ニカラグア選挙最高審議会はオルテガ色
ニカラグアでは11月7日、正副大統領、国会議員を選ぶ選挙が実施される。これを前に5月4日、国会は「選挙最高審議会」(CSE)の判事7人を選出した。うち6人はダニエル・オルテガ大統領派、残る一人だけが野党の保守党系。
CSEは選挙最高法廷であり、中央選管の上位にある。内外の反オルテガ勢力は、「ニカラグア政治・選挙の民主化ではなく、オルテガ支配永続化を保障するための措置にすぎない」と批判している。オルテガは75歳。
一院政の国会は定数91中、70が政権党FSLN(サンディニスタ民族解放戦線)。オルテガの意向は、ほぼすべてが法制化される。
オルテガは2007年から連続3期、計15年も政権にある。11月選挙では4選を目指す。前回選挙で夫人のロサリオ・ムリージョ(詩人)が副大統領になった。この「夫妻体制」が維持される。オルテガは1979年の革命後の80年代、大統領を務めた。
東西冷戦後の90年の大統領選挙で米国や日本が強力に支援した保守派のビオレタ・チャモ―ロに敗れて下野。チャモーロから3代の新自由主義政権を経て、2006年の選挙に当選、復権を果たした。
サンディニスタは分裂や離反を繰り返した。反オルテガ路線のFSLN分派「刷新民主連合」(UDR)も、今回の措置を厳しく批判している。
オルテガの言い分は、FSLN体制が崩壊すれば新自由主義が再来し、貧富格差がひどくなり国民生活が破壊され、米国支配も復活する、というもの。オルテガはプーチン露大統領とは昵懇。
オルテガは政治的遺産として、太平洋岸と大西洋(カリブ海)岸を結ぶ「ニカラグア大運河」建設計画を策定。だが技術・資金不足、国内の反対運動、パナマ運河第3水路(拡張水路)開通による建設意義縮小により、建設過程初期に挫折した。
反オルテガ勢力は米政府に支援され、18年4月末から街頭行動を中心とする反体制運動を激化させた。政府による激しい弾圧で、死傷者多数が出た。この闘争から生まれた反体制派の「青白国民連合」(UNAB)が11月選挙に対立候補を出馬させる。青と白はニカラグア国旗の色だ。
▼ベネズエラ国家選挙理事会(CNE)も刷新
VEN国会は5月4日CNE理事選挙を実施、候補者103人の中から5人を選出した。3人は政府系、2人は野党系。5日に就任する。
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