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5月, 2021の投稿を表示しています

ペルー決選;カスティージョ優勢下で討論会

   ペルー大統領選挙決選(6月6日)まで1週間と迫った5月30日、中部の大都市アレキ-パで、2回目にして最後の討論会が経済、腐敗、独立200周年など6項目を論題として催された。   支持率がやや優勢な左翼の農村教師ペドロ・カスティージョ(51)は、そのリードを守りきるためか、穏健な言い回しに徹した。これに対し逆転当選を狙う右翼のケイコ・フジモリ(46)は、カスティージョと共産主義を結び付ける反共攻勢をかけようとした。   経済政策ではケイコが具体的で点数を稼いだもよう。だが貧者救済では、「豊な国にこれ以上、貧困はいらない。これは教師の言葉だ」と言うカスティージョに説得力があった。   全体的印象として有権者は、カスティージョが「変化」、ケイコが「現状維持」をそれぞれ代表しているように捉えている。貧困国民が多数派のため、「変化」になびくのだ。   この日公表されたIPSOS調査結果では、カスティージョ52・5%、ケイコ48・9%。2・6ポイント差だった。   これに白票と未決票を加えると、カスティージョ45・1%、ケイコ43・1%、白票・未決票11・8%。最後の1週間の戦いは、白票・未決票の奪い合いになる。   ベネズエラの極右政党「人民意志」(VP)の事実上の党首レオポルド・ロペスは29日リマ入りし、同市で30日開催された反共会議で演説。ケイコ支持を訴えた。ロペスは暴動教唆罪などで服役中、スペインに逃亡した。   ビオレタ・ベルムーデス閣僚評議会議長(首相)は、ロペスが内政干渉していると判断されれば秘外務省が行動を起こすはずだと述べている。   最終盤戦では、相手を虚偽で貶める汚い手口がつきもの。その影響を受けるのが浮動票だ。すでに虚偽情報が飛び交っている。

ニカラグア大統領選の野党側有力候補に捜査迫る

     ニカラグア検察庁は5月29日、NGO「ビオレタ・バリオス=デ・チャモーロ財団」の資金洗浄捜査を終えた。同財団の管理者クリスティーナ・チャモーロ=バリオス(66)は11月7日の大統領選挙の反政府側の最有力候補と目されている。   ダニエル・オルテガ大統領の政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)が多数派の国会は昨年10月、「外国代理者規制法」を可決。外国資金を受けていた同NGOは法規制の対象となり、クリスティーナは2月7日、抵触するのを警戒してNGP活動を停止させた。   だが内務省は5月、資金洗浄の疑いで捜査を要求。これを受けて検察庁は捜査していた。同庁長官は、オルテガの下で戦った元FSLNゲリラ、アナ=フリア・ギド。   財団の名称で、クリスティーナの母親であるビオレタの夫ホアキン・チャモーロは1978年、当時のソモサ独裁政権に暗殺された。ホアキンは最大紙ラ・プレンサの主幹で、ソモサ体制批判の論陣を張っていた。   この暗殺で民衆が蜂起。長年ゲリラ攻撃を断続的に仕掛けていたFSLNは勢いづき大攻勢をかけ、79年7月ソモサ体制打倒に成功した。FSLNの放ったアルゼンチン人のゲリラコマンドは80年9月、パラグアイ首都アスンシオンでソモサを爆殺した。   ソモサの父親は米国と組んで1934年にアウグスト=セサル・サンディーノ将軍を暗殺した。それへの復讐だった。   反共主義の色濃いレーガン米大統領は81年就任するや、反革命ゲリラ「コントラ」をホンジュラス国内で結成、FSLN体制のニカラグアに攻め込ませた。長い戦闘でニカラグアは荒廃。1990年の大統領選挙でオルテガ大統領は日米が強力に支援したビオレタに敗れた。   だがオルテガは21世紀に政権に返り咲き、11月の選挙で連続4選(通算5期)を狙う。クリスティーナはラ・プレンサ記者だったが、現在は同紙副社長。運営していたNGPは「言論・表現の自由拡充」を活動目的にしていた。   米国際開発局(USAID)から資金提供を受けていた。米国務省は、同NGOによる資金洗浄を否定している。USAIDは援助先諸国で反政府活動を支援するので有名。   名門出身のクリスティ―ナは地名度が高く、最有力紙の紙面を持ち、米国の後押しもあって、野党および反政府勢力の統一候補になれば、オルテガ連続4選を阻む可能性が出て...

秘国決選;ケイコが支持率でカスティージョに肉薄

   ペルー大統領選挙決選は、選挙戦が最後の1週間になり、激戦・接戦の様相を呈している。5月28日公表のDATUM模擬投票支持率調査では、左翼教師ペドロ・カスティージョ(51)42・6%、右翼政治家ケイコ・フジモリ(46)41・7%で、0・9ポイント差に詰まった。   30日には2度目にして最後の両候補の公開討論会が催される。その出来具合が投票動向に響く可能性がある。   DATUM調査は、「センデロ・ルミノソ」(SL=輝く道)の犯行とされている最近起きた16人殺害事件についての有権者の意見も対象にしている。   それによると、24%は「SLコマンドが決選ボイコットを促すためにやった」、22%は「SLがケイコに投票しないよう促すため決行した」、20%は「SLの犯行ではない」と答えた。この最後の回答は、事件陰謀説に立っている。   一方、VRAEM入りした陸海軍合同部隊は28日、現地に軍事基地を建設すると明らかにした。また現地住民の自衛組織を強化すると述べた。 ▼元フジモリ大統領側近が不法献金を認める   日系のハイメ・ヨシヤマ元国会議長は、ケイコ・フジモリが国会議員だった2010~11年に、大統領選挙資金として750万ドルの現金を得たが、当時ケイコは伯建設会社大手オデブレシ―(オデブレヒト)から100万ドルを受け取っていたと、甥ホルヘ・ヨシヤマに語っていた。   検察は、ケイコは11、16両年の大統領選挙で決選まで進んだが、これら2度の選挙資金として出所の不確かな1730万ドルを集めていた、と見ている。ケイコはオデブレシ―から現金を受け取ったことを繰り返し否定してきたが、ヨシヤマ証言によって偽証の疑いが濃厚になった。   この事実は「反フジモリ父娘」で長らく論陣を張ってきたラ・ㇾブーブリカ紙が5月29日報じた。

コロンビア反政府行動1カ月;48人死亡、被害40億ドル

     コロンビアの反政府全国ストライキは4月28日に始まり、1ヵ月経った。イバン・ドゥケ大統領の保守・右翼政権は、昨年来のコロナ禍で経済が受けた打撃を埋めようと63億ドルの増収を目的に税制改革を決めた。だが中産層と低所得層に重い課税になるため、ゼネストが起きた。    政府は5月2日、税制改革を取り止め、併せて、一部の民営化を狙った保健制度改革も19日に取り下げた。    反税制改革ストは当初から、政府の新自由主義、強権、人権軽視、有産層優遇、貧富格差無視などに反対する反政府の性格が強く、ストはすぐに全国化した。19日ごろから抗議行動の中心は、首都ボゴタからカリに移った。    警察部隊だけでは手に負えなくなった政府は軍隊を治安出動させた。弾圧は激しさを増した。野党は国防相不信任案を国会に提出したが、否決された。だが5月中に蔵相、外相、和平高等コミッショナー(閣僚級)の3人が辞任した。    全国的な抗議行動による経済被害は1日平均1億3000万ドル、1カ月で40億ドルに上る。失業者は30万人増えた。若者の失業率は24%に及ぶ。    全国ストライキ委員会(CNP)と政府は5月27日、話し合った。スト側は最低賃金243ドル、コロナワクチン接種拡充、公共高等教育無料化、雇用創出などを要求。政府側は道路封鎖解除を求めた。CNPは同教育一部無料化を勝ち取っている。    コロンビアでは来年、大統領選挙がある。左翼政権が一度も登場したことのない南米唯一の超保守国だが、今回の長期に亘る反政府行動を経て、革新政権誕生の可能性も一層ささやかれるようになっている。 ▼死者59人に    政府は5月30日、32日間に及ぶ街頭行動での死者は59人に達したと明かにした。               

「月刊社民」誌がキューバ党大会分析記事を掲載

   このほど刊行された「月刊社会民主」誌6月号に、拙稿「カストロが退陣したキューバ 制度疲労著しい<長すぎた革命体制>」、「新指導部は当面、現状維持路線か」が掲載されています。御覧ください。   中見出しは;「長老指導部が退陣」、「ラウールの元女婿が台頭」、「深刻な経済苦」、「<脱革命>の波紋」、「国民のために必要な譲歩」。   4月半ば開催された第8回玖共産党大会の結果を受けての分析と展望です。   2021年5月28日 伊高浩昭  

ベネズエラが政治対話開始に3条件提示

   ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は5月26日、極右のフアン・グアイドー前国会議長ら反政府勢力が提案した政治対話について、ノルウェー政府の参加を受け入れると述べた。同政府は数年来、VEN情勢打開のため尽力してきた。   だがマドゥーロは、対話開始の前提条件として、①(米国や欧州などによる)すべての対VEN制裁措置の解除②1月発足したVEN現国会および、現存するVEN統治体制の承認③在外VEN資産のVEN国庫への返還ーを国際社会に向けて提示した。   トランプ前米政権が2019年1月、マドゥーロ体制打倒やVEN原油資源奪取のために傀儡として擁立したグアイドー派は、主として米国が接収した巨額のVEN資産を与えられて活動してきた。   大統領はまた、この条件が守られれば、反政府勢力も11月21日の統一地方選挙に参加可能になると述べた。同選挙では州知事、州会議員、市長、市会議員が選ばれる。   バイデン現米政権は、グアイドー派を持ち駒として維持している。欧州、ラ米保守右翼陣営など50週か国は、同派を支持している。米政府に同調する日本政府も支持の立場だが、マドゥーロ政権と外交関係は維持している。しかし両国間の外交交流は最低水準にある。

デモクラシータイムスがキューバ情勢解説を公開

   ユーチューブジャーナリズム「デモクラシータイムス、伊高」に、最新のキューバ情勢を語る「難題山積するキューバ」(50分強)が5月25日夜、公開されました。いつも通り、高瀬毅さんとの対話形式です。   内容は、4月半ばに開催された第8回共産党大会と、今後の展望です。   これは「ラ米シリーズ」の第6回です。昨年11月に始まったシリーズは、①ゲリラ「下克上の文化」②亡命の文化③メキシコ壁画運動④南米南部の民衆音楽⑤麻薬「コカ葉は神、コカインは悪魔」、と続いてきました。   シリーズ外では、ベネズエラ情勢などについても語っています。   ご覧ください。

大統領決選期のペルーで「輝く道」残党が14人殺害か

    ペルー国軍合同司令部は5月24日、同国中東部の渓谷VRAEM(ブラエム)にあるサンミゲル・デル・エネ村の住民14人の他殺体が23日夜、発見されたと発表した。司令部は、農村武装集団「センデロ・ルミノソ」(SL=輝く道)の仕業と断定的に見ている。  14人になかには子供2人、女性1人が含まれていた。密林の彼方から白煙が登るのを不審に思った村人が、小川の畔で、子供2人を含む4人の焼死体を見つけ、事件が発覚したという。  VRAEMは、「アプリマック・エネ・マンタロ3川渓谷」の略称。この国有数のコカ葉産地だ。このため麻薬コカイン利権を争うマフィア、武装集団など犯罪組織がうごめいており、2006年からは軍隊の監視下にある。  しかし、今回の事件は唐突に起きた。大統領選挙決選まで2週間の時点でだ。逆転勝利を狙う劣勢のケイコ・フジモリ候補は、相手のペドロ・カスティージョ候補を「SLと関係がある」と攻撃してきた。この点では、今回の事件はカスティージョに不利に作用する。  早くも、ケイコに勝たせたい保守・右翼が仕組んだ謀略ではないか、との見方が出ている。地方の小学教師が本職のカスティージョは、「SLとの繋がり」を否定している。  SLは、ペルーが軍政期(1968~80)を終え、民政移管し発足したべラウンデ政権期に農村部で登場。当初は毛沢東主義を掲げていた。一種のカルト組織で、従わない者を殺害しまくった。  1992年、ケイコの父アルべルト・フジモリ大統領期にSL首領アビマエル・グスマンが逮捕され、終身刑に服している。グスマン逮捕による「SL壊滅」は、フジモリの業績の一つになっている。  軍は、VRAEM一帯に潜むSL残党の犯行と見ている。「ホセ司令」こと、ビクトル・キスぺ=パロミノの指揮下にあるコマンドという。  ケイコは今決選選挙戦終盤に、父フジモリの「集団法外処刑命令」や、憲法停止・国会閉鎖など「お手盛りクーデター」を挙げられ、攻撃されている。   当のケイコは24日、「SL残党による不安定化行動から国を守る側に投票してほしい」と、自身への支持を訴えた。 ▼犠牲者16人に  フランシスコ・サガスティ秘暫定大統領は5月25日、SL残党による殺戮事件の犠牲者は、新に2遺体が見つかり、計16人になった、と発表した。  ペルーのオンブスマン事...

ラソ・エクアドール新大統領が就任

    エクアドール(赤道国)のギジェルモ・ラソ新大統領(65)が5月24日就任した。任期は4年。ラソは元銀行家で保守・右翼陣営。地盤は太平洋岸の大都市グアヤキル。4月11日の決選で、アンドレス・アラウスを僅差で破って当選した。  コロナ禍による社会停滞、経済不況と対外債務、社会分断などの難題を抱える。  国会議事堂での就任式には、ブラジル、ハイチ、ラ・ドミニ二カーナ3国大統領、スペイン国王、パラグアイ副大統領、ラ米外相らが出席した。コロンビア、チリ両国大統領は、内政事情により出席を見合わせた。  出席したボリビアとチリの外相は、両国間の国交正常化について話し合った。    

ペルー決選;終盤でカスティージョが勢い回復

   ペルー大統領選挙決選(6月6日)まで2週間となった5月23日、リマで両候補の補佐官たちがコロナ禍後、経済問題を中心に討論した。一部の評価では、発言内容は7対3で、ケイコ・フジモリ陣営が勝(まさ)ったとされる。   IPSOSの23日公表の調査では、ペドロ・カスティージョ52・6%、ケイコ47・4%だった。DATUM調査では、カスティージョ53・15%、ケイコz46・85%。他の調査では、44・8%対34・4%と、カスティージョが10ポイント以上の差をつけている。   一方、IDICE調査では、ケイコ45・4%、カスティージョ42%で、ケイコが初めて追い抜いたことになっている。   決選での逆転はしばしばあり、選挙結果の予断を許さない接戦状況がある。両候補は30日、2度目で最後の討論会に臨む。この対決は、終盤だけに、決定的な意味を持つ。   ケイコは23日、赤道国キトで開かれた秘人作家マリオ・バルガス=ジョサ主催の会合にビデオ参加し、「私ケイコ・フジモリは民主および民主制度を守り、強化する」と誓った。   リマでは、ケイコと、強権支配が目立った受刑囚・父親アルべルト・フジモリ元大統領を結び付けて、「ケイコを勝たせるな」と叫びながら行進する反ケイコ運動が展開されたばかり。   ケイコは選挙戦でカスティージョを追い上げていたが、終盤で膠着。反フジモリ攻勢に遭っている。キト会合での誓いは、秘国内世論を意識したものだ。 

ラ米・カリブのコロナ死者100万人を超える

   米州保健機関(OPS)は5月21日、LAC(ラ米・カリブ)地域のコロナ疫病COVID19の死者が100万人を超えた、と発表した。   内訳は;①ブラジル44・3%②メキシコ22・1%③コロンビア8・3%④亜国7・3%⑤ペルー6・7%。以上計88・7ポイント。中米は3%、カリブは1%だった。   米州全体で1億5350万人がワクチン接種を受けたが、うち26・1%がLAC諸国。    

チリ制憲会議選は政権党惨敗、無所属-左翼躍進

     チリで5月15~16両日実施された制憲会議代議員選挙は、無所属と左翼が8割強を占めるもようで、6月から9~12カ月かけて起草される新憲法は、ピノチェー軍政下の1980年に制定された新自由主義経済路線の強権憲法と大きく異なる斬新な民主憲法となる公算が極めて大きくなった。   代議員は155人で、議長の除く154人は男女半々ずつとする画期的な選挙だった。開票100%で無所属48人、政権党連合(保守・右翼)37人、左翼連合(共産党・拡大戦線)28人、中道・中道左翼(キリスト教民主党、社会党など)25人、先住民族17人。   先住民は17議席割り当て制。最大民族マプーチェ7,アイマラ2,他の8はケチュアなど8集団が分け合った。ただし、それぞれの選挙は実施された。   セバスティアン・ピニェーラ大統領は17日、政権党連合の敗北を認め、新しい政策が必要になった、と述べた。   ただし投票率は、今回の選挙実施を決めた昨年10月の国民投票に続く選挙だったため「選挙疲れ」があったことや、コロナ禍蔓延状況もあって、43%と低かった。   制憲会議では、前文、条項、付帯事項などすべての決定は3分の2の多数決でなされる。これを上回るもようの無所属と左翼は、かなり自由に条項などを決めることができるようになる。政権党連合は単独で決定を拒否できる52人に遠く達しなかった。   女性代議員が半数となるため、女権拡張主義がどこまで反映されるかも注目点だ。   初めての16州知事公選および、345市長選挙、同市会議員選挙も併せて実施された。これら地方選挙でも「地殻変動」が起きている。首都サンティアゴ市長には、初めて共産党候補イラシ―・ハスレルが勝利した。   チリでは11月21日、大統領選挙が実施される。今選挙で示された有権者の投票傾向が続く可能性がある。今回惨敗した保守・右翼陣営中道・中道左翼陣営では大混乱が起きており、大統領候補擁立戦略が出直しを迫られている。   大統領選挙の最有力候補の位置には、今回、首都圏レコレタ市長に再選された共産党員のダニエル・ハドゥエ市長が躍り出た。  

チリで憲法起草会議選と統一地方選終了

   チリで5月15~16両日、新憲法を起草する会議の代議員選挙と統一地方選挙が実施された。投票はコロナ禍対策として有権者の殺到などを防ぐため、2日間に亘って行われた。有権者は1940万人。開票作業が進んでいる。    起草会議代議員は155人(うち17人は先住民族への割り当て)で、男女半々ず選ぶ画期的な選挙。1373人が出馬。議長は男女いずれかになる。    ピノチェー軍政下の1980年に制定された新自由主義経済路線の現行軍政憲法が時代にそぐわなくなったため、昨年10月の国民投票で新憲法制定が決まった。    選ばれた代議員は9ヵ月以内に拳法条項などを起草する。前文、各条項の決定は、3分の2の多数決で決められる。起草が9ヶ月で終わらない場合、3ヵ月延長される。その後、公民投票で新憲法制定か否かが決まる。    併せて全16州知事、345市長、同市会議員計2252人の選挙も同時に実施された。従来、州知事は大統領による任命制だった。    首都サンティゴで15日投票したセバスティアン・ピニェーダ大統領は、「チリの将来を決める重要な選挙であり、大挙して投票所に行ってほしい。チリは一層自由、公正、堅固な国になるだろう」と述べた。

ペルー模擬投票でカスティージョ優位だが差縮まる

  ペルー大統領選挙決選は6月6日の投票日まで3週間となった。各種支持率調査で、教組幹部の左翼ペドロ・カスティージョ(51、自由ペルー党)が、対抗馬、新自由主義者の右翼ケイコ・フジモリ(45、人民勢力党)に水を開けていたが、5月中旬ケイコの追い上げが顕著になっている。白票は8%、無効票は7%だった。   5月14日発表のDATUM社の模擬投票(12~14日実施)では、カスティージョ44%、ケイコ40%。30日には中央選管主催の公式討論会が南西部のアレキーパ州都アレキーパでそれぞれ予定されており、それが勝敗を左右する可能性が出てきた。   カスティージョは南部で65%、中部で63%で、強さを見せた。ケイコは首都リマで50%、北部で45%、東部で43%と健闘している。   ケイコ陣営は財界、保守、右翼陣営が、1980年代から90年代初めにかけて殺人や破壊活動を恣にした農村中心のカルト的極左地下組織「センデロ・ルミノソ」(輝く道)とカスティージョを結び付けるなどの中傷運動を激化させているが、これが利いている。   一方、ケイコは、禁錮刑に服役中のアルべルト・フジモリ元大統領の長女ゆえ「反フジモリ運動」に依然苛まれている。また収賄・資金洗浄罪で収監され、仮釈放中の身という不利な立場にある。今回が連続3度目の決選進出であり、逆転勝利に懸けている。   残り3週間の選挙戦は、接戦を逆転に繋げるのに十分。カスティージョとしては、農村と都市貧困層の票をさらに開拓して、逃げ切りを図りたいところ。   別件だが5月13日、国会はフランシスコ・サガスティ暫定大統領の不信任動議を賛成12、反対86、棄権19で、否決した。コロナ疫病COVID19対策を怠ったとして、野党から動議が出されていた。 ▼両候補の差が縮まる   5月16日公表のエル・コメルシオ紙とIPSOSの合同調査結果では、カスティージョ51・1%、ケイコ48・9%で、2・2ポイント差になった。地方部では60%対40%で、カスティージョが強いが、リマ首都圏では34・7%対65・3%で、ケイコが圧倒している。   また同日公表のCPI調査結果は、カスティージョ34・4%、ケイコ32・6%で、1・8ポイント差。 ▼差が少し開く  5月21日公表のDATUM模擬投票結果では、カスティージョ45・1%、ケイコ40・1%。カスティージョは2...

ハイチで新憲法草案めぐる討議始まる

      ハイチで5月13日、新憲法草案をめぐる市民有識者討議が始まった。草案は一定の修正を経て、6月27日に国民投票にかけられる。国内各界での主要な討論会は、マスメディアやSNSで中継される。   最も重要な新条項は、大統領選出を含む総選挙を5年ごとに実施する規定。これにより5年ごとの政権交代が制度化される。過去にあったデュヴァリエ父子2代のような長期独裁や、実力者の政権居座りが困難になる。ジョヴネル現政権にも任期問題が起きている。   起草され討論にかけられた新憲法は承認されれば、1804年のハイチ独立以来23番目の憲法となる。ハイチは世界最初の黒人共和制独立国であり、米州で米国に次ぐ2番目の独立国。   草案には、女性、若者、農民、社会組織、在外国民らの意思を国政に反映させる仕組みも盛り込まれている。   だが起草過程で、ジョヴネル政権に反対する野党をはじめ国内の反政府勢力はボイコットを続けた。このこともあって、起草は政府機関内で一方的になされたという批判が強い。起草手続きそのものが違憲という見方もある。   国連も批判。ハイチの元宗主国フランスなど欧州連合(EU)は、国民投票への費用援助や監視団派遣を拒否している。   

グアイドー派がマドゥーロ大統領に対話を持ち掛け

   ベネズエラ政府と反政府勢力の対話の可能性が、わずかながら見えてきた。ニコラース・マドゥーロ大統領は5月12日、国営テレビを通じて、「いかなる反政府勢力・野党とも、いつでも、どこででも、どのような形でも話し合う用意がある」と言明した。   これは、反政府勢力のうち極右勢力の指導者フアン・グアイドー前国会議長が11日、「VEN危機打開のため自由で公正な選挙実現を図る目的で、<国家>救済合意>(ASN)を結ぶ話し合いをしたい」とマドゥーロ宛に表明したのを受けた措置。   グアイドーは米国、欧州諸国、リマグルーポ(ラ米保守・右翼諸国)と話し合って、ASNを提唱した。大統領との話し合いのテーマには①大統領、国会議員、州知事、市長・市会議員選挙をやり直す②人道的援助とコロナワクチン援助を受け入れる③政治囚釈放と亡命者帰国④ASN実施状況に応じた封鎖(米国などによる対VEN制裁)の段階的解除⑤大統領との話し合いへの「国際的有力勢力の立ち合い」ーが含まれている。   騒乱教唆罪などで有罪となり、自宅軟禁の形で服役中の昨年、スペインに逃亡したグアイドーの政治的師レオポルド・ロペスは12日、訪問先ポルトガルで①VEN国民へのコロナワクチン接種②自由選挙実施③ワクチン接種と選挙実施の日程策定ーの3つが話し合いの要点と述べた。   マドゥーロ大統領は「全ての反政府勢力と会合する用意がある。欧州連合、ノルウェー、対VEN交渉接触グループによる話し合い支援に同意する」と述べ、ここでは米国には言及しなかった。VEN原油資源確保を狙っていたトランプ前米政権は2019年1月、グアイドーを傀儡として「大統領代行」に擁立、マドゥーロ政権打倒工作を続けた。   後継のバイデン現政権は、トランプほどあからさまではないが、「グアイドー支持」政策を維持している。   マドゥーロは、ロペス、グのアイドー、米国、コロンビアなどが関与した大統領暗殺を狙った昨年VEN侵攻上陸作戦に触れ、「対話路線に転じたのか。何を持参するのか。北(米政府)から命令されているのか。君の大統領(トランプ)の任期は終わっている。君は野党指導者の一かけらにすぎないのだ。そして今、私に話し合いを持ち掛けた」と、嫌悪感を込めて指摘した。   さらに、「良い話が出れば検討する。彼らは戦(いくさ)、侵攻、テロリズム、ク...

キューバが国産ワクチンの一般接種を開始

     キューバ政府は5月12日、ハバナ首都圏で自力開発した国産コロナワクチン「アブダラ」の一般向け接種を開始した。60歳以上の市民が優先される。東部のサンティアゴ州など3州でも接種は間近。   ハバナ東方のフロリダ海峡沿いの海浜保養地バラデ―ロなど主要観光地では、ホテルなど関連施設の従業員への接種が間もなく始まるという。   開発されているのは6種類のワクチン。実用化段階に達したのは「アブダラ」と「ソベラ-ナ2」。他に試験段階の「マンビーサ」、「ソベラーナ1」、「ソベラーナ+」。さらに、中国と共同開発中の「PAN-CORONA」(パン・コローナ)がある。   国営製薬会社ビオクーバファルマは、8月までに全国民に行き渡るワクチンを生産すると発表している。極悪の経済状態にあるキューバにとって、ワクチン開発・実用化はほとんど唯一の希望になっている。    LAC地域(ラ米・カリブ)では、アルゼンチン、メキシコ、ボリビア、ホンジュラス、ジャマイカから既に引き合いがある。   キューバのCOVID19感染状況は約12万人、死亡者は約750人。人口は1125万人。4月下旬には、玖野球連盟のイヒニオ・ベレス会長(75)がコロナ禍で死去した。            

ボリビア検察が暫定大統領のお手盛り就任劇を捜査

   ボリビア検察庁は5月11日、同国で2019年11月に起きた軍事クーデターの直後に政権に就いたジャニーネ・アニェス元暫定大統領の「お手盛り就任」の捜査を開始した。国会のアンドロ―二コ・ロドリゲス上院議長の告発を受けてのことだ。   クーデター派だった極右のアニェス(当時上院第2副議長)は、告発によれば、一方的に上院議長就任を宣言、次いで暫定大統領の席に着いてしまった。憲法で上院議長は大統領継承権1位。   当時のエボ・モラレス大統領が軍部に辞任を強制されたクーデタ-のどさくさに紛れて演じられた政権乗っ取り劇だったと、アルセ現政権は見ている。モラレスとアルセの政権党は社会主義運動(MAS)で、当時も現在も国会で第1党。   憲法は第1党から上院議長を出すと定めており、解任、辞任、病気、負傷、死去などで議長不在となった場合、第1党の議員が議長に就任する。少数野党所属のアニェスは、当時のMASの上院議長がクーデターの政治的重圧を受けて辞任を迫られた状況の下、自ら議長、次いで大統領に就いてしまった。   ロドリゲス現議長は、この点を捜査するよう検察に告発した。アニェスは昨年11月、アルセ政権発足時にブラジルヘの逃亡を謀って阻止され、3月逮捕された。政治首都ラパスの女性刑務所に収監されている。

ペルー両大統領候補が公約書「市民宣言」に署名

     ペルー大統領選挙決選に向けて激戦を展開している左右2候補が5月10日、民主制度順守公約書に署名した。1990年代に憲法停止、国会閉鎖、強引な3選出馬などで民主体制を傷つけたアルべルト・フジモリ元大統領(服役中)や、他の大統領たちが陥った巨額収賄などを「絶対にしない」と、選挙民に対し公約する画期的な文書だ。   「市民宣言」と名付けられたこの文書は、ペルーのカトリック教会と福音派教会それぞれの最高機関同士が話し合ってまとめたもの。地方教組幹部で民族経済確立を目指す左翼ペドロ・カスティージョ(51)は遊説先の秘アマソニーア(アマゾン川流域)中心地のロㇾト州都イキートスで署名。元大統領の娘で新自由主義経済路線の右翼ケイコ・フジモリ(45)は、出演したテレビ番組で署名した。   文書は、7月28日から5年間の大統領任期終了後、いかなる理由があろうと連続2期目に就任するための方策を探ってはならないと定めている。   三権分立原則順守や、全国民の生存権、人権、言論の自由などを守ることを謳っている。   過去21年間の大統領たちの行状は、殺人命令罪などで禁錮刑に処せられているフジモリ、伯建設会社オデブレシ―から巨額の賄賂を受け取ったアレハンドロ・トレード(米国で拘留中)、アラン・ガルシア(収賄を追求され自殺)、オヤンタ・ウマーラ(収賄で拘禁済み)、マルティン・ビスカラ(収賄で解任)とすさまじい。   ケイコも同社から提供された資金を過去の大統領選挙戦で使い拘禁され、今は保釈中の身。贈収賄も「民主制度違反」であり、当然規制対象に含まれるだろう。   カスティージョは「私は腐敗に繋がりやすいテレビでなく、国民の前で署名する」と述べ、多くの人々に見守られて署名した。   両教会機関は、有権者・国民の意思を代表する形で「市民宣言」を作成した。6月6日の決選で当選する次期大統領は、この宣言に違反すれば弾劾される運命にある。   今後、ラ米諸国にこの種の「市民宣言」が拡がる可能性がある。     

メキシコが米政府に内政干渉の説明求める

   メキシコ政府とバイデン米政権の間に「内政干渉問題」が生じている。AMLO墨大統領は5月7日の記者会見で、米国際開発局(USAID)が墨民間団体「腐敗と無処罰に反対するメキシコ人」(MCCI)、および同「19条」に2018~20年に計2570万ペソの資金を与えたと暴露。「これは反政府的にしてクーデター画策的行為だ」と非難した。   2018年はAMLOが7月の大統領選挙に当選し、12月に政権に就いた年。米資金提供は時期的にAMLO政権に反対する行為だと受け止められている。    外務省は7日、この件について米国大使館に正式に抗議した。同日、AMLOはカマラ・ハリス米副大統領と遠隔会談したが、抗議したのはその数時間前だったという。ハリスは6月、メキシコとグアテマラを訪問し、移民問題で協議することになっている。   AMLOは同記者会見で、憲法は外国政府による墨政治団体への献金を禁止しており、当該案件はメキシコ主権を侵す内政干渉行為だ、と指摘。米政府に説明を求めたことを明らかにした。   政権党MORENA(国家刷新運動)は選挙庁(INE)に、MCCIを主宰する実業家クラウディオ・ゴンサレスを訴えた。   

キューバがコロナワクチンを近く接種開始へ

    キューバ国産のコロナワクチンが近日中に志願者に接種される。ミゲル・ディアスカネル大統領は4月19日(第8回共産党(PCC)大会最終日)の第1書記就任演説で、キューバはいずれ世界をコローナ疫病から救うことに寄与するようになるだろうと述べていた。国産ワクチンは、経済状態が極悪なキューバにとって、大きな希望となっている。  玖大統領府は5月7日、遺伝子工学・生物工学センター(CIGB)が開発したワクチン「アブダラ」と、フィンライ・ワクチン研究所(IFV)開発の「ソベラーナ2」の試験的接種を開始すると発表した。両ワクチンとも開発第3段階にある。  ソベラーナ2は、冷凍保存する必要がない点で優れているという。両ワクチンはすでに量産態勢に達しているという。   まずハバナ首都圏7市(人口170万人)から接種を始める。首都圏は玖COVID19感染者11 万人の半数が居住する地域。これまでに首都圏で志願者4万人にソベラーナ2が、貧困率の高い東部3州(グランマ、サンティアゴ、グアンタナモ)で同4万8000人にアブダラが、それぞれ接収され、良好な結果が出ている。このほか、ワクチン開発者、医療従業員、治安要員ら27万人にも接種がなされている。   フィンライはソベラーナ1(第2段階)、ソベラーナ+(プラス、感染患者向け)を、CIGBはマンビーサ(第1段階)をも、それぞれ開発中。またキューバは中国と「PAN-CORONA」(パン・コローナ)を共同開発中。   このようにキューバは6種類のワクチンを開発中。アルゼンチンなどラ米諸国などからすでに、玖ワクチンの引き合いがある。   ソベラーナは「主権」、アブダラは「アッラーの下部」、マンビーサは、19世紀に対西独立戦争を戦った玖独立軍兵士。      キューバのCOVID19状況は5月7日現在、感染者合計11万4000人、死者701人。日本はそれぞれ60万2000人と1万566人。日玖人口はほぼ10対1。 ▼8月には国民の7割に接種   PCC機関紙グランマは5月9日、コロナワクチン接種を今月開始し、8月には国民の7割の接種を終える、と報じた。 ▼アレイダ・ゲバラ医師が表明   小児科医アレイダ(61)=チェ・ゲバラの娘=は5月11日、全玖人と来訪観光客は8月までにコロナワクチン...

コロンビアの極右・新自由主義政権が窮地に

   コロンビアで反政府抗議行動が全国ゼネストの形で10日間 も続き、すでに死者37人が出ている。このような全国規模の激しい抵抗運動は近年なかったことだ。   極右で新自由主義路線のイバン・ドゥケ大統領は4月末、税制、保健、労働、年金の改革政策を打ち出した。増税や歳出削減が狙いで、貧困大衆に打撃となる政策だった。   労連は4月下旬ゼネストを打ち、国際労働者の日(メイデー)を含め、ストライキと反政府抗議行動が一体化して10日間も続いている。ドゥケ大統領は政策を白紙に戻したが国民の怒りは収まらず、政府を窮地に追い込んでいる。   ラ米や欧州諸国から、コロンビア当局による市民弾圧への非難が出ている。機動隊のほか、陸軍が治安出動している。       この国では来年、大統領選挙が実施される。コロンビアは現代政治史上、左翼・革新・進歩主義政権が一度も出ていない「南米一保守的な国」。だが22年大統領選挙では革新候補が勝つ可能性が出ている。   今回の全国的な反政府行動という有権者の「実績」が大統領選挙に影響を及ぼすことは疑いない。 ▼コロンビアが玖外交官1人を追放へ   コロンビア政府は5月7日、玖大使館のオマール・ガルシア1等書記官を「好ましからざる人物」に指定、国外退去を命じた。玖政府は強く抗議している。 ▼死者47人に  コロンビア平和研究所(INDEPAZ)は5月8日、同日まで11日連続する反政府行動で死者は47人い達した、と明かにした。うち39人の死因は警察の弾圧という。963人が不法逮捕され、うち12件は性的暴行を伴った。また負傷者のうち12人は目をやられた。

ニカラグア選挙最高審議会はオルテガ色

     ニカラグアでは11月7日、正副大統領、国会議員を選ぶ選挙が実施される。これを前に5月4日、国会は「選挙最高審議会」(CSE)の判事7人を選出した。うち6人はダニエル・オルテガ大統領派、残る一人だけが野党の保守党系。   CSEは選挙最高法廷であり、中央選管の上位にある。内外の反オルテガ勢力は、「ニカラグア政治・選挙の民主化ではなく、オルテガ支配永続化を保障するための措置にすぎない」と批判している。オルテガは75歳。   一院政の国会は定数91中、70が政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)。オルテガの意向は、ほぼすべてが法制化される。   オルテガは2007年から連続3期、計15年も政権にある。11月選挙では4選を目指す。前回選挙で夫人のロサリオ・ムリージョ(詩人)が副大統領になった。この「夫妻体制」が維持される。オルテガは1979年の革命後の80年代、大統領を務めた。      東西冷戦後の90年の大統領選挙で米国や日本が強力に支援した保守派のビオレタ・チャモ―ロに敗れて下野。チャモーロから3代の新自由主義政権を経て、2006年の選挙に当選、復権を果たした。   サンディニスタは分裂や離反を繰り返した。反オルテガ路線のFSLN分派「刷新民主連合」(UDR)も、今回の措置を厳しく批判している。   オルテガの言い分は、FSLN体制が崩壊すれば新自由主義が再来し、貧富格差がひどくなり国民生活が破壊され、米国支配も復活する、というもの。オルテガはプーチン露大統領とは昵懇。   オルテガは政治的遺産として、太平洋岸と大西洋(カリブ海)岸を結ぶ「ニカラグア大運河」建設計画を策定。だが技術・資金不足、国内の反対運動、パナマ運河第3水路(拡張水路)開通による建設意義縮小により、建設過程初期に挫折した。   反オルテガ勢力は米政府に支援され、18年4月末から街頭行動を中心とする反体制運動を激化させた。政府による激しい弾圧で、死傷者多数が出た。この闘争から生まれた反体制派の「青白国民連合」(UNAB)が11月選挙に対立候補を出馬させる。青と白はニカラグア国旗の色だ。 ▼ベネズエラ国家選挙理事会(CNE)も刷新  VEN国会は5月4日CNE理事選挙を実施、候補者103人の中から5人を選出した。3人は政...

秘大統領選挙決選、カスティージョが依然優勢

    ペルー大統領選挙決選の選挙戦は激戦が続いている。DATUM社が5月2日公表した支持率調査結果は、ペドロ・カスティージョ候補(51、自由ペルー党)41%、ケイコ・フジモリ候補(45、人民勢力党)26%で、カスティージョが15ポイント差をつけている。  一方、同日公表のIPSOS社の調査結果では、カスティージョ43%、ケイコ34%で、差は9ポイント。ケイコはリマ首都圏で51%で、29%のカスティージョに差をつけている。だが地方ではカスティージョ51%、ケイコ25%で、カスティージョが強い。  これまでに5回公表された支持率調査結果は、いずれもカスティージョが上回っている。カスティージョとマドゥーロVEN政権を結びつけて攻撃するケイコ陣営の戦術が利いていないことが明らかになっている。  国民の最大の関心事はコロナ禍COVID19との闘いであり、ケイコは戦術変更を迫られている。カスティージョは急進的政策を軟化させる姿勢を見せている。  カスティージョを支持する労連は、ブラディーミロ・セローン党首と、その自由ペルー党から離れるよう、カスティージョに促している。セローンには腐敗が付きまとい、同党でのとカスティージョの党人経験は浅いため、離党する方が有利になると見るからだ。 ▼第1回討論会  両候補による第1回討論会は北西端のカハマルカ州チョタ市(カスティージョの生地)で5月1日、70分間に亘って展開された。議題は①コロナ禍対策②教育③経済活性化④治安⑤腐敗問題。  第2位で決選に進出し、1位進出のカスティージョに追いつけない都会派ケイコは、劣勢挽回を図るがごとく、扇動的馬力を発揮してのカスティージョ攻撃が目立った。  一方、農村教師カスティージョは素朴さ、落ち着き、冷静さを終始保っていた。⑤腐敗でケイコは自由ペルー党首の腐敗問題から逃げるなと攻勢に出たが、カスティージョは、逃げたのはあなたの父親(アルべルト・フジモリ元大統領)だったと切り返した。 ▼支持率差が縮まる  5月7日公表のDATUM調査では、カスティージョ41%、ケイコ36%。差が5ポイントに狭まった。カスティージョは5日、第1回投票で上位に食い込みながら落選した穏健左翼ベロニカ・メンドサと政策協定を結んでいる。   また8日公表のペルー研究所(IEP)調査では、カスティ...

エル・サルバドール極右政権が憲法法廷判事全員を解任

   エル・サルバドールの極右ナジブ・ブケレ大統領の横暴が際立ち、国内だけでなく国際社会にも批判・非難する声が拡がっている。   政権党は多数派の国会は5月1日、最高裁判所憲法法廷の判事全員を解任し、同法廷を事実上、なくしてしまった。この状態がいつまで続くのか不明だが、専横体制にとり、同法廷の憲法判断は煩わしかった。国会は同時に検事総長を解任した。   一院制国会(定数84)の64を握る政権党「新思考」、および連携する「国民統合大同盟」(GANA)の右翼連合が賛成。反対は19、欠席1で、暴挙が可決された。   国会を握る政府が最高裁の中核・憲法法廷を葬り去ったことで、三権分立体制は崩壊したと言える。   前政権党の左翼野党FMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)は「これはクーデターだ」と政府・政権党連合を糾弾した。   アンソニー・ブリンケン米国務長官は2日ブケレに電話し、米政府の憂慮を伝えた。      

チリでゼネスト、労働者が大統領退陣を要求

  チリ労働者中央同盟(CUT)は国際労働者の日(メイデー)前日の4月30日、全土でコロナ疫病COVID19蔓延への抗議を柱とするゼネストを実施。コロナ対策で不手際が目立つセバスティアン・ピニェーラ大統領に退陣を要求した。   財界出身で富豪の保守右翼系大統領ピニェーラは支持率9%。29日には、智人権委員会(CChDH)とスペイン元判事バルタサル・がルソン弁護士から、2019年に起きた国民の大規模な反政府行動の弾圧により市民多数が死亡した事件でピニェーラは「人道犯罪責任」を指摘され、国際刑事裁判所に提訴されたばかり。   コロナ禍対策では当初、ラ米諸国に先んじてワクチンを入手、感染を抑え込んだかに見えた。ところが再度蔓延し、蟄居令と夜間外出禁止令は広範な地域に発動されている。   新自由主義により中産層が没落し、国民の8割が厳しい暮らしを迫られているとCUTは主張。ゼネストで政府に、富裕層への累進化全制度適用をあらためて要求した。   CUTをはじめとする国民側は、年金基金から10%を生活費に充てるため引き出すよう要求。国会で承認されたが29日、大統領は法への署名拒否、憲法裁判所に提訴したが敗れ、引き出しに応じた。   勢いづいたCUTはゼネストで大統領に退陣を要求するに至った。16日実施の新憲法起草会議代議員選挙の正常な実施、先住民民族マプーチェ弾圧中止、ジェンダ―平等なども訴えた。   チリでは11月21日、大統領選挙が実施される。政権2期目の末期にあるピニェーラは「レームダック」状態が進んでいる。