿映像に登場した。

  ラへは、前日15日の誕生日を祝ってくれた人々に向けて、家族写真を見せながらメッセージを送る形式で8分余り語った。

  主な発言は;

①革命体制を信頼し、社会主義を強く信じる。だがその社会主義は公平で人間的なものでなければならず、過去20年間の改革を凌ぐ深い改革がなければ実現できない

②私の70年の人生のうちの20年は、「平時の特別期間」を含めフィデルと共にあった。フィデルの革命的、知的、人間的偉大さを熟知していた。フィデルを礼賛し、いとおしむ気持は不変だ

③私は我が身を情熱と無私をもって革命体制に捧げた。(09年の)更迭は予期しており、驚かなかった。それによって私の第2の人生が始まった

④今後も、二者択一状況に置かれた場合、革命体制の側に身を置く

  ラへは、フィデルの後継者ラウール・カストロによって、「野心的過ぎた」として、フェリーぺ・ペレス=ロケ外相らと共に更迭された。

  だが今、SNSに登場したことは、陸軍大将の地位を維持している最高権力者ラウール(90)歳の意向が働いたことを意味する。

  まず発言①は、ラウールを筆頭とする社会主義市場経済推進派を代弁している。同②は、有能なラへのような人材の再登用がありうることを示唆する。③は、反体制派が11月15日に予定している、社会主義体制揺さ振りのための無許可デモ行進への反対を意味する。

  同時に、ミゲル・ディアスカネル大統領・党第1書記の指導部内で改革派と守旧派の権力闘争が起きている可能性も示すと言えなくもない。

  ラへが今後、今回のような形で、あるいは別の形で、社会の表面に出てくるかどうかが一つの注目点になった。



  

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