ボリッチ次期チリ大統領がコロンビア訪問断る
チリのガブリエル・ボリッチ次期大統領(35)は12月27日、セバスティアン・ピニェーラ現大統領から同行するよう招かれていたコロンビア訪問を断った。
ピニェーラ大統領は来年1月26、27両日、ボゴタでのプロスールおよび太平洋同盟(AP)の両首脳会合に出席するためコロンビアを訪れるが、3月11日に就任するボリッチを「外交デビュー」させるため同行招待していた。
だがプロスールは、南米諸国連合(ウナスール)を脱退した南米保守・右翼諸国が結成した機構。またAPはチリ、ペルー、コロンビア、メキシコのラ米太平洋岸4大国で構成されるが、外交面では今や影が薄い。
というのも、AP結成時は4カ国とも保守・右翼政権だったが、メキシコとペルーは穏健左翼政権となり、チリも3月から穏健左翼のボリッチになる。そしてコロンビアは来年5月の大統領選挙で穏健左翼のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長に当選可能性がで出ている。
コロンビアのイバン・ドゥケ現大統領は極右で、ボリッチとは肌が合わない。メキシコのAMLOは2018年末に政権に就くや、APと距離を置いてきた。
今月19日の決選で極右のホセ=アントニオ・カスト候補に圧勝したボリッチは、就任前に近隣の極右大統領に会うのは好ましくないし、思想信条に反するのだ。ドゥケは来年8月には任期切れで退陣する。これを待てばいいわけだ。
ペトロが来年勝てば、APは初めて4か国に穏健左翼の進歩主義路線が出そろうことになり、環太平洋東岸に新しい潮流が生まれる。
フアン・バルデス元チリ外相(元駐米大使)は、プロスールを南米の保守・右翼政権がつくったイデオロギー集団と見なし、「ボリッチは無意味な会合に出る必要はない」と、ボリッチの判断を支持。「ボリッチはラ米との関係に風穴を開けた」と評価した。
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