メキシコがOEA廃止し「干渉しない新機構創設」を提唱

         メキシコのAMLO政権が米州諸国機構(OEA)廃止と、干渉主義のない新しい機構の創設をあらためて提唱した。AMLOは7月メキシコ市で開かれたCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相会議の場で同種の発言をしている。

   マルセロ・オブララ―ル外相は8月28日、政権党MORENA(国家刷新運動)の上院議員総会で構想を説明した。無論、大統領の意向を受けてのことだ。同外相は、OEAは介入の道具であり続けることはできない、と強調した。

   この場合の「干渉」、「介入」とは、主として米政府によるラ米・カリブ(LAC)諸国に対する行為を指す。OEAには、キューバを除くラ米19、大カリブ圏13、北米2(米加)の計34加国が加盟。本部はワシントンの米国務省の近くにある。

   たとえば、マドゥーロVEN政権は排除され、米国の傀儡で実体のない「グアイドー暫定政権」がVEN代表権を持つ。典型的なOEA介入主義の表れだ。国連はマドゥーロ政権を正政権と認めている。

   米国の圧力や多数派工作により、カナダやLAC諸国が同調することも多い。

   オブラ―ル外相はメキシコの狙いについて、「介入・干渉・覇権主義のない別の機構を米国との合意の下で創設すること」と述べた。

   外相は9月18日、メキシコで開かれるCELAC首脳会議で新機構創設問題を正式に提議すると前置きし、AMLO大統領はジョー・バイデン米大統領と良好な関係を維持しており、カマラ・ハリス米副大統領が同問題で一定の合意に到達すべく尽力している、と明らかにした。ハリスは6月に訪墨し、AMLOと会談している。 

   外相はまた、「メキシコの立場はラ米団結の促進だ。コロナ疫病COVID19対策一つをとっても団結が不可欠なことは明白だ。団結がなく各国が孤立したら、ラ米の重要性と力はは失われてしまう」と指摘した。

   エブラ―ルはさらに、墨都で8月開かれたVEN政府・野党間の政治対話を称賛。トランプ前政権によるマドゥーロ政権への圧力外交と、「グアイドー暫定政権擁立」を非難した。

    OEAは1948年のボゴタ憲章で設立が決まり、東西冷戦激化期の51年、米国を盟主とする反共同盟として発足した。だが59年のキューバ革命でと、その後の革新諸政権の域内登場で機構の矛盾が拡がり、冷戦終結後は時代にそぐわなくなった。

   とりわけルイス・アルマグロ事務総長(元ウルグアイ外相)の下でトランプ政権と一体化し、加盟諸国内での思想的分断が深刻化した。

 

   

 


    

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