スウェーデンがチリ軍政期の養子縁組不正を調査へ
スウェーデン政府は10月29日、同国人による1950年以降6万件を超える外国人養子縁組をめぐる不正を調査する委員会を設置した、と発表した。レナ・ハレングレン社会問題相は、ウプサラ大学民法教授アンナ・シンゲルが委員長を務めるとし、中国とチリが主な対象となると明らかにした。
2023年11月に調査結果を発表する予定。
チリの法廷は2018年、マリオ・カロ―サ判事の下で、ピノチェー軍政期(1973~90)に結ばれた数千件に上る外国人との養子縁組の不正調査に着手した。2004年にジャーナリスト、アナ=マリーア・オリバレスの調査報道がきっかけの一つとなった。
スウェーデン人養父母との縁組もチリ政府の調査対象になっている。ハレングレン社会問題相は、チリの調査結果を待ちたい、としている。
このほどスウェーデンのダーゲンス・ニュヘテル紙は、チリの調査情報などを基に、ピノチェー独裁政権は、同政権をことのほか厳しく批判していたスウェーデン政府に圧力をかける手段として養子縁組を利用した、と報じた。
1974~90年にチリ人児童約2000人がスウェーデン人に養子として引き取られた。この一連の養子縁組には、スウェーデン養子縁組センターと、ピノチェー軍政を支持していたスウェーデンの極右団体が関与していた、という。
チリ軍政のモニカ・マダリアガ司法相が70年代半ばスウェーデンを訪問してから養子縁組が盛んになった、という。
71~92年の養子縁組には、チリ人児童の実父母の承諾なしに結ばれたものが多い。同期間の計2100件の縁組のうち1700件は、ピノチェー軍政および、その関係者がスウェーデン極右団体との間で取り決めたという。
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