チリ制憲会議選は政権党惨敗、無所属-左翼躍進

     チリで5月15~16両日実施された制憲会議代議員選挙は、無所属と左翼が8割強を占めるもようで、6月から9~12カ月かけて起草される新憲法は、ピノチェー軍政下の1980年に制定された新自由主義経済路線の強権憲法と大きく異なる斬新な民主憲法となる公算が極めて大きくなった。

  代議員は155人で、議長の除く154人は男女半々ずつとする画期的な選挙だった。開票100%で無所属48人、政権党連合(保守・右翼)37人、左翼連合(共産党・拡大戦線)28人、中道・中道左翼(キリスト教民主党、社会党など)25人、先住民族17人。

  先住民は17議席割り当て制。最大民族マプーチェ7,アイマラ2,他の8はケチュアなど8集団が分け合った。ただし、それぞれの選挙は実施された。

  セバスティアン・ピニェーラ大統領は17日、政権党連合の敗北を認め、新しい政策が必要になった、と述べた。

  ただし投票率は、今回の選挙実施を決めた昨年10月の国民投票に続く選挙だったため「選挙疲れ」があったことや、コロナ禍蔓延状況もあって、43%と低かった。

  制憲会議では、前文、条項、付帯事項などすべての決定は3分の2の多数決でなされる。これを上回るもようの無所属と左翼は、かなり自由に条項などを決めることができるようになる。政権党連合は単独で決定を拒否できる52人に遠く達しなかった。

  女性代議員が半数となるため、女権拡張主義がどこまで反映されるかも注目点だ。

  初めての16州知事公選および、345市長選挙、同市会議員選挙も併せて実施された。これら地方選挙でも「地殻変動」が起きている。首都サンティアゴ市長には、初めて共産党候補イラシ―・ハスレルが勝利した。

  チリでは11月21日、大統領選挙が実施される。今選挙で示された有権者の投票傾向が続く可能性がある。今回惨敗した保守・右翼陣営中道・中道左翼陣営では大混乱が起きており、大統領候補擁立戦略が出直しを迫られている。

  大統領選挙の最有力候補の位置には、今回、首都圏レコレタ市長に再選された共産党員のダニエル・ハドゥエ市長が躍り出た。


 

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