コロンビア反政府行動1カ月;48人死亡、被害40億ドル
コロンビアの反政府全国ストライキは4月28日に始まり、1ヵ月経った。イバン・ドゥケ大統領の保守・右翼政権は、昨年来のコロナ禍で経済が受けた打撃を埋めようと63億ドルの増収を目的に税制改革を決めた。だが中産層と低所得層に重い課税になるため、ゼネストが起きた。
政府は5月2日、税制改革を取り止め、併せて、一部の民営化を狙った保健制度改革も19日に取り下げた。
反税制改革ストは当初から、政府の新自由主義、強権、人権軽視、有産層優遇、貧富格差無視などに反対する反政府の性格が強く、ストはすぐに全国化した。19日ごろから抗議行動の中心は、首都ボゴタからカリに移った。
警察部隊だけでは手に負えなくなった政府は軍隊を治安出動させた。弾圧は激しさを増した。野党は国防相不信任案を国会に提出したが、否決された。だが5月中に蔵相、外相、和平高等コミッショナー(閣僚級)の3人が辞任した。
全国的な抗議行動による経済被害は1日平均1億3000万ドル、1カ月で40億ドルに上る。失業者は30万人増えた。若者の失業率は24%に及ぶ。
全国ストライキ委員会(CNP)と政府は5月27日、話し合った。スト側は最低賃金243ドル、コロナワクチン接種拡充、公共高等教育無料化、雇用創出などを要求。政府側は道路封鎖解除を求めた。CNPは同教育一部無料化を勝ち取っている。
コロンビアでは来年、大統領選挙がある。左翼政権が一度も登場したことのない南米唯一の超保守国だが、今回の長期に亘る反政府行動を経て、革新政権誕生の可能性も一層ささやかれるようになっている。
▼死者59人に
政府は5月30日、32日間に及ぶ街頭行動での死者は59人に達したと明かにした。
コメント
コメントを投稿