「アンデス3国統合」構想に待ったがかかる

   ペルーのクスコ市(旧インカ帝国首都)で12月20、21両日「ルナスール」会合が予定されていたが11日、国会外交委員会がルナスール指導者エボ・モラレス元ボリビア大統領を「好ましからざる人物」と議決したことから、中止となった。

  この会合の目的の一つは、「タウアンティンスーヨ」(旧インカ帝国版図)に含まれていたペルー、ボリビア、エクアドールの「領土的統合」の実現。これを「とんでもない内政干渉」と受け止めた外交委は、モラレスを非難。モラレスと親交のあるペドロ・カスティージョ大統領に、同様に「好ましからざる人物」と宣言するよう求めている。

  だが秘政権党PL(自由ペルー)のブラディーミル・セローン書記長は12日、クスコ会合は中止が決まったわけではなく、延期を含め対応を検討中であり、モラレス来訪の可能性も依然残っている、と述べた。【セローンは13日、会合中止を確認した。】

  ルナスールは、南米諸国連合(ウナスール)の発展的復活のためにモラレスが組織したが、ここへ来て、先住民の多い3国の統合という側面が色濃く出た。

  モラレスは政権にあった時期に、勢力基盤のコチャバンバ州内にウナスール議会を建設したが、その完成時には、南米に右翼・保守諸国が増え、それが脱退し、ウナスールは活動停止に追い込まれれていた。モラレスには赤道国首都キト郊外にあるウナスール本部と同議会の再生を実現する悲願がある。

  今月19日のチリ大統領選挙決選や、来年のコロンビアとブラジルの大統領選挙で左翼候補が勝てばウナスール復活が実現性を帯びると見るモラレスは、当面は「アンデス3国の統合」に力を注いでいる。

  ペルーが、新自由主義政権30年の歴史を終え、今年7月末から、社会政策を重視するカスティージョ穏健左翼政権に移行したのを好機と捉えている。だがウナスール本部のある赤道国は今年、右翼財界人ギジェルモ・ラソ大統領が政権に就いた。ラソはウナスール反対派だ。

▼ペルー国会議長が物議醸す

  マリーアデルカルメン・アルバ秘国会議長は、このほどマドリ―を訪れ、スペインの国会議員らと会合した際、「ペルーは共産主義に捕らえられた。カスティージョ大統領には正統性がない」などと述べたと伝えられた。

  秘外務省は12月12日声明を発表、在西大使館に事実調査を命じたことを明らかにした。秘政界では既に、アルバに退陣を求める声が出ている。

▼不妊手術強制でフジモリ被告らの裁判始まる

  ペルー法廷で12月11日、アルべルト・フジモリ第2政権期(1995~2000年)に約1300人のケチュア人貧困女性に不妊手術を強制的に施した容疑で、フジモリ元大統領と当時の保健相3人を被告とする裁判が始まった。

  一方、BBCは11日、フジモリの親の出身地、熊本県河内町(現・熊本市西区)をフジモリが大統領として訪問した時の回想取材映像を流した。

 

  

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