マリオ・バルガス=ジョサが租税回避地に会社開く

       2010年にノーベル文学賞を受賞したペルー人作家マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL、85歳)は、スペイン国籍も持つ。主要な居住地はリマ市だが、しばしばスペインに出かける。そのスペインの主要紙エル・パイ―スが10月4日、MVLLは租税回避地として名高い英領ヴァージン諸島に会社を所持していたと暴露した。調査報告「パンドラ文書」の一環としての調査報道だ。

  MVLL、ガブリエル・ガルシア=マルケス、フリオ・コルタサルらラ米文学ブームの作家たちを出版を通じて育てたスペイン人、故カルメン・バルセルの名を被せた代理店は、MVLLの公式広報所ともなっているが、同代理店は、問題の会社が設立された時点に、MVLLは居住権のある秘西両国のいずれにも居住していなかった、と明らかにしている。

  報道によれば、MVLLは2015~17年、「メレック投資会社」の所有者(名義人)だった。同社の口座には110万ドルが入れられ、それを米投資銀行ジェファリ―ズが管理していたもよう。110万ドルは作家が得た印税などだという。

  会社設立は、パナマの海外経営管理会社OMCが仲介した。OMCに対し、生前のカルメン・バルセルらが推薦状を書いていた。

  英領ヴァージン諸島ガゼット紙は、作家の息子アルバロ・バルガス=ジョサが17年4月20日付で会社をたたんだ、と伝えている。

  MVLLは政治的発言が好きで、最近ではペルー大統領選挙でのペドロ・カスティージョ勝利は「私の敗北だった」などと述べている。

  作家は1990年の大統領選挙決選でアルべルト・フジモリに敗れて以来、反フジモリ主義の旗頭で、前回まで2度の大統領選挙決選でケイコ・フジモリ候補を目の敵にしていた。だが今回決選では、「カスティージョは最悪、ケイコは次悪」として、ケイコ支持に回っていた。しかしケイコはまたも敗れた。

  ラ米の先住民主義を「新型共産主義」とくさす発言もしていた。これに対し、ペルーのTVキャスターらから最近、「(見当違いの)政治発言はやめて、作家に専念したらどうか」と諫める声が出ている。

  「民主と自由の擁護者を喧伝する前に、まず税金を払え」との辛辣な批判も起きている。  

   

 

 

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