キューバ政府が在外同胞に民間企業への投資呼び掛け

    キューバ外務省領事業務・在外玖人保護局は8月7日、在外キューバ(系)人に祖国への投資を呼び掛けた。政府は6日、民間部門として中小零細企業(MIPYMES=ミピメス)を「経済活動当事者」と正式に認めたばかり。この新部門への投資を呼び掛けたのだ。

   従業員は零細(1~10人)、小(11~35人)、中(36~100人)で、その人数で企業規模が判断される。

   この3種の他、非農牧協同組合、自営業も民間部門。玖経済の経営形態は、国営大企業群、国営・外資合弁企業、民間部門の3者の「混合」が一歩進んだことになる。

   だが業種は、保健、教育、報道、電気通信、治安・防衛、エネルギーなど戦略的部門は禁止されている。この点は自営業種でも同じ。

   問題は、新形態MIPYMESが「有限責任会社」(SRL)になるのを強制されるかどうかだ。株式会社と違って、SRLは会社内外に広く株を売って資金を集めることができず、社内(出資者)だけしか資金を出せない。したがって経営が小規模になる。

   中小零細だから最初は小規模だが、数社が合併して大きくなることは当面、許されそうもない。のし上がれば、国営企業や合弁企業が脅かされることになりかねないからだ。

   重要なのは、7月11日の全国的な対政府抗議行動を受けて、共産党政権が経済開放の方向に徐々に歩み始めたことだ。

   抗議行動は、革命体制を強く揺さぶり、頑迷な長老ら反開放派(守旧派)の立場を弱めることになった。革命戦争後世代であるミゲル・ディアスカネル大統領は今を、抗議行動によって内外に印象付けられた体制危機という禍を転じて福となす好機と捉えている。

   そこで在外玖人による投資だが、その人口が圧倒的に多い米国のバイデン政権は厳しい対玖経済封鎖を維持している。それにはキューバ向けの送金(投資)規制も含まれており、在米玖系社会が簡単に投資できる状況ではない。 

【参考資料:デモクラシータイムス「あなたに知ってほしいラテンアメリカ」シリーズ第8回「波高しカリブ海」】

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