ペルー国会野党が大統領権限縮小に動き始める

   ペルー国会憲法委員会は10月9日、大統領が国会に支持(可決)を求めることができるのは政府政策の可否だけとする決議案を可決した。これが本会議で可決されば、大統領は制憲議会開設や国会権限などについての採決を求められなくなる。

  ペドロ・カスティージョ大統領は、大統領選挙戦中の最重要公約として、新憲法制定のための制憲議会開設を唱え、就任後も「急務ではない」としながらも開設方針を維持してきた。だが野党が圧倒的多数派の国会は、開設への反対意思を表明してきた。

  大統領の対国会権限が、本会議での同決議案可決によって制限されれば、大統領弾劾が容易になると、野党勢力は計算している。カスティージョが制憲議会開設に固執し、国会審議にかけようとすれば「新決議」により「権限外」として阻まれ、弾劾に道が開かれるという寸法だ。

  現法規では、国会が大統領不信任案を2回可決すれば、大統領は国会を閉鎖することができる、と定めている。この国会閉鎖権限がどうなるかについては明らかでない。

  この動きを推進しているのは、ケイコ党FP(人民勢力)を中心とする保守・右翼諸党。FPは国会第1党だった前大統領任期5年間の間に、ケイコ・フジモリを決選で逆転して勝ったPPクチンスキ大統領を辞任に追い込み、昇格したマルティン・ビスカラ大統領を解任した。

  PLは、今年の大統領選挙決選でケイコを破ったカスティージョの追い落とし工作に本格的に着手したと言えそうだ。既にギド・べジード前首相の内閣を潰すのに成功している。

▼ペルーがOECD加盟を申請

  ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は10月10日、経済協力開発機構(OECD)のマティアス・コーマン事務局長に書簡を送り、ペルーの加盟を正式に申請した。

▼パナマ政府がアグレマン拒否

  パナマ政府は、ペルーが次期駐巴大使に任命していたリチャード・ロハスへのアグレマン(事前同意)を拒否した。ロハスはカスティージョ大統領の元広報官で、政権党PLのブラディーミル・セローン書記長の側近。今月6日、パナマの同意期間30日が切れ、外交上の慣習「暗黙の拒否」が成立。ペルーはロハス任命を取り下げた。

  だが10月15日、ベネズエラ政府はロハスにアグレマンを与え、ロハスのVEN駐在大使任命が決まった。両国はカスティージョ政権発足後、国交を再開させている。ロハスには、セローン容疑者が関わった腐敗事件への関与(資金洗浄)が取り沙汰されている。

  【検察は10月18日、資金洗浄捜査のためロハスの出国を6カ月間禁止する措置をとった。これを受けて外務省は22日、ロハスの大使任命を撤回した。】

▼モンテシーノスがオフショー資金源維持

  「パンドラ文書」により10月13日、ブラディミロ・モンテシーノス受刑囚が、1990年代後半のフジモリ第2期政権下での武器汚職事件に関与した元部下10人を通じ、パナマに54社、バハマに18社、計72の法人を持ち、不正資金を管理・運営していたことが暴露された。


 

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言