ペルー両大統領候補が公約書「市民宣言」に署名
ペルー大統領選挙決選に向けて激戦を展開している左右2候補が5月10日、民主制度順守公約書に署名した。1990年代に憲法停止、国会閉鎖、強引な3選出馬などで民主体制を傷つけたアルべルト・フジモリ元大統領(服役中)や、他の大統領たちが陥った巨額収賄などを「絶対にしない」と、選挙民に対し公約する画期的な文書だ。
「市民宣言」と名付けられたこの文書は、ペルーのカトリック教会と福音派教会それぞれの最高機関同士が話し合ってまとめたもの。地方教組幹部で民族経済確立を目指す左翼ペドロ・カスティージョ(51)は遊説先の秘アマソニーア(アマゾン川流域)中心地のロㇾト州都イキートスで署名。元大統領の娘で新自由主義経済路線の右翼ケイコ・フジモリ(45)は、出演したテレビ番組で署名した。
文書は、7月28日から5年間の大統領任期終了後、いかなる理由があろうと連続2期目に就任するための方策を探ってはならないと定めている。
三権分立原則順守や、全国民の生存権、人権、言論の自由などを守ることを謳っている。
過去21年間の大統領たちの行状は、殺人命令罪などで禁錮刑に処せられているフジモリ、伯建設会社オデブレシ―から巨額の賄賂を受け取ったアレハンドロ・トレード(米国で拘留中)、アラン・ガルシア(収賄を追求され自殺)、オヤンタ・ウマーラ(収賄で拘禁済み)、マルティン・ビスカラ(収賄で解任)とすさまじい。
ケイコも同社から提供された資金を過去の大統領選挙戦で使い拘禁され、今は保釈中の身。贈収賄も「民主制度違反」であり、当然規制対象に含まれるだろう。
カスティージョは「私は腐敗に繋がりやすいテレビでなく、国民の前で署名する」と述べ、多くの人々に見守られて署名した。
両教会機関は、有権者・国民の意思を代表する形で「市民宣言」を作成した。6月6日の決選で当選する次期大統領は、この宣言に違反すれば弾劾される運命にある。
今後、ラ米諸国にこの種の「市民宣言」が拡がる可能性がある。
コメント
コメントを投稿