パラグアイで「土地占拠弾圧法」発効

        パラグアイのマリオ・アブド=ベニーテス大統領は9月30日、土地占拠を厳しく取り締まる改定刑法を公布した。占拠者には禁錮最高6年、占拠時に資産を破損させた場合は同10年の実刑が科せられる。 

   スペイン植民地時代からの大土地所有制度が続くこの国では、貧農、農業労働者らによる土地・農地占拠活動が絶えない。グアラニーを中心とする先住民族・農民のなかで政治的に目覚めた者は「土地無し農民運動」を組織し、「祖先の土地」奪回を志す。

   現実的な解決法は本格的な農地改革しかないが、農村と都会の富裕層から成る伝統的支配階層を代表するコロラード党の保守・右翼政権下で大規模な農地改革は非現実的で、あり得ない。

   今回の改定刑法は先週上院を、29日に下院を、それぞれ通過していた。下院では賛成49、反対3だった。

   改定法を弾圧法、悪法と見なし、土地占拠を正当な行為と主張する人々は、国会前に29、30両日集結して抵抗した。だが警察機動隊に激しく弾圧され、19人が負傷した。

   大土地所有制度を悪化させたのは、1954年から89年まで続いたアルフレド・ストロエスネル将軍の独裁が、先住民族と農民の土地の多くを接収し、独裁支持者らに分配したこと。主として今日の土地占拠問題は、記憶が残るこの独裁期の横暴に起因する。

   ストロエスネルは、1930年代の対ボリビア・チャコ戦争を戦った軍人で、政権掌握後はコロラード党と一体化して、長期独裁を敷いた。だが89年、軍事クーデターで政権を追われブラジルに去り、ブラジリアで死去した。

    

   


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